﻿五回目ですよ五回目二人っきりで温泉旅館にっ！五回目っ！傍から見たら完全にそーゆー仲じゃないですかって気づいたら創作意欲止まりませんよねフヒヒ誰を当てはめて書いたらイイネタになるでしょうかとか考えてたところにこれなので誰か助けてください

1
「なっ、何を言っているのかっ、わかっているのですかっ！？」
「結婚を前提に、付き合って欲しい。」

正座で向き合う、真剣なトレーナーさんの目。
……っこっ。こんなっ……！！ こんなに緊張したレースは無いかもしれませんっ……！！

――――
五回目なんですよ。トレーナーさんと二人っきりで温泉旅館。
最初の時はね？「ちょっと怖いかも」って思ってました自分で誘っておきながら。
でもでも全然心配要りませんでしたっ！
トレーナーさんはあたしのウマ娘ちゃんへの愛をどこまでも聞き込んでくれて……。理解してくれました。
「会えてよかった」なんてドラマチックな事も言ってくれたんですっ！
あのトレーナーさんは言ってくれたんですっ！！
こんな……こんなあたしにですよっ！？

2
その後も大きなレースで勝ったり、時には酷い負け方をしたりと節目節目ごとに二人で温泉に行きました。
嬉しいことも悔しいことも楽しいことも悲しいことも、みんなみんな話して、スッキリ幸せになってチェックアウト。
……んでも。100％全く完全にハッピー♪なだけではなかったのです。
お風呂に浸かったりお布団に入ったりした時にふと考えちゃってました。
最初の時の気持ち。中等部とはいえ本格化してしまったウマ娘であるあたしと、大人の男性が二人で宿泊。
そんなのもうぴょいじゃん。そんなのもうぴょいじゃないんですかっ！？

いえいえこのアグネスデジタル自分が何者かはよぉ～っく存じておりますっ！
そもそもあたし自身、今まで温泉に泊まるたびに夜通しお話してそのまま寝ちゃっていたのですからっ！
トレーナーさんに万一、いや億が一、そんな気持ちがあったとしてもっ！
ロマンスにならないのはトレーナーさんではなくあたしが原因。
それで最高に幸せになれるあたしが原因ですっ！

3
大体あたしは学生でありトレーナーさんの担当ウマ娘。
トレーナーさんにとって色んな意味で恋愛対象にはなってはいけない存在です。
そういうのこそ美味しいんですけどっ♪
いやいやいやそれは飽くまでデジたんの頭の中や二次元の話でありましてぇ、
デジたんにはまだまだ走りたいレースがあり、叶えたい夢もあるのですっ！
……ん？だったらデジたんが全部走り切って夢を叶えたら？その後は？
受け入れちゃってもいいって、ことぉ！？

落ち着きなさいアグネスデジタル、Be cool, Be coolです。
いいですかデジたんあなたは学生で、まだまだレースが控えています。
トレーナーさんだってそんなこと合点承知乃介です。
ロマンスを夢見るのはいいですが、リアルとフィクションの区別はつけなさい。
ということは夢見るだけなら許される？いやいや違う違うっ！！

4
そんな感じで毎回温泉旅館では脳の栄養を使い尽くして眠ってしまっておりました。
で、五回目の今夜。デジたんのいつものウマ娘語りが一段落したところに、トレーナーさんから、「聞いて欲しいことがある」と。

ピシリ。空気が固まる音が確かに聞こえました。
ゴクリ。デジたんの喉から息を呑む音がしました。
真剣なお話。真剣に受け止めなくてはならない。
引退、辞職。あるいは億が一のロマンス。全部覚悟して、もう一度唾を呑んで、しっかりとお目を見据えます。

「……何でしょうか。トレーナーさん。」
「結婚を前提に付き合って欲しい。」

現実の言葉を前に、覚悟なんてターフの芝のように散りました。

5
思い返して見れば兆候は色々ありましたよ確かにっ！？
挨拶したいからってアタシの里帰りについてきてパパママに「お世話をさせていただいております」と頭を下げたりっ！
僕の親がファンだからと言って自分の里帰りにアタシを引き連れてご両親に引き合わせたりっ！！
「まるで結婚するみたいですねっ！」って茶化したら珍しく歯切れの悪い言葉で「……そうだね。」と応えたりっ！！！
ていうか何で気づかなかったんだデジたんっ！？

いやわかっています。わかっていて、気づかないふりをしていたのは、デジたんの方。
自分にはロマンスなんて似合わない。そう思っていた方が楽だったから。ヲタクのモテなさ、ヲタクのダサさこそをアイデンティティだと思っていたから。

そんなアタシのガラスの鎧を、愛と言う名の金槌が粉々に打ち砕いたのでした。

6
「けっ、けっ、結婚～～～～～～！？！？！？！？」
「勿論今すぐ返事をしなくてもいい。」
「いやいやいやいや、デジたんまだ学生ですけどっ！？」
「結婚は卒業してからの話だ。」
「競走バですけどっ！？！？」
「引退した後でいい。」
「そんなのいつになるか分かりませんよっ！？」
「五年でも十年でも待つ。」
「アタシじゃなくてもっと綺麗で、可愛いウマ娘ちゃん沢山いるじゃないですかっ！！」
「僕は君と生きていたい。」
「～～～～～～～っ！？！？」

強い……強すぎるっ！！
様々なロマンスやてぇてぇを思い描いては描き上げてきたあたしですがっ！！現実、そして我が身と言うエッセンスがここまでクリティカルなものだとはっ！！！！

7
ですがここで気絶してはトレーナーさんの本気に御無礼と言うもの。眩暈でぐらつく視界に必死で耐えつつ、言葉を探します。

「……もし、もし嫌だと言ったら？」
「君のトレーナーを降りる。」
「バカァーーーーッ！！！！」

今まで出したことの無い大声が胸から飛び出しました。

「デジたんを放り出す気ですかっ！唯一のっ！最高のっ！！理解者だと思っていたのにっ！！！
あなた以外の誰が、あたしのトレーナーをできると思っているんですかっ！？」

あれ、デジたん今致命的な事を口走りましたかっ！？そんなの知らないっ！！！

「トレーナーを降りるなんてっ！そんなのはデジたんを最後まで立派な競走バに育ててからにしてくださいこれからもよろしくお願いしますっ！！」

8
「……それは、オーケーって事かい？」
「オーケーもエヌジーも無いんですよっ！デジたんの返事次第で放り出すつもりだったとかどういう事ですかっ！！
脅しっ！脅迫ですこれはっ！！！
引退まで、卒業まで待ってくれるんなら何でそれまで黙っててくれなかったんですかっ！？！？！？」
「我慢が、できなかった。」
「……っ！！」
「アグネスデジタルのファンが増えた。キミの魅力を知る人が増えた。……焦る理由には十分だろ。」
「～～～～～～っ！！！！」

クソデカ感情ってぶつけられる側になると本当にとんでもない！！！
助けてこいつデジたんに首輪をつける気でいるっ！！！！！そしてその首輪が、あんまりイヤじゃないあたしが居ますぅう～～～っ！！！！！

「……時間をください……。」

そう言うのが、精一杯でした。

9
「それがママとパパの馴れ初めですねぇ～。」
「ママいま凄く可愛い顔してるっ！」

ヤマニンキングリーちゃんがスケッチブックにあたしの顔をデッサンします。

「上手だねぇ～♪」
「ママのご本沢山読んでるもんっ！」
「ママの本読むのはやめようねぇ～。」
「夕飯出来たよ。」

キッチンからの声。

「はい！じゃ、行こうか。」「はいっ！」

ああ……現実てぇてぇ。


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本格派女児

1
「こ、これがあたしの勝負服ですかぁ……？！」
https://umamusume.jp/app/wp-content/uploads/2021/01/a54adb203540e98efe832550a082a6d8.png
デザイナーの案を見たデジタルは顔を赤らめて耳を激しく動かしていた。

「どうかな。」
「片手袋にガーター網タイツ、ノースリーブでわ、脇が見えて……。ちょっとデジたんにはセクシー過ぎではありませんか？」
「そうかなあ？中学生相当の色気があっていいと思うけど。」
「トレーナーさん、ちょっと変態っぽいですぅ。」

非難めいた視線がトレーナーの顔を見上げる。

「まあ、もう一案あるから。」
「はい。」

トレーナーの視線に応じて、デザイナーがもう一枚バインダーを取り出した。

2
https://umamusume.jp/app/wp-content/uploads/2021/09/cdfc7f009b00acfc4d1dc6eba8c4ef75.png
「おお～～っ！！可愛いっ！いいじゃないですかぁっ！！！」

デジタルの反応は上々。
片手袋の代わりにシュシュ。網タイツの代わりに左右非対称のソックス。
ヘソ出しで露出度は先の案よりやや強めだが、その分JSファッションに寄せた、明るい色を散らした服。
勿論これも素晴らしい物であるし、本人が気に入るならいいのだが、と自分に言い聞かせつつもトレーナーの顔は曇っていた。

「トレーナーさん、好みじゃないんですか？」
「いや、これも凄く似合うと思うよ。」

しかし。アグネスデジタルの私服を見たことのある彼にとっては多少逡巡の種があった。

3
デジタルの私服は、思いっきりJS向けのファッションである。
ピンクを基調にした上着に、シンプルなスカートを縛るベルトにはハート型のバックルが付いている。
小物やアップリケも可愛いを重ねるコーディネート。
小柄なデジタルには似合っている服装ではあり、全体のバランスもとれている。恐らく本人も意図的にこのファッションを選んでいる。
身長143cmという小学生高学年相当の体格に小学生向けファッションを着る事自体は問題は無い。
しかし既に本格化を迎えたデジタルは、これ以上体型が大きく変わることはない。
つまり、体型に合わせたファッションを続ける限りこれから先もずっとJS向けファッションで押し通す可能性がある、という事だ。
それは流石にどうか、という事でトレーナーはセクシー路線の勝負服案もお願いしていたのだが。
本人にNGが出されたのなら仕方がない。

「……トレーナーさんのえっち。」
「誤解だ。」

4
劃して第二案のカワイイ路線を前面に押し出した勝負服が採用された。
トレーナー室に届いた服をいそいそと身に着け、姿見の前でくるくるとはしゃぐデジタル。
その様を見て、まあ焦らなくてもいいか、とトレーナーも笑った。

「どうですか、やっぱりいいでしょう！凄いですよこれ！！ディテールも凄いし生地も丈夫！！今すぐ走り出したいですっ！！！」
「それはよかった。」
「……やっぱりえっちな方の勝負服着て欲しかったんですね？」

トレーナーの気分を敏感に感じ取り、ぶーっとデジタルがむくれた。

「えっちな方って言い方はやめなよ。」
「じゃあトレーナーさん好みの方のっ！」

5
「だってデジタル、キミは私服も幼い路線じゃないか。」
「デジたんが好きで着てるんだからいいじゃないですかっ！」
「高校生や大学生になってもあの路線で行くつもりか？」
「そんなのその時にならないとわかりませんっ！
大体あたしはもう本格化してしまったので、似合う服が増えないんですっ！！
あたしには今の自分の好きなものを好きなだけ着る自由しかないんですよっ！！！」
「わかった。キミは正しい。」

開いた両手を翳し、抵抗の意思がないことを示す。

「大人っぽいのが好きなら……。勝負服のデザインにするとか回りくどいのじゃなくてですね。
その、一緒に服を選びに行くとか、そういう……。」
「いや、僕は単にキミのファッションが心配で、」
「……今割と最低な事言いましたよっ！？」

6
「あたしがっ！勇気を振り絞ってですねっ！男の人と一緒に服を選びに行こうって提案をしたんですっ！！」「うん、うん。」
「それをですね、デジたんのファッションが心配だなんて躱し方、酷くないですかっ！」「デリカシーに欠ける発言だった。」
「でも本音ですよねっ。」「はい。」

喋りでデジタルに適うトレーナーは全国で見ても一握りだろう。

「だからっ、そのっ……トレーナーさん好みのデジたんのファッションをですね。
見繕う機会を……差し上げてもいいというか……。」
「じゃあ次の日曜にしようか。予定空けるよ。」
「えっ、あっ、そんなスピード決済、あっ、はい、よろしくお願いしますぅっ！！」

先ほどまでの勢いはどこへやら、アグネスデジタルは顔面を真っ赤にしながらトレーナーに深々と頭を下げるのだった。

「きゃあトレーナーさん好みにされちゃうフヒヒそんなのちょっとした調教じゃないですか今度の新刊のネタに。」「漏れてる漏れてる。」
「ぎゃぁっ！しまったっ！」



[余談]公式サイトってWordpressで出来てるんですかねえ
https://www.youtube.com/watch?v=ABtT29S5dB8
かわいい
あと勝負服デザインをデジたん自身がやってるエピソードは後から知ったので許してください

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Finest Hour

1
「いやぁ～～～素晴らしい式でしたっ！」

後部座席のアグネスデジタルが満面の笑みを浮かべている。
それをルームミラーで見ながら元トレーナーが応えた。

「身内だけでやろうって案もあったけど、派手にやって正解だったね。」
「そうですともっ！」

身を乗り出そうとしたデジタルをシートベルトの緊急ロックが留めた。

「テイエムオペラオーさんにメイショウドトウさんヒシアマゾンさんにフジキセキさんそれとそれと……あああデジたんの結婚をあんなにも沢山のウマ娘に祝福してもらえるなんてぇっ！！！」

そう、今日は後部座席の彼女、アグネスデジタルと僕の結婚式だった。


2
アグネスデジタルはここ3年ほどにかけて活躍したウマ娘だ。
得意とする距離はマイルから中距離。ターフでもダートでも傑出した成績を誇るウマ娘。間違いなく時代を代表するウマ娘である。
だが彼女を特徴づけるのはその能力だけではない。

彼女は重度の『ウマ娘ヲタク』だった。

グッズを集め、同人誌を描き、それに飽き足らず自身が並んで走る事まで望み、そして実行して見せた。
特に当代最強と謳われたテイエムオペラオーに勝って見せたレースは今でも語り草だ。
ムラっけはあれども強さには誰も疑いを持たない。
それでいて、本人は揺るぎないヲタクでもある。
飽くまでウマ娘が大好きな女の子。それも日常や人生を捧げ尽くすほどに。
走って競って勝ちたいというウマ娘が持つはずの本能をウマ娘への愛で塗り潰してしまえる、異能のウマ娘。

3
そんなウマ娘を愛してしまった僕も相当の異能なのであろう。
彼女の気持ち、ウマ娘への愛を今でも完全には理解できていない。
ただ、理解できないなりに彼女の人生を全うさせたいと思った。

だってそうだろう。ウマ娘のトレーナーは、ウマ娘に惚れ込むのが仕事だ。
その『ウマ娘への惚れ込み』の化身を、僕はこの小柄なウマ娘に見出してしまった。
ウマ娘を愛しウマ娘の為に生きるという点で、彼女に敵うトレーナーが果たして地球上にいるかどうか。

そんな最高にウマ娘を愛するウマ娘ヲタクのウマ娘に、僕は惚れ込んでしまった。
当時中等部の、小娘と言っていい年頃のウマ娘。そんな彼女が不器用ながらも全身全霊でウマ娘全てを深く広く愛する態度。
僕はそれを見て、完全に屈服した。

4
競走バの世界は厳しい。最小5人、最大16人が競い、『勝った』と言われるのはたった一人。
それ以外の4～15人は、例えどんな記録を残そうと『負けた』ことになる。
3割打てれば名打者と呼ばれる野球より。一対一で闘い過半数勝てれば強者と言われる格闘技より。
レースという競技の勝敗の定義はずっとずっと厳しい。
だからトレーナーは死に物狂いで作戦を立てる。対戦相手の苦手を攻め立て、時には妨害行為を行ってでも一番人気の足を引っ張ろうとする。
それこそが『正々堂々としたレースへの参戦姿勢』だ。

そんな競走バ人生にあって、デジタルは飽くまでも敵を愛した。
全力で戦い、勝利も敗北も喜びとした。
勝てば素晴らしいウマ娘を下した喜びを、負ければ素晴らしいウマ娘と戦えた喜びを。噛み締める事の出来るウマ娘。

講釈はもういいだろう。僕はシンプルに。彼女に惚れてしまったのだ。
小学生高学年程度の体躯しか持たない、そしてもうそれ以上成長しない、アグネスデジタルというウマ娘に。

5
ロリコンの誹りは甘んじて受け入れた。
デジタルは成長しきってこの体型なのだから彼女と結婚する相手は誹られる運命にあるし、それは誰にもどうにもできないことだ。

「似合ってるよ、ドレス。」
「……えっへへぇ～♪」

照れた顔がルームミラーに映る。

「ありがとう、僕と結婚してくれて。」
「こちらこそですっ！」

身を乗り出そうとしたデジタルをシートベルトの緊急ロックがまた留めた。

「こんな、こんなアタシと一生……えっへっへぇ、一生添い遂げてくれる方が現れるなんてぇ……全然想像もしてませんでしたぁ……♪」
「うん。」

6
「……ありがとう、ございますっ……。」

ひっ、ひっ、とデジタルは涙を流す。僕も泣きそうになる。

「礼を言うのはこっちの方だよ。ありがとう。プロポーズ、受け入れてくれて。」
「ひぃぃいいいん……。」

デジタルは俯いて嘶いた。もう限界なのだろう。
僕なんかと結婚してそこまで反応してくれるなんて、冥利に尽きるじゃないか。

「家に帰ったらお風呂入ろうか。緊張で汗かいちゃってさ。」
「あたしもです。」

ミラー越しに見える目元を腫らした『妻』の顔に不覚ながら興奮してしまった。

7
「ごめん……お風呂だけじゃ済まないかも。」
「……えっち♥」

ミラー越しに見るデジタルの目には非難の色が全く無いのがわかった。


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愛ある限り戦いましょう

1
「行ってきまーっす！」

元気よくドアを飛び出したアグネスデジタルを見送り、僕は朝ご飯の片づけに取り掛かる。
食器を洗い終わったら洗濯に取り掛かる。
妻の下着を手に取るのは最初は緊張したものだが、今となっては慣れたものだ。
洗濯機が唸っている間にウマ娘の練習する風景を撮ったビデオを流しつつ競バ新聞をざっとチェック。
掃除機をかけ終わる頃には洗濯機が沈黙しているので絞り終わった衣服を取り出しベランダへ。
二人分の洗濯物を干し終わったらコーヒーを淹れて、パソコンに向かう。
正トレーナーに渡す為、預かったウマ娘のデータを分析してまとめるのだ。

今の僕の仕事はサブトレーナー。
と言いたいところだが、本当の仕事は、アグネスデジタルの夢の後見人である。

2
トレセン学園を卒業したアグネスデジタルは大学進学を志望した。
理由は「ウマ娘ちゃんとキャンパスライフを送りたいっ！」
が第一で、第二は「トレーナーになってウマ娘ちゃんハーレムを味わいたいっ！」
実に彼女らしい。

今の住まいに近く（※トレセン学園が近いので学園生徒と出会う機会が期待できるため）トレーナーになるための学科がある、
と言うアバウトな理由で選んだ大学は、当時の彼女の偏差値ではかなりの難関だった。
しかし挑まず諦めるのはデジタルの性に合わない。先のレースの大敗を機にたっぷり一年取った休養の間に、二人三脚で試験対策を実施。

合格掲示の前に二人で立つ。
「どうだ、デジタル……？」
「御無礼。一発です♪」

ニヤりと笑って振り向いたデジタルを僕は思わず抱き上げてぐるぐるとその場で回った。夕方のニュースに映像が流れた。

3
その後大学生活が落ち着くと、僕らは結婚した。
元々トレセン学園時代から婚約をしていたから、別に急に決めたことという訳でもない。
学生結婚という事で親や周りからは色々言われたが、
「この人をこれ以上待たせたくなかったので～♥」
と惚気るデジタルの会見映像が全ての話題を呑み込んで波の向こうに攫ってしまった。
競走バとしてのキャリアから、彼女はメディアをコントロールする強かさも身に付けていた。
我ながら、素晴らしい女性と結婚できたことが誇らしい。

尚、デジタルは大学に進学後はレースの成績があまりおぼつかなくなり、程なくして引退している。
引退レースでの素行は今でも競走バ史に残る珍事として語られているが……それは別の機会に話すことにしよう。

4
僕はと言うと彼女の引退後は仕事の量を減らした。
流石にパートナーのいる身でほかのウマ娘の専属トレーナーをするのは無理がある。

「え、トレーナー辞めるんですかっ！？」
「誰かの担当ってのはやらなくなるかな。」
「そんなっ！勿体ないっ！！あたしもアナタと一緒にウマ娘ちゃん育てたいのにいぃ～～～！」
「……担当トレーナーに『君を一人前のウマ娘に育てるけど、一番大切なウマ娘は妻だ』って言われたらどう思う？」
「惚気てんじゃねえって思いますっ！！納得しましたっ！！！」

なので今はこうしてサブトレーナーとしてデータ分析を主な仕事としている。
これなら家事とも何とか両立が出来る。
収入は減るが、デジタルが現役時代に稼いでくれた賞金があるので少なくともここ10年は生活に不安はない。

5
「ただいま帰りましたぁ～～！」
「おかえりなさい。」

驚くなかれ、デジタルは今でもいわゆる小学生向けファッションを押し通している。
体型に似合うからと言うのもあるが、彼女曰く『ナンパ避け』なんだそうだ。
「めんどくさい女に見てもらえるから男の人が避けてくれるんですっ！」
そんなに嬉しそうに言われると困ってしまうのだが。

「もうご飯食べる？」
「はいっ！終わったらレポート手伝ってくださいっ！」
「了解。」

6
「今日は随分甘えただね。」
「んっふふ～♪」

ベッドの中、左腕にデジタルが縋り付いて寝転んでいる。
それぞれの寝床は用意してあるのだが、今日の妻はこういう気分のようだ。尻尾がバタバタと暴れて掛け布団が起伏する。

「排卵期なんですっ！」
「そう……。」

もうちょっと何か言いようがないものかなぁ……。生理周期を隠す間柄ではないとは言え。
でもデジタルに甘えられるというのはやっぱり嬉しい。
腕から感じる高めの体温。嬉しそうな笑顔。長い髪から放たれる芳香。僕も幸せだ。

「いい匂いがする。」

7
「えっ。」
「あっごめん。」

口に出てしまっていたか。

「なんで謝ってるんですか。いい匂いって言われて嫌な妻はいませんよっ。」
「同人誌のネタに出来そうかい？」

我ながらいい躱し方だと思った。思ったんだけど。

「大好きな夫にぃ、いい匂いって言われてぇ……嫌な妻はいませんよ？……って言ったんですよぉ？」

デジタルが僕の体の上にのしかかった。軽い体重。でも放たれるプレッシャーはG1六冠バに相応しいそれだ。どんなバ場でもどんなポジションからでも勝ちに行ける、異能のウマ娘の……。

僕がどんなバ場でどんなポジションから負かされたのかは、詳述は避けさせて欲しい。


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第二の日の出

1
「あたしは今っ！太陽と一緒に戦っているーっ！！」
最後の直線であたしはウマ娘ちゃん達の様々なご尊像を幻視しました。
思い出の中に光る決して色褪せない美しい偶像（アイドル）達。
でもいまのあたしはそれだけじゃない。思い出だけじゃない。
トレーナーさんが。ファンのみなさんが。そして何より今ここで走っている全てのウマ娘ちゃんがぁ！
あたしに走れと言っているっ！！
輝きの中へ！尊みの中へっ！！飛びこめぇえーーーーっ！！！！

2
なぁんて熱く走った時代もありましたっ。
残念ながら今はもう、脚が付いていきません。
いやいや、怪我をしたとかではないんですよっ？！もう兎に角最近デビューしたウマ娘ちゃんが強くて強くてかっこよくてっ！！
衰えてしまったあたしでは勝負にならなくなった、という意味です。
いつかは必ず来ること、とは言え、やっぱり寂しかったですよねぇ。
だから引退会見でも泣いちゃいました。
もう二度と、あんな風にレースは出来ない。
ああ、だからそれを青春と呼ぶんだって、会見しながら気づいちゃって。
えへへ、あの時はお恥ずかしいところをお見せしました。

実は、もう競走バ生命が長く無いな、というのは大学進学前から気づいてはいまして。
トレーナーさんからも勧められて、がっつり休養とりまして。その後進学直後にダートで4着。
ショックでしたよねぇ。何の為に休んだんだっていう。
その後のG1で何とか勝ちまして、それが最後の勝ちになりましたねえ。
ああ～しんみりしちゃった。そういう話じゃないのですよ。

3
そうしてそのぉ。太陽？の話。
引退すると当然ファンの皆さんともウマ娘ちゃんともお別れになります。
明るい舞台からも遠ざかって。でも人生は続きます。ピッカピカに輝いていた舞台から降りた後のこれから人生数十年。
……実は進路は決めておりましたっ！
はい、ウマ娘ちゃんのトレーナーですっ！
あたしからレースを取ったら何が残るのか。ウマ娘ちゃんへの推しです。推しの心です。そこにある壁として、石ころとして、芝として土としてラチとして見つめ尊敬し支えていきたいこの気持ちですっ！
思い出したよ最初の気持ちって奴を、って事ですっ！
あたしの人生は元々、陰にあったのです。それが黄昏を経て、また陰に戻っただけ。
でも夜空には星がたくさん瞬いていますしっ！それを見ながら夜明けに向かってずんずん進むのはとっても楽しい事ですっ！

4
夜明けとは何か？勿論っ！トレーナーになることですっ！！
「トレーナーってウマ娘ちゃんのハーレムじゃないですかっ！」てね。
勿論、今こうしてトレーナーさんと結婚しているとそれがそんなに簡単じゃないことぐらいわかっています。
でも、でもっ！
夜空に輝くウマ娘ちゃんと言う星々。手が届かなくたって、見つめることは出来ます。天文学者になることは出来る。
そしてそれは、一生出来る事だと思うんです。
天文学者になれたなら、例えピカピカの青空の下でもどこにどんな星があるのかわかるでしょう。

そしたらワクワクしてきませんかっ！これから訪れる日の出は、昇ったらもう沈むことは無いんですっ！
あの日が戻らなくたって、あたしの未来には光が満ちている。それが分かったんです。

5
え？結婚した理由かぁ……。
ずっと支えるって約束してくれたからですね。感謝しかありませんよっ！
G1六冠バを育てたってキャリアがあれば、幾らでもトレーナー続けられる筈だったんですからっ！
それなのにデジたんと生きる道を選んでくれた。
「トレーナーさん自身の人生はどうなるの？」って思って、訊いたんですね。
そしたら「僕はキミにイキイキしていて欲しい」って。
人生全肯定っ！そんな事言われたらもうキュンじゃないですかっ！ラヴじゃないですかっ！！ぴょいじゃないですかっ！！！
まあ実はこれを言われた時は「よっしゃあ遠慮なく推し活してやるぜぇっ！」ぐらいの気持ちでしたけど、
その夜もう一度言葉を噛み締めて、愛だろ、愛。ってなって。
後日プロポーズされたんでぇ、受けました。あったりまえですよねっ！！

6
「今日はありがとうございました。」
「こちらこそですっ！」
インタビュアーさんにびしっと敬礼。こうしたあざといムーヴは現役時代に培ったものです。
幼いあたしの容姿には、あざとくて頭が悪くてその上で礼儀正しい、というのが好感度が高いと学んだのです。
ぶりっ子ってめっちゃ言われますけど、実際話したらおっさんだねとも言われるんでイーヴンです。
オフィスを出て地下駐車場に行くと夫が待っていました。
「お疲れ。」
「はいっ！」

時刻はもう夕方。助手席から見る西の空は絵の具で塗ったような奇麗なオレンジ色で、東の空はもう夜の色をしています。
「どうだった？」
「よかったですっ！」
「よかったって……インタビューが？」

7
「日が沈んでも……。」
「……日が沈んでも……？」

運転席の夫の顔を見ます。

「手をつないで、一緒に夜明けまで歩いて行けたら。」
「ロマンチックな事言うね。」
「えっへへ、これでもアイドルソング沢山歌ってきましたからっ！」
「夜明けまでか……。いいね。ありがとう。」
「あっ、いやっ、違いますっ！！」
「えっ？」

怪訝な顔のアナタに、追い討ちを。

「夜明けの後も、ずっとですっ！」


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ノットキャンパスライフ

1
扉をノックすると「どうぞー」と声が聞こえたので妻の部屋に入る。
アグネスデジタルはこちらに背を向けPCに向かったままで、動画を見ているようだった。
「何見てるの？」
「アグネスデジタルちゃんの配信ですっ！」
「は？」

画面を見るとデジタルの3Dモデルがひょこひょこと動きながらゲームの実況を行っている。

「何これ？」
「世の中には凄い人がいますねぇ～。このデジたんの3Dモデルが作られてて、色んな人がアバターに使ってるんですよっ！」
「許可出した覚えないんだけど。」
「こういうのはそういうもんですからっ！」

そういうもん……。

2
「中でもこの人は大分デジたんに似ててですねっ！イチオシですっ！」

そう言いながらデジタルはキーボードを叩いてチャット欄になにがしかを入力すると、画面にクレジットカード決済の画面が表示される。
彼女は躊躇わず\50,000を……振り込んだ！？

「ちょっと今何した？」
「赤スパ入れましたっ！」
「何で5万円も。」
「1万円だと『元六冠バのクセに赤スパギリギリの額入れるのケチ臭い』って叩かれるんで！」
「嫌な世界だな！それに身バレしてるじゃないか！」
「特に隠してませんからね。」
「……キミがいいならいいけどさ。」

ネットは広大だ。一応彼女自身のハンドルネームも覚えておくことにする。あとで検索しよう。
……それにしても。

3
「ぎゃひっ！？何するんですかぁっ！！」、

後ろからデジタルのお腹を両手でぎゅっと掴んだ。

「最近はインドアばかりで鈍ってるんじゃない？」
「離してくださいぃお腹揉まれるのイヤぁですぅっ！」
「トレーナーの目を誤魔化そうったってダメだぞ。」
「大学のレポートもあるしトレーナー試験対策もしててデスクワーク多めなんですから多少はその……なりますっ！
いいじゃないですか今はもう現役じゃないんだし！ギッチギチに絞り込まなくたって健康ですっ！」
「健康ねぇ？」

ゲーム実況配信動画に視線をやりながら、全盛期より僅かに、しかし確かに斤量の増えたお腹を責める。

「わっかりましたからっ！今は落ち着いて動画見せてくださいよぉ。」

4
「明日運動公園でも行く？」「やたっ！行きます行きますっ！」

デジタルが目の色を変えながら僕の腕を振りほどく。引退したとは言え、走りたい本能は絶えない。明日は土曜日だし、急だけどデートと洒落込もう。

――――そして土曜日。
「んっへへへへへ……ウマ娘ちゃんがいっぱい～♪」

ウマ娘用ランニングコースでは、トレーニングウェア姿のウマ娘達がそこかしこで走ったりストレッチをしたりしている。
ジャージ姿のデジタルも入念な準備運動をしながら首をぐるぐると動かして躍動するウマ娘の肢体に見入っている。

「集中しないと怪我するよ。」「あっはいっ！」

注意すると首を戻してストレッチに戻る。こういう所は変わらず真面目だ。真面目……。

「集中っ！」「はいっ！すみませんっ！」

5
「じゃあまずは軽く行きますかね。」

競バ場ほどには整備されていない踏み荒らされ気味のターフを、確かめるように走り出す。
程なくして足が馴染んだのか、少しずつ加速していく。ペースがゆったりとしている分、美しいフォームを鮮明に見ることができる。
長いターフをぐるりと回れば3000メートル。マイラーのデジタルでも全力疾走でなければこのくらいは走り切れる。
とは言え、息は荒い。

「お疲れ。」
「やっぱり走るっていいですねっ！」

キラキラと笑って見せる。惚れた贔屓を差し引いても、この笑顔は美しいと断言していいだろう。

「アグネスデジタルさんですよね？」

声に二人で振り返るとウマ娘達に囲まれていた。

6
「えっあっはいっ！ああウマ娘ちゃん達があたしを見てるぅ～♪」

涎を垂らしつつも手は滑らかにバッグに伸び、消毒ローションを塗りつけて握手に備えている。
きゃいきゃいとはしゃぐウマ娘ちゃんに写真を撮らせたりサインを描いてあげたり。実に楽しそうだ。

「とっくにハーレムじゃないかデジタル？」

そういうと彼女はううーん？と困ったような笑顔。
夢の途上だけど夢見るような瞬間。偶にはいいじゃないか。
太陽のような夢が叶う前に輝く月に見惚れたって。いつだってキミはそうやって美しいモノを愛でて来ただろう。

「トレーナーさんも一緒にお写真どうですか？」「え？僕？」

ウマ娘の子が僕に声をかけてきた。デジタルの顔を見ると嫉妬や焼きもちの混ざったような複雑な顔をしている。
正直ちょっと、ぐっと来てしまった。

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マニキュア

1
――――いつでも勝てるかどうか分からない。だが私には信仰がある。信仰が私をこれほどまでにした。

2
勝負服の中にメイクが含まれているウマ娘も存在する。
アグネスデジタルもその中の一人だ。

「……。」

自身の爪にメイクアップアーティストがマニキュアを塗る様をデジタルはじっと見つめている。

「よし！完成です。」
「いつもありがとうございますっ！」
「頑張ってきてください。」
「はいっ！」

デジタルが大きく頭を下げると、メイクアップアーティストは笑顔で頷いた。
真のプロはメンタルケアも一流だ、と傍にいたトレーナーは感心する。

3
振り向いた瞳に迷いはない。
レース前にはいろいろと悩ましい要因があった。
他人の枠を横取りするような形での出走登録。
そのウマ娘が走るのを楽しみにしていたファンや関係者のバッシング。
そうまでして走らなければならないのか？それが競走バの宿命だとしても、他にもやりようはあったのではないのか？

「じゃあ言い方を変えよう。」

心を曇らせているデジタルに、トレーナーは悪魔のように囁いた。

「テイエムオペラオーとメイショウドトウ相手に君の得意な2000mで戦えるチャンスが、この先来ると思うかい？」

戦いたい、以外の答えなどあるはずがなかった。

4
こんなに苦しく悲しいのならば愛などいらぬ、と帝王は言った。
こんなに苦しく悲しくとも、愛があれば乗り越えられると彼女は言う。
自分が押しのけたあのウマ娘も、きっとそれを乗り越えられる。そう信じる。だからこそ、走りたいでも勝ちたいでもなく、自分は、絶対に勝たなくてはならない。

「あの子は僕の囁きなんかで奮起した訳じゃありません。
一人の競走バとして、自分で向き合い、自分で克服し、自分で決意した。望んで重荷を背負い、それを力に変えられる本当の競走バに。あの時初めてなれたんです。」

出走前。手を開いて爪を見る。
衣装の色に合わせて指ごとに赤、黄、水色に塗り分けられたマニキュアが雨の中光っている。
メイクさんは頑張ってきてくださいと言ってくれた。
こんな、こんなあたしに。悪役のあたしに。4番人気20倍バ券のあたしにだぞ？
輝く爪を拳にして握りしめる。
ゲートオープン。

5
逃げを得意とするウマ娘が出遅れた事からレースはスローペースで進んだ。
全てのウマ娘がスタミナを温存できる状況。終盤で最高速を競う勝負になる。
3200mでも勝利した経験があるオペラオー相手にスタミナ勝負は分が悪い。デジタルにとってはお誂え向きの状況だった。
最終コーナーを外から回る。競り合いに強いオペラオーには付き合わず、外から伸び伸びと駆ける作戦だ。

当代最強と謳われるウマ娘ちゃんと得意の距離で戦える。
応援してくれるファンも、背中を支えてくれるトレーナーも、夢を奪った代わりに光を見せなきゃいけないウマ娘ちゃんもいる。
これで燃えないウマ娘はいない。
ここで萌え尽きなければアグネスデジタルじゃないっ！

最後の直線、観客席のファンを見る。思わず外に切れてしまう。そんな距離損などものともせず、アグネスデジタルの末脚が炸裂した。

6
「あの後割とすぐにオペラオーさんが引退したのは本当に残念でした……。」

悲しそうにアグネスデジタルは言う。

「枠を押しのけたウマ娘ちゃんもご存じの通り……余り長くは活躍できなくて。
あっ、今もオペラオーさんやその子とは仲いいんですよ？一緒にご飯食べたりしてますっ！
とは言え、あのレースの事を思い出すと考えちゃうんですよね。
自分がトレーナーになったら、こういう背負う事で湧き出て来る力の事をどう教えるか。
それと、背負ったからと言って必ずしも全てが報われる訳でもないって事も。」

「それはもう、ウマ娘ちゃんを信じるしかないのかなって。
デビュー前からあたしはウマ娘ちゃんを信仰し、崇拝していました。
きっと乗り越えてくれる、乗り越えた結果が例え報われなくても、その先にまた光を見つけられるはずだって。」

7
「ウマ娘は自分で育つものです。自分で育ち、自分で挫折し、自分で立ち直る。
僕達トレーナーはそのそばで、ほんの少し手助けができるだけ。
代わりに走ることも代わりに悩むことも、代わりに諦めることすらも出来ない僕達ができることは、本当に少しだけ。」
「ウマ娘ちゃん様はデジたんにとって会いに行ける神様ですっ！
神のお悩みを解決できるなんて烏滸がましい。御託宣としてお伺いし、祈りの言葉を捧げるのみです。
『きっと大丈夫ですウマ娘ちゃん様』って。……あたしなんかでも、それで勝てちゃったんですから。」

――――
「お～いおいおいおい……。」
「泣き方がレトロなんだよなあキミ……。」

僕達夫婦のインタビュー記事を読んで妻、アグネスデジタルが涙を滂沱と溢れさせていた。

「あだじ、ずごぐ良いごど言っでまずぅ～。」
「そりゃよかった。」

8
ふと、デジタルが自分の手の爪を見つめた。

「どうしたの？」
「あの時のメイクさん、頑張ってきてくださいって言ってくれたんですよねえ。」
「ああ、いい人だったね。」
「今ならプロとしてのリップサービスだったってわかるんですけど。
でもやっぱり嬉しかったんです。やる気出ました。」
「うん。」
「ああいう事が出来るトレーナーになりたいです。」
「うん。そうだね。キミならなれるよ。」
「……えっへへ♪」

歴戦の勇者は、少女のように照れてその耳を細かく動かした。

-----
最高にヤりたい時にヤるうまぴょいは最高に気持ちイイんですよっ！

1
「ただいまっ！」
「おかえり。」

大学から帰宅したアグネスデジタルは、ただならぬ意気を放っていた。
顔は紅潮し汗ばんで、目つきは鋭く、息が荒い。
走って帰って来たのだろうか。

「先にお風呂にするかい？」
「お風呂、お風呂っ！そうっそうですねっ！シャワー浴びてきますんで、アナタもシャワー浴びて来てくださいっ！」
「いや、うちお風呂一つしかないけど……？」
「あっそ、そう、そうですねっ！じゃあ一緒に浴びましょう！」
「ご飯の支度が、」
「そうっ！そうですともっ！そうですよねっ！ご飯食べましょうご飯っ！」
「シャワーはいいの？」
「あっあああぁぁーーー！！！……っごご飯にいたしますですっはいっ。」

2
……正直この時点で、デジタルに何が起こっているのかはある程度、いや、完全に察していた。いたけれど。

食卓に着いたデジタルはいつも以上に箸を素早く動かし、テーブルの上の料理を片づけていく。
今日の献立は白米ご飯にほうれん草の味噌汁、コンソメスープのロールキャベツ、豆腐とトマトのサラダ。
バキッ！

「あっ。」
「あっ、ごめ、ごめんなさいっ！す、すぐ拾いますぅっ！」

力加減を間違えたのか、デジタルが箸をへし折ってしまった。

「いいからいいから、座ってて。」
「はいぃ……。」

こんな事は同棲初日の食事以来だ。

3
折れた箸を拾い、新しい箸を手渡す。

「はい。」
「あ、ありがとござますぅ……。」

顔を赤くしてこちらの目を見ようともしない。……絶対おかしい。おかしいというか、その。

――――
二人して無言で手早くご飯をやっつけると、洗い物を食洗器に任せて二人してお風呂へ。
脱衣所で服を脱ぎ去るが早いかデジタルが首に飛びついてキスをしてきた。
慌てて身を屈めて応じる。

「んっ、んふっ、ふぅっ、んんっ！」

破裂しそうな吐息と一緒に舌をねじ込まれる。口の中をねろねろと舐められてねだられる。アナタも入れて、あたしに挿し込んでと。

4
唇同士で繋がりながら風呂の戸を開けるのはなかなか難儀した。
水栓のレバーをシャワーに切り替えてハンドルを捻る。二人して冷水を浴びる。
が、冷たっ、と悲鳴を上げたのは僕だけだった。デジタルは変わらず湯気でも立ちそうな情熱で僕の唇を味わっている。
その顎を両手で掴んで何とか引きはがすと、ぬとっと粘度の高い唾液が糸を引いた。

「いじわるぅ……。」

青い瞳の上目遣いに僕の下半身もぐっと反応する、が。

「お互いいい大人なんだからさ。」

フケ。ウマ娘の発情を示す言葉だ。こうなるともうレースどころではなくなる上、フェロモンを分泌するのか周りのウマ娘にも伝播してしまう厄介な症状。
勿論対策は存在する。身も蓋もなく発情を抑える薬がある。デジタルだって当然知っていて、お世話になったこともある。常に持ち歩いてもいるはずだ。

「いい大人だからこそですっ！」

5
「フケちゃった時の最高に興奮したフケぴょいがしたかったんですっ！
だってだって現役の時はいっつも薬で抑えられていましたっ！ほかのウマ娘ちゃんはトレーナーさんとたっぷりしっぽりずっぽりしてる最中にですよっ！？！？」
「ちょっと待て待て、ほかのウマ娘って、」
「例えば！」

ここでデジタルが挙げた名前については明かせない事を許してほしい。

「そうだったのか……いや、何となくそんな気はしてたけど。」
「だからあたしだって青春したいんです！青春の過ちぴょいを思いっきり取り戻したいんですぅっ！」
「過ちはダメだろっ！」
「過ちたいですぅ～～～！！！」

スクワットのように両手両足を上下にぐんぐん動かして駄々をこねる。
こんなセックスアピールがあったものか。
けれど、赤く充血したクリ鞘と小陰唇が膨らんで股間からちらちら見える様に、僕もすっかりと『フケ』てしまった。

6
「あ、大きくなってる♥」

陰茎の素直さを目ざとく見つけたデジタルが跪いて迷わず口に含んだ。
うぅ、と唸って僕はシャワーのハンドルを閉める。もう参った。参りました。担当としてキミのフケを解消しよう。
半勃ちの肉棒を飽くまで優しく、ゆっくりと労わるように妻の舌が舐め回す。
恥ずかしい話だが、女性経験の乏しい……つまりは自慰でばかり欲望を発散してきた僕の半身には変な癖がついていて、射精寸前の快感を維持し続けていないと勃起せず、かつ刺激を与えすぎると半勃起のまま達してしまう。要するに勃起力がズブいのだ。
妻はそんなデリケートな難物の扱いを知り尽くしている。
飽くまで優しく、撫でるような愛撫で僕の陰茎をじわじわと刺激し最高潮まで導いていく。そして僕はと言えば、幼い容姿のデジタルが僕の汚い欲棒にそんな心尽くしの奉仕をする様に刺激以上の興奮をしてしまう。

ちゅぽんっ、と音を立ててデジタルの唇が陰茎から離れた。半身はすっかりと肉槍の様相を呈していた。

「嬉しい……♥」

うっとりした顔でデジタルがソレを見つめる。

7
「じゃあ、あたしの番ですっ！」

そう言ってデジタルが浴室の壁に手をついて、秘部を露にする。
花弁は充血して綻び、ぬっとりとした蜜で濡れている。
全く。お互いに愛撫して愛撫され、ロマンティックに繋がるつもりだったのに。「細かい事は省いてください」と言わんばかりの開花に僕は膝を曲げて、雄蕊を雌蕊に突き刺す。

「おぉふぅっ♥」

嘶きが浴室に響く。秘肉は声よりも更に正直に僕の肉棒にしゃぶりつく。
普通の男ならその途端に漏らしかねない刺激だが、今の僕は平気で耐えられる。ウマ娘とセックスし続けると性的にも強くなるという噂は本当なのだろうか？
だとすると強く美しく淫らな彼女らはさながら悪魔かサキュバスか。

「あぁーっ！！」

8
強く縋りつく膣から無理やり陰茎を引き抜くと、デジタルはと悲鳴のような声を漏らした。

「おぉほぉーっ！！！」

そしてもっともっとと吸い付く膣に、引き込む蠕動以上の速度で肉槍を刺してやるとと喜悦に嘶く。

「もっとゆっくりが良かった？」
「い、意地悪ぅ……♥ す、好きにしてくださいぃ……♥」
「わかった、好きにするね。」

言質を取ったとばかりに腰を動かす。

「おっ？ おっ♥ おっ♥ あんっ♥ はぁっ♥ ぐふぅっ♥」

デジタルの秘部を肉棒で掻き毟ると、彼女の肺から甘い息が漏れる。

9
「あっあっあっあっあっだめっだめっ激しすぎぃっおん、あっうふぅっ♥」

その悲鳴を聞いて、僕は浅い膣の最奥に亀頭を押し当てたまま腰の動きを止める。

「だめ？優しくした方がいい？」
「い、い、意地悪、いじわうぅ……。」

もじもじぐりぐりとデジタルの腰が蠢いた。

「続きはベッドでしようか。その態勢辛いでしょ？」
「こ、この、調子に乗ってぇえええっ！？」

返事を待たずより長いストロークで膣肉にチンポを擦らせる。こっちも実は限界が近かった。ここで相手の絶頂度を把握していないと危ない所だった。

「ああ、出される、出されちゃう、種付けする勝手なピストンじゃんっ！学生なのにぃ、デジたんじょしだいせーなのにぃ、妊娠させちゃうのぉっ！？」

10
「そうだよ、人生滅茶苦茶にしてやるから！」
「してぇっ！滅茶苦茶にしてぇっ！！デジたんはもうアナタだけの牝バだからぁっ！！」
「ううっ！！」
「ああーーーんっ！！」

子宮を限界まで押し込むように突けば、締まった膣が肉棒の皮を引き延ばして亀頭の根元に刺激を集中させる。
どびゅうぅぅーーーっ、と快感が尿道を駆け抜けていく。
デジタルも全身をびくつかせてそれを受け入れる。
ああ、夫婦の最高の快感とはこれだ。脳が確信しているのが分かる。
熟していながら中学生平均にも満たない肢体が淫らに自分を求め、余裕のないその肉欲を自分の嗜虐欲で叩いて、捏ねて、注ぎ込んでやれる。
『幸福』ではない快感。『道徳的』ではない善行。『理知的』ではない合理性。
誰にも文句の言えない『正しい背徳』がここにある。

11
はあぁーっ。はあぁーっ。はぁーっ。はぁっ、はあぁーっ……。
長い息を何度もついて痙攣しながら余韻を味わい尽くすと、妻は振り向いて言った。

「……続きはベッドでって、言いましたよね♪」

言っていない。少なくとも二回戦の話じゃない。

けれど白濁を溢れさせる陰部。
妻のとろけた笑顔。
そして未だ萎れない剛直を視界に収めたら、反論は意味を成さない。

「うん。」

ウマ娘と言う存在は本当に、サキュバスなのかもしれない。



[余談]「淫魔とやりまくると精力が上昇する」という設定を作り出したサキュバステードライフに感謝します。

-----
ヘアー

1
「♪きみの愛バが～ ずきゅんどきゅんはしりだし～♪」

アヒル座りで楽し気に鼻歌を歌う僕の妻、アグネスデジタルの背後で胡坐をかいて、彼女の長い髪の毛にゆっくりとブラシを通す。
色素の薄さが示す通り、彼女の髪は細く柔らかい。
頭皮に軽く触れてからするりと毛先までブラシを通すたび、彼女の尻尾が嬉しそうにパタパタと揺れる。

「痒い所はありませんか？」
「ないでぇーっす♪」

片手を添えて、傷つけないようにゆっくりとブラシを通す。
本当は頭皮をマッサージするようにブラッシングした方がいいらしいけど、この奇麗な髪がぐしゃぐしゃになるのが嫌でそこまでは思いきれない。
つまりこれはヘアケアの為のブラッシングと言うよりは僕の為のグルーミングに近い。

2
梳られた髪がふわりと顔に近づくたび、シャンプーとリンスの香りがする。
桃色と茶色が混ざったような彼女の髪にはブロンドのような輝きと黒髪のような艶が同居している。
見つめる程に不思議な髪質だ。
手に取った髪束は細く、しかし指で擦ると柔らかくも強い存在感がある。

「……何ですか？もうおしまい？」

デジタルが振り返った。

「ごめん、つい見とれてた。」
「マジですかぁ。アナタあたしの事好きすぎですよぉ。」

困ったように笑いながらも、尻尾は嬉しそうにパタパタと振られている。

3
「あたしの髪、そんなに好き？」
「うん。」
「Oh……。即答。」

デジタルはまた困ったような笑顔で驚いて見せる。

「頼りないようで意外と強くて、キラキラ光って艶々と色気があって。
勿論毎日のトリートメントの賜物なんだろうけど、本当に綺麗でいい香りがして、」
「ちょちょちょちょちょーっとストップストップですっ！」

デジタルが両手を前に出して僕を止めた。

「何だかマニアックでフェティッシュですよぅ、それヨソで言ったら絶対引かれるやつですからねっ。」
「……わかってる。」

4
んもうっ、とぷりぷりしながらデジタルは立ち上がり寝室に向かった。
僕も明日の仕事に備えるため立ち上がり、自室に向かう。

溜まった仕事を終えると自分も寝室に入った。
隣のベッドの妻はすっかりと眠りに落ちて穏やかな寝息を立てている。

――何だかマニアックでフェティッシュですよぅ
妻の抗議が脳裏によぎった。布団の上に流れる髪の毛をそっと撫でる。
つるつるとした手入れの行き届いて生き生きとした手触り。
間近に近づけるとシャンプー、トリートメントに寝汗の匂いが微かに混じる。

「……僕も変態なのかな？」
「『も』ってどういう意味ですか？」

見るといつの間にか起きていた妻の青い瞳が、恨みがましくこちらを見上げていた。

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ファッション

1
「ウワーッ！カワイイッ！！」

妻から送られてきた自撮り写真を見て、らしからぬ声を上げてしまった。

アグネスデジタルは今日は大学のサークル仲間と一緒に服を買いに行っている。
女子小学生向けファッションを好む妻は大学にも「男避け」と称してその服装を押し通している。
しかし流石に親しい友人からはもう少し冒険した方がいいという意見もあったそうで、本日に至る。

2
どうかな？というコメントと共に送られたデジタルの装いは全体的にシックだ。
黒い短めのスキニーパンツで足首を見せて、裸足にスニーカー。
トップスは袖余りのダボッとしたニット、その上にさらに白いコートをこれもルーズに羽織っている。
この「着られている」感が幼い外見のデジタルに綺麗にフィットする。

「そんなアプローチがあったのか……。」

『大人の服を無理に着ている風の可愛らしさ』。ファッションに疎い自分は素直に感心した。

3
「凄く可愛い」
と返信するとテンションの高めなスタンプが返って来た。
僕は彼女の写真を待ち受けにして机に置くと、再びパソコンに向かい、サブトレーナーとしてのデータ解析の仕事に戻った。

暫くしてまた通知音。
見ると今度もシックだが、方向性はより大人っぽい。
革靴に黒のソックス、茶色いロングスカートのトップスはストライプのシャツに厚手の紺色のジャケット。

「奇麗だ……。」

思わず口に出てしまう。

「凄く綺麗」
と返信するとまたテンションの高めなスタンプが返って来た。

4
その後も不定期に自撮り画像が送られてくるのでその都度
「奇麗」「可愛い」「印象違って見える」「似合う」「今度それでデート行こう」などと返す。
いやはやウマ娘が美人なのは知っていたしアグネスデジタルが可愛いことは先刻承知のつもりだったけど、服装一つでここまで色んな魅力を引き出せるとは。
夫として、ファッションに疎いなどと言っていられない。本気で勉強する価値がある、と心から感じた。
サブトレーナーとしても正トレーナーに勝負服のデザインについて助けになれるかも。

――――
「ただいまっ！」

数時間後戻って来た妻は、玄関に紙袋を満載したカゴ付き台車を引きずっていた。

「アナタに褒められた奴全部買ってきちゃいました！」

満面の笑みで残虐な行為を告白する妻を前に、僕は、うん、と力無く応える事しかできなかった。
でも好き。

[余談]
参考：https://www.air-closet.com/share-style/8376/
https://folk-media.com/1943100

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ファッション2

1
こんにちはアグネスデジタルです。
今あたしはナウでヤングな喫茶店でレイコーをしばいています。
いやホントに何でこんなことになったのでしょうかサークルの女同志たちが
「デジ絶対服変えた方がいいって」
「アグっちマジ可愛いんだから冒険しなきゃだよ」
「気に入らなかったらそれでもいいからさぁ試すだけでも」
とか何とか言ってあたしにお出かけの約束を取り付けさせてまずは一緒にお昼ご飯食べようって事になってこんなイケてるカッフェエに入っておいしいコーヒーとサンドイッチを堪能している次第ですあたし何言ってるんだろ。

「いやでもホントデジって髪奇麗だよね。」
「え、そうですかぁ？」
「敬語やめなって。」

えい尻尾よ嬉しそうにパタパタするのをやめろっ！

2
見たこともない都会の街を彼女らの背中を追って進んでいくとそこは雪国（ブティック）でした。
店員さんもおしゃれで店内のお客様もおしゃれ。
小学生風のファッションを身に着けている自分は浮いていることこの上なし。帰りたい帰りたい。
けれど親愛なる同志たちは「この子に似合うコーディネイトをお願いできますか？」と店員にまるで10年来の知り合いのように話しかけます。

ああ、あたしは彼女らを同志たるヲタクと思っていたけれど所詮住む世界が違ったのです。
深い絶望に項垂れるあたしの手を取り、店員さんはズボンやニットを手に取ってアタシに優しく手渡し、フィッティングルームへと案内します。

――――
アタシは自分の見ている世界の狭さを思い知ったのでした。

3
「これがあたし……？」

フィッティングルームの鏡に映る自分は一人前の女性。
ヲタクらしさに縋り付かない、自分の容姿を諦めない、低身長であることを生かす大人の女。
黒い短めのスキニーパンツで足首を見せて、袖余りのダボッとしたニット、その上にはさらに白いコートをこれもルーズに羽織る。
完全に服に着られているけれど、寧ろその背伸びしている感覚を逆用して、背の低さを可愛さとして演出している。
そんな手があったのか……！
幼さゆえのあざとさではプロの端くれでいるつもりでしたがファッションの世界は奥深い。

カーテンを開くと同志たちがカワイー！カワイー！ヤッター！とはしゃいでくれます。
あたしも嬉しくて自撮りしちゃいます。そしてぽちぽち。

4
「誰に送ってるの？」
「相方。」
「おお、旦那さん？」

どうかな、と添えて送信ボタンをタッチ。
ドキドキしながら待つ時間は何十分にも感じられた。

「凄く可愛い」

そのレスはタイムスタンプによると2分未満らしいがとても信じられない。

「ウワーッ！ラブラブじゃんデジー！」
「やっぱアグっちめっちゃ可愛いんだって！！」
「え、そ、そうですかぁ……♪」

5
もうその後のあたしは同志の着せ替え人形と化しました。
店員さんの勧めるコーディネートを着るたびに夫に写真を送ります。
その都度に「奇麗」「可愛い」「印象違って見える」「似合う」「今度それでデート行こう」などと返してきやがって同志をキャアキャアと喜ばせます。
うう、慣れてないんですよぉ萌えられる側はぁ。
どうでしょう？と店員さんが言うたびに保留と返してきた服がレジ横のテーブルに山と積まれているのを見ると買わなければいけない気持ちになってしまいます。
しかも全部夫のお墨付きで、あたしも出来るなら着て歩きたいモノばかり。

「いやーホントなんでも似合うねデジ！」
「どうする？どれにするアグっち。」

あたしの心は決まっていました。
ポケットから引き出した革ケースから、悪魔のカードを取り出します。

6
「うわっ！ブラックカードだ！」
「無職の癖に！」
「引退バを無職呼ばわりは酷過ぎるよっ！」

気の置けない同志の言葉に大笑いしながら、これで、と店員さんにカードを差し出しました。

「たまったポイントどうしますか？」
「全部使いますっ！」

この手に渡ることなくスタンプが満たされたポイントカードがレジの向こうへ消えていきます。
而して我が物になった紙袋の山。配送サービスもございますが、という店員さんに一も二もなくYESYES!!

7
「ありがとうございましたっ！」

運転手さんに頭を下げ、荷台から紙袋を満載したカゴ付き台車を引っ張り出します。
それはこちらがやりますからと言う声が聞こえましたがごめんなさいもう我慢が出来ないのです。
ゴリゴリガタガタと台車で家の前のタイルを鳴らして我が家の扉を開けます。

「ただいまっ！アナタに褒められた奴全部買ってきちゃいました！」

あらら、アナタは何だか呆けたお顔。
大丈夫ですよっ！賞金を溜めた貯金残高に比べれば1割にも満たないお値段ですし、それにっ！！
明日からはアナタが褒めてくれた奇麗で可愛いデジたんのお姿をお見せできるのですっ！
アナタが手に持つ携帯電話の待ち受けはアタシが送った写真の一つ。なるほどなるほど、それがアナタの一番のお好みなのですね……♪

「早速着てお見せしましょうっ！」

-----
ヘアー2

1
「ズギャアァ！」

すわ風呂場にスタパ齋藤が？！と思ったらデジタルだった。

「ガジェットマニアの髭おやじみたいな声がしたけどどうした？」
「いえ、ガジェットマニアの髭おやじみたいな声を出しましたが何でもないですぅ。」

風呂の戸越しに様子を聞くも大事は無いようでよかった。
しかしガジェットマニアの髭おやじみたいな声を出しておいて何でもないという事があろうか？

「ガジェットマニアの髭おやじみたいな声を出しておいて何でもないという事はないだろう。」
「ガジェットマニアの髭おやじみたいな声を出しましたけど何でもないんですってばっ。」

しかし激しい転倒音も聞こえたし、夫としてももう少し状況を訊かないと安心できない。

2
「……でっ！そしたら転んだんですっ！」
「あらら。」

脚のムダ毛を慣れない安全カミソリで剃っていたら、ひっくり返ってしまったらしい。
いつもは電動シェーバーを使っているが、風呂場にあった僕のカミソリを見てチャレンジしたくなったそうだ。

「そりゃ大変だ。」
「何で入ってくるんですか？！」

話を聞きながら服を脱ぎ終えていた僕は躊躇なく戸を開けて闖入する。

「自分で剃るのが難しいんだろ？」
「手伝ってくれるんです？」

手を差し出すと、こちらに向かってカミソリと右脚を差し出した。

3
「……生えてないように見えるけど。」
「よく見てくださいよ……ひゃんっ。」

ふくらはぎに触れると確かに微かな毛の感触がある。
色素が薄く毛自体も非常に細いが、確かに至近距離で見ると気になるかもしれない。

「なるほど。」

僕はシェービングジェルを手に取ると彼女の脚にしっかりと塗り付ける。

「こそばゆいっ！変な感じっ！エロいっ！」
「エロいかぁ。」

まあ僕もエロいと思う。

4
ジェルは塗った後しばらく置いた方がいい。その間に左脚も伸ばしてもらい、そちらにもジェルを塗りたくる。

「うひゃあ両脚ヌルヌルしてるぅ、変な感じぃ～。」

劃して両脚つるつるてかてかのアグネスデジタルの出来上がりだ。
見慣れた脚もこうして演出するといつもと違った艶めかしさがある。光る太ももの間には大陰唇で縦一文字に固く閉じられた秘部が影の中に見える。

「何ジロジロ見てるんですかぁ？」

ジトっと抗議するデジタル。反論のしようがないので無視して先にジェルを塗った右脚からカミソリを滑らせていく。

「痛くない？」
「大丈夫でーす。」

洗面器に溜めたお湯で時々カミソリを濯（ゆす）ぎながら、妻の脚を剃っていく。

5
元々毛自体が細かく細いので、力は要らないが肌にしっかり密着させないと剃り残してしまう。
特に太ももの裏側なんかは、脚をしっかり持ちあげないと手も届かない。
足首を左手で持ち上げながら慎重に剃っていく。脚を上げることで彼女の肛門や、開脚によって少し開いた大陰唇の内側までも見えてしまうが不可抗力だろう。
じっと見つめても俺と貴様の仲なのだしいいだろう。

「すけべっ！」

よくなかった。剃り終えて足首から手を離した途端、足の裏で顔面を軽く蹴られた。

めげずに左脚だ。
学習したのか、デジタルは手で自分の股を隠しつつ脚を僕に委ねる。あの手の向こうにデジタルのおまんこがある……そう思うとどうしても視線を向けてしまう。

「すーけーべっ！」

左足の裏の感触も顔で味わうことになった。

6
けれど僕も、彼女の目が僕の股間に向いていることを見逃してはいない。

「やんっ！」

自分の顔から左足を持ち上げれば、両手で抑える股間の隙間から白い粘液が滴っているのが見える。
それに手の奥を中心としたぴくっ、ぴくっとした周期的な痙攣もある。

「どうする？続きする？」
「……お願い。」

デジタルはそう言って自分から左脚を高く上げて、太ももの裏側を晒した。

ふくらはぎから太ももへとカミソリを滑らせるたび、びくっ、びくっと脚が震える。

7
「じっとしてないと危ないよ。」
「だってぇ……。」

抗議する声と共に、視線は僕の充血しつつある股間に向く。

「僕は脚の毛を剃ってるだけだよ？」
「よく言うよぉ……。ん、んむっ、んんっ！」

顔を近づけるとデジタルも赤い顔でこちらを見つめる。どちらともなく唇を貪り合った。

「むひっ！？」

手が剥がれた股間にシェービングジェルを塗りたくるとデジタルが総身を震わせた。

「ちょっと、やめっ、ひどいよそんな、あはんっ♥すけべすけべぇっ♥」

8
ジェルを大陰唇に揉みこむと、掌に膣がパクパクと動くのを感じる。ねとついた粘液の中心に人差し指を差し込むとデジタルがのけぞった。

「あああぁっ♥もぉっ♥このバカァッ♥♥」

フェロモン交じりの白濁した尿を噴き出しつつ、デジタルの膣肉が僕の指をしゃぶり上げる。
まとわりつく愛液は粘度が高いなんてものではなく、糸をひくほどねばついてきた。

「ここも剃らなきゃだもんね。」

掌で肉鞘や大陰唇を押し揉むと生えかけのじょりじょりとした毛の感触と共に、膣奥から響くような震えの感触がある。

「ほんとっ♥バカっ♥なんだからぁっああぁぁんっ♥♥♥」

膣口や尿道から止めどなく発情液を垂れ流しながらデジタルが全身をわななかせる。

9
「……どうする？」

腰を抜かしたデジタルの前に、完全に準備が出来た僕の肉剣を見せる。
デジタルは頬を膨らませながら言った。

「……入れて。」

彼女の両脚を持ち上げて間に割り入ると、彼女自身の淫液で白く汚れた膣に慾棒を差し込んだ。

「んあっ！！」

ねとねとの粘液と絶頂寸前の激しい絞り上げが陰茎を襲う。

10
「えっ？おおっ？！」

僕は彼女を持ち上げ、マットに寝そべった。彼女に騎乗される形になった訳だ。

「これ、深く、入るうぅっ！？！？♥♥♥♥♥」

リアクションを待たずに下から突き上げてやる。子宮を激しく上下に揺さぶられてデジタルは目を白黒させる。

「やだっ♥激しいっ♥ 深いっ、深いからぁっ♥」

深いからもっとしてと言っているようにしか聞こえない。

「だめぇっ♥すぐ、すぐイっちゃうからっ！」
「いいよっ、イってっ！僕もすぐ出すからっ！」
「出しちゃダメだよ、あんあんっ♥ああん♥あん♥おふっ♥ふぅっ♥だめ、もうだめ、ダメッイク♥イク♥イク♥イク♥イク♥イク♥イくぅうーーーーーっ♥♥♥♥♥」

11
絶頂のうねりが僕の半身を締め上げ、絞り上げ、舐め上げた。柔らかくきつくヌルヌルの天国で地獄が僕のチンポを無理やり絶頂させる。

「うぅぅっ！」

どぴゅっ！どびゅーーっ！！びゅうぅぅーーーっ！！！

音がしそうなほどの射精がデジタルの胎内に撃ち込まれる。

「あひぃっ！熱いっ♥イってるのにまたイくぅっ♥♥」

そうして痙攣する膣がまた僕のチンポを啜り、僕にも更なる絶頂を味わわせる。
お互いがお互いを絶頂させ合って数分、いつの間にか握り合っていた手をほどいて、デジタルはゆっくりと後ろに倒れこんだ。

12
はぁ、はぁ。ふぅ、ふぅ。互いに仰向けに倒れる。彼女は僕の脚に背を乗せ、脚を僕の胸に載せる。

「……まだだよ。」

一足早く息を整えた僕は起き上がると彼女の両脚を持ち上げてそのまま押し込む。いわゆる「まんぐりがえし」の姿勢だ。

「こうすると、お尻の間もよく見えるよね。」

深い絶頂の疲労からまだ帰って来れていないデジタルは、やだ、やめてと力無く抵抗するばかり。
彼女の羞恥に反してパクパクと次を求める膣口に、僕はまだ収まらない勃起を押し込んだ。


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UP SIDE DOWN

1
「あっ？！はっ、はっ、はぁっ♥」

デジタルの両脚を抑え込みながらばすっばすっと腰をぶつける。
その度に粘つく膣がカリに縋り付いて、早く射精して射精してとせがんで来る。

「ううっ！」

でももう支配欲に頭を侵された僕はこのまま吐き出す訳にはいかない。
もうやめてと、気持ちよすぎてもういやと言わせるまで腰を止める訳にはいかない。
アスリート特有のお尻の弾力が僕の腰を強く跳ね返してくれる。
その度に僕はそれに応じた強さで腰を奥まで落として深く深く繋がる。

2
「ゆ♥床♥痛いか♥痛いかも♥……。」

けれどそんな妻の訴えについ体を持ち上げてしまう僕だ。鬼畜にはなり切れない。
所謂駅弁の態勢で、彼女の小さな体で僕のチンポを扱く。さながらアグネスデジタルをオナホール扱いだ。

「深っ♥これっ♥深いからぁっ♥♥」

けれどそんなに長くは腕の力が持たない。
彼女の背を壁に押し付けるとこんどはデジタルをグローリーホールに見立ててやる。

「強いっ♥強いってぇ♥勝手なピストンッ♥♥」

ドチュッ！腰と腰が限界まで密着する距離に陰茎を叩きこむ。

「♥おおほぉっ♥」

3
「優しい方がいい？」

耳元で囁くと、調子に乗らないでよねと囁き返され、膣肉の締りが増した。

「うっぐっ。」

ウマ娘の本気の腹筋。チンポが根元から千切られそうだ。
けどデジタルも息が荒い。
締め付けるという事は否応なく肉棒が強く食い込むという事でもある。

「じゃあそのままでいなよっ！？」
「うっ、うっそっ、や、やめてっ！？あひぃっ♥♥♥」

根限りの膣に根限りのピストンで応じてやる。抜くたび指すたび強烈な抵抗がチンポを襲い、デジタルもまたその刺激に全身を震わせて仰け反る。

4
パンパンパンパンパンパンパン！
おっ、おっ、おっ、おっ、おっ。

デジタルはいつしかすすり泣いていた。チンポを差し入れるたびに嗚咽を漏らす肉壺。
だが、それももう終わる。

「射精すぞデジタルっ！」
「あ、はっ、来て、出してください……いっぱい、いっぱいぃ……♥」

びゅうぅっ！どびゅぅっ！びゅうぅぅうーーーっ！！

「うう……。」「あはぁあああああ……♥」

互いに満たされているのが分かる。稲妻のような絶頂ではなく、大波のように寄せては返す快感。
お互いを愛しきったという満足と快楽が股間から全身に行き渡る。

5
「あ、あ、毛、毛を、剃、剃らなきゃぁ……。」

うわごとのように呟いて、デジタルはぐたりと僕に体重を預けた。僕も彼女を床に下ろし、そのままお互いに座り込んで、30分ほど抱き合っていた。

--
秋ですねぇ。

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
いやあすっかり肌寒い季節になりましたねぇ～。街を行くウマ娘ちゃん達もニットにコートにロングスカートとシックな装いになっておりますじゅるりら♪
そういうデジたんも同じように秋物を着てですね、今日はお買い物に行って来ました。
現役時代はお写真撮られて「私服も小学生並み」などと言われていましたがぁ、今はちゃんと年相応の恰好ができるのですよぅ。ふふん。
まあ買って来たのはウマ娘ちゃんグッズなんですけど。あははは、その辺りは現役時代とまるで変わっておりませんっ！
ウマ娘ちゃんの為に生き、ウマ娘ちゃんの為に死ぬ。
それがこのアグネスデジタルのザユーのメイでございます。

2
と言っても今日は控えめで。
ウスイホンが5冊にぱかプチ2つ、タペストリー1つに「日本バ具大鑑 3 中世」って本ですね。

「急に渋いアイテムが混ざったぞ」「何その本」
何その本と言われましても文字通り中世日本のバ具の資料集ですね。

「どうするのそんなの……」「ついにフェチに目覚めたかデジたん」「何で中世」
フェチって言われたらフェチかもですねえ。
古本屋で見かけたときにビビっと来たのですよ！ページをめくると見えたのですっ！！戦国時代を駆け抜けるウマ娘ちゃん達のお姿がっ！！！

あと戦国時代パロ描く時に使えそうだったので。

3
「調べたらこれ滅茶苦茶高い」
しーっ！値段の話はしーっ！！

店主さんもびっくりしたでしょうねえ、色褪せた古本をめくって目を輝かせて、ハスハス言いながらレジに持って行くちっちゃい女の子なんて見ちゃったら。
でも向こうも流石プロですよ。一つも表情を変えずに「ンン円です」と。
で現金取っ払いでお支払いしまして、傷まないようにとちょっと丁寧に包装してくれて。
にっこり笑って「大事にしてくださいね」って。そんなのキュンじゃないですか。勢いで「はいまた来ますっ！」って言っちゃいましたよ。

「丁寧にしてもらうと嬉しいよね」「いいお店だ」
ねー。客として丁寧に扱ってくれるとファンになっちゃう。
向こうにしてみたらあたしみたいなちょっと変な客なんて見慣れてるんだろうね。
だからそんなに動じなかったんだろうね。

4
「俺コンビニで常連ぽく扱われるといやだな……」「わかりたくないけどわかる＞常連ぽく扱われるといや」
わかる。それもわかる。
あのねえ、日常的に使ってるお店って多分、風景の一部なんだよね自分にとって。
だからそこに人間味が入ってくるとちょっとイヤって言うか。
勿論丁寧にしてくれる店員さんに悪い所はなんにもないんだけど、何ていうかなあ。
コンビニって結構だらしない物を買いに行くじゃん。
雑誌とか菓子パンとかアイスとか安いお酒とか。そういうのを買う行為って多分、プライベートに近いんだよね。
そこに他人が入ってきちゃう感じがイヤなのかなあ。

ほら、ネットやってるときに近いというか。自分の楽しみの為だけに動いてる感じ。
理性のハードルを下げて剥き出しの生き様になってる時というか。そういう時にその、他人の存在を感じちゃうとイヤなのかもしれない。

5
「流石デジたん話がわかる！」「オタクだなあ。」
うーん。
こういうのって大分コントラストがある気がするんだよねえ。
あたしはコンビニで「いつもありがとうございます」って言われたらありがたいなって気持ちの方が勝る人ではあるんです。
でも「話しかけないで欲しいな」ってのも何パーセントかくらいはあるって感じ。
それが10パーセントある人もいれば90パーセントの人もいるんじゃないかなあ。
あれ？こんな引っ込み思案の話をしたかったんだっけ？ウマ娘ちゃんのオータムファッションの話をしてなかった？

そうそう秋物ファッション買ったんです！
大学の友達に引っ張られてさぁ、着せ替え人形にされたの。あはははは！
あたしみたいなちんちくりんのオタクにファッションなんか似合わないよって思ってましたけどプロは凄いですね！
めーちゃめちゃかわいい服めーちゃめちゃ持って来てくれてっ！
全部買いました。はい。

6
「全部て。」「極端なんだよなあ。」「そういう所がオタクっぽい。」
あはははは、返す言葉もありません。

さてそろそろお別れのお時間です。
歯医者もブティックもドラッグストアも、勇気を出して店員さんに相談すると凄く安心できます。

「歯医者の店員？？？？」
皆さんも勇気を出すと得るものがあると思いますよ！過ごしやすい時期ですしねっ！

この後は樫本理子せんせぇのチャンネルでStarHorse4の実況第四回が始まりますよ。
前回は自分の育てたウマ娘で万バ券を取って複雑な顔をした挙句リクライニングシートの快適さに寝落ちしてましたが果たして今回はどうなるのかっ！？
デジたんもドキドキで視聴いたします。
それではバイデジ～♪


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SKINSHIP

1
華奢、というのが第一印象だった。
線が細く、脂肪も薄いアグネスデジタルの、妻の体。
抱きしめる腕や掌にあばら骨の感触があるし、背中で感じる彼女の手は確かに細い。
けれど感覚を集中すると女性らしい柔らかさがあるのが分かる。
胸板で押し潰している乳房も密着しているからこその存在感がある。
汗ばんでいるのは僕か彼女か、それとも両方か。
この瞬間僕らは一つになっているのかもしれない。ひょっとしたら、セックスよりもずっと。
鼓動ももうどちらがどちらだかわからなくなっている。
肩越しに感じる吐息。
髪の匂い、肌の匂い。
デジタルって、女の子って。どうしてこんなに素敵な香りがするんだろう。
腕は飽くまで体を密着させるための留め具だから、力強く抱き締める必要はない。
僕の肩、背中にそっと添えられている、けれどしっかりとくっついてくれる妻の腕を、裏切らないように。

2
何でこんな事になったのかを語ることにあまり意味は無いので過程は取っ払ってただ今のお気持ちを表明させていただくと、ハグって凄いな、って事です。
今デジたんは夫と上半身裸で抱き合っております。
ちょっと胸が押さえつけられて苦しいのですがそれも何だか嬉しい感じ。
優しく添えられる夫の腕。大きな胸板。ワイルドなパパみたいな肌の匂い。
落ち着きながら興奮しています。ウマ娘ちゃんに萌える時の熱狂とは違う、焚火を眺める時のような気持ちです。
これ絶対エッチな事の筈なのになんだかとても落ち着くのです。
あたしも彼も鼓動は少し早め。そりゃ興奮しますよね。でもお互いに興奮しているってことに何だか安心してしまうんです。
ハグなのに恥ずかしくもえっちに感じちゃってるのはあたしだけじゃない。子供っぽさを分け合えると安心できるんです。
ウマ娘パワーでぎゅっとしちゃえば、苦しめてしまえる。そんな事しませんけどっ！
でもそんなことせずに。離れないように相手に腕を絡めるだけで後は何にも要らない。
……ウマ娘ちゃん達もパートナーとこういうことしてるんでしょうかっ！
あっ、腕に力が入っちゃったダメだダメだ集中しなきゃ何に？

3
切欠はどちらかが人肌恋しいからハグしようと言い出したことにあった。
恐らくはアグネスデジタルからだが、脱ぎ始めたのがどちらかはわからない。
互いに寝間着の上を脱いで抱き合った。そして想定以上の衝撃を感じ、二人で一つになったまま。
最初にギブアップしたのは夫。ベッドに横たわるように上半身を倒したので、デジタルもそのまま倒れた。

「……頭、載せられると重いかも。」

夫が不平を漏らす。

「じゃあ、どうします？」

妻が解決策を問う。

「……。」
「……。」

4
二人は同時に首を逸らし。同じ高さで戻した。
お互いの顔は当然に衝突。衝撃は互いの唇が受け止めた。
舌を入れるかどうかは二人とも悩み、二人ともやめておこうとなった。
その代わりお互いに顔を傾けて口の凸凹を咬み合わせる。
当然口を開ける事になる訳で、宙に浮いた舌は程なくして互いに先端で触れ合ってしまう。

――――これは……。
――――眠れないですよぉ……！

穏やかなハグなどありえない、と同時に悟った所で舌は情熱的に絡み合い、妻も夫も明日の朝を台無しにする覚悟を決めて、互いの腕の力を込めた。


--
錐は英語で

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
今日は作業配信という事でねっ！漫画描いてる場面で失礼いたしますっ！！
そろそろ冬の祭りも近い事ですし暫く作業に集中することになりそうです。

「ナマモノの配信っていいのか……？」「デジたんはいつもアウトを攻めるな」「大外大好きだよね」
ナマモノとは限りませんよ！少なくともそれが分かるような……そういうシーンは配信外で、ああいやいや。
兎も角配信でお見せする範囲では、何を描いているのかはわからないようにいたします。

で、ちょっと構図に困っているところがありまして。

ババーン。

2
キックです。いわゆるスーパーキックですね。

「おお～！」「上手い」「後ろ回し蹴り！」
回し蹴りではないんですね。こう、押し出すような蹴りに見せたいんですよ。後ろ向きヤクザキックというか。

「壊してるの柵？」
そう。
あのねっ！ウマ娘ちゃん同士で逢いたいけど逢えない、お互いの気持ちがわかっているのに近づくことが出来ない、
分かっているからこそ離れなければならない、って障害がゴリゴリにあってですねっ！
知るかーっ！！！って！
心の壁も物理の壁もぶち破るぜっ！って！！いうシーンなんです！！！

「新刊の見せ場をここで言うな」「面白そう」「ネタバレやめろ」
ダハハハハ、すみません盛り上がってしまいましたっ！
（ごくごく）

3
「何飲んでるの？」
七冠バ。https://ssl.web-sanin.jp/~shop-hikami/cgi-bin/shop/view.cgi?v=3&kjc=14&ctg=1200&page=1

「また七冠バ呑んでるの？！」「G1に未練があり過ぎない？」
未練とかじゃないんですよぉ。
ほら、ボトルがシンボリルドルフさんのお姿なんですよっ！
こんなのデジたんが買わない訳にはいかないじゃないですかっ！！

「キモい」「ストレートにキモい」
おいおいおい、キモいはダメですよ、謝ってください！蔵元に謝ってくださいっ！！

「蔵元ごめんなさい」「デジたんはキモい」
そうそう、キモいのはデジたんだけでいいんです。
……あのねえ、あたしもこれで結構傷つくんですからねっ！
お酒呑んでるだけでそんなに言われる筋合いありませんよ！！

4
そうそう作業ですね。
構図で悩んでてね、さっき見せたのが足裏側からの構図なんですけど。
（カチカチ）これが横から。漫画の右から左って流れに沿うとこれの方がいいのかなーって。

「おお～！」「1ページに何枚も構図作るんだ」「さっきの方が迫力ある」
そうそう、ネーム切ってるとプロットは出来ても見せ方にいくつか候補が出てきちゃって。
さっきの方が迫力はあるんだけど、よっと。（カチカチ）
ほら、こっちは横に長い構図だから見開きにできるんですよ。

「でも奥行きのある方が好きかな。」
そうねぇ～。（カチカチ）

5
んん～。（カリカリカリカリ）
こんなもんかな。右奥から左手前に向かって蹴とばす感じにしてみました。

「早ぇ！」「早っ！」「上手いなー。」「これいいわ。」
おお～。上々じゃないですか。
やっぱり印象的な場面は見開きの方がいいよねえ。
これだと後のページ全部ズレちゃうんでちょっと調整しないといけないんですけど。（カチカチ）

で、ちょっと試しに画面奥側に向かって蹴とばす構図も描いてみますかぁ～。（カリカリカリ）
こうかな。

「早い早い！」「パースってそんな簡単に描けるもんなの？！」
でへへ。簡単じゃあないですよぉ。それ用のお人形があるんでそれ見ながら、後は漫画っぽい嘘を交えてアタリを入れただけです。
やっぱりこっちに向かって蹴とばしてるさっきの方が好みかな。（カチカチ）

6
おかげさまで構図決まりそうです、ありがとうございますっ！
やっぱり色んな意見もらえると作業捗りますよっ！！

「デジたんめっちゃ素直に話聞いてくれるから好き」「デジタル先生アタリ描くの滅茶苦茶早い……」
でへへ♪褒めても何も出ませんよぉ♪（ごくごく）
げっぷ。

「出せたじゃねえか」「げっぷ助かる」「げっぷ助かる」「汚い」
フヒヒすみません♪

7
ウマ娘ちゃん描いてると走ってるシーンがどうしても多くなるんで、それで奥行き描くのは鍛えられた感じです。
でもまだまだですけどねっ！

「ギムレットには早すぎる」
おおっとぉ！それ以上はダメですよ。
そんなこんなでお時間です、あららスパチャ。ありがとうございます。

「冬コミ楽しみにしてます。」
ありがとうございます、谷野……なんて読むんだろ金偏に、進の中のやつ。ああ、キリ！
ん～～～～そうですかぁ……んぐぐぐぐ、デジたんの配信にはあまりお名前を出さないほうがいいと思いますぅ～～～！！
ではバイデジっ！！


--
凸凹合わせて仲直りを

1
「デジタルにおまんこって言って欲しい。」
「バッカじゃないですかっ！？」

土曜日の昼下がり。
二台のベッドにそれぞれ、昼食を終えて夫婦揃って午睡に入るというところ。
何やら世間話が拗れに拗れ、元トレーナーの夫の性癖の迷宮へと深く踏み込むことになって。
その果てに出た言葉がこれである。

2
「エロゲーとかでもさ、」
「ちょっと待ってください。エロゲーの話をデジたんに当てはめようとしてる？」

アグネスデジタルも昼食直後の重い胃を抱えてそんなツッコミを入れたくはない。
だが言わねばならないのだ。

「エロゲーはファンタジーです！ファンタジーはフィクションです！フィクションイズノットファクト！！オーケー？！」
「バットフィクションイズドリーム。」
「オーノー……。」

デジタルは起き上がりかけた上半身を再びどさりと横たえた。

「聞きたくないならいいよ。」
「話したいならどうぞ？」

3
「……聞きたくないんだよね？」
「話したいんでしょう？」

細めた目で『聞きたくありません』と非難を込めてデジタルが睨む。
それを見て夫は彼女に背を向けた。

「お、どうしました？あたしに聞いて欲しいことがあったんじゃないですか？」
「もういい。」
「本当ですかぁ？」
「もういいって。」
「でも何だか眠れなさそうですよねえ？」
「何だよ、聞きたくないんじゃないのかい？」
「ええ、でも話したいなら受け止めては差し上げますよぉ？」
「……。」
「……。」

4
「じゃあ、遠慮せず言うよ。」
「ええ、どうぞ。」

デジタルは密かに深呼吸をして覚悟を決めた。

「エロゲーというか漫画もアニメも大体所謂ロリコン文化の影響を受けていて少なくとも日本で公開されているアニメ系文化の女性像は多かれ少なかれ幼さが含まれている。
増してや海外から見れば日本人女性そのものが小柄に見えるし、世界的に見れば日本のアニメ絵文化は全体的にロリコンの気があるんだろう。つまりエロゲーに興奮するっていうのは多かれ少なかれロリコン趣味と言える。それが人妻物であったとしてもね。
受け止める側の男性もそこに描かれる女性像にナイーヴさ、幼さがあるのはある程度了解している。だからこそ隠語が映えるんだ。こんなに幼くて純粋そうな女性が汚らしい卑しい言葉を使う、その事に興奮してしまう。
デジタル、君は僕が言うのも何だけど魅力の中にそうした幼さや純粋さが大いに含まれている。夜のウマぴょいで興奮する要素の多くの部分を占めていると言っていい。そもそもウマ娘は全体的にアニメ絵チックでそうしたロリコン趣味を内包しているものではあると僕は考えるんだけど。
そんな可愛い女性がオマンコだのチンポだのと

5
「おまんこおおおぉぉぉーーーーーー！！！！！！」

デジタルが叫んだ。夫は目を剥く。

「どうですっ！アナタがロリっぽいと蔑むこのデジたんがおまんこと叫ぶ様子はっ！！
本当に男って奴はどうしようもないんだからっ！！！
そんなんだからウマ娘ちゃん全年齢オンリーイベントに男性がほとんど来ないんですよ、頭に精子が詰まってるんじゃないですか？！
それとも脳みそが金玉に支配されているのかな？？？
聞きたくないって拒絶して布団かぶってりゃよかったですよ自分の夫がこんな脳みそチンポ野郎だっただなんて初めて知りましたっ！！！
ああおかげで昼寝出来なさそうですもう外走ってきますねっ！！！」

妻は布団を飛び出す。寝室の扉に向かう彼女の手を夫の手が掴んだ。

「……何です、この手は。」

6
「仲直り、したい。」
「あたしは気分転換がしたいんですっ。」
「……わかった。」

夫がその手を離すと妻は部屋を出て行った。程なくして玄関で靴を履く音、玄関の扉の締まる音がして、夫は布団をかけ直して目を閉じた。

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ゆさゆさと揺らされる手ごたえに目を覚ますと、妻の悪戯っぽい笑顔が目の前にあった。

「『おまんこ』、しましょうか♪」

その手には0.01mmの鋼の意志が入った箱がカラカラと振られていた。


--
口に出して

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですぅ。
今日は久しぶりのFC2ライブですよっと。
FC2ということは……皆さんお分かりですね？

「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「デジたんでザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」
バカヤローーーーーッ！！

2
何がザー汁コキ捨てですかっ！
ちゅーぶの方だとBANになりかねない、ちょっとエッチな話をするだけですよぅ。

「ということは……？」
「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「デジたんでザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」
バーカバーカ！！
FC2はバカとすけべしかいないんですか？！？！？！
キミ達には罰としてノロケを聞いてもらいますいいですねっ！

元々話すつもりだったんですけど。
夫がですねえ、デジたんに卑猥な事を言わせるのが好きとか言い出しまして。
何言ってんのこの人って思ったんですけど。

二人して昼寝する予定だったんですけどデジたん呆れかえりまして。大声で怒っちゃって。眠気も醒めちゃって一人で出かけたんですよ。

3
キミに『おまんこ』って言って欲しいだなんていうんですよ。酷い話じゃないですか。
とは言え話の流れで夫のそういう好みを聞き出してしまった事にはデジたんにも責任があります。
外歩きながらね。「おまんこかあ。」「おまんこねえ。」「何がおまんこだよ。」
とか考えながら歩いてたら。

「歩いてたら……？」
「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「デジたんでザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」
うるせぇえーーー！！！
BANしますよキミらっ！！！！

声に出さないまま、口の形だけで「おまんこ」「おまんこ」って言ってみながら走る訳です。
そしたらですねえ、言霊の力と言うんですか？どうしてもその、自分のおまんこにですね、意識が集中する訳ですよ。

4
もうさっき怒鳴り散らしたことなんかどうでもよくなるというか。
そうやって醒めちゃうと流石に言い過ぎたよなあと思って。埋め合わせをしてやろうかとコンビニに寄る訳です。
で、さっきまでおまんこおまんこ言ってたので、買ったのはゴムですよゴム。

「ということは……？」
「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「ザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」「デジたんでザー汁コキ捨てだぁあああああ！！！！」
もうわかりましたよザー汁コキ捨てでいいですよ精一杯興奮してくださいよデジたんの夫婦生活でっ！！
それでファンの皆が幸せになれるんならいいですっ！！！

で、家に帰ってウマぴょいしましたとさ。おしまいっ！！！

5
もう何なんですかザー汁コキ捨てってぇ～～～！！！
ワードが強すぎるんですよぉ。
ちょっと夫婦生活の話をしてファンの心を乱してやろうかとトリックを構えていたらトンだトリートがお返しされましたよ。
アレですね、シモネタに対してそれを上回るドシモネタを叩きつけるのは封じ手としてとても有効ですね。
完全に今回はデジたんの負けです。
お陰で次にFC2で配信するときのハードルが爆上がりしましたよ。光る雲を突き抜けフライアウェイですよ。

「夫婦生活を披露して欲しい。」
……ライブで？

「ライブで。」
バカっ！
FC2は許しても世間が許しませんよっ！！

6
もう～～～、完全にリスナーさんのスケベに呑まれちゃいました。
本当にもう……。ザー汁コキ捨て許すまじ。
という訳でね、今日の配信はここまでです。
これからの時間は……特にほかのウマ娘ちゃんの配信は無いかな。

明日はマーベラスサンデーちゃんのチャンネルで「マーベラスチャージ！マキシマムボルテージ」の第三回の配信が行われますね。
何度見てもよくわからないんですけど何だかお胸を揺らしながらハイテンションでおしゃべりされる様が楽しくて何度も見てしまいます。
ありがたいですよね。

ではバイデジっ！！

--
And I felt as if the whole universe had given me a nudge!

1
折角の休日なのでちょっと遠出しまして、でっかいショッピングモールに来ました。
立体的な構造は見晴らしがよくて、通路の下の人たちや緩やかなカーブの向こうまで見渡せる景色は屋内にありながら屋外以上の奥行きを感じさせます。
店の数も半端ではなく、見通す限りの通路の側面にずらずらと並んでおります。
その中の好きな店を選んで入っていい！
ヒトが自由を求める気持ちを思い知った気持ちです。無数の選択肢がある、それはそれだけで快感なんです。

「ねえ、そうでしょうっ！」
「そうだね。」

流石夫です。このあたしの内心をすべて読み切って相槌を打ってくれましたいいえそんなはずはありません。
このめんどくさいアグネスデジタルのあしらい方を熟知しているだけです。
がっかりしたかって？ぜーんぜんっ！このデジたんのめんどくささを知り尽くしてくれていることにキュンキュン再確認ですよっ！

2
「あれ欲しい！」「これ気になる！！」
あたしが声を上げて店に入るたび、カートには購入済みの品物が積まれていきます。
現役時代以前からグッズを買いまくっていたデジたんですから『買う』楽しみはこの身に沁みついております。
服にお化粧にステーショナリーに、そして勿論ウマ娘ちゃんグッズに。モールを進んでいくごとにカートの中身は増えていきます。
ああっ、こんなに買って大丈夫かしらっ！？そんな懸念さえ背徳的な快楽に変わります。
でもでもデジたんは兎も角、夫をこんな退廃に巻き込んで大丈夫かしらっ？
身を縮めてちらりと上目遣いで確かめた夫の顔は、

「何？」

と言って不思議そうにしただけ。
ああああっもうっ。そんな顔を見せられては「こんなに買っちゃって心配じゃない？」なんて訊く方が野暮でしょうっ！

3
思い返せば現役時代からあたしの相方様はそうでした。
暴走しがちなあたしの事を受け止めてくれて、嫌な顔一つしません。
引け目を感じたあたしが「今日はトレーナーさんの好きなことに付き合います！」と言っても「デジタルにイキイキしててほしい」と返してくる始末。
その後はトレーナーさんの望むままにウマ娘ちゃんに愛を注ぎ、レースを走り、趣味のグッズを買い、創作活動にも精を出しっ！！
あまつさえ、引退したいという願いまで否定せず受け止めてくれました。

「ありがとうございますっ！」
「急に、何？」
「なんでもありませんっ！」

ああ、結婚してよかった。カートを押す手が、ステップを踏む脚が強くなってしまいます。
デジたんのワガママを当たり前のように受け入れてくれる、そんな相手が果たして世界中探し回って見つかるかどうかっ！？

4
……なんてデジタルは思っているんだろうなあ。
キラキラウキウキしながらカートを押していく彼女を見て僕はつい顔が綻んでしまう。

本人は自覚がないみたいだけど、デジタルはどんな我儘でも一線は超えないようにきっちりブレーキを踏めるウマ娘だ。
買い物にしろウマ娘の追っかけにしろ創作活動にしろ、他人に迷惑を掛けないという事をいつでも気にかけている。
「尊いウマ娘ちゃんの姿に自分が干渉してはならない」という戒めが強く効いているんだろうけど、そもそもそんな自戒を設定出来る事自体、彼女の育ちの良さに起因していると思う。
ご家族ともお会いしたことがあるけれど、彼らはどちらかと言うとバーベキューやフェスと言った外向きの趣味を持った方々だった。
彼女は自分を内向的なヲタクだと思っているけれど、実際には幼少期から育まれた外向的性格という土壌の上にウマ娘マニアというベクトルが乗ったものなのだろう。
そんな彼女の「ワガママ」が、実のところ他人との距離を十分に熟慮した物であるのは当然のことだ。だから僕は何も心配をしていない。
……それでもヲタクの何たるかを知らないウマ娘にとっては脅威の対象だったろうけれど。

5
「何がおかしいんですかぁ？」

どうやらニヤついていたらしい。いけないいけない。

「デジタルは可愛いなあと思って。」
「ええ～？妻を口説いても何も出ませんよぉ～～？？」

そういう割には嬉しそうに笑うじゃないか。

「カート、もう満杯だね。」
「そうですね、どうしましょうっ！」

話題を逸らしつつ、僕は手近なカート置き場からもう一台ショッピングカートを持って来た。

6
「……帰るのかと思っちゃいました。」
「キミがそんなに楽しそうにしてるんだもの。満足するまで付き合うよ。」

そう言って笑いかけると、

「そうですねぇ、あたしの旦那様はデジたんのイキイキした姿が大好きですもんねっ！！」

妻は満面の笑みで答えた。

「どうせあたしが稼いだ金ですしっ！」
「……そうだね。」

僕の曇った顔を目ざとく見つけてデジタルはデリカシーがありませんでしたと頭を下げたので、僕はその頭を優しく撫でた。
全宇宙が親しげに僕をこづいたような気がした

--
キミたちも幸せであって欲しいよ

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
何ともうすぐ結婚記念日なんですよデジ民（たみ）の皆さんっ。
今年はどうしたらいいでしょうかねえ？

「配信。」「配信。」「デート配信。」「夜の配信。」
ですよねえ配信見に来てる人にとってはそれが一番ですよねえ。
ここで聞くからには、今見てくれている人たちにも益のあるものじゃないとねえ。

お、早速スパチャありがとうございます。

「夜の生活の生配信を希望します。」
スパチャはですねえ、依頼とかお願いを訊く為の料金では残念ながらないんですねぇ。

2
月並みなところでは、おデートした結果をここでお話するという所になるんでしょうけど。
でも「夫とデートして楽しかったです」とだけ話をしたって皆さん蚊帳の外の話ですしぃ～。
何よりデジたんが夫と仲良くしているところをノロけられるのは、デジ民にとって必ずしも気持ちの良い事じゃあないかもしれません。
ですからっ！
皆さんとも多少なりとも一緒に楽しめたらいいなあと思ったんです。

「デート配信して」「デート配信」「俺とデートして」
軽く仰いますけど、デートで訪れる先にもお世話をかけちゃうんでなかなかデジたんの一存で決められないんですよぉ。逆に配信しても問題ないデート先ってどこだろうな。

「無人島」「おうちデート」「空中」「宇宙」「スピードの向こう側」
おうち以外はデートじゃ済まないんですよねえ。そもそも行けないんですよねぇ。
あっスパチャだありがとうございます。

「俺んち」
だからさあ、スパチャはリスナーさんのお願いを聞く依頼料じゃないんですよ。

3
そうですねえ、思い付きを並べてブレインをストーミングしてみますか。
レストラン、映画、演劇、競バ場、温泉、プール、カラオケ、ゲームセンター、古本屋、ショッピング、グッズショップ。
渋い所で神社仏閣、割烹料理、焼肉、寿司、ステーキ、ラーメン、牛丼、中華、手づかみシーフード、ハンバーガー、カレー、グリル……。

「後半の食い意地よ」「おなか減ってんの？」「今日ご飯食べた？」「カラオケいいんじゃない？」
カラオケ。ああ、カラオケはいいですねぇ。カラオケボックスなら1部屋借り切りにするだけでオッケーですし、一般の方にも迷惑掛からなそう。
じゃあお歌の配信になりますかねっ。事務所とも相談します。
いやあ話してみるもんですねえ、こんなにすんなり話が決まるとはっ。
と言ってもお歌は権利関係があるんで、すんなりとはいかないかもですけど。
多分大丈夫だとは思うんですよ？

「権利ねえ」「そこはしょうがないよね」「カラオケもダメなの？」
そこはカラオケだからこそ多分大丈夫と言うか……ちょっとお話ししますか。

4
お歌の配信だとクリアする権利が二つありましてぇ。
一つは曲そのものの著作権、もう一つは演奏した人の権利です。
楽曲の著作権はJの団体に申請すればまず間違いなくクリアにできます。
問題はもう一つの演奏した人の権利なんですよ。
所謂オフボーカルバージョンのCD音源とかはまあ許可下りませんね。それに一つ一つ演奏者さんを訪ねて許可くださいとお願いすること自体、手間を考えるとあまり現実的ではありません。
カラオケだと寧ろ楽っていうのは、カラオケ音源を配信している業者さんとうちの事務所で合意できればオールオッケーになるからです。
いついつにどこどこのカラオケ屋であなたのところのカラオケ音源使ってうちのデジたんが配信するんでよろしくお願いします、
というお願いが通れば、そのカラオケ音源業者さんの持っている大量のオフボーカル音源が使えるようになる訳です。

「演奏者の権利があるってことは、オフボーカルに限らずCD音源まるまる流すのもダメってこと？」
ダメですねー！皆さんも配信するときは気を付けてくださいねっ。

5
ふふっ、真面目な話をしてしまいましたっ！
結婚記念日にカラオケボックス！

「そしてカラオケセックス！」
バカじゃないんですか。
あのですねえ、ボックスでセックスは大体バレますしぃ、汚すのも器物損壊に当たる可能性があるんですよぉ。

「何で知ってんの……？」
これでもデジたんは顔が広いのでっ！色んな業界の人の裏話を知っているのですっ！！
競走バをやっていますと競バ関係者は勿論、ウイニングライブで芸能関係者さん、音響さん照明さん大道具さん小道具さんメイクさん衣装さんと知り合いになるのですよ。
それだけ沢山の方と顔見知りになりますと、自然と入ってくるネタも相当な範囲に広がるのですっ。

「デジたんがボックスでセックスしてるのかと思った」
んもー！
ていうかセックスの話はしてないんだわ！！

6
「でも記念日ックスするでしょ？」
するでしょじゃないんですよ。
ノーコメントっ！ノーコメントですっ！！

さあそろそろ終わりの時間ですねっ！
パカライブENのトブーグちゃんのチャンネルでウマインクラフト配信してるそうなので、パカ鯖にお邪魔しようかなと思いますっ！！

「トブと仲いいよね」
そりゃいいですよっ！一緒に香港走った仲ですもんっ！！強いし奇麗だし可愛いしっ！！！
国家代表で出走したウマ娘ちゃんなんですから当たり前ですよねっ！！

「間接的に自讃してる」
違、デジたんそんなつもりじゃ……！ああっともうお時間ですねえ、それではバイデジっ！！またねぇ～！


--
ファイティングマンブルース

1
「あ、この子辞めるんだよね……。」
「何で知ってるんだ？」

夫が作業をしているPCのモニタを見て、妻のアグネスデジタルが呟いた。
画面には一人のウマ娘がダート練習場を走っていた。

「ムフフ、ウマ娘にはウマ娘の情報網があるのですっ。」
「羨ましいなぁ。」
「あー……、でも今回はその。嘘でして。」
「嘘？」

頬を掻くデジタルに夫が首を傾げた。

「直接言いに来てくれたんですよ、この子。」

2
「どういう事……？」
「大学にね、来てくれて。旦那さんにお世話になってるウマ娘です、って。
おうちを知らないので直接サブトレーナーに会えないから、代わりにお礼を言いたくてって。」

アグネスデジタルの引退後結婚した元専属トレーナーとデジタルは、それぞれ主夫兼リモートワークのサブトレーナーと大学生へと針路を変えた。
夫が見ていたのはメイントレーナーによるトレーニング時の光景だ。
彼はこれを見て気になるところ、出走予定レースを踏まえた今後の育成方針の提案などを行っていく。
データの収集と解析などの地味な作業も彼の仕事だ。

「そうだったのか。そう言えば連絡先も教えてなかったからな……。」
「あたしの入学はニュースになりましたからねぇ。他にアナタに繋がるヒントがないからってんでわざわざ足を運んでくれたんですよっ！くうーっ！泣かせるじゃないですかっ！！」

歓喜を噛み締めるデジタルを他所に、夫は画面へ向き直る。

3
「……引退レース、距離合ってないんですってね。」
「うん。」

モニターから目を離さないまま、夫は言った。

「勝てるレースに出さないんですか？」
「本人たっての希望だからね。」
「知ってます。聞きました。」
「……。」

デジタルも引退レースは距離の合わないG1に記念的な参加をした身だ。強く言えないのは十分わかっている。わかっているからこそ、負けが決まっているレースに向かって練習するウマ娘の気持ちを察して胸が痛むのだ。

4
「……難しいなあ……。」

デジタルが頭を振った。
『彼女』は、成績が振るわなかった。才能はあったが、もっと強烈な才能の持ち主たちが彼女の行く手を阻んだ。
レースとは、一着以外が全て『負け』となる競技だ。
勝つこと自体が困難で、勝ち続ける事は尚至難。だから、一回でも勝ったことのあるウマ娘より何も為せずに競バ場を去るウマ娘の方がずっと多い。
そして「強いウマ娘」と呼ばれるには一回勝った程度では話にもならない。それこそ、同じ距離同じバ場を得意とするライバル達を何度も何度も蹴落とさなければならない。
そうしてやっと『強い競走バ』と言って貰える、そんな世界だ。

モニタに映る『彼女』は、ウマ娘の最もよくある末路を進むというだけの事だ。いや、引退レースが選べるだけマシな方だ。上澄みと言ってもいい。
それでも。

「何とかならないんですか……？」

デジタルが目を潤ませながら、夫の顔を覗き込む。

5
「デジタル。」

夫がモニタから目を離し、彼女に向き直った。

「全てのウマ娘が、幸せになれたらいいと僕も思う。でも、全てのウマ娘を勝たせることは……できない。」
「……うん。」
「そして、僕たちも割り切れている訳じゃないんだ。実際に走って、負けて、悔しい思いをしているのは彼女たちなんだから。
僕らは何一つ、代わりになってやれない。
君が将来トレーナーを目指すのなら……彼女の選択、彼女のメイントレーナーの選択、そして僕の選択を、よく見ていてくれ。
ああそうだ。もし彼女と連絡先を交換しているなら、レースの後に声をかけてやってくれないか。
そうして……こうしていればもっとうまくやれたはずだと思ったなら、それを覚えておいて欲しい。それが多分、君の財産になるはずだ。」
「わかりました……。」

デジタルは俯いて、そのまま部屋を出て行った。

6
作業を終えて入浴後、夫が寝室に入ると妻は既に眠っていた。
常夜灯のオレンジの光の中夫が近づくと、その目元には涙の跡が見えた。
妻のベッドに腰かけ、その頭を撫でる。こうしてみると幼い女児のようだ。
中等部で本格化を迎えたデジタルは、今でも中高生、酷い時には小学生と誤解されるほど若い外見をしている。
内面も――――ある程度洗練されてきてはいるが――――ナイーヴな部分が色濃くある。
彼女が目指すトレーナーと言う職業は、彼女が望むようなハーレムでは決してない。
弱いウマ娘がどうすれば勝てるか頭を悩ませ、強いウマ娘がもっと強いウマ娘達相手にどうすれば勝てるか頭を悩ませる仕事だ。
そうした苦行の中で、育ててくれたウマ娘が勝ってくれれば心の底から嬉しい。救われたような気さえする。そしてその快感も、他のウマ娘を負かせた結果である。何の負い目も無く喜ぶことなど不可能。レースの残酷さに対して最前線から二番目に立つもの。それがトレーナーだ。
どこかの誰かのウマ娘の不幸を、敗北を喜ぶ。そんなことがこの子に出来るのだろうか？

「あたし、トレーナーになります。」

突然パチリと目を開いてデジタルはそう言った。

7
「起きてたのか。」
「ずっと考えていました。レースはほとんどのウマ娘ちゃんを不幸にしてしまうのに、どうしてそれでもウマ娘ちゃんは走りたがるのか。」

身を横たえたまま、泣きはらした目をしっかりと夫に向ける。

「負けるのは不幸ではないからです。走りを競えること自体が幸福だからです。
勿論勝てれば最高にハッピーですけどっ。負けたからって何もかも終わるワケじゃありません。凄いウマ娘と戦ったって幸せはずっと残ります。
あたし達は勝ち負けの世界で生きていたけれど、勝ち方だって負け方だって勝ち負け以外の生き様だって、幸せに繋がっているんです。
あたしがアナタと結婚したように。あたし以外のウマ娘ちゃん達がそれぞれ今も生きているように。
現役時代っていう太陽が落ちても、夜がその先に続いてる。
夜道を胸張って生きていけたら。もう一度別の太陽が昇ったら。そしたらそのウマ娘ちゃんの人生は報われるんじゃないですか？」
「うん。」
「トレーナーがウマ娘ちゃんの人生に関われるのはたった数年間ですよ。その数年でウマ娘ちゃんの人生全部の勝ち負けまで決まる訳ないじゃないですか。」
「そうだね。」

8
「だから……トレーナーになります。
ウマ娘ちゃんの人生を、ほんの少しでも幸せにできるなら。
いや、幸せなんて贅沢言いません。『いいレースが出来た』って喜べるお手伝いが出来るなら、それだけで価値がある。違いますかっ！？」
「違わないよ。キミは正しい。」
「ありがとうございますっ！」

夫は布団に手を入れて妻の手をぐっと握った。妻も強く握り返す。

「あたし、アナタを誇りに思います。」
「ありがとう。キミも僕の誇りだよ。」

デジタルが照れ臭そうに笑ったので夫は黙って頷いた。

--
「大きさは軽自動車くらい。全身が鱗に覆われていて、首は二つ。それぞれに意思があります。また、興奮すると濃硫酸を吐き出します。脚は六つあって、尻尾は針金のように固く、棘が無数についています。」

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
今日ねえ、またお酒飲みながら配信するんです。（ごく）ぷは。

「今日は何？」
神楽酒造の、くろうま天駆です。https://www.kagurashuzo.co.jp/brand/#bd05
薄目にソーダ割にしております。

「またげっぷ出るぞ」「げっぷ助かる」「げっぷ助からない」
あははは、焼酎はロックでいただくとね、ガツーンと酔っちゃうんで。
今回は長く楽しみたくてソーダ割にしました。
今日は焼酎ですけど日本酒をソーダ割にするのも結構好みです。
日本酒の楽しみ方については、デイリーポータルZの日本酒の記事がお勧めですよ。
https://dailyportalz.jp/kiji/170822200476

「好き嫌いに肩ひじを張らなくていい」という個人的にとても好きな記事です。

2
話が反れましたね。（ごく）ぷひゅーっ。
今日はですねえ、ちょっと悲しいことがあって。
吐き出したくて配信いたしました。
悲しい事と言っても誰かが亡くなった、と言う話ではないんですが……。
デジたん色々考えて複雑な気持ちになっちゃって。
こういう場で、レスポンス貰いながらアウトプットしていくと、楽になるのかなって。

「何だろ？」「よし聞いてやろう」「リアクション貰うと整理できるのわかる」
ありがとうございます興味持ってくれてっ。
あーーー。ファンの方のそういう、無償の愛に割と救われてるんですよねぇ。
デジたんがデジたんであるだけで受け入れてくれるデジ民（たみ）の皆さん。本当感謝してます。ぺこり。

3
整理、というと知人の言葉がちょっと頭をよぎるんですよねえ。
「感情って整理されている気持ち悪いじゃないですか」って。今そのブログ消滅してるんですけど。
結構含蓄のある言葉ですよね。人間の感情が理路整然としてるわけないだろ、理路整然と整えるようなもんじゃないだろ、という信念を感じます。
デジたんも感情優先なウマ娘ではあるのですが、こんな風に「整理されてるのは気持ち悪い」とまで言われるのは結構ショックではありました。

ああ、寄り道しちゃった、お酒が入ると話が遠回りしていけない（ごくごく）

今回お話したかったのは、競走バちゃんの引退についてです。
知り合いの……あーーーーーちょっと待って？
……（カチカチ、カチカチ）

んん、そうか。すみません、まだ公式発表無いみたいなんでどこの誰がいつってのがあんまり言えないんですごめんなさい。
そうですねぇ～～～。今年、いや、今年度中に引退レースを控えたウマ娘ちゃんが居まして。
ちょっとした縁で顔見知りになったのです。

4
変な言い方ですけど、引退が決まった後に実際に逢ったのですよ。
うちの旦那がサブトレーナーやらせてもらっているウマ娘ちゃんで……ちょっと待ってくださいね？（どたどた）……（ばたばた）
よかった。あのね、うちの旦那がどのウマ娘ちゃんのお世話をしているかは非公開だという事を確認しました。
旦那みんな知ってるでしょ？デジたんの元専属トレーナー。そんな人がサブトレについてるウマ娘、って事で絞り込まれたら大変だってんでぇ、確認しました（ごくごく）。ぷはぁ。
で、そういう縁で知り合ったウマ娘ちゃんが、「実はもうすぐ引退します」と。
競走成績を確認しても、まあしょうがないかな、と言う感じではありました。
でも～～～……。間近でお顔を見たウマ娘ちゃんが去っていくのは、やっぱり悲しいです（ごくごく）。ぷふっ。
なので旦那にですねえ、つい言っちゃったんですよ、何とかなりませんかって。
そしたら旦那は
「全てのウマ娘を勝たせてはあげられない、その代わり彼女の選択をよく見届けてくれ」って言いました。


5
デジたんも力の限界を感じて引退した身です。……引退する理由としては寧ろ幸せな方ですよね、怪我や病気で引退を余儀無くされたウマ娘ちゃんも沢山いる中で、「辞める」という選択を自分で出来たんですから。
でもねえ、やっぱり顔見知りになったウマ娘ちゃんの引退って結構メンタルに堪えちゃって。
ベッドに入って一人で悶々と考えてたのです。ウマ娘ちゃんが競バ場を去っていくのはどうしたって悲しいじゃないかと。
何ともならないのはわかってはいても、何とかならないのかなあって。
……そんでね？考えて考えて考えた結果。
引退って別に不幸じゃないよなって気づいたんです。

デジたんだって今こうして引退した後もみんなの前で話をしてるでしょう。
他のウマ娘ちゃんも引退した後の人生をそれぞれ歩んでいます。
競走バでいられなくなったからって人生というレースが終わる訳じゃない。その先にもずっとずっとバ場が続いてる。
だとしたら、競走バ引退は終わりじゃなくて、区切りと言うか。
うーん……。悲しい事ではあるけれど、避けられるものでもありませんし。
笑って拍手で見送る。そう、卒業っ！卒業ですっ！！競走バ卒業っ！！！！

6
「卒業いいね」「引退じゃなくて卒業」「これからそう呼ぶか」
うんうん、そうそう！競走バ卒業！いいじゃないですか！巣立ち旅立ちって感じがしますよっ！！
そういう話を旦那ともしまして。今に至ります。悲しくて泣いちゃって、すっきりして。さっきの結論をお話しして。
キミは僕の誇りだって言って貰いました。嬉しかった。

「引退する子をダシにしてイチャつくのはどうかと思う」
なんでだよ！？
いい話だったでしょー？！？！
それだとあたしがそのウマ娘ちゃんの引退を本当はなんとも思ってないみたいじゃないですかっ！！

おっとお時間ですねえ。次の配信は明後日かな、それではバイデジ、うっ。げぷ。
「げっぷ助かる」「げっぷ助かる」「汚い」「飲酒はほどほどにね＠夫」
おい最後のちょっと待って
（この配信は終了しました）

--
いつだってコースの上

1
夜明けよりも手前側 星空のインクの中
落として見失って 探し物
心は眠れないまま 太陽の下 夜の中
つぎはぎの願いを 灯りにして

何も要らない だってもう何も持てない
あまりにこの空っぽが 大き過ぎるから

たった一度だけでも頷いて欲しい
鏡の様に手を伸ばして欲しい
その一瞬の 一回のため それ以外の
時間の全部が 燃えて生きるよ

2
ウマ娘用ヘッドフォンを装着したまま、アグネスデジタルはモニタを前にずっと顎に手を当てて考えていた。
だからそっと差し出されたホットティーとクッキーに気づくと背筋を震わせてしまった。

「ひょえっ！？！？」
「ごめん、ノックしても返事がなかったから。」

返事が無かったなら入らないで欲しい、という言葉を飲み込んで、デジタルは「ありがとうございます」と元トレーナーの夫に対して頭を下げて、ストレートホットティーの入ったマグを両手で抱えた。

「集中しているところ邪魔したならごめん。」
「いえいえ、ちょうど気分転換したいところでしたからっ！！」

ヘッドフォンを外して改めて頭を下げる。モニタの電源は切らない。今更隠し立てをするような仲でもない。

3
「じゃ、あまり根を詰めないようにね。」
「……待……ってくださいっ！」

背を向けた夫に絞り出すように声をかけた。不思議そうに彼は振り向く。

「あ、ああーーー……実はデジたんネタ切れというか、ネタ詰まりを起こしておりましてぇ……。何かアイディアをいただけたらと。」
「僕がかい！？」
「無理は承知しております！でもこう……喉元まで出かかってつかえている感じなのでっ！
デジたんの事を一番近くで見ていてくれたアナタなら何か思いつくのではないかとっ！！」
「……よくわからないけど、力になれるなら協力するよ。」

その言葉に満面の笑みを浮かべたデジタルがヒト用ヘッドフォンを端子に繋ぎ直して夫に手渡す。

4
「この歌、何だかデジたんに重なるところがあるので形にしたいんですけど。どういうストーリーにしたらいいのか決めかねてまして！
何でもいいので思いついたことや感じたことを教えていただけるとヒントになるかとっ！！」
「わかった。」

夫が目を閉じるとデジタルは口を閉じる。
2分ほど経過してモニタ上のプレイヤーが曲の終了を示すと夫は目を閉じたまま指を一本立ててもう一度、と告げたので妻は頷いてそのままリピートした。

そのまま何周か聞いて、夫は徐にヘッドフォンを外した。

「……どうでした？」
「……これはどちらかと言うと、僕の曲かも。」
「へぇ！？！？」

5
「歌詞全体だと、特定の人物に対する執着を歌っているように感じる。
キミはこの歌に自分に重なるところがあるって言ったけど、だとすると、この歌詞が表現するような『特定の誰か一人に対する執着』って言うのが君の萌えと上手く嚙み合わないんじゃないかな？」
「……じゃあ、どうすればいいんでしょうか……？」
「ごめん、そこまでは……。」

申し訳なさそうに頭を下げる夫にデジタルはかぁっと顔を赤くして手をパタパタ振った。

「すみませんすみませんっ！そこまでは求めるつもりではなかったんですなかったんですけどっ！
分析が的をばっちり射ていたのでついおねだりしてしましましたっ！
貴重なご意見ありがとうございますっ！！
あの……『僕の曲』って？」
「ああ、僕がキミのトレーニングしてた頃の感じがした。」
「ヒョエッ！？！？」

6
「そ、そ、そ、それはアナタがデ、デジたんの事をその、大好きだという……。」
「そりゃ結婚してるんだから当然だよ。」
「そっそっそっそうですよねっ！やだなあもう付き合い長いのに不意打ちでそういう事言われるとあたしまだまだ照れちゃいますっ！」

デジタルが再び両手でマグを抱えて一口飲む。

「ヒントにはなったかな？」
「そうですねぇ、路線を変えてアナタ×デジたんでプロットを切るか、フィクションに舵を切って実はオペラオーさんの事を愛していたデジたんとか、この曲が合いそうな別のウマ娘ちゃんを見繕うとか色々やれるとは思うんですけどぉ……。」
「創作って難しいねえ。」
「そうなんですよぉ、答えなんてありませんからっ！コンセプト自体が不人気だったり理解されにくかったり、たとえメジャーな路線でも表現の仕方一つで台無しになったりっ！！
しかも人気が出るかどうかなんて事前に予測できるはずもありません。
だから好きなものを好きなように描いて、あとは天に、いや読者様にお任せするしかありませんっ！」

7
いつの間にか椅子から立ち上がっていたデジタルが胸を張っている。

「キミの好きなものって？」
「それはっ！勿論ウマ娘ちゃんですっ！ウマ娘ちゃんの友情、努力、勝利、敗北、喜び、悲しみっ！！強く美しいウマ娘ちゃんの生き様全てですっ！」
「キミだってウマ娘だろう？」
「自分と他人は違いますっ！でもウマ娘ちゃんの艶姿は間近で何度も見ています。デジたんはいつだって！過剰に！！満たされていますっ！！！
でもなぜかこの曲にデジたんの何かがシンクロしてしまったのですぅっ！！！」

夫が顎に手を当てて俯く。この曲はどちらかと言うと満たされない初期衝動を追い求める内容になっている。そこにシンクロした、という事はデジタルの中では何か満たされないものがあるという事だ。
デジタルの初期衝動、未だに満たされない望み、恐らくは一生追いかける事になる譲れないもの……。

「……デジタルがウマ娘を好きになった切欠って何だい？」

その言葉にデジタルが瞠目した。

8
デジタルの脳裏によぎる最も古い記憶。
テレビ越しに見たウマ娘のレースの姿。全身に汗をかき、土を蹴散らし、歯を食いしばって懸命に走るウマ娘達。
そしてその後のウイニングライブでさっきとは全く違う笑顔を向けながら歌い踊る彼女たち。
もう名前も思い出せないウマ娘達の全身全霊の輝き。

「ああ、そうか……。アグネスデジタルとは……ウマ娘ちゃんとは……宇宙とは……！」

そう呟いたかと思うとデジタルPCに向き直り猛然とペンを走らせ始めた。

「全は一、一は全！！あたしが萌える全てのウマ娘ちゃん達！全てのウマ娘ちゃんに萌えるあたし！このアグネスデジタルは！このアグネスデジタルがっ！！」
「落ち着いて。」

9
二週間後。
出来上がった本は、デジタルが好きだと思ったウマ娘の姿、エピソードを絵と共に綴ったフルカラーイラスト集であった。

「わかったんです！こうだったらいいかもとか、もしああだったらとか、そうじゃなくてっ！！あたしが好きだと思ったものを描けばいいんだって！！！」

脱稿直後のデジタルは夫にそう叫んでありがとうございました、と頭を下げながらそのまま倒れて眠り込んでしまった。

後書きにて。
『憧れに終わりはありません。あたしが満ち足りても萌え尽きても、ウマ娘ちゃんたちは夜空の星のように輝き続けている。
それを思い出したので、今回はストーリーとか取っ払ってとにかく思い出をぶちまける事にしました。
インスピレーションの元になった歌と、ヒントをくれた夫に感謝を。』
末尾には、『本当は夫も描きたかった』という文字が取り消し線で消されていた。


--
心のストレッチ

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネス☆デジタルですっ！
ねえデジたんの子供の名前何がいいと思う？

「おめでとう。」「おめでとう。」「ありがとう。」「さようなら。」「ともだち。」
エヴァンゲリオンっ！あとみんなのうたっ！！

えっへへへへ、驚かせてしまいましたねえ～～。しかし残念ながらまだ妊娠はしておりませんっ！
引退して結婚している身ではありますが、まだ大学生ですからっ！
両親からは「大学卒業したらうちに戻ってもいいんだぞ？」ってゆる～く圧を受けておりますが、今のところ予定は未定でございます。
しかししかしですね。実際思い浮かべてみますと出産と育児は本当に大きなイベントでございましてぇ～……。
デジたんも将来的には家族を増やすつもりでは居るのですが、じゃあいつがいいタイミングなのか、というと難しいのですよぉ。

2
「なんだ嘘か」「俺の子産んで」
悲喜こもごものコメントをいただきつつお話させていただきますとですね。
デジたん大学卒業後はトレーナーとして働くつもりでおります。
勿論試験に通らないとトレーナーにはなれませんから予定は未定ではありますがっ。
例え試験に落ちても来年の試験に向けて勉強したり、あわよくばトレセン学園で就職の口がないかとか考えておりますです。
そうするとデジたんの人生設計の中でデジたんの子供が割って入る余地がないという事に気が付いたのですよ。

妊娠、出産、育児、ね？考える程に自分の為だけに何かする余地が見つからないのです。
そう考えたらパパママ凄いなーって！
どんな風にあたしを出産することを決意して、どんな気持ちで育てて、どうやってトレセン学園に送り出したのかっ！？
思い返せば親の生活のほぼ全てに無自覚に食い込んでいたと思い知る訳です。
お金も時間も精神も、どれほど頂いて、育（はぐく）んでもらったか！

デジたんに同じことができるのか！？！？全っ然想像もつかない訳ですよ！！

3
今すぐどうこうすることでも出来る事でもありませんよ？もしかしたら産みたくても産めないみたいなこともあるかもしれませんしっ！
親って凄いなって話ですっ！
反出生主義の存在も知っておりますが、パパママの苦労を思いやるとどうもデジたんは支持する気にはなれません。

さてさて悩んでいるばかりではラチもゲートも開かないとわかっているのがこのデジたんです。
スーパーギャップシステマティックカイテキナセイキマツ とても怪しい言葉だけれど 明るくはっきり言えたらバッチリ！ スーパーギャップシステマティックカイテキナセイキマツ！
アッカンベロベロアッカンベー！アッカンベロベロアッカンベー！

古の呪文を唱えて仮初の活力を得たらスマホでピポパ。実家にお電話しました。
こういう時は一次資料に当たるのが一番ですからねっ。プルルル～、プルルル～、ガチャ。

「もしもし？デジたんですけどぉ」
「あら久しぶり何の御用？」
「ママご無沙汰しておりますぅ。」って。
「あたし育てるのって、どんな感じだった」って。

4
「そんな質問ある？！？！」「どう答えたらいいんだよ」「行動力の化身」
あははは、流石にママも困惑してました。でもあーでこーで悩んでるの、子供を育てるのって実際どんな感じなのかしらって話したらマジで親身になって相談に乗ってくれてぇ。

それでママがぁ。
「案ずるより産むが易し！」って。
実のママにこれ言われたらもう、安心するしかないじゃないですかっ！

母は剛、父は慎吾とはよく言ったもので、子を持つ親には勝てません。増してや自分の親となれば頼り甲斐の化身。
いや、デジたんのパパママは頼り甲斐の化身……なんかじゃないんだ。
パパママ自身にもコントロールできない「頼り甲斐」そのもの……暖かな力そのものになってしまったんだ。

「いのる」「いのる」「いのる」「いのる」「いのる」「いのる」「いのる」「いのる」
やめろやめろ！あたしの両親を殺さないでっ！！

5
まあそんな訳でね、子供持つことに不安を感じていたデジたんにですね。そういう不安は子供持ってからにしなさいという非常にわかりやすいアドバイスをしていただいた訳です。
この言葉はガツーン！と来ましたっ！
ウマ娘ちゃんオタクであるデジたんにとってトレセン学園への入学は理想であると同時に地獄への入り口でもありました。
だってそこに居るのは一人残らずウマ娘ちゃん、デジたんにとっての天使たち。学園の中でただ一人デジたんだけが、ウマ娘じゃない……というとピンと来ないかもしれませんがぁ……。名バ居並ぶ中一人だけハリボテエレジーだったというか……。
デジたんみたいなものが肩を並べていいのかというか……。でも肩を並べられることは間違いなく最高の喜びでもあったりしましてぇ……。この気持ちは分かってもらえないかもですねぇ～……。

6
「いやわかるよ」「わかるとまではとてもいえないけど、察することはできる」「ハリボテエレジーは名バだろ」
ありがと、ありがと。あとハリボテエレジーさんごめんなさい。
ああ、何か締まらないままお時間が来てしまいましたねえ。
そういう訳でデジたんは子が出来る事に前向きではあります。その際にはおめでたい報告をこちらでもさせていただこうと思います。
それではエンディングテーマは山寺宏一で、
「HE SAID SHE SAID～2年目のDINKS～」です。
それではバイデジ～♪

--
態度で示そうよ

1
「おほぉおおお～～♥何度見てもディアドムスちゃんの最終コーナーの加速が巧みでかっこよくてヤバいっ♥♥」
「何度見てもサウンドキアラちゃん相手が悪かったね……。アイちゃんマジでめちゃくちゃ強い……。」
「シンボリクリスエスちゃんこっち見てぇ～～～～♥」
「カゼノコちゃんはデジっぽさあるよね。」

大学のサークル部屋で、アグネスデジタルは同志達と往年のレース、ウイニングライブを見返していた。

2
ウマ娘グッズが所狭しと置かれ、ウマ娘の歌う曲が流れ続けるサークル部屋。
講義の間の休み時間に人が出入りしていく。年次が高く単位に余裕のある先輩は朝から晩までずっと入り浸っている。
アグネスデジタルは入学当日この部屋を探し当て、そこに「自由」を感じた。
平日の昼間に堂々と趣味に耽る。それが背徳感も罪悪感もなく許される状況など、これまでの学生生活で想像したこともなかった。
そうした様子を外からじっくりしっかり観察し確認し、引退＋入籍後、抑えきれない鼓動に押されて扉を開いた。

「デ、デジたんっ！？」「アグネスデジタルちゃんっ！？！？！？」「えっ、マジで？マジで？？？」

そうした困惑と喜びの混ざったどよめきを捻じ伏せるようにアグネスデジタルのアイドルボイスが響き渡った。

「このサークルに、入れさせてくださいっ！！！」

3
一同は二つ返事で了承……と言いたいところなのだが。
ウマ娘ヲタクの基本はYes ウマ娘 No タッチ。ウマ娘の方から飛び込んでくるなど例外も例外。増してや相手はあのアグネスデジタルである。
芝もダートも海外も、バ場を選ばず走り抜け、重ねた結果がG1六冠。間違いなく時代を代表する名バである。
そんな天上人ならぬ天上ウマ娘のサークル参加希望を受けたメンバーの驚きようは一通りではなかった。
サイン頂戴、握手してください、お前ら触んなと散々の口論の末、副部長がデジタルに一旦の退室を促した。
ドアの外で待つこと10分、開かれた扉から件の副部長が泣きながら顔を出した。

「アグネスデジタルさんがウマ娘のファンであることは存じているし、入部希望は望外の喜び。しかし……。
私達は本質的には光のファンの心を持っているが、自分の意志では光の心、闇の心もコントロールできない……。」

デジタルはその言葉を聞いて顔を覆った。痛いほどに、わかり過ぎる程にその気持ちが分かったから。
『ファンとアイドルは距離を置かなければならない』この戒律が存在するのは、『距離を置きたくない』という欲望が絶えることが無いからだ。

4
『ねばならない』はいつだって、『したい』の反対側。デジタル自身がトレセン学園で懊悩したように、彼らも今、戦っている。

「いや、今のあたしはもう競走バではありませんっ！だから競走バとしてのアグネスデジタルとは別人として、扱っていただくことはできませんかっ！？」

それが無茶な要求なのは自分でもわかっていた。
引退したという事実がウマ娘の魅力を幾分か色褪せさせるのは確かだが、競走バとしての記録が消えるわけではない。ファンの目に焼き付いた記憶が薄れる訳ではない。副部長は啜り泣きながらデジタルの言葉を受けた。

「これは……決定だから……。」

アグネスデジタルは既婚者だ。ファンとアイドルとのロマンスという逃げ道も封じられている。絶対に愛してはならないアイドルが同じ部屋に居るなど耐えられるはずがない。

「わかりました……。」

デジタルも涙をこらえ、頭を下げ、背を向ける。
その手首を誰かの手が掴んだ。

5
「副部長、デジたん泣かせちゃだめですよ。」

それは部室から出てきた一人のサークルメンバーの手だった。

「あなたは……？」」
「初めましてっ！デジたん、ほら入ろっ！？」

もう一人のメンバーが飛び出して肩に手を回す。

「あたしらがウマ娘を泣かせちゃダメでしょ～？」
「大体デジたん入学ニュース見た時点でここに来るって予想できてたじゃんっ！！」
「お前らっ……！」

副部長を尻目に二人のメンバーに部室に引きずり込まれるデジタルの表情は、嬉しさに満ちた泣き笑いだった。

6
『ごめんアナタ、今日は朝帰りになります』

カラオケボックスの写真が添えられたメッセージを見て、夫が苦笑いする。

『いいよ、楽しんでおいで』

妻は今、本当の意味で気の置けない仲間を手に入れた。それは楽しいに違いない。
夫は自身の大学時代を思い出す。高校までの繋がりが絶たれて全く違う様相となった仲間たち。それなのに何故かウマが合う同じ学部、同じサークルの先輩後輩たち。
ずっと続けばいいとまで思った、豊富な時間と多彩な友情のキャンパスライフ。
デジタル、限りある時間を、貴重な絆を、どうか楽しんでおいで。それは心からの言葉だった。

――――
「ただいま帰りましたよぉ……。」
「お帰り。」

7
土曜日午前9時過ぎ。遠慮がちに玄関を開けた妻を抱き上げ、そのまま寝室まで運んでベッドに横たえた。

「わわわ、お風呂、先にお風呂がっ。」
「目が冴えちゃうだろ、先に寝てなよ。」
「あっ、そんな抱き締められると、匂いがっ。あっそのダメ、ダメですデジたん眠ってしまいます、臭いデジたんが服がシワシワの髪がくしゃくしゃのメイクがぐちゃぐちゃの、」
「いいから、目を閉じて。」

わたわたと力なく暴れる妻を優しく抱き締めると、程なくして夫の腕の中から穏やかな寝息が聞こえ始めた。

「……ズルいよなあ俺。」

妻を労わる振りをして、一番美味しい無防備な所を愛させてもらっているんだから。
妻のサークル仲間に罪悪感を抱えつつ、息をいっぱいに吸い込む。アルコール、食べ物、タバコの匂い。愛する妻のプライベートの付き合いを語る匂い。
ああ、どこで何をしてきたのか想像するだけで楽しくなる。マニアックでフェティッシュと言われたっていい。
だって俺の嫁は、アグネスデジタルだぜ？



--
過去が殺しにやってくる

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネス☆デジタルですっ！
冒頭の映像は皆さんご存じのデジたん勝利の舞ですねぇ～。
いやぁサークルの部屋に入ったらこれがエンドレスで流れててですね。
fu556279.mp4
「手足ほっそ……。」
「何で回るんだろう。」
「幼稚園児ってテンション上がると回るよね。」
とか好き勝手言われてまして。
何見てるんですかーっ！？って怒鳴りましたよね。ついね。

そしたらサークルの男子の同志は気まずそうに動画止めてそっぽ向いたりごめんって言ったりしたんだけど、
女子の同志はなんでー？かわいいじゃーん？やってみせてよー！と実に積極的。

ううぅ～～っと悩んだ挙句、
頭を抱えてどたどた一回転して「ありがたきしあわせぇ～～♪」をやって見せましたっ！

2
「見たい」「やって」
ええぇ～っ！？
うぅ～んわかったやります、やりますよっ！
え～と、この辺りかな？全身見える？大丈夫？OK？じゃあ行きますよっ？

（どたどたどた）ありがたきしあわせぇ～～♪

～～～～い、いかがでしたでしょうか、ブランクありますがっ！
うぉおおお！スパチャめっちゃ来てるぅ～！
うわわわ嬉し恥ずかしですよぉ～～～♪♪♪♪♪♪


3
「手足ほっそ」「何で回ってたの？」「スイスイってやるアピールがあざとい」
もう何とでも言ってくださいっ！
あの時はウマ娘ちゃんと走れた喜びと勝った嬉しさでもうめちゃくちゃになっていたのですよっ！！
ん～～あ～～～でも、萌えってそういうものかも。
演技や台本じゃない、その隙に垣間見える本音や素顔にあたし達は萌えるのです。
ああああ～萌えられてる側のデジたんが言うのはとても面映ゆいのですけどっ！

大体勝利ポーズはデジたん以上に可愛いウマ娘ちゃんがたくさんたくさんいますものっ！
個人的にはビワハヤヒデ様の「近いぞ」ってカメラを押しのけるのが第四の壁を触ってる感じで特徴的だと思いますっ！

4
デジたんに限らず一着を取ったウマ娘はテンションが上がって色々とねぇ、ほかでは見られない姿を見せたりしますよねえ。
嬉しそうにトレーナーと手を取り合ったり、はたまた2着以下のウマ娘ちゃんに高圧的な態度を取ったり。
今のあたしは引退してバ場を離れた身だからこそ、冷静に見ることが出来ます。
ちょっとほほえましかったりもします。
あ～調子に乗っちゃいますよねぇ～とか久しぶりの勝ちで感無量なんですねぇ～とかっ！
それを見た二着以下のウマ娘ちゃんのリアクションも美味しいんですよぉ～♥
悔しそうだったり、やっぱりねって感じで拍手してたり、早々に退場して次のレースに備えようとしてたり。
嬉しさ、悲しさ、冷静さ、その他もろもろ。レース一つ一つにそうしたウマ娘ちゃんの感情の宝石がポロポロと零れ落ちます。
それの何と美しい事かっ！

5
「デジたん現役で走ればいいのに」
うん。言いたいことはわかる。そうしたウマ娘ちゃんの美しい血と汗と涙を一番近くで見ることが出来るのは違いないのです。
でも現役でいるということは自分も血と汗を涙を流すという事です。どうしても心の余裕はなくなります。
引退して初めてわかるんですよね、レースごとに全てのウマ娘ちゃんがそれぞれに輝いてるって。
自分が実際に走ってると、自分は勝ったか負けたか、次はどうするのか、っていうのがどうしてもプライオリティ高い対象になっちゃいますので。
外からレースを見る立場になって初めてわかるものもあるのですよ。
寂しくもありますけどねぇ。一緒に走りたい気持ちだって当然あるのですっ。

6
そろそろお時間ですねえ。
皆さんもウマ娘ちゃんのレースを見て上げてくださいね。レースの後の勝利ポーズもね。
勿論負けたウマ娘ちゃんの表情もっ！
そして好きなウマ娘ちゃんが居たら、勝っても負けても応援してあげてください。
それが力になりますからっ！
負けてる時ほど、応援してくれてる人の存在って力になるんですよ。
負けたり嫌なことがあったりするとどうしても一人で抱え込んじゃうんですけど、そういう時に「一人じゃないよ」って伝えてあげるのが一番効くんですよっ！
これはマジのマジですよっ！ファンレター全部読んでますからねウマ娘ちゃんはっ！

さて今日のエンディングはこのデジたんの敗戦ダイジェストですっ！
皆さんはデジたんの勝利だけが好きなんですか？そうじゃないですよねっ！？ねっ！？！？
んっふっふっふ♪ ではバイデジ～♪

--
感謝の念は有り余るくらいでいい

1
「勤労感謝アァ～っ！！！」

座椅子の後ろから夫の背にアグネスデジタルが覆いかぶさった。

「ありがと。」
「こんなことしかできませんが。」
「……ズルいね。」
「ズルい？」

笑顔で振り向いた夫に、妻が間近の顔を傾けた。

2
「こうやってスキンシップされるだけで僕が嬉しいってわかってるんだもの。」
「でっへへ～♪
だってだってお休みならともかく、今々の今お仕事されてるんですものっ！」
「ごめんね、気を遣わせちゃって。」
「そうですともっ！ちゃんとお休みしてくれるんなら買い物でも遊園地でもおうちデートでもお付き合いしますのにっ！
お仕事とあっちゃあこうしてサプライズでお邪魔する以外に感謝の念を表せない訳ですよっ！！」
「お茶やおやつの差し入れとかは？」
「それよりこうして愛してあげる方が嬉しいでしょ。」
「ズルいなぁ。正解。」
「えっへっへぇ～♪」


3
「という事がありました。」

サークルの部屋にぎゃあぁああ～～～と嬌声の絶叫が響き渡った。

「ウマ娘のノロケとか劇薬に決まってるじゃんデジ～～～！！！」「ああ～～夫ちゃんマジでいいひとだなぁそんな人と結婚したいぃ～～！」
「奇麗だなあ……俺はどうしてデジたんのトレーナーじゃないんだ。」「先輩今からでもトレーナーを目指せますって！」
「ああ～わたしもトレーナー目指そうかなぁマジで！」「ウマ娘との同性婚ってできたっけ？」「法律か、じゃあまずは国会議員だねっ！勉強だっ！」

「……ごめんなさい。」

騒ぐサークルの同志達に、デジタルは声色低く謝る事しかできなかった。ウマ娘ファンサークルでウマ娘である自分自身のエピソードがタブーに近いのは十分にわかっていたが、

「それでも、どうしても自慢せずにはいられないほど嬉しかったから。」


4
「謝らなくていい」
「デジたんは悪くないっ！」
「アグっちは幸せになっていいんだよっ！」
「これからもプライベートをse・きららに語って欲しいっ！」

ずいずいと迫る同志の勢いに流石のデジタルも気圧されて後ずさる。
自信の決断が浅墓であったことを思い知る。

「……ズルいですよねえ、あたし。」
「え？」
「どういうことアグっち？」

伏し目がちになりながらデジタルが言葉を続ける。

5
「こうして、庇ってくれるだろうなって。半ば期待して話したんです。
……ひっどいですよねえ、ただのノロケ話で、でもみんなが好きなウマ娘の話だから嬉しがってくれるだろうし、それでプラスマイナスゼロになるだろうって。
でもそんな打算絶対良くない。あたしもっとみんなでウマ娘について語り合いたかったんです。
それなのに今日は自分の話したいことをただ話して、皆さんのウマ娘が好きな気持ちに漬け込んだ。……ごめんなさいっ！！」

サークル室に沈黙が満ちた。
その静寂を破ったのは、嘗て彼女の入部を否定した副部長であった。

「自惚れるなよ、邪悪な願い。」
「！！」

デジタルの背筋が震える。

「ここはウマ娘への愛で結びつくサークル。その程度の容易い悪意で崩れ去るものかよ。」

6
「だから、プライベートなエピソードを話してくれたことを心から感謝している。
考えて見なよ？ウマ娘の結婚後の幸せな生活を聞かせてもらえるなら、デジたん自身の打算なんて、何の障害にもならない。」
「そうだよそうだよ！だからデジの私生活もっと聞かせよぉ！」
「ねえねえアグっちハグしただけじゃないんでしょ？その後もっと聞かせてよ聞かせてよっ！……泣いてるの？」

アグネスデジタルの瞳から喜びと悔恨が澄んだ雫となって落ちていた。
同志のウマ娘好きに漬け込んだことよりももっと深い罪。それは同志のウマ娘への愛自体を甘く見た事。
涙を拭ったデジタルは、笑顔で彼らに向き直った。

「はいっ！
背中から抱き着いたあたしに夫はその腕を取って、パソコンのモニタを切って立ちあがると……」

涙目で同志に顛末を語る。「きゃあっ」と、「おおっ」と、聞き入ってくれる同志達に心臓が震えるほどの有難さを感じながら。


--
感謝の念は有り余るくらいでいい Remake

1
「勤労感謝アァ～っ！！！」

座椅子の後ろから夫の背にアグネスデジタルが覆いかぶさった。

「ありがと。」
「こんなことしかできませんが。」
「……ズルいね。」
「ズルい？」

笑顔で振り向いた夫に、妻が間近の顔を傾けた。

2
「こうやってスキンシップされるだけで僕が嬉しいってわかってるんだもの。」
「でっへへ～♪
だってだってお休みならともかく、今々の今お仕事されてるんですものっ！」
「ごめんね、気を遣わせちゃって。」
「そうですともっ！ちゃんとお休みしてくれるんなら買い物でも遊園地でもおうちデートでもお付き合いしますのにっ！
お仕事とあっちゃあこうしてサプライズでお邪魔する以外に感謝の念を表せない訳ですよっ！！」
「お茶やおやつの差し入れとかは？」
「それよりこうして愛してあげる方が嬉しいでしょ。」
「ズルいなぁ。正解。」
「えっへっへぇ～♪」


3
「という事がありました。」

サークルの部屋にぎゃあぁああ～～～と嬌声の絶叫が響き渡った。

「ウマ娘のノロケとか劇薬に決まってるじゃんデジ～～～！！！」「ああ～～夫ちゃんマジでいいひとだなぁそんな人と結婚したいぃ～～！」
「奇麗だなあ……俺はどうしてデジたんのトレーナーじゃないんだ。」「先輩今からでもトレーナーを目指せますって！」
「ああ～わたしもトレーナー目指そうかなぁマジで！」「ウマ娘との同性婚ってできたっけ？」「法律か、じゃあまずは国会議員だねっ！勉強だっ！」

沸き立つサークルの面々と裏腹に、デジタルの顔は曇っていた。

「……ごめんなさい。」

溜まりかねた様にデジタルが言う。驚く面々にデジタルが語る。
ウマ娘ファンサークルでウマ娘である自分自身のエピソードがタブーに近いのは十分にわかっていたが、それでも、どうしても自慢せずにはいられないほど嬉しかったから、と。
それでもきっと喜んでくれる、という打算だけで話をしてしまった、と。

4
「謝らなくていい」
「デジたんは悪くないっ！」
「アグっちは幸せになっていいんだよっ！」
「これからもプライベートをse・きららに語って欲しいっ！」

ずいずいと迫る同志の勢いに流石のデジタルも気圧されて後ずさる。彼女は自信の決断が浅墓であったことを思い知る。

「……ズルいですよねえ、あたし。」
「え？」
「どういうことアグっち？」


5
「こうして、庇ってくれるだろうなって。半ば期待して話したんです。
……ひっどいですよねえ、ただのノロケ話で、でもみんなが好きなウマ娘の話だから嬉しがってくれるだろうし、それでプラスマイナスゼロになるだろうって。
でもそんな打算絶対良くない。あたしもっとみんなでウマ娘について語り合いたかったんです。
それなのに今日は自分の話したいことをただ話して、皆さんのウマ娘が好きな気持ちに漬け込んだ。……ごめんなさいっ！！」

サークル室に沈黙が満ちた。
その静寂を破ったのは、嘗て彼女の入部を否定した副部長であった。

「自惚れるなよ、邪悪な願い。」
「！！」

デジタルの背筋が震える。

「ここはウマ娘への愛で結びつくサークル。その程度の容易い悪意で崩れ去るものかよ。」

6
「だから、プライベートなエピソードを話してくれたことを心から感謝している。
考えて見なよ？ウマ娘の結婚後の幸せな生活を聞かせてもらえるなんて、凄い事だ！
デジタル自身の打算なんて何の問題にもならない。」
「そうだよそうだよ！だからデジの私生活もっと聞かせよぉ！」
「ねえねえアグっちハグしただけじゃないんでしょ？その後もっと聞かせてよ聞かせてよっ！……泣いてるの？」

アグネスデジタルの瞳から喜びと悔恨が澄んだ雫となって落ちていた。
同志のウマ娘好きに漬け込んだことよりももっと深い罪。それは同志のウマ娘への愛自体を甘く見た事。
涙を拭ったデジタルは、笑顔で彼らに向き直った。

「はいっ！
背中から抱き着いたあたしに夫はその腕を取って、パソコンのモニタを切って立ちあがると……」

涙目で同志に続きを語る。「きゃあっ」と、「おおっ」と、聞き入ってくれる同志達に心臓が震えるほどの有難さを感じながら。





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ありがとうありがとうこれからも

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネス☆デジタルですっ！
自他ともに押しも押されもせぬウマ娘ヲタクにして元競走バ、アグネスデジタルでございますよっ！ど・お・も♪ど・お・もぉ～～～♪
今きっついレポート書き終えて一息ついて午前3時ですよトレセン学園時代じゃ想像もつかなかった時間の使い方っ！
相方も寝ちゃったし寂しくて、配信始めちゃいましたすみませんがお付き合い願いますっ！どうぞよろしくお願いしますっ！！
さて今日のお供はですねぇ、オーファンバレルのギフテッドホースですっ！ https://www.orphanbarrel.com/our-whiskeys/gifted-horse
知り合いからもらったものでして、「ウマ娘をモデルにしたものだから」って。
度数が高いブツなので機会を窺っていたのですが思い切って開けちゃいますえええーい！！
うおおお凄いアルコールの匂い！
度数57.5は伊達ではありませんねっ！
流石のデジたんもこれをまともに飲むとぶっ倒れるのでまずはアイスクリームに垂らしていただきましょう！

2
ほーれマドラースプーンに沿わせてダッツバニラの上にたらたらと尿道球腺液のように垂らして……。
おお～見えますか？薫り高い茶色いストライプのバニラアイス！
スプーンを挿しますよ挿しましたっ！（ぱくっ）
～～～～！！！
強烈……！バッチバチのアルコールの痛みを甘々のバニラが癒してくれる……♪
癖になりそうですぅ～♪

「うまそう」「おいしそう」
おいしいですよっ！プレゼントしてくれた方、本当にありがとうございますっ！チビチビと頂きますねっ！
料理の調味料とかにもするかもです。

感謝と言えば先日は勤労感謝の日でしたねぇ。デジたんも勤労に感謝いたしましたよっ！

3
現在大学生のデジたんは当然ながら無収入！
その間の生活を支えてくれているのは夫でございます、知ってる人は知っているでしょうがデジたんの相方は現在リモートワークサブトレーナーをやっております。
それだけじゃなく炊事洗濯掃除と主夫としても活躍してくれておりますっ！
無理しないでねとはいつも言っているんですけれども、折角の勤労感謝の日でありますし、ここはドカーンと感謝の気持ちを捧げたいっ！！
てなわけでリモートワーク中の相方を無理やりデスクから引っぺがしまして、いつもありがとうございます、と花束を差し上げましたっ！
ピンクのバラとカスミソウのセットです花言葉はどちらも感謝で感謝感謝のダブル役満ですよ実は花屋さんに言われるままに注文しただけですけどっ！
ありがとう、なんて言ってくれちゃって、ダメですよそれはっ感謝に感謝で返すと感謝の無限ループが発生してジャッジ呼ばなきゃジャッジー！ジャッジぃー！！
引き分けっ！

そんな訳で対戦は次のゲームに突入です。
まずは無理やり引き留めてしまったお仕事へとダーリンを放流。
その間にデジたんはサイドボードをセットです。

4
「何でいちいちマジックで例えるの？」
最近アリーナ始めたのでっ！
現役時代の賞金ぶち込んでパック剥きまくってますっ楽しいですねガチャ！

「ほどほどにね……」「沼ってるわ」「シャドウバースやろうぜ」
えへへ、家計は旦那に握らせてるのでヤバくなったら止めてくれますよ多分っ！
そう言えばマジックのクリーチャータイプに馬/Horseっていうのがあって四足歩行の
～～しばらくおまちください（優しい音楽）～～

おっとぉ、どうやらデジたんデッドプールしちゃったようですねっ！シュマちゃんに「カオスというよりタブーでしゅ」って諫められちゃうっ！！
Arena（あれな）話は置いときまして、デジたん感謝祭は第二戦に突入ですっ！

5
「うまぴょいだ」「セックスですね」「デジたんをプレゼントしたんだ」
んん～～外れですっ！仕事の疲れを労うのに体力を使わせる訳には行きませんよっ！

「フェラだ」
バカっ！シンプルにバカっ！！
正解は勤労感謝ケーキですっ！家のキッチン使うとバレるので友人宅のお台所を借りて作りましたよっ！！
試行錯誤で失敗続き、お出しできないクオリティのものが出来上がったらその度デジたんの胃袋に捨てたので実はちょっと斤量がましてますえへへ。

「ぽよぽよお腹見せて」「むちむちデジたんいい……」
うるさいぃ！ぽよぽよじゃないですよ失礼なっ！
お仕事が終わったタイミングで「甘い物でもどうですか」ってお出ししました。
とっておきのお酒も開けて、二人で幸せなひと時を過ごしましたよえへへ。ああ、お酒は今日のこれとは違う奴ですよ？

6
感謝ってされるのも勿論ですけどするのも気持ちがいいもんですっ！
あのねえ……古参のファンなら知ってると思うけどデジたん自己肯定感低いんですよ。
だから誰かに何かしてもらうと、こんな自分に申し訳ないなぁってつい「ごめんなさい」って言っちゃう時期があったの。
でも「ごめんなさいよりありがとう」ってどっかで読んでから、それを心掛けるようにしてるんです。
それにね？感謝って相手を自分より上に持ち上げる言葉だからさぁ、何だろな、人を上下で見る、というか。他人と自分を比べちゃう人って口にするのに抵抗感あるんですよ、ピンとこない人もいるでしょうけど。
そう言ったしがらみを放り捨てて、「ありがとう」って素直に言えるようになるまではデジたん実は結構時間がかかりました。

……おっと真面目な話をしてしまったっ！デジたんはコンプレックスの話になるとしんみりしてしまうっ！！！
皆さんにはデジたんしょうがねえなあって思って欲しいのにっ！あ～この「しょうがない奴だなあ」って思ってもらう事の安心感については、またちょっと日を改めて話をしようと思います。

ではそろそろお時間なのでエンディングを……。

7
「うまぴょいした？」
……した。
しーまーしーたっ！これで満足ですかっ！？
では徳井（義実）さんのNEXT FRONTIER をどうぞ～♪バイデジ～♪

--
ゴドーを待ちきれない

1
「うん、今日ご飯いりませんから。ごめんなさい、先寝てていいですよ。」

アグネスデジタルが通話を切ると、向かいの席の女子大生が両手を合わせて頭を下げた。

「ごめんね付き合って貰っちゃって！」
「とんでもない！あたしもわからないところありますし！」

向かいの彼女がチキンナゲットを手に取るを見て、デジタルも山盛りのポテトを摘まむ。
ファーストフード店の二人用の席、広げられたのはナゲットにポテトにバーガー、そしてそして雑多なレジュメだ。

「じゃあ張り切ってやっていきましょうかぁ！」
「デジって数学得意？」
「うう～～～ん……詰まったらもう一人呼びましょう！」
「了解。」

2
ウマ娘ファンサークルで出会った同志に、偶然にも同じ学年で同じ講義を受ける仲間がいた。
今回の課題はかなりの難物という事でどちらともなく声をかけ、今回の勉強会と相成った訳だ。

「これは定理が使えますから……」
「あれ？それ自明でいいんだっけ？」
「違いましたっけ？ここでもう証明してると思ってましたけど。」
「いや、これは飽くまでその前提部分でしょ？」
「あれ？そう言われるとそんな気も……でもここは近似で押し通せません？」
「んん？いや、いけそうな気はするけどだめでしょ……？」
「うう～ん。」
「うぅぅ～～ん。」

ウマ娘とヒト娘がポテトとナゲットをぱくつきながら眉根を顰めている。
大学近くという特殊な立地ならではの光景だ。

3
「助っ人呼びますっ！」
「デジたんお願いっ！」

合掌する同志に気にするなとジェスチュアしつつスマホの履歴をプッシュ。

「あ、もしもし教授？」
「はっ！？」

驚く同志を尻目にデジタルは淡々と会話を進めていく。

「前貰った課題なんですけど、友人と意見の食い違う所がありましてぇ……。すみませんお忙しいのは重々承知しておりますはいぃ……。
え、今大学前の大通りのハンバーガー屋さんです。あ、そうですかそうですよね、じゃこれから向かいます。すみませんありがとうございますぅ、お時間頂戴してすみませんはい、では、では～♪」

あっけにとられる同志に「アポ取れました、行きましょう」と言うが早いかカウンターまで言って持ち帰り用の袋を店員に強請る。

4
「お待たせしました♪」
「デジ凄いね……。」
「？何がです？」
「まさか教授直撃とは思わなかったよ。」
「だって一番課題に詳しい人ですもの。ダメ元でもアタックする価値がありますっ！」
「それにしたって……。」
「こんなのも解けない奴は振り落とす！ってんなら話は違いますけどぉ、
出した課題に真摯に向き合ったけどわからないって言われたら、教える立場としてはむずむずして、ヒントぐらいは出したくなるでしょぉ？」
「そんなもんかぁ……。」

『先生』を直撃する、というのは学びを得る最短距離の一つだ。門前払いも往々にしてあるがそれでも特に損する訳で無し、試走しない理由にはならない。

「今日は教授もご機嫌よろしいみたいですし、お待たせしないうちに行きましょぉ！」
「そうだね！ありがとデジ！」
「いえいえっ！」

5
押しかけて来た女子大生二人を堅物そうな教授は普段見せないような朗らかな笑顔で迎え入れてくれた。
ナゲットやポテトを摘まむ二人に、今回の課題のキモや二人がそれぞれ誤解している点の解説、そして今回の課題の狙いなども饒舌に語ってくれた。
1時間だけ、というアポイントを大幅に超えて、気が付けば件の教授は二時間半も語りつくしてくれた。
何故今回の問題を課題としたか、何を学んでほしかったか、次回の講義で教えるべき内容、更にもっと大きな年間計画と数学の深淵について。

「ごめん、こんなにしゃべるつもりじゃなかったんだが。」

そんな教授の言葉が合図となり、三人だけの特別補講はお開きとなった。デジタルも同志も頭を下げ退室する。教授棟を出ると空はすっかりと黒に染まり、息は白く色づく。

「デジ、ありがとね、助かったよ。もやもやしてたところがすっきりした。教授があんなにおしゃべり好きだと思わなかった。」
「あたしもですっ！流石にデジたん一人じゃ断られてたかもしれませんしっ！」
「ええ？何？じゃあワタシは人数要員ってことだったのぉ？」
「あああ～～いえいえそんなことは全然全くありませんともっ！」

6
「わかってるって♪冗談冗談。いやあ為になったよ。固い人だと思ってたけど所謂ヲタクさんなんだね、喋らせると止まらないタイプ。」
「えっへへ、デジたんもヲタクなので、何となく匂いでわかるんですよね、『自分の好きなものを好きな人だけが近くに居て欲しい』っていうのが。」
「ああ～～わかるわぁ～～～。そっか、大学教授って学問ヲタクなんだ。」
「正直教授がそれじゃ困りますけどねっ！」
「あっははっは！それな！」

それから夜空の下、他愛もない話をして二人は別れた。

『わからないときは本人を訪ねてみる』
これはデジタルが競走バ時代に得た教訓だ。トレーニングの意図が分からない、勝負服の意匠に疑問がある、レースを辞退したウマ娘ちゃんの真意を知りたい。
それぞれ、トレーナーに、デザイナーに、ウマ娘ちゃんに直撃を試みて、大きな知見を得た経験がある。
話してみなければわからない事がある。叩いてみなければ開かない扉がある。たとえ当人が門戸が開かなくとも、裏口の開け方を教えてくれる人がいる。
世の中の人は皆、何かを語りたくて仕方がないのだ。

7
「ごめんなさい寝てました？起きてた！？よかった。今から帰りますっ。夕飯は食べて来たからいいですっ。ごめんなさい急な話でっ。その節は難しい課題がありましてぇ……。」

寒空の下、白い息を吐きながら電波越しに電話で伴侶と話をする。
この時間がたまらなく愛おしい。早く会いたくてたまらない。夕餉は要らないと唐突に告げたことを謝りたい。友人との課題に立ち向かっていたのだと言い訳したい。堅物だと思っていた教授の気さくさを話したい。

帰宅して。テーブルを挟んで。べらべらと喋り倒す自分に伴侶の少し面倒そうな顔が目に浮かぶ。今のデジタルにはそれさえも待ち遠しく愛おしい。

生きたというだけじゃ満足できない。
生きたってことを話さなければ。

----あなたに。

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凄いぜ大学！

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
先日は久しぶりに競バを見に行きましたっ！
大学のテスト期間も終わりまして、久々に羽を伸ばしてきたのですよっ！いやぁ最近のステージのクオリティは凄いですねっ！
自分が舞台に立っていた頃とよりもずっとずっと設備もダンスも歌も進化してましたっ！
ウマ娘ちゃんも一層キラキラ輝いていて凄いっ！
ほへぇーっ！ときゃああーっと！あっけにとられたあっと言う間のお時間でした。
ああ……しあわせ……。

2
翌日は大学のサークルの同志に意見を開陳ですっ！
あそこが良かったあの娘が良かったあの演出凄かったもう一度聞きたい見たい！！
ああ、自分の好きなものを好きだと言ってくれる人の何とありがたいことかっ！デジたんもしかしたら今人生で一番幸せかも！？

大学って、本当にいろんなところから人が入ってくるんです。ここにしかないものを求めて、日本中からヒトもウマ娘もっ！
だから本当に色んな人が居るんですよっ！
あのねえ、今はそうじゃないかもしれないけど、ものの本にあったの。
「企業が大学生に求めるものはコネとコミュニケーション能力だ」って。
色んな人が集まる大学っていう場に居た、そこでいろんな人と交流できたって事実が大事なんだって！
特に有名な大学だと企業やら政治やらの上流階級もそういうすっごい大学を卒業してるから、
「自分もアナタの後輩なんですよ」「あらそうなのかい？」ってコネが出来るのが偉いんだって！
ねえ、身も蓋もないよねえ！でもそんなことを実感したんですよっ！

3
勿論中学卒業や高校卒業で就職する人も沢山いるし、そういう人たちが悪いって言うつもりは全然ないんだけど。
大学っていう場は学業や技術とはまた全然別に、全国規模の交流の場っていう事が言いたかったんですっ！
デジたんはトレーナーになるために大学に入ったんだけど、実際入学してみると全然最初の印象と違いましたねっ！
まず広いっ！キャンパス広いっ！！ウマ娘レーン走らないととても次の講義に間に合わない！！
あと自由っ！必要な単位さえとればほかの人が講義受けてる90分も好き勝手してていい！！
誰も生き急げなんて言ってくれないんですっ！その自由時間の間にキャンパスを歩き回ったりサークル室でだべったり。ここって本当に学び舎？！
この解放感の為だけに大学はあるのだ、という気さえします。
凄い人は休学して海外に飛んだり、自主退学して院に飛び級したり、講義を受けながら起業したりする人もいるんですよっ！！
ここって本当に学び舎？！（二回目）

4
勿論勉学方面でもベラボーですっ！あちらこちらに立つ棟には教授達が巣くっていますし、
図書館と言ったらもう滅茶苦茶にでかいです。歴史学社会学数学化学物理学人文科学裁判判例集生物植物写真集その他もろもろのもろもろのもろもろの……。
知識を食べて生きられるなら1万年は入り浸れるほどの知の殿堂っ！
はあっ！はあっ！はぁ～～～……（ぐびっ）。失礼しました。
ウマ娘ちゃんのライブの話をするはずだったのにいつの間にか全然違う話になってましたねえちょっと落ち着きますすみません。

5
そうそうウイニングライブですっ！後生畏るべしとは正にこの事で、自分が嘗てあの舞台で踊っていただなんて信じられないぐらい進化していましたねえ。
デジたんなんて所詮たまたま時代に乗れたからあそこに立てていたのであって、本来はこうして夢見心地でサイリウム振るのが本当の姿なのだと思い知りましたよ！
しかもインターネットで別途ライブ映像も配信するんですって！！いやあいい時代になったもんですっ！

6
おっともうお時間ですねえ。
この後はツインターボちゃんのチャンネルでスタミナチャレンジだもんっ！第23回の配信予定ですぅ。
逆噴射後はセクシー系ASMRに変貌すると専らの噂のスタミナチャレンジ、デジたんも勿論視聴させていただきますっ！

最後はデジたんとっておきのツインターボちゃん逆噴射セクシー吐息切り抜きメドレーでお別れですっ！
大学生のモラトリアム特有の時間を注ぎ込んで作り出したえっちターボ詰め合わせをどうぞ味わってくださりませそれではバイデジ～♪


--
年末進行

1
12月初旬。
この時期は元競走馬現女子大生アグネスデジタルにとって嵐の季節である。
言わずと知れた、『冬の文化大章典』に向けて創作を行うためだ。
普段は休み時間ごとにサークル室に飛び込む彼女も、この時ばかりはできうる限り部屋に閉じこもりPCに向かい合う。
タブレットにスタイラスペンを走らせながら、己の妄想を具現化していくのだ。

2
今回のテーマは『ゴールの向こう側』。
ライバル同士の競走バ達の、第二の人生である。
エンディングはよくある、「人生は続く」というもの。
しかしこの平凡なエンディングを感動的に見せるためには相応の波乱が必要だ。
主役二人だけでなくそれを取り巻く友人や家族も、誰も悪い訳ではないのにどうにもなりそうもない波乱が起きてしまう。
その困難を乗り越え、そうして辿り着く「それでも人生は続く」。
プロットは出来ているはずだが、二次元へ描き起こして行くとどんどん収まりが悪くなっていくのは毎回の事だ。

3
元々デジタルは、もっとシンプルなウマ娘同士の愛や友情の交流の様子を描いた作品を主にしていた。
骨太のストーリーを主軸にするようになったのはここ数年の事だ。
「結婚してから作風変わった」「やはりあの本描く時に処女を失ったのか」
などという声もありつつ、『ストーリー同人誌のデジタル先生』の評判を少しずつ掴みつつある。

「……しっくりこないなぁ……。」

ネームとプロットのメモ書きを交互に見つつデジタルは頭を抱える。
序・破・急。起承転結。ストーリーである以上、それらはできうる限り必然でなければならない。
そして主人公たち自身の力で困難を乗り越えなければならない。
描きたいシーンはある。見せたい思いはある。
そこに辿り着く為の道筋を用意しようとすると、脇役のキャラクター設定や場面設定と言った前提条件までやり直さなければいけないこともしょっちゅうだ。
しかもそこまでしても読者に受けるとは限らない。

4
作風の変化は先の指摘の通り、デジタル自身の生活が変わってしまったからだろう。
競走バとして輝くウマ娘だけでなく、それを支える多くの人たちの存在を知った。そして彼らもまた尊く、そして何より、その末席に自分自身が居るという事を知ってしまった。
引退した今でも、『アグネスデジタルのようなオールラウンダーに』などと言う形容を時折耳にする。
バ場を降りても、競走バであったことからは逃れられない。そこにあたしが居なくとも、ウマ娘ちゃん達やファン達はそこにあたしを見たりすることがあるのだ。

「これじゃ動機が足りない……いっそ身内死なせるか……？」

瘴気を漂わせながらプロットと向き合うデジタルの耳に、ノックの音が聞こえた。

「……どうぞっ！」
「お疲れ。」

ハーブティー入りのマグと、クッキーの乗った皿を盆に乗せて夫が入って来た。

5
「すみません、毎年この時期は心配かけて。」
「言いっこなしだって毎年言ってるよ。」

頭を下げてマグを手に取るデジタルに、夫は穏やかに笑った。

「……意見貰ってもいいですか？」
「僕でよければ。」
「ではですねえ……。今書こうとしているのが2年前にG1取ったあの二人のウマ娘ちゃんなんですけど……。」
「ふんふん。」

劃して、夜は更けゆく。

6
「終わったぁ～～～～！（ネームが）」

某日未明、家中に響く大音量でデジタルが嘶いた。後はリモートでアシスタントに手伝ってもらいながらペン入れとクオリティアップに専念するだけだ。
早割入稿にも間に合う目がある。
椅子を降りてクッションの上にダイブし意識を手放す……直前に。
彼女はガバリと起き上がり再びPCに向き合うと先ほどネームを切った主人公二人のヤまなしオちなしイみなしのイチャイチャアフターエピソード4P描き殴りストレスを昇華させ、もう一度クッションに頭を委ね、今度こそ間違いなく、甘美な眠りに落ちた。

明日以降はアシスタントへのボイチャ指示で今までとは違った騒がしい作業が始まる。
闘いはまだまだこれから、締め切りに負けるな、こだわりに潰されるな、がんばれデジタル先生。

夫は既にノイズキャンセリングイヤホンを購入済みだ。

[余談]東方の作品で神主結婚発表直後「シリーズのこれこれは様子が違ったからやはり神主はあの時に童貞を失ったんだな」みたいな感想があったので参考にしました


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神様は何にも禁止してない遊び

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
久々のFC2ライブですよっと。
あのねえ、現役時代から知ってはいたんだけど触れなかった話題でね？
匿名掲示板で「デジたんに歪んだ性欲をぶつけたい」ってスレッドが度々立っててぇ。
知ってますよっ！見てますよっ！！デジたん舐めんなっ！！！
でね、デジたんとしてはやっぱり怖くはある訳です。
力づくでとか、痴漢でとか、脅されて、とか望まぬ相手に迫られるのは。
でもそれが正直な欲望なのもよおぉ～っく分かるんですよ。
やっちゃいけないことってとっても刺激的なスパイスですものねっ！
現実じゃありえない事だからこそ理想なのですものっ！！

2
男の人のそういう欲望をですね、全部理解できるとは言いません。
受け入れて上げる事もできません。バツ！バツですっ！！デジたん既婚者ですしっ！！！
でも何というか、そういう、強引に抱きたい、支配したいって欲望を向けられるの、怖いけど、光栄でもあるって気持ちもあるんですよ。
あ、誤解しないでくださいよ！？痴漢や合意の無い行為がOKって訳じゃありませんからねっ！？！？
気持ちはわからないでもないよ、ってだけの話です。
何故かというと、デジたんはナマモノヲタクだからですね。
ウマ娘ちゃんの素晴らしいお姿を見るだけでなく、どうしても色々と妄想してしまう生き物なのです。
現実ではなくフィクションを、ファンタジーをっ！
甘々スウィートだけでなく苦みのあるビターな関係性も、スパイシーでホットなライバル関係もっ！！
「もしもこうだったら」を何度も何度も思い浮かべては噛み締めてきたデジたんですからっ！

3
だからねぇ……。
このリアルデジたんの身を皆様に捧げる事は当然できないんですけどぉ……。
でもでもそういう皆様の剥き出しでバキバキのガチガチでトロトロに溢れる欲望を否定する資格は無いのです。
そういう人にも幸せになってもらいたいと思って。
だってその人たちにまだデジたん襲われていませんしっ！
デジたんをそのぉ……乱暴に抱きたくて仕方ない人たちがいることをですね。知ってしまった以上……「いやぁん来ないでぇ♪」なんてカマトト言えないのですよっ！

……で、これ事務所とも相談して色々考えたんですけど。
デジたんのセンシティブ二次創作については、『黙認』ではなくて『許可』の方向で行こうと。
これ本当に危険な決断だったんですけどね。

4
やっぱり、ほかのウマ娘ちゃんで散々妄想して本描いてるデジたんが、自分は描かれるのヤだなんて言えないなって言うか。
それにそれにっ！デジたんは許可してるぜっ！って事が広まればほかのウマ娘ちゃんももしかしたらそれに倣ってオープンになってくれるかも……いやいやもしかしたらですよ？
そういうほのかな期待もありつつっ！

それにね？どこまでが名誉棄損なのかってやっぱり線が曖昧じゃないですかっ！
ヌードは？オナニーは？ぶっかけは？セックスは？ボテ腹は？苗床は？惨殺は？食肉は？スカトロは？
どれがダメでどれがいいのかわからない、ってなったら、一番厳しいラインで自粛するしかなくなりますよね。
谷間やおパンツを描くのも恐る恐るになる訳です。そんなのデジたんも正直窮屈です。
だから、デジたんを描いてくれる人に対してぐらいは自由になって欲しいなって。

「ゴアあり？」
表現としてはありだと思いますっ！デジたんをぐちゃぐちゃにぶち殺したい人もきっとこの世には居るでしょうしねっ！
その思いを否定することはできませんっ！！

5
「見て見ぬふりの方がマシなのでは？」
デジたんが描く側じゃなければねぇ……。
ぶっちゃけデジたんがエゴサーチしてないなんて言ったって絶対信じないでしょ？デジたんは絶対自分が描かれた作品チェックしてるってみんな思ってるでしょ？
過激な表現で「これは流石にデジたん怒るんじゃない？」「黙認してるからってやめたほうがいいよ」みたいな空気が形成されるのが嫌なのですよ。
『まず全部許す！』
それを一旦宣言しておけばみんな胸のつかえが降りるんじゃないかと思ってさ。

「デジたんフリー素材化宣言」
そうそう。少なくともデジたんを扱った作品に関しては「やめて」とかは言わないようにしようって決めたのです。
公式サイトの方にも後で方針書くんで、参考にしてくださいねっ！

6
さあ許してあげましたから、皆さんっ！
デジたんを乱暴に抱いたり脅迫して抱いたりお薬で虜にしたり暴力を振るったり排泄物に塗れさせたりみじん切りにして殺したりしていいですよっ！
何かね、正直言うと。そうして剥き出しの欲望に弄ばれる事で、デジたん自身のナマモノの創作に対する償いになる気もしてるんです。
つまり自己満足の部分も多いのね。

凄く難しい所ではあるんだけど。一先ずはそんな感じですっ！
そろそろお時間ですねぇ。
今夜は以下のURLの、デジたん3Dモデルを使ったセックス動画をご紹介してでお別れですっ！
見てますからねっチェックしてますからねっ！！バレてないなんてタカをククっちゃだめですよっ！

……ファンの方を題材に二次創作描くのもいいかもですねえ、じゅるりら♪うふふぅ♪


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雨降って夜更け過ぎに

1
「脱稿のお祝いに。」
「有馬記念の健闘を祈って。」

アグネスデジタルと元トレーナーであるその夫が、グラスを鳴らした。
今日は12月3週目の金曜日。何の祝日でもない。
だが彼女らはこの日を自分たちのクリスマスと定めた。
まだ空席の目立つ高層階のレストランに、気の早いイルミネーション。
これが二人だけの、特別な降誕祭だ。

2
二人が結婚を前提の同棲を始めて初の12月。テーブルの上の夕餉を挟んでその戦争は勃発した。

「クリスマス近辺だってアナタ仕事あるでしょ？！一番大事な時期じゃないですか！！」
「それでもキミと一緒に過ごしたいから無理を言って来たんだよ！」
「ウマ娘ちゃんの調子を見る以上の無理がありますかっ！？」
「大事な日ぐらいボクはキミと過ごしたいんだよっ！」
「大事な日なんていくらでもありますっ！大事なウマ娘ちゃんのレースを等閑にしていい理由なんてありませんっ！！」
「キミだって年末無理だって言うけどそれはキミの希望だろ！？同人誌即売会だって！？それはいいよ行って来なよ！！だから僕の希望も聴いてくれよ！！」
「話を逸らさないでくださいっ！！アタシはアナタに、ウマ娘ちゃんの世話をちゃんと全うしてくださいって言ってるんですっ！」
「ボクにとって一番大事なウマ娘はデジタルだっ！」
「ああああああ～～～～！？！？！？それは言っちゃダメでしょおっ！？ウマ娘ちゃんはみんな平等に尊くて素晴らしい、」
「ボクがキミを愛しちゃダメなのかよっ！？」
「～～～～～～～～っっっつつつ！？！？！？！？！？」

3
クリスマスや年末年始こそこそプライベートを大切にすべきだ。
だが、二人にとってそのプライべートの意味は全く違っていた。

感情と理屈をぶつけあい気力も言葉も尽くして、お互い青息吐息しか出ないほど真っ平になった先の先。
どちらが言い出したか。

「時期をずらそう。」

クリスマスにクリスマスをやる必要はない。
年末年始に年末年始らしいことをする必要はない。

海の向こうでは旧正月なんて風習もあるのだ。アグネスデジタル家で特有のカレンダーを使ったって、誰が困る訳でもあるまい。

4
そんな訳で、和平条約の条件として、
『クリスマスは12月3週目、有馬記念の前週に執り行う』
『年末年始の行事や里帰りは、1月2週目に執り行う』
と決定した。

競バはショーだ。ショーである以上、クリスマスから年始まではびっちりスケジュールが詰まっている。ウマ娘のサブトレーナーとしてショーマンシップの一端に居る夫がこの日程から一人逃れるのは土台無理な話だ。

年末には大規模な同人誌即売会がある。創作者の一端に居る妻がこの日程から一人逃れるのは、到底無理な話だ。

それに、実際イベントをズラしてみると、こんな風にニッチな余裕を味わえるという僥倖もあった。

神様は何も禁止なんかしてないと誰かが歌った。神様はきっと何も強制なんかしていない。
ぶつかって考えた果てに辿り着いた知恵に、ちゃんと報いを用意してくれている。

5
「ん～～一年ぶりのシャンパンです♪」
「気に入ってもらえたかな？」
「はい♪」

デジタルは頷いて、目の前の料理にナイフを入れる。フォークに刺すのは炙った鮪。滴りそうに旨味を湛えた肉片を口に入れる。

「ん～～～～♥美味しいっ♥」

両手を頬に当ててカマトトぶる妻に苦笑いしつつ、夫も同じく口にする。
絶句。

「これは……凄いな。」
「でしょぉお～♪」

自分で作った訳でもない癖に、妻が得意げに笑って見せた。

6
一口ごとに。一言交わすごとに。お互いにとってこの時間が特別だと分かる。
クリスマスなんて口実だ。年末年始なんて暦の都合だ。
特別な予約で特別な時間を用意して特別な料理を食べる。これ以上のスペシャルなんてあるものか。

主張としては全面的に夫がデジタルに負けた形になるが、悔いは無い。
クリスマスと年末年始はお互いのプライベートに専念。二人の大事な時間は、二人の都合のいい時に取ればいい。
ああ、デジタルは何てロジカルでデジタルなウマ娘なんだろう。

デザートを平らげてドリンクで飲み干した夫が、熱を帯びた視線で妻を見た。二人は今日、このビルのホテルに宿泊する。
妻もそれを見てグラスを一気に干し……。
ウインクで、ゲートインを知らせた。


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神を細部に宿す

1
はい、これで作業終了ですっ！皆さんお疲れさまでしたっ！
アシスタントを務めてくれた、
マルさん
デュアルさん
セーフティさん
ミノルさん
三月さん
リコリコさん
九尾さん
皆さんありがとうございましたっ！

アシスタント料はいつも通りスイス銀行の口座に振り込んでおきますっ！

2
「ターボが一番役に立ったもんっ！」
「デュアルさん、名前を言ったら安心できなくなりますよっ！？」
「期待していますよ、デジタル先生♪」
「完了っ！健闘を祈るっ！」
「コンディションは乱さないように。目指す理想を正確無比に実現してください。」
「後は根性決めてくだけや！しっかりな、デジタル！」

ありがとうございますっ！
では、皆さんの音声は一旦ミュートにさせていただきます。
おかげさまで早割入稿間に合いそうです！特殊加工も欲張れるかな？

……さてここからはデジたんの独り舞台でございます。
先ほどまで配信で見ていただいた共同作業に加えて、更なるクオリティアップをしていきます。

3
まずベテランのマルさんにお願いした影のトーンですねぇ～。
流石マルさんよくわかっていらっしゃる！えいえいMoonなデジたん好みの陰影をいくつもパターンで用意してくれております。
今回は2番を採用して……トーンはもうちょっと削るかな……。シャッシャッと。

「削りに迷いがないっ！」「何で一発で決められるの？！」

まあこれはマルさんとデジたんの付き合いの長さもありますのでぇ～♪
次にデュアルさんにお願いしたベタの微調整ですね。

「ター……デュアルさんのベタめちゃ早かった」「塗りつぶしツール使うだけじゃないんだね」

そうそう。塗りつぶしクリック一発ならわざわざ人に頼んだりしませんっ！
ラフだとどうしても隙間ができてそこから漏れちゃったりするんですけど、デュアルちゃんはそこをちゃんとわかってくれてですね。
最短の手順でベタっとするのが得意なのですっ！

4
感覚型の天才って奴ですねっ！言わなくても意思疎通が出来るところがあるのですよっ！
で、ちょっとはみ出ちゃった所はこうして……こうして……。
ねっ！消しゴムで処理完了ですっ！

んん～～ちょっと気になったところは、こうして、こうしてぇぇ……（カチカチカチカチ）


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セーフティさん、ミノルさん、三月さん、リコリコさん、九尾さんの修正もマージします。
ドーン！

5
うひゃあ見てくださいクオリティがぐぐんとアップしましたよねっ！
競合してる奴はこれを……（カチカチ）こっちは陰影が欲しいのでこっちを……（カチカチ）。

ああああ～～～～凄い……。
すみませんデジたん少し感動してましたぁ。
あのね？指示した作業って言ってもやっぱり個人ごとの特色って出るんですよっ！
ただベタ塗りして欲しいってだけでも、デジたんの想像を超えたところが生み出されたりするのですマジマジホントっ！
見てくださいこのデュアルちゃんの塗ったベタ！デジたんじゃ絶対こんな風に境界線を切りませんっ！でもこの大胆さが作品に不思議にマッチしているんですよっ！！
マルさん、セーフティさん、ミノルさん、三月さん、リコリコさん、九尾さんにやってもらった部分も、それぞれデジたんの想定とは違うんですけど、それがデジたんの想定以上にいい味を出しているところもあるっ！

はぁあああ～～～♥ 創作活動って何故こんなにも甘美で楽しいのでしょう……♥

6
なんて浸っている時間はありませんっ！
ベタとトーンや細部の調整の作業に入ります、解説しながら作業するつもりですが黙ってたらすみませんっ！

「うわ、それで凹凸出せるんだ！」
「アシの描いた奴がっつり消した！」
「ああ確かにその線で事足りるのか！」
「動と静の演出上手いな」
「アーカイブ残してほしい」
「ツインターボって手先器用なんだな」

おいおいっ！ デュアルちゃん！デュアルちゃんですっ！！ウマ娘ツインターボちゃんとは何の関係もないアシスタントですよっ！
ちょっと作業に集中したいのでミュートにしますっ！意見は大歓迎なのでガンガンコメントくださいっ！！それでは一先ず、バイデジ～♪


--
関係ねえ戦いてえ

1
「繰り言になってしまうが、やはり秋の天皇賞のデジタル君は見事だったな。」

ボイスチャットでテイエムオペラオーが言う。

「え、えっへへ、ありがとうございますっ！本当、ただ必死で！」
「凄い末脚でしたぁ～。」

照れるアグネスデジタルにメイショウドトウが続く。
それを聞いて、オペラオーが切り出す。

「あのレースについては、文句をつけるつもりはない。キミが強かった。
だがね？僕とドトウ君がライバルと呼ばれていたことは君も知っているだろう？」

2
「は、はい！存じておりますっ！」

画面越しに背筋を伸ばすデジタル。

「その後はこの三人で戦う事はなかった。
……未練と笑ってくれていいよ。ボクは実は、キミと、ドトウと。もう一度戦いたいんだ。」
「ヒョエ？！」
「わたしも、オペラオーさんのライバルとしてもう一度走りたいんですぅ！」
「ヒョエェ！？！？」

お互い既に現役を引退した身。走行能力は当時に到底及ばない。
それでも。アグネスデジタルにライバルという関係そのものを切り裂かれた二人は雌伏していた。二人とも、そんな「萌える」関係性のレースをデジタルが断るはずがないとわかっていた。
言わばこれは二人からのリベンジマッチの日程調整連絡だったのだ。
そう、お誘いではなく日程調整。デジタルが断るはずは、無いのだから。

3
1枠1番、アグネスデジタル。
2枠2番、テイエムオペラオー。
3枠3番、メイショウドトウ。
2か月後のトレセン学園ターフレース場には、伝説の三人がゲートインしていた。
芝・ダートと国内海外で上げた勝利は数知れず、バ場を選ばぬ変態勇者アグネスデジタル。
G1七冠、中距離から長距離まで勝って見せた距離を選ばぬ覇王テイエムオペラオー。
そのオペラオーに挑戦し続け2着へと阻まれ続けたメイショウドトウ。

3人とも既に現役を離れて長い。今から行われるエキシビジョンマッチが何の格付けにもならないことは、誰もが分かっている。
だがそれでも。
「あの秋」の再現が見られるのなら、値千金。

それぞれのゲートの中で気炎を吐く三者三葉の様子に、観客席のウマ娘達や関係者は息を呑む。
真剣な表情を湛える三人の姿は、それぞれに黄色、桃色、青色の炎を幻視させた。

4
ゲートオープン。
オペラオーとメイショウドトウが飛び出した。二人とも2500mでの勝利経験がある。スタミナではデジタルが一歩劣る。
まずはハイペース展開で体力を削り邪魔者を排除しようという作戦だ。
だがデジタルはほくそ笑む。夫、元専属トレーナーが想定した通りだったと。
スタミナで勝てないのならば瞬発力で勝てばよい。
デジタルは自分より先にコーナーを曲がる二人を見送りながら、じっくりと脚を矯めていた。

一方オペラオーとドトウは第一コーナーから第二コーナーまで視線を交わして蜜月を味わう。
――――やはり僕のライバルはキミだ、ドトウ！
――――あなたに勝ちます、オペラオーさん！！

その様を見てアドレナリンを噴出させるデジタルに、誰も気が付くことはなかった。


5
第三コーナー。最早並ぶオペラオーとドトウのどちらが勝つかの勝負と誰もが思った。
最終コーナー。外から捲り上げて来る悪夢の足音に誰もが恐怖した。

「やはり来たかデジタル君っ！」
「デジタルさん、凄い末脚ですぅ」
「オペラオーさぁん♥ドトウさぁぁん♥♥」

ここに至ってスタミナの温存に意味はない。
オペラオーもドトウも勿論デジタルも、最高速にギアを入れる。
後はもう、持って生まれた脚の速さの勝負。2か月の特訓の成果の勝負。
次の一歩を今より速く。それ以外は考えない。
ゴールの時に鼻だけでも出ていればいいと賢く加速と態勢をコントロールできるオペラオー。
そのオペラオーを常に追い続けたメイショウドトウ。
そんな二人をまとめて抜き去ったアグネスデジタル。
その勝負の結果は……。

6
3人でターフに仰向けに寝転がり、息を荒げる。
その風景に観客席から地響きのような歓声が反響する。
それが全てだろう。

「……すまなかったねデジタル君。無理を言って。」

絶え絶えの域でオペラオーが言う。

「とんでもないとんでもない！こんな幸せな時間はありまげほっげほっ！」

慌てて応答しようとしてむせ返るデジタル。

「大丈夫ですかぁ、はぁ、はぁ……デジタルさん……？」
豊満な胸を上下させながら呼吸するドトウ。

7
皆既に現役を引退した身。走行能力は当時に到底及ばない。
それでもウマソウルが。記憶が。脚が。
白黒つけろと疼くのだ。
只で済ますなと喚くのだ。
オペラオーはそれを制御できずデジタルにぶつけたことを恥じ、
ドトウはその恥を請け負ってくれたオペラオーに恥じ入った。
そしてデジタルはその全てを光栄として受け入れた。

「もしあの時ああだったなら」
それは全ての生命の夢だ。その夢をたった今この三人は叶えた。
望む結末でなかったにしろ、寿ぐべきこと。
それは草塗れになりながら、笑顔で大の字にのびる三人を見れば分かる。


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過去が今を支え、思い出が未来を紡ぐ

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
すみません、寝てましたっ！1時間遅れでスタートですおまたせしましたぁ……ふわぁ……。

「何か言い訳は？」「お疲れさまでした。」「いいレースだった。」
えっへっへっへ。
えーとですね、今日はトレセン学園でっ。あのテイエムオペラオーさんとメイショウドトウさんと。
エキシビジョンマッチをやって来たのですっ！で、萌え萌えに燃え尽きまして。今まで寝てましたすみませんっ！

今回はその話をしようかなと思いますっ！

2
切欠はオペラオーさんドトウさんとのビデオチャットですね。2か月前かな。
お二人とはよくチャットで話すことが多いんですけど、オペラオーさんから切り出されたんですよ。
「この三人でもう一回走らないか」って。
そんなもん受けるに決まってるじゃないですかっ！！
で、色々話をしていくうちにですね、実はもう外堀がガチガチに埋まってることが分かったんですよっ！
オペラオーさんが所属してるテイエム芸能事務所と、うちのパカライブ運営と、あとドトウさんとでもう話進んでたんですって。

元々オペラオーさんが「ドトウさんともっと戦いたかったなー」って事務所の人に漏らしたのが発端だそうで。
それを聞いたマネージャーさんが、デジたんとドトウさんのスケジュール取れるかどうか走り回ったそうです。
で、テイエムさんとこの偉い人が「その三人がやるんなら金が取れるようにやろう」とデジたんの方の事務所に相談したそうで。
うちの事務所も二つ返事で受けまして。

3
実はね？その切欠になるチャットの前に。前々からウチの事務所から予定は聞かされてて、まだ走れる？とは言われてたんですよ。
具体的な話はまだだけど、2000m走ってもらうかもだから仕上げて欲しいって。誰と何を走るのかは「まだ予定だからはっきり言えない」って言われて。
とりあえずトレーニングはしてたんですよ、大学の勉強に影響しない範囲で。

で、さっきのオペラオーさんとのチャットで初めて聞かされたのですよ。三人で走りたいって。
話終わってすぐマネちゃんに電話しましたよ、言えよ！！！っつって！
元競走バ配信者として走るのとオペラオーさんドトウさんとのリベンジマッチで走るのとじゃ話が全然違うわ！って。

そしたらデジたんいつも配信しまくってるから一番捕まりにくかったんですって！あはは、マジですか！
その間にオペラオーさんドトウさんや事務所同士の話は進んでて、後はデジたんに伝えるだけだったんだって！デジたんは絶対断らないからやるって事だけ言えばいいだろって！
わははひっどい！ほぼドッキリ！

ていうかガチ芸能人のオペラオーさんより捕まらないペースで配信してるデジたんは何なんだろう？

4
「そんなバタバタしてたの……？」「オペドトウと戦うなら言って欲しいよね」
ねぇーっ！
リスナーさんはご存じでしょうけどオペラオーさんって凄い人なんですよ？
確かにデジたんはオペラオーさんに一度勝ちはしましたけど、デジたんがオペラオーさん以上の名バとはとてもとても……。
3000mで勝てちゃうスタミナとか、獲得賞金総額とか、6着以下には入ったことがないとか、本っっ当ぉーにメチャクチャなんですよあの人っ！！よく勝てたなデジたんマジで。

その話を夫にしたら一も二もなく休学届を出せと。あと2か月で世紀末覇王と戦うにはそのぐらいやらんとダメだと。僕も一旦仕事減らすと。
その後2か月は夫と共に特訓をしまして。皆さんには「配信休止します」とだけお伝えしましたがその真相はトレーニング専念でした。当時は心配させちゃって申し訳ありません。

「学業を疎かにして大丈夫なのか？」「休学してたのは初めて知った」
デジたんだってオペラオーさんドトウさんと本気で走りたかったんですものぉ。
アキテンの事を考えれば二人が手を抜くことなんて絶対ありえませんし、人に見せるレースにする以上肉体改造は必須でしたからぁ。

5
「いいレースだった」「デジたんやっぱり末脚凄かった」
おお、見てくれたリスナーさんもいらっしゃるんですねありがとうございますっ！
練習した甲斐あって、恥ずかしくないレースにはできたと思いますっ！
お二人も見るからに今回の為に体を仕上げて来てて。デジたんちょっと涎出そうになりました。嘘。出た。
チケットも無事完売しまして、よく整備されたターフで思いっきり走れました！
走るのって気持ちいいなって。エキシビションマッチみたいなこと、これからもずっとやって行きたいなあって。思っちゃいました。

とは言え、色んな人に無理を言ってやってもらった事でもあるので、なかなかねぇ～……。毎年一回ぐらいのペースで走れたら、いや、二年に一回ぐらいでも走りたいなぁって。

んでね。実は困ったことが一つ起きまして。
今回のレースを受けて、
「わたしだってオペラオーさんと戦いたい！」
「わたしにも白黒つけたい相手がいるっ！！」って話がわっと出てきまして……。
気持ちは凄くわかる。

6
この放送を見てくださっている引退バの方々が居たら言っておきます。
段取りはメチャクチャめんどくさいですっ！デジたんの場合はたまたま自分が最後のピースだったからそれほどでもなかっただけですっ！
レース場の予約やスケジュールのすり合わせだけじゃなく、特訓の為の期間もあります。その間の健康管理も当然必要っ！
テイエム事務所が「金取れるイベントにしよう」って言ったのがよくわかります。そうでもしなきゃとても出来ませんもの。

でもねえ、引退バのエキシビジョンマッチとか競走バじゃないウマ娘ちゃんの草レースとか、もっともっとやって欲しいし見たいって気持ちがあります。
いや、地方ではもうやってるのかな？
「だね、地方だと割と草競バもあるよ」「でも地方ってダートばっかりなんだよな」
そっか、そうだよね。さすがのデジタンも草競バまではチェックできてなかった。
それに障害走ウマ娘ちゃんとかばんえいウマ娘ちゃんとかもまだまだデジたんよく知りませんしねえ。
ばんえいウマ娘ちゃんはウマ娘ちゃんって言うよりはウマ娘さんっウマ娘様って感じですけどっ！

7
「ばんえいウマ娘の迫力凄いよね」「陸上競技で言うとハンマー投が近いのかな？」「地上最強の生物同士が戦ってる感ある」
うわぁあ～～っ♥デジたんも配信終わったら動画見ます見ますぅっ！
そんな訳でそろそろお時間ですっ！
この後23時からはタイキシャトルさんのチャンネルで
「シャトル式ブートキャンプ第8回 メリハリボディの為のパワーフードとジムナスティクスデース！」が配信予定です。
ちなみにデジタンは第1回からずっと実践してますが一向にメリハリが出ませんねっ！
個人差がありますっ！個人差がありますっ！！個人的感想ですっ！！！！

それではバイデジ～♪

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大学生はモラトリアムが仕事

1
「おはよう。」
「おはようございますっ！もっと寝ててもよかったんですよっ？」

ダイニングルームに入ってきた夫に、エプロン姿のアグネスデジタルが振り返る。

「今朝はご飯か。」
「えへへ、実はこういうの憧れてたんですよねぇ～♪」
「こういうの？」
「『古き良き日本の奥さん』って感じのっ。」
「君らしいや。」

そう言って席に着くと、間もなく白ご飯、味噌汁、卵焼き、刻み葱の乗った冷や奴、そしてお漬物がてきぱきと配膳された。

2
「流石に漬物は出来合いのものですけど。」
「僕だってこんな綺麗な香の物は作れないよ。」

苦笑いしながら味噌汁を一口。じっくり味わう夫を緊張の面持ちで見つめるデジタル。

「うん、うまい。」
「よかったぁ～♪」
「卒業したら本格的に家事分業してもらおうかなあ。」
「ちょっと考えましょうかねえ。」

向かいの食卓に座りながらデジタルが首を傾げた。
いつもは学業に専念し家事を夫に任せているデジタルだが、今日はちょっとした切欠があり役割を交代している。

3
昨晩。夫は料理中に一休みしている間眠り込んでしまい煮物を焦がしてしまった。
煮詰めただけならともかく焦げてしまってはもうリカバリーは不可能だ。
デジタルと二人して合掌しつつ鍋の中身をコンポストへ。

「最近疲れ過ぎなんじゃありませんか？」
「一晩寝れば治るよ。」
「眠り切れない一晩が積み重なっての居眠りじゃありませんか？」
「ううーん……。」
「わっかりました！明日はアナタはお仕事も家事も休んでくださいっ！家の事はあたしがやりますからっ！！」
「しかしキミ、大学は、」
「家族の健康の方が大事に決まってますっ！それにあたしの単位にはまだまだがっぽり余裕があるし頼りになる学友も居るのです、一日ぐらいどうってことありませんっ！」
「……参った。キミの言うとおりにしよう。」

という訳で、本日の夫は急遽「体調不良」という事でテレワークによるサブトレーナー業務も休暇をもらい、体力回復に努めることなった。

4
朝ご飯を平らげて寝室に引っ込んだ夫を見送り食器を食洗器に並べてスイッチを押すと、今度は洗濯を開始する。
もともと寮住まいだった彼女にとって特段悩むところもない作業である。が。

「久しぶりだなあ、二人分の洗濯。」

同棲当時、まだちゃんと家事の分担が出来ていた頃の懐かしい衣服の重みを感じる。
自分の下着と夫の下着が水流の中で一つになる様を見送り蓋を閉じると、今度は掃除だ。
掃除機を、と思い直してまずはハタキを取りに踵を返す。はて、どこに置いていたっけ、日頃使うものだからすぐわかるところにはあるはずだが。

「……あそこかあ。」

果たしてハタキは棚の上に合った。夫には取れるが自分には取れない高さ。
溜息をついて長らく開けていなかった押し入れの扉を開ける。そこには埃を被った踏み台があった。
同棲当初から暫く、デジタルの家事の相棒であった踏み台である。

5
「本当に任せっぱなしだったんですねえ……。」

自分も手伝うと息巻いていた家事の分担は、デジタルが大学に合格して早々夫がほとんどを請け負う事になった。
大学の一年次二年次は所謂共通教養の講義が多く、平日は朝から晩まで学内に居るほかない。妻が物理的に家にいない以上、済し崩しに家事は夫の領分となった。
テレワークで働きつつ炊事洗濯掃除に買い出し。ウマ娘ならぬ人の身でよくぞそこまで……。
二秒ほど悲しみとも喜びともつかない顔をした後、デジタルは取り出した踏み台に乗ってはたきを取り、高所の埃を落とし始めた。
落ちた埃を掃除機で纏めて吸い上げる。ノズルを使い分けて隅の隅までキッチリと掃除していく。
一部屋ごとにそれを繰り返していくと、この家は本当に広く奥深いと思い知らされる。
普段当たり前のように通り過ぎる棚の隙間。部屋と部屋の段差。天井の照明の裏側。確かにそこは存在するのだ。手入れを必要としているのだ。

夫の眠る寝室以外を一通りやっつけると、洗濯機はとっくに業務を完了していた。

「毎日お疲れ様です。」

一礼して、冷たい布束を引きずり出す。

6
「冷たっ！」

濡れた衣服を干し終えると、デジタルは手指の冷えに驚いた。ヒトより頑強なウマ娘とは言え、小柄で細いデジタルの体は冷えやすい。改めて夫の苦労に痛み入る、

「あっ、お昼ご飯！」

間もなく次のタスクがやってくる。献立すら考えていない。デジタルは昼食をほぼ学内で済ませているので夫が普段昼に何を食べているのか知らない。
それで夫婦と言えるのですか？！割とお互いラヴラヴなつもりでしたけど？！
ショックを受けつつ寝室越しに夫のリクエストを窺うと、「あったかいうどん」とのこと。
本当に疲れているのだな、と察したデジタルは「ゆっくり寝ててくださいね」と返して冷蔵庫を確認した。うどん玉、残量0。至急補給を要する。財布を握って玄関を飛び出す。

久しぶりの一人きりで訪れるスーパーマーケット。生うどん麺と冷凍うどん麺をカゴに入れて一先ずは安堵。さて何うどんにするか。
胃腸が悪い訳ではないから多少の油ものも許容できるだろうが、疲れた所にトッピングてんこ盛りを出されても辟易するだろう。
さりとて朝が軽めだったのだからそれなりに滋養になる具は欲しい所だ。卵、魚、豚肉……野菜は？うどんに合う野菜ってなんだ？

7
「ごめんなさい、考え過ぎて迷走しちゃいました……。」
「いや、嬉しいよ。おいしそうだ。」

昼ご飯は卵と豚肉野菜炒め中華風あんかけを載せたうどん。結局トッピングてんこ盛りである。

「重かったら残してもいいですからね……？」
「病人じゃないんだから、大丈夫だよ。うん、美味い。」
「本当に？」
「本当だよ、食べて見なよ。」
「味見はしましたよっ！……うん、ちゃんと美味しい！」
「だろ？」
「なんでアナタが得意そうな顔するんですか。」

二人して笑う。

8
午睡の後。橙色の日光が降る寝室でそれぞれのベッドに横たわっている。

「今日は助かったよ。久しぶりにのんびりできた。」
「ならよかったです。」
「全く、トレーナーをやってるのに体調管理も出来ないんじゃ笑われちゃうなあ。」
「本当ですよ。アナタ一人の身じゃないんですからっ！」
「……まるで妊娠したみたいな言い方だね？」
「残念でしたっ！あたしと、アナタがお世話してるウマ娘ちゃん達の事ですよーだっ！」
「そっか。」
「そっかとは何ですか。」
「いや、まあ、光栄ではあるんだけども。」
「……赤ちゃん、欲しいですか？」
「おいおい今のでフケたんじゃないだろうね？！」
「今日と言う日はまだたっぷりありますしぃ……。」
「待ってくれよ今日は僕の休日だろ？！」

9
「はいっ！久しぶりの家事でアナタが普段どれだけ大変かわかりましたっ！本当にありがとうございますっ！
……なのでそのお礼をですねえ……。」

既にデジタルは自分のベッドから起き出している。

「お礼じゃないだろ、お礼じゃないよっ！
その目は、お礼をする目じゃないっ！！」
「たっぷり休んだ後はぁ、今夜ぐっすり眠るためにぃ、運動しましょうよう♥」
「……本ッ当にキミのムラっけは、予想ができないなっ！」

枕元から手に取った『鋼の意志』を夫の手から払い除け、デジタルは本日最後の渾身の『ご休憩』を提供すべく、笑顔で乗りかかった。

--
もっと走れウマ娘

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
いやぁ～～～年明けましたねっ！明けましてウマでとうございますっ！！年末年始の大忙しも一段落しまして、こうして相方お手製の七草粥を頂きながら配信しておりますっ！

「コミケどうだった？」
そっち？！まあそうでしょうね。うん、サークル参加は恙なく終了いたしました。
お買い上げいただいた皆さんありがとうございましたっ！
同人的にはお買い上げって言い方良くないのですけど、「受け取っていただいた」……？「頒布させていただいた」……？
上手な表現がみつかりませんっ！
実際問題お安くないお金をかけて訪れていらした方に、その『リソースを使ってくれてありがとう』的なことは言いたいのですよわかれわかってくれ！

「デジたん、運営のブースにいなかったの……？」
うん。

「うんじゃないが」「個人参加するから企業参加ブッチって豪胆過ぎる」
これは運営さんとも合意済みなので。ていうか前の配信で言いませんでしたっけ？自分は本出すから企業ブースにはいませんよって。

2
まあ売り切った後は義理立てに企業ブース見に行ったんですけど。

「さらっと完売宣言」「義理立てとか言うなや」
あははははっ！ちょぉーっと調子に乗ってしまったかもしれませんすみませんっ！
企業ブースの方もね、沢山の方が来ていただいて。売れ行きも上々でした！改めてお礼申し上げますっ！！

さて年末でデジたんと言えばコミケもそうですがその前にっ！
阪神カップ！！有馬記念！！！ホープフルステークスっ！！！！
そして年始の中山と京都の金杯っ！！
今年は京都の金杯行って来ましたっ！！！

いやぁ～～やっぱりウマ娘ちゃんを生で見るとエナジーを頂けますねぇ～～！！
皆かっこよかった、可愛かった、美しかったぁ、そして……尊かった……。
脱稿したばっかりなのにイマジネーション沸いちゃいますぅっ！

3
「有馬よかったね」「凄い末脚だった」
ねえぇ～～っ！！
あのバ群をじりじり引き千切っていく感じ見ました？それに食らいついていったウマ娘ちゃん達もかっこよかったぁ……。

「阪神カップ見た？」
見ました見ました見ました見ました！！！
こっちも末脚が凄かった。有馬のとは違って、何と言うか格が違うんだぞっ！という凄みを感じましたっ！！直線一本で10人ぶち抜きは凄すぎますっ！
ホープフルはその二つとは違って、逆転勝利と言うよりは、地力を十分に見せつけたぞって勝ち方だったように思えましたっ！！！

やっぱりかっこいいんですよウマ娘ちゃんはっ！

4
京都金杯もねぇ、またこれがよかった、おっと？ごめんなさいマネちゃんから電話だ。ちょっとミュートしますね？
～～～（BGM : 「走れウマ娘」）～～～
「BGM何でそれ選んだ？」「元ネタ古いんだよね」「走れマキバオー」
マキバオーは色んな意味で違います。
はい、戻ってきました、すみません。公開録音の日程決まったって！やったね！皆さんに逢えますよ！！
あ、またマネちゃんから。うわ、今言っちゃダメだって！聞かなかったことにしてくださいね！

「無茶言うなよ」
お詫びにデジたんの特技お見せしますから許してくださいっ！
すうぅーーーっ……。
『エーこのたび、公営ギャンブルを、どのように廃止するか、という問題につきまして、慎重に検討を重ねてまいりました結果、
本日の第4レース、本命はホタルノヒカリ、穴馬はアッと驚く大三元という結論に達したのであります。』

5
『各馬ゲートインからいっせいにスタート第2コーナーをまわったところで先頭は予想どおりホタルノヒカリさらに各馬一団となって、
タメゴロー、ヒカルゲンジ、リンシャンカイホー、メンタンピンドライチ、コイコイ、ソルティーシュガー、オッペケペ、
コウタローとつづいております第3コーナーをまわって第4コーナーにかかったところで、先頭は予想どおりホタルノヒカリ、
コウタローは大きくぐっとあいてさあ、最後の直線コースに入ったあっ、コウタローがぐんぐん出て来たコウタロー速いコウタロー速い
トップのホタルノヒカリけんめいのしっ走これをコウタローがひっ死に追っかけるコウタローが追いつくか、
ホタルノヒカリが逃げきるかコウタローかホタルノヒカリ、ホタルノヒカリかマドノユキ、あけてぞけさは別れゆくぅ～～～～っ！！！』

「88888888」「8888888」
えへんおほん♪それではお時間です、明日のこの時間はシーキングザパールさんのチャンネルで「ワールドクラスの肌の作り方」が配信されます。お楽しみにっ！
それではバイデジ～♪


[余談]
2021年有馬記念のエフフォーリアとディープボンド、
同年阪神カップのグレナディアガーズ、
同年ホープフルステークスのキラーアビリティをモデルにしています。


--
わたしたちは今日が元旦だと決めましたのでっ！

1
「お義母様、お義父様、あけましておめでとうございます。」
「はい、あけましておめでとうございます。今年もよろしくね。」
「あけましておめでとう。お年玉あげたくなっちゃうな。」

晴れ着姿のアグネスデジタルが炬燵を挟んで夫の両親に頭を下げると、義母義父が笑顔で応じた。
隣の夫がもう成人だってば、と言うと父はいつまで経っても子は子なんだよ、と歯を見せた。

1月2週目、少し遅めの新年の挨拶。
同人作家アグネスデジタルもサブトレーナー業の夫も、12月下旬にはパワーを使い切る。
そこでクリスマスは前倒しに、正月は後ろ倒しに祝う事にしている。
夫妻の両親もそれを了承して、挨拶と初詣に付き合ってくれる。
流石に雑煮とおせちは、残っていないけれど。

2
「デジタルちゃん今年は何をお願いした？」

石段を下りながら義母が話しかける。

「ウマ娘ちゃんが皆幸せでありますようにっ！ですっ！」
「キミは変わらんなあ。」

先を歩く義父が笑った。

「お父さん、笑っちゃダメだよ。」
「いやいやそうじゃないよ母さん、娘が出来たみたいでさ、嬉しいんだよ。」
「お父さん毎年言ってる。」

義父義母が自分の事で楽しそうにしていると、デジタルは何だか嬉しく、照れ臭くなってしまう。

3
「じゃ、慌ただしくて悪いけど。」

運転席の夫が両親に申し訳なさそうに告げる。

「ああ、向こうの親御さんにもよろしくな。」
「お土産口に合うといいけど。」
「大丈夫です！うちの親、甘い物もお酒も大好きですからっ！」

助手席のデジタルが義父義母に持たされた土産袋を持ち上げて見せる。中身は有名なメーカーの焼き菓子と日本酒だ。

「お盆にはまた帰ってくるから。元気にしてなよ。」
「おう。そっちも無理するなよ。」
「健康が一番だからね。」

両親の言葉に頷き、夫はサイドブレーキを解除した。

4
「おおよく来たな！デジタルもお帰り！」
「おかえりなさいデジタル。晴れ着新しく買ったの？」
「パパママただいまですっ！これ、レンタル！」

デジタルは玄関先でくるりと回って見せる。

「お義父さん、お義母さん、あけましておめでとうございます。」
「ああおめでとおめでとう。さあ入った入った！メシの準備も出来てるし、去年の話をたっぷり聞かせてもらうよ。」

夫を引きずるようにして家に入っていく父を、デジタルとその母が呆れ笑いで眺めていた。

5
「ああ、見た見た！オペラオーとドトウとの3人勝負な！！休学するって聞いたときはびっくりしたよ。」

手土産の酒を早速飲み、デジタルの父が豪快に笑う。

「すみません、勝手なことをして。」
「怒っちゃいないって！いいレースを見せてもらった。デジタルも頑張ったな！いーぃ走りだった。」
「えへへへ♪パパに走り褒めてもらったの久しぶりですっ。」
「勉強はちゃんと出来てるんでしょうね？」
「勿論！一緒に勉強してくれる友達も沢山いますっ！」

母の言葉にブイサインを返す。その楽しそうな横顔を夫は目で追う。

「……ニヤニヤしてるぞ。」
「おっと、すみません。」

6
「……娘を貰ってくれて、ありがとな。」

デジタルの父が声を抑えて言った。

「そんなとんでもない。」
「今の目線で確信したよ。あんた、まだデジタルにきっちり惚れてくれてんだな♪」
「と、義父さんっ、」

呑みかけたアルコールが気管に入って咽た。大丈夫？と顔を寄せるデジタルに涙目で頷く。

「何の話？」
「何でもないよママ。」

悪戯っぽくデジタルの父が笑った。

7
そして今、デジタルとトレーナーは自宅のソファでぐったりとしている。
背もたれに手を回し体重を預ける夫の太腿に、デジタルが頭を載せて横になっている。
テーブルの上がそれぞれの実家から賜った土産物が袋のまま載せられている。

「疲れた……。」「……はい。」

デジタルは夫の太腿に顔を埋めたまま力無く応えた。

どちらの両親もいい人だし、会って話すのもとても楽しい。それなのに、それだから、毎年こんな風にエネルギー切れになってしまう。
正月だからと大晦日直後に挨拶周りなどしようものなら、帰りの車で居眠りをしてしまいそうだ。

「今年もよろしく……。」「……はい。」

デジタルは太腿に顔を埋めたまま力無く応えた。

--
愛されるなんて考えたこともない人生だった

1
「うぅ……デジたん結婚して……」
「あっ！？えっ！！はいっ！！」

サークル部室の部長とアグネスデジタルの額をそれぞれ、女性のサークルメンバーがバシっとたたいた。

「部長、デジたんはすでに結婚しています。」
「知ってる……。」

パイプ椅子の上に正座する部長。

「はいじゃないんだよデジたん。」
「はいぃ……。」

パイプ椅子の上に正座するアグネスデジタル。

2
「アグっちチョロ過ぎない？」
「んぐぐぐぐ、仕方ないじゃないですかあ！
生まれてこの方ウマ娘ちゃんを愛するばかりで自分が愛されるなんてトレーナーに告白されるまで味わったこともなかったんですものぉっ！」
「いやっ！それは違うぞデジタル君っ！！」
「部長は黙ってて。」
「はい。」

気力を取り戻した部長が即座に封印された。

「あたしだってデジの事好きだったよ。」
「えっ？」

別のサークルメンバー女子の言葉に、デジタルが目を丸くする。

3
「勿論ウマ娘としてね？芝とダートを訳分からないローテーションで走らされて、大負けもして……。
でも勝つときは本当に格好よくズバ抜いて、凌いで、勝ち切るデジたんが好きだったんだ。」
「先輩……。」
「それで本人はウマ娘大好きなオタクだって。正直悔しかったよ。
だってあたしよりずっとウマ娘ちゃんの近くに居て、あたしよりずっとウマ娘ちゃんの事を好きで。」
「それは、」
「いいんだ、何も言わないでデジ。
あたしがあんたほど情熱を持てないのはデジのせいじゃない。
それをさあ！我慢してる横でさあ！！この部長はさあっ！！！
『結婚して』じゃないんですよっ！！！！」
「悪かったと思ってるよ！」
「うるさいっ！」

部長とデジタルがそろって頭を振り下げた。

4
「デジたんが結婚したってニュースを聞いたときあたしは（中略）
そのデジたんがここに入学するってニュースを見てあたしは（中略）
男と結婚しててでも大好きなデジたんがこのサークルにやってきて（中略）
大体この日本において同性婚は（中略）
それを、それを部長は結婚したいなんて気軽に口にしやがって許せるわけがないじゃないですかっ！」

そこまで叫んだ同胞を盟友が羽交い絞めにしてサークル室の外へとひきずった。

「おい放せっ！あたしはまだ言いたいことが沢山あるんだっ！」
「わかった、わかったから一旦落ち着こ？ね？」

猛獣が宥められながら退室していく様を、部長始めほかのサークルメンバーも、勿論アグネスデジタルも呆然と見つめていた。

5
「……申し訳ない。」
「え、あ、はい……。」

深々と頭を下げる部長に、反射的にデジタルも頭を下げてしまう。

「他のメンバーは兎も角僕はシスジェンダーだから、キミに性的な魅力を感じている。それはキミが既婚であるからと言って収まるものではない。」
「……はい。」

現役時代から、性の対象とされる目線は感じていた。それを知った当初は嫌悪感もあったが、結婚した今となってはそれこそが男性の愛だという事もよくわかっている。

「だからと言って表に出していいかどうかは別だ。既婚者相手に結婚したいなどと漏らすべきではないのは当然だ。」
「あっでもでもっ！そう言って貰えてちょっとあたし嬉しかったというかっ！」
「だからちょろいってんだよアグっち。」

いつの間にか戻ってきていた猛獣使いが呆れた声で言った。

6
「アグっち、自分が思ってるよりもっとずっと魅力的なんだからね？G1六冠とか、海外で勝ったとか、そういうのよりずっと。アグっちに限って言えば、謙虚は全部卑屈と皮肉に見えるって覚えときな。」
「そんな、あたしは……。」
「覚えときなね。」

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「という事があったんですよぅ旦那様ぁ。」

胡坐をかく夫に向かい合ってぎゅっとハグをするデジタル。

「そうか、そうかぁ。うん、そうだね。」

そんな気の無い返事も意に介さず、デジタルは伴侶の胸板に頭をぐりぐりと押し付ける。傷ついたから慰めて？幸せにして？無自覚か自覚的かは分からないがサークルメンバーの言った通りの魅力で媚びる。
その魅力に誰よりも早く誰よりも無様に負けて結婚したのだから、夫の対応はもう甘やかす以外にあり得ないのである。

--
over two months

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
年末年始の慌ただしさも一段落しましてっ！なんと冬をかっ飛ばして3月ですよどうですか皆さんっ！ねえ！！
デジたんは暇さえあればサークル室に入り浸ってたんであんまり実感ないですねっ！

「勉強しろ」「休んでた理由を説明して」「旦那大事にして」
えへへ♪夫からはキャンパスライフって大事だから楽しんで来なって言われてるんで、思いっきり甘えてますっ！
だってねえ、留年しまくっても10年と居られないんですものっ！

「留年するな」「留年するデジたんはちょっと嫌かな」
はいっ！

「何のはいだよ」「何を了承したんだ」
はいっ！


2
いやー夫から言われた通り、大学のサークル活動と言うのは中等部高等部の部活動とは一線を画しておりましてっ。
トレセン学園よりももっとずっといろんな所から同志がやってきている訳ですっ。
何ならサークルに入る為だけに大学に通っても意味があるくらい。
これは本当に冗談で言ってるんじゃなくてですね、大学のサークルって本当に範囲が広くて。
範囲が広いって言うか、サークル勧誘活動に紛れて、全然大学と関係ないサークル活動の勧誘なんかもあるんです。
「どうして大学ならそれが許されるのか」ってのは正直よくわかりませんが、そういう事があるんですっ！
恐らくあれですね、大学からしてみれば、「勝手に単位を取れ、それ以外は知らん」という態度から来ているんだと思いますっ！
大学は高校までとは違って、教育機関ではなくで研究機関なんですねっ！
片手間で教育もやってあげてるっていう！デジたんの個人の感想ですけどっ！！

だからバイトしてもいいしサークル活動も緩いし、夜遅くまで建物に残っててもいい！
社会人と学生のちょうど中間にある期間なのかなーって思いますっ！


3
さて節分バレンタイン雛祭りを過ごしまして。
うちでは豆まきもしなければお雛様も飾りませんでしたよ賃貸ですし。
バレンタインはその、えへへ♪惚気てもいいですかぁ～？

「いいよ」「いいよ」「だめ」「許さない」「合体したの？」

だはは、3月にもなってねえ！
バレンタインに夫婦で何したかなんて！！
それこそあたしたちのファンでもなければ興味の無い出来事ではございますがっ！

このアグネスデジタルのファンでおられる皆さんにとっては、そのー……やっぱり特定の相手とのイチャイチャより、皆さん自身と親しくしている想像ができる方がよいのでしょうかっ！？
その辺りの加減が今でもよくわからないのですがっ！

4
「結婚してるから今更だろ」「結婚してるデジたんを略奪したい」

おわーお。
コメント欄では平和にね？お願いしますよ？コメント同士で盛り上がるとそのあれです。あたしが配信している意味やら価値やらがなくなるのでっ！
そーゆーのはSNSでお願いしますっ！

「デジたん未だにネットリテラシー危ういよね」「でも幼な妻ウマ娘が配信してたらそういうのはしょうがないって気もする」

お世話掛けますすみませんすみません。
何の話でしたっけバレンタインの惚気話をしていいかどうかで止まってるんでしたね。一先ずしないでおきましょう、皆さんの為にっ！
まあね、デジたんもウマ娘オタクですからそういうのわかりますよっ、特定のパートナーが出来ると想像の余地がなくなって神経が苛立つっ！てのはっ！！
カップリング論争デジたん苦手ではあるんですけどぉ、そもそも！そもそもの論争のベースになる現実っ！！
現実の方が確定してしまうとですね、気持ちのやり場が無くなって！憎しみしか残らなくなるのは、理解していますぅ……。

5
「デジたんも憎まれる気持ちが分かったか」「デジたん幸せになって」「デジたんを幸せにしたい」

うわああ今日のコメント欄がバチクソ重い！ありがとうございます！
話したい事があったんですけど今日は話さないほうがよさそうですねっ！
その代わりに3月以降のイベントの話をしますねっ！
3月末ぐらいから4月にかけてはフレッシャーズを応援しようっ！てことで企画がありますっ！
詳しくはまだ言えないんですけど、結構大きめのコラボになる予定ですっ！
学校や職場、住まいなど、大きな変化でテンション上がっている人たち向けにアゲアゲな内容を予定しておりますのでご期待くださいっ！！

6
さてお時間です。次の配信についてはSNS媒体でまた発表するのでチェック！よろしくお願いしますっ！！

「結局バレンタイン何があったの？」

何があったといいますか……お互いその、大好きだよと言い合いましてぇ、贈り物を渡し合いましてぇ、美味しくいただき合いましてぇ……。
あ、その美味しくいただき合ったというのはお互いデザートの類、あたしはチョコレートのバームクーヘンを、夫はホワイトチョコレ－トのトリュフをですね、それぞれ渡し合って食べたという事ですよ？

「ラブラブじゃん」「砂糖吐いてる」「末永く死ね」

えへへ、恥ずかしいなあ。

「合体した？」

した！しました！そりゃしましたよだってバレンタインですしお互い愛し合ってるって贈り物で確認し合った日の夜ですしそりゃもうウマっ気も限界突破であ、マネちゃんからDiscordだ、え、何？（この配信は終了しました）


--
夏へのゲート

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
いやぁ～～6月ですよ奥さんっ！
つい先日は夏日があったりして、いよいよ暑いシーズンに入って来たって感じですっ！！！
今月のG1はその夏日に開催された安田記念と、26日の宝塚記念ですね～。
デジ民（たみ）はもう誰を推すか決めましたか？！

「デジたんは決めたの？」

秘密ですっ！
敢えて言えば全員ですっ！！

2
「ブレねえなデジたんは」

そりゃそうですとも！頑張るウマ娘は美しい！！何なら今からでも出走登録してその横を走りたいっ！
勿論引退してブランクもあるあたしが今を時めくプロの競走バちゃんに並べる訳もありません。ただそう妄想するだけです。

「宝塚誰が勝ちそう？」

ん～～～むずかしいですねぇ～～～。
宝塚はデジたんも一度走ったことがありますが、目も当てられない惨敗だったので、自分の感覚は当てにはなりませんね。

「安田記念勝った後あれは酷かった」
「デジたん2000メートル超えるとダメなんだよね」

お恥ずかしぃ～。

3
自分の感覚は当てになりませんが、誰が勝ちそうかな、って予測はあります。
そりゃもうあたしもトレーナーを目指す大学生ですから、データの収集はぬかりありませんっ！旦那から流してもらったりもしてます。
でもその予測を言うのはやめておきたいんですよね。
勝ちそうだから応援する、負けそうだからやめておく、ってあんまり馴染まなくて。
ウマ娘ちゃんは誰だって、勝つために全身全霊全力で取り組んでいるのですからっ！！

「だよねー」
「でも推しはいるでしょ？」

まあまあまあまあ推しはいますけどぉ～～～！？
事務所の方からもね、言われてるんで。「誰が勝ちそう」とかあんまりレース前に言うなって。それを聞いたウマ娘のメンタルに影響出るかもだからって。
え～？今の若い世代はデジたん如きの言葉なんか気にしませんよぉ、好きなウマ娘ちゃんの推しポイントを喋らせてくださいよぉ、って言ったんですけど。
「お前は芝とダートでG1合計六冠とってるウマ娘だって事を自覚してくれ」とマネちゃんにきつぅ～～く言われまして。えっへっへ♪

4
G1取った数ならまだ上がいるじゃないですかぁ、と食い下がったんですけど、
「ほとんどのウマ娘はG1挑戦までたどり着けないんです」と言われて。もうそれを言われたら黙るしかないじゃないですか。はいっ！て。

そんな感じで宝塚記念楽しみなんですけど立場上あんまり喋れなくてストレスがマッハですよ。

「デジたんが走った感じはどうだったの？」

2200はデジたんには長かったですねっ！でもそこでクリスエスちゃんと走れたのはとても良かったです！
クリちゃんとは同じ有馬記念で同時引退という事もあって、今から思えばあそこで縁があったのはよかったなぁって！

「クリちゃん言うな」

あははははは！！！別にぃ？デジたんは友人の名前を略して読んでるだけでぇ？変な意味なんてありませんけどぉ？

5
「デジたんのクリちゃん…」

どういう意味ですかっ？

「デジたんのクリちゃんをデジたんの旦那が今夜も」

今夜もじゃないんですよぉっ！

「デジたんのクリちゃんとデジたんの旦那のダンナが今夜も兜合わせ」

ストォオーーーップ！！何で宝塚記念の話からそうなっちゃうんですか！？

「デジたんが猥談ばっかりするからじゃねーの？」

はい。

6
はいじゃないっての。という訳でお時間ですねえ。
デジたんそんなに猥談ばっかりしてませんよっ！
旦那と仲良くした日にはちょっと浮かれちゃったりするだけでっ！
大体愛の確かめ愛を猥談とか卑猥とかそういう表現をするのって良くないと思いますっ！
一方で純愛でありながらも剥き出しのケモノの欲望に直結しちゃって思い悩むのもまた萌えるシチュですよねえじゅるりら、夏コミはこれで行ってみましょうか。

本日は早速夏コミ本の作業を垂れ流しながらお別れと行きましょう。ネーム切るまでいけたらいいなっ！
チャンネルはこのまま！
それではバイデジ～♪

--
グットクルサマー

1
「海に行きたい。」

ヲタサーの姫が望まば、すなわちそれは実現するのである。
あれよあれよという間にウマ娘同好会サークル一同は夏季休暇中の二泊三日の海水浴旅行の手筈を整えてしまったのであった。

「はい、姫様。」

と旅行のしおりを手渡されたデジタルは目を丸くするほかなかった。

「いや……言ってくださいよぉー！そういうことはさぁー！！！！」

2
「みんなであーでもないこーでもないってやいのやいの言いたいじゃないですかー！！！」
「それはしたり、姫を煩わせてはならぬと余計なお世話を焼いてしまいました。」
「姫じゃないですって。」

恭しく頭を下げる女性部員に苦笑いで返答する。と同時に、自身の持つ「元URA競走バ」という箔の力に空恐ろしさも覚えたりする。
が、それはやはり、卑屈が過ぎるのだろう。
引退して数年、ウマ娘の世界を外から見るようになって、中央競バで実績を持つウマ娘が世間においてどれほどの傑物であるか、客観的に改めて思い知るには十分な期間だった。
その一席を占めるものとしてやはり胸は張らなければならないのだ。自分の為ではなく、ほかのウマ娘ちゃんの名誉の為に。

とは言え、気心の知れた仲間であるはずのサークル構成員達に半ば冗談とは言えそうした態度を取られるのはこそばゆい物であるのも事実。

「姫ではないので！この……自由時間に何をするかとかは皆で話して決めたいですっ！」
「「「御意！」」」

御意じゃないんですよ。と心の中で突っ込みつつ。

3
ともあれ、それからはサークル一同でフランクな話し合いに移った。
夜は花火だ、泳ぐ時間はどうしよう、釣りは出来るか、秘宝館があるぞ、夜更かししたいけど夜食は買えるかそれとも持ち込みになるか。

自由度の高い遊びの計画を立てるこの高揚感は、トレセン学園の頃の友達付き合いと似て非なるもの。
あの頃を青春と呼ぶなら今は正に朱夏。芽吹きの初々しさを離れて、自由に枝葉を伸ばす夏の友情だ。
だからこそ、姫などと呼ばれたくなかったのだし。

「島の安宿だからコンビニは近くに無い」
「受信可能なテレビ局は」
「食事は主に外食になりそう」
「お風呂は個室と大浴場と両方ある」
「部屋割り今から変えられる？」
「夜見るビデオは何持って行こう？」

しおりをめくりながら仔細を確認して、デジタルの目がまた点になった。

4
「……この『王子様』ってのは？」
「勿論デジたんの旦那だよ。」

しおりの中でちらちらと出てきたワード、何となく数えていた参加人数、察してはいたが訊いてみたところやはり。

「何時根回ししたんです？」
「最初。」

悪びれず同性のサークルメンバーが応える。

「……何でですか？」
「そりゃ、人妻と男を同じ閨には置けないもの。」
「そうですか、そうですね、そうですけどさ。」

付き合いは、長いのだ。本当の狙いぐらい想像がつく。

5
「……悪趣味ですよぉ。」
「何のことかな？」
「最大限配慮した結果ですが？」

デジタルと夫とサークルメンバーは大部屋の一つにごちゃっと雑魚寝する配置にはなっている。
だがその部屋は襖で細かく仕切りができる。
そして婚姻している二人を切り離すようなことはウマ娘同好会の名に懸けて決してすまい。
もっと踏み込めば、「大部屋に大人数で眠る」は建前で、襖を隔てて「デジたん夫婦とそれ以外」を切り分ける準備は出来ている。
人数に比して妙に大きな部屋空間もその推察を後押しする。

「あたしは皆と一緒に夜更かししたいんですっ！」
「勿論わたしたちも同じ気持ちだよ。」
「俺も。」
「俺もっ。」

6
「じゃあなんでこんな……。」
「こんな、何だい？」
「何かご不満ですかな、姫？」
「何かって、これ……！」

デジたんは そうデジたんは 詰んでいたのだ 初めから

『不貞の疑いを持たせぬための夫同伴』
それを提示された時点でアグネスデジタルに拒否権は無く、サークルメンバーにウマ娘とトレーナー夫妻という極上のご馳走を提供することは回避しえない。
夜更かしして全員一緒に過ごすにしろ、夫と二人で過ごすにしろ、彼らにとってはまたとない好餌。
ここに来て、気の置けぬ仲間に『ウマ娘としての』アグネスデジタルを貪られる事になろうとは……！

……じゅるりら。
悔しさの彼方に、もう一人のアグネスデジタルがいやらしく笑んだ。

7
「……いいでしょう！！」
「何がですか？」

ここで退いて何のウマ娘か。ファンサが出来なくて元URA所属バと言えるか。何より。
あたしが同じ立場でも同じ罠を仕掛けた！！！

「皆さんにとって、楽しい旅行にしたいですねっ！」

居並ぶウママニアにウインクして布石となる積極策を早仕掛けするデジタルの姿は、かつての瑞々しいアイドルウマ娘のようにも、年季を経て益々狡猾さを増した女優ウマ娘のようにも見えた。

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トロフィーコンプ

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
先ほどのSEKIRO配信見ていただいた方、ありがとうございますぅ～。
あの後あたしはお風呂に入ってですね。汗を流して！一休みさせていただきましたっ。
んぐんぐっぷは。
今日はですねぇ、細川酒造様の上ウマ（あげうま）ビールを頂いております。
こないだのお仕事の際に貰ったものでして、有難い事です♪
味が3種類ありましてぇ、ヘレス、ドゥンケル、ボックって言うんだって。
今飲んでいるのはヘレスですね。所謂普通の琥珀色のビールです。
味は勿論美味しいんですけど、なんて言うんでしょう？水の味がするの！
薄いって意味じゃなくて、美味しい水を飲んでる時みたいな風味があります！不思議！！

2
「飲み過ぎないでね」
うんっ！んぐんぐ。
やばいなあ、味わって飲みたいのにするする入っちゃうぞ。これはいけない酔い方をする奴だ。
ちょっと横に置いときましょう。
スパチャ読みしていきましょうかね。

「鉤爪遣いが上手いですね」
これは怨嗟の鬼と戦ってる時ですかね。これは練習した。
先人の動画で、攻撃を避けると同時に飛んで懐に入ってダメージ稼いでるの見て目から鱗が落ちたのでパクりました。
アクションゲームで余りにでかい敵は至近戦闘だと割と攻撃が当たらない、ってのが此奴にも当てはまるんだなあ、って。
でも皆さんにお見せできるようになるまで数えきれない数の狼殿が死に申した。

3
「何故今更SEKIRO」
そういえばゲームプレイ配信してないなーって思って。
今正に流行しているゲームをやると未プレイの人へのネタバレになるし、かと言ってレトロに振り過ぎるとそもそも入手困難だったり操作感覚がよろしくなかったりしますし、という事である程度擦られた、というとアレですがっ！
配信者をきりきり舞いさせた実績があり、UIが洗練されてて、ネタバレもおよそ出尽くしたゲームとしてSEKIROを選択しました。
我ながらよいチョイスだったと思います。

「あの茶色い四足歩行の生き物は何だったんだろう？」
奇蹄目の生き物がモデルだそうですが詳しい事はわかりませんね！まあSEKIRO世界の事は深く考えてもしょうがありませんっ！

「何時間やったの……」
えー数えてなーい。
でもまあ夜通し弦一郎殿に殺されたり過去の親父殿に殺されたりはしました。過去の親父殿マジでズルいですよ！！梟を操るのは忍術で説明するの無理があります！

4
んぐっ、ぷは。げぇーっぷ
「げっぷ助かる」
えっへへへぇ♪
「汚い」
くしゃみ助かるとかもそうですけど、苦手な人がいるとは訊いています。
でもデジたん自身、そういう生っぽさ、俗っぽさが見える瞬間が好きだったりするので、自分の配信では肯定的にやっていこうかなと。
身近に降りて来る瞬間って言うか、隙を見せた瞬間というか。
下世話だ、汚らしいって言われたら否定はできないんですけどっ！
でもねえ、インターネットでこうして動画を見ている時って、皆さんプライベートじゃないですか。
プライベートって事は、外面を取っ払ってリラックスして楽しいことないかなって、嫌な事は嫌だなって素直に感じるモードでしょう。
楽しい事や嫌な事を率直にこうしてコメントするのって、正に下世話じゃありません？
インターネットで楽しんでいる人に対して下世話だ下品だっていう糾弾は、デジたんは「そりゃそうですけど何か？」って感じなんですよね。
デジたんも現役時代は色々とその、思いが行き過ぎたファン様から色々なプレゼントやサプライズを頂きましたので……。
理性薄目になった時の気持ちや行動については、人一倍認識があるつもりですっ。


5
えーと、「もっと苦戦するかと思った」
えへへぇ、いや、そういう様を見せるのこそがいいよね、とは思った！思ったんだけど、後の配信予定とかが押すかもと思って一旦ロケハンプレイしました。
でもね、これはマジでロケハンしてないと酷い事になったと思う。
んぐんっぐっぷは。
酷いのこそ見たいんだってのも解るんだけど、ちょっと予定を大きくズラせない理由がありまして。

「ほんとは配信でプレイをみせびらかしたかったんじゃないの？正体みたりって感じだな」
そう！公開配信の日程が決まったのです！！
いえーいっ！
ぐびぐびぐびっ！げほげほ気管に入った！
「おのが欲望に忠実で非常に猥褻」
「絶景かな」
「モナリザ」

猥褻？！

6
（カメラを引いて）
こんな感じの環境をガラス張りのスタジオに領域展開してですね、皆さんに見てもらいつつやる感じです！
「生デジたん見つつスマホでスパチャするのか……」
そこらへんは会場に来た人限定のインタラクティヴなイベントで埋め合わせようかなと！

日付は、夏真っ盛りのえ？もうお時間？じゃあSNSの方で改めてご連絡いたしますのでっ！

「デジたん大好き切り抜きチャンネル」さんの「デジたんの泥酔配信纏めその2」を見ながらお別れですっ！
その2て。

それではバイデジ～～♪

参考：http://www.ji-beer.co.jp/category/1/



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身に付けた技はすぐ使いたいものです。

1
「ひゃっ！」
「根を詰めすぎですよぉ。」

不意の冷たい刺激に男が振り向くと、妻であるアグネスデジタルが結露したペットボトルを持って頬を膨らませていた。

「ノックを、」
「しーまーしーたー。ぶー。」

時刻は夜の21時。複数のウマ娘のサブトレーナーを務めている夫は、パソコンのモニタに向かい、データの分析と次なるトレーニング案に頭を働かせていた。

「あと少しだから。」
「あのですねえ、世の中ではこの時間のお仕事は普通、『残業』と言われているんです。」
「いやあ、昼間は休んでたしそれは当てはまらないでしょ。」

夫がチェアを回してデジタルに向き合う。大学に通う妻に代わり家事も努める彼にとって、テンションの上がる夜は寧ろ仕事のゴールデンタイム。

2
「家事をするのを休んでたとはいいませんよぅ……。」

その家事を任せている張本人である妻は聊か申し訳なさそうに言った。

「んー……でも他のトレーナーとも今まさに話し合いしてるところだから……。」
「わかりましたっ！それが終わったら今日はもう締めにしてください、今日は何と、夏日だったんですからねっ！」

そう言われて、洗濯物を干していた時の熱気を思い出す。
それ以外の時間はずっと冷房の効いた室内で過ごしていたが……それが体に良いと思うほど夫も無神経ではない。

「わかったよ。いま仲間の連絡待ちだから、それに応えたら今日はおしまいにする。」
「絶対ですよ？30分経っても出てこなかったらメイントレーナーに電話しますからねっ？『うちの相方を壊さないで』って！」
「わかった、わかったからそれは勘弁して。」

妻のこの所業には前科がある。夫の背に冷たい汗が流れた。

3
25分後、何とか仕事を畳んだ夫は部屋から出てシャワーを浴び、思い出したように妻から渡されたペットボトルを手に取った。
中身はただのミネラルウォーターだが、汗をかいた体には深く沁みた。
ここ数日の仕事ぶりを思い返し、思えば自分の身を削っていたと反省する。
買い出しのたびに汗だくになったし、冷房と外の温度差湿度差には毎日参っていた。
妻でさえ、体調管理と鍛錬が生業であった全盛期にも度々不調を抱えたのだ。況やデスクワーカーの自分をや。

「全く、何がトレーナーだってんだ。」

皮肉気に笑って溜息をつく。
自室の電気を消し、寝室の戸を開ける。

4
「いらっしゃいませぇ～♪」

白いエステユニフォームに身を包んだ妻が満面の笑みで夫を迎えた。しっぽは元気よく左右にぶんぶんと振られ、歓迎の意を示している。

「え、どういうこと？」
「はいはいこちらにうつ伏せになってください～♪」

手を引かれるまま自分のベッドに寝かされる。

「いやいや、ど、どういう、」
「はい、リラックスしてくださいねぇ～♪」

言うが早いか寝巻の上から細い親指が優しく力強く夫の背中を衝いた。


5
「お、おおおお……。」
「凝ってますねえお客様ぁ、ずっと同じ姿勢でいるとねえ、腰に負担がかかっちゃうんですよぉ。」
「な、なるほど確かに……。」

ぐいぃぃ、ぐいぃぃ、と少しずつウマ娘のバ力（バリキ）を沁み込ませるような指圧に、思わず夫は声を漏らす。

「両手を上に挙げてもらえますかぁ？」

言われるままに腕を体の側面から上へと投げ出すと、覿面に肩が痛んだ。
仕事を片付けシャワーを浴びリラックスしてこれである。『根を詰めすぎ』と宣った妻の眼力は驚嘆に値する。

「では肩をほぐしていきますねえ、痛い時は声を出してくださいねぇ。」

やめませんけど。
夫はまるで生まれたての子のような悲鳴を上げ続ける事になった。


6
その後また腰、脚、腕と全身を強烈に揉み解され、夫の体はすっかり汗だくになってしまった。
体中が痛い。幾ら妻の心づくしのサーヴィスとは言え、ヒトの身にウマ娘パワーは強すぎる。最早悲鳴を上げる気にもなれず、はぁはぁと力無い息を漏らすばかり。

「では立ってみてくださぁい♪」

萎えかけた気力を奮い立たせ、半身を起こしスリッパを履いて立ち上がる。
軽い。
まるで体の材質が全部別物になったようだ。腕をぐるぐる回す。脚を屈伸させる。首を回す。そこに何の違和感もない。完全な自分自身の体だけがある。

「……すっごい……。」
「えっへへぇ～♪」

思わず漏れた感想に、妻が満足げに笑った。安心沢先生のお師匠様に習ったのです！とピースサインを見せるデジタルに、今度僕にも教えてよ。と言うと、そういうとこですよっ！とワーカホリックを指摘され頭をはたかれるのであった。

余談：「達人の指圧」については実は元ネタがあるのですが、そのブログはもう消失してしまいました。残念です。

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さあ―――――…共に夏をブッ殺そう…!!

1
「こっちは任せろ。」

僕の妻は帰りが遅くなるととても心配するんだ。だから

「手短に終わらせる。」

領域展開 『無量厩舎』

走るという行為に無限回の鍛錬を強要する、トレーナー技能の極致。

2
「こちらは任せてくださいっ！」

人の思いは呪いだと聞きました。
ならば多くのファンに見られ憧れられ妬まれ憎まれ嫌われるアイドルウマ娘は呪いの中心っ！
現役を退いたとて、その感覚がまだこの魂に刻まれております、忘れもしない！ファン心理という名の呪い、今この場でお返しいたしますっ！！

「領ォ域展開ィっ！ 『フケウマ御厨子』ぃぃ！！」

必中効果の範囲内でウマソウルがあるものには「鞭」を、無いものには「戒告」が無尽蔵に降り注ぐ。
結界を閉じないという縛りを付与することで、効果範囲と威力を大幅に増大させている。

3
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
はぁ～い❤︎
はぁ～い♥

ねぇねぇどっちの方がイイ？
あんまり変わらない？あ、そう。
という訳でねっ！
ラジオドラマ『馬術ハ銜（み）戦』第801回『座殺博徒』いかがでしたでしょうかっ！！
久しぶりに架空のラジオドラマやりましたっ！あのねえあたし背中を任せ合う展開好きすぎてこんな脚本書いちゃったのごめんねっ！
あっスパチャありがとうございますっ！

「バカじゃないの」

スパチャによる罵倒を今日ばかりは受け入れますっ！！

4
もうバカにされても仕方ないと思ったものっ！スタッフも苦笑いしてたものっ！！
さて宝塚記念いかがでしたかっ！？タイトルがホルダーされましたねぇっ！！
プボっちやエフフォちゃんも惜しかったのですがっ！
それでも序盤から上位のまま、最後は前のウマ娘を抜き去ってサヨウナラは地力の強さですよねぇ～っ！！！
なかなか無いんですけどね、特に重賞のレースで最初から前を維持したまま上位に居座るというのは。
勿論理想的なレース運びではあるんです、トップのウマ娘を射程に捕らえたままレースを運んで、最後にぶっこ抜くってのはね？
でも理想を現実に出来るヒトやウマ娘はそうはいません。理想と現実はいつだってギャップがある。だからこそ理想は理想で現実は現実の筈なのですがっ
今回は凄いの一言に尽きます。現実を理想に引きずり寄せてそのまま勝ってしまったって感じ。
いやぁ～～後世おそるべしっ！
デジたんだって残した功績にそれなりに誇りはありますが、この調子だといつ埃が積もって忘れ去られるかって感じですよっ！
そしてそんな素晴らしいウマ娘タャンの姿をこうしてみる事が出来る現実っ！！デジたん情緒どっか行っちゃいそうっ！！！

5
「おらデジ公タャンて発音してみろや」

うるせえっ！！テャン！タャン！チィアン！！！これで満足ですかっ！？！？！？！？
さて6月も終わりという事で祝日も祭日もない月はひとまず終了、来月の話をしていきましょうっ！
7月、夏本番っ！下旬は夏休みですねぇうふふふデジたんも旅行の準備がございますえへへへっ！
その時は配信途絶えちまうので、事前に日程お話しますねぇ。
予約投稿でお茶を濁せるようにはするつもりですが、何を公開するかはお楽しみ、ですっ！

6
「旦那と旅行？」

旦那プラス大学の友達とですねぇ。ウマ娘愛好家サークルの皆さんとのリョテイとなります。今からとっても楽しみですっ！！
船旅になるそうですよ、旅の内容は色々ネタに出来そうなのでまたその後で話しますねぇ、さあお時間ですっ！
この後23時からはキタサンブラックさんの「ASMR兼おのろけ？トレーナーさんとわたしのほろ酔い本音トーク」が始まります。
デジたんも呑みながら聴きますよっ！

「何吞むの？」

よく訊いてくれました今回も簸上清酒合名会社様の『七冠バ 純米大吟醸 ウマ娘 シンボリルドルフ 限定醸造』です！
https://shop.sake-hikami.co.jp/products/nanakanba-umamusume-symbolirudolf
残念ながらもう予約も売り切れてまして、皆さんにご紹介するのが遅くなって申し訳ない。
これはぶっちゃけコネでいただきました。


7
「それぶっちゃけちゃだめだろ」

予約すらできないお酒を呑める以上、所謂普通のルートでないのはどうあってもバレるので。えへへぇ……。

はぁ～い❤︎はぁ～い♥

ねぇねぇどっちの方がイイ？あんまり変わらない？

「はぁ～い❤︎がいい」
「はぁ～い♥がいい」

げっふ❤

「そこは♥だろ」「おいもう呑んでるじゃねえか」
喧嘩すんな喧嘩すんんぬぁ～♪それでゃばいぢぇじ～～♪ぐえっふ。

--
理解（わか）らなくても納得（わか）ってあげたい

1
1か月ほど前、僕はスタジオに呼ばれセリフの収録をお願いされた。

「こっちは任せろ。僕の妻は帰りが遅くなるととても心配するんだ。だから 手短に終わらせる。 領域展開 『無量厩舎』」

ごく短いこれだけのセリフ。
その為だけに、妻アグネスデジタルが所属する事務所の社長、デジタルのマネージャー、音響監督、その他諸々のスタッフさん達にお会いし、10回以上のリテイクの末にOKを頂いた。
僕がセリフを口にしたのはそれでも5分もない。
その5分足らずの為だけに、どれほどのお金がかかっているか想像もしたくないような立派で正統で丁寧な収録が実施された。
それは、妻が動画配信者としてどれほどの支持を得ているかの片鱗を味わう体験でもあった。

そうした事を踏まえたうえで。
全く理解を越えたことが起こっている。

2
ありのまま起こったことを話そう。
『妻のスタジオ入りを許可した翌日に僕の手元に3時間ラジオドラマの脚本が届いていた』。
何を言っているのかわからないと思う。自分も何をされたのかまだ呑み込めていない。
だが今の僕はそうした理解とは全く関係なしに、先日訪れた妻の事務所の会議室で今を時めく声優さん達と台本読みをしている。

『デジタル、君は本当にそれでいいのかい？』
『え、何がですか？』

僕の棒読みに対して妻は女優のような綽綽の演技で応えてくれる。
夢のような時間、だが夢ではない。
僕は、この元ウマ娘トレーナーであるだけのただの男は、妻の為に、居並ぶ声優さん達と張り合わなければならないのだ。

3
事の起こりは6月中旬、旅行に行こうと妻が言い出した時に遡る。
大学のサークル仲間と海に行きたい、あなたも一緒に来て欲しい、と。
邪魔ではないのか？と一応訊いたが、デジたんの事が大好きなサークルメンバーに囲まれて、『良からぬ事』があったら大変じゃないですか、
それにうちのサークルメンバーは貪欲でして、あたしがあなたとイチャイチャしてるところも見たいんですって♪

二つの観点からの同行要請。ここで断る選択肢はあり得ない。少なくとも僕のチャチな頭には思い浮かばなかった。

「そうと決まれば配信は暫くお休みです！その間に企画を練らねばっ！！」

どうやら動画配信サイトには『予約投稿』なるシステムがあるらしく、予め動画を登録しておくと予定した日付日時で公開してくれるそうだ。

『リアルタイムでの配信ではない代わりに凝った事をしたい。今まで配信でちょくちょくやっていた架空のラジオドラマを、映像付きでやってみるのはどうかと考えていた。』

妻はそう言った。

4
映像付きラジオドラマ、つまりはアニメーションである。しかも決定は6月中旬、そして今は同月下旬。
たかが半月で、と甘く見ていた。妻はとっくに根回しを済ませていたのだ。
というより、架空のラジオドラマ改めアニメーションの企画はかなり前から進んでいて、収録の切欠がたまたまこのタイミングになったというのが正しいらしい。
つまりは僕以外皆準備が出来ていて、後は僕が声優として参加するか否か意思決定をするだけの事、という所まで計画は進んでいたのである。
先日のジュジュツカイセンめいたセリフの収録は言わばパドックのようなもので、僕に最低限の声優としての能力があるかどうかを見る為の布石だったのだ。
その証拠に台本読みは僕の言い損ないを全く意に介さず進んでいるし、顔を上げてちらと見た声優さん達や妻はもう台本を殆ど見てすらいない。
恐らくアニメは完成していて、アフレコも終わり切っているのだろう。その中に『アグネスデジタルの夫』というブランドを持っただけの素人が入って大丈夫かどうか？
大丈夫であればそこだけ収録して、『僕』役の声優さんの音声と入れ替えて終了。

スケジュール的にそれ以外は考えられなかった。

5
「ではおつかれさまでしたぁ～♪」
「「「「「お疲れさまでした～！！」」」」」

デジタルが深々と頭を下げると、声優さん達も挨拶を返した。僕も遅れてお疲れさまでしたと言った。

「大丈夫でしたか？」

僕の顔を覗き込む妻。悪気など欠片もないと言わんばかりの心配顔。でも僕は知っている、ああ誰より知っている。
ウマ娘を崇拝するウマ娘ファンでありながら、自身もまた尊敬されるに足るウマ娘であるというジレンマ。
そのジレンマを噛み締め、飲み込み、乗り越え、開眼し手に入れた『ウママニア』『トップランナー』『一番星』『強攻策』『くじけぬ精神』『好転一息』と言ったスキルの数々を。

心の中まで心配しようと見つめる色素の薄いその瞳に、僕は恋をしてしまったのだから。

6
「大丈夫。」

頭を撫でると、デジタルは嬉しそうに目を閉じて尻尾を振った。

「でも演技するのって慣れてないから、教えてくれると嬉しいな。」

その言葉にデジタルの尻尾の振りはより強くなった。
僕もまた、強かになったのだ。キミに相応しい伴侶であるために。

「勿論ですっ！っていうかすみませんいきなりこんな状況に巻き込んでっ！でもあなたはデジたんのダンナってだけで価値があるのでぶっちゃけ演技力は無くてもいいって言うか無い方が素人らしくていいというかいやいやすみません貶めるつもりは一切なくですね、あのっ！！経験の無い人をいきなり巻き込むのはやっぱりよくないなと」

うるさい唇は塞ぐに限る。

翌日のSNSは入念に検索したが、その場にいたのは流石に皆プロだけあって、誰もが「とても仲が良かった」と言うに留めてくれていた。

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第1話！ 女性がおそわれている。 3発蹴って暴漢をKOせよ!

1
近未来犯罪都市府中市。警察の業務を請け負う民間企業コウライ社は引退したウマ娘達をサイボーグ化し、町の治安を守るUMAMUSUを産み出した。

「へへへ、いいじゃないですかおねえさん、童貞を捨てさせてくださいぃ。」
「いやぁ、童貞捨てさせてなんて縋り付いてくる情けない男にセックスを許すのはいやああああ！！！」

カプコンめいた悲鳴に機械化ウマ娘達が駆け付けた。その時速は80kmを越え、踏み荒らしたアスファルトが煙となって周囲に劇的な被害を齎している。

「ピンクロボUMAMUSUアグネスデジタル参上！その女性を放しなさい！！」

大体ミホノブルボンの姿をしたアグネスデジタルが仁王立ちするも、有害な煙幕に二人は咳き込むばかり。そして望まぬ交尾❤をせがまれていたヒト娘の

「……わたし男です、あの、一応生物学上は、ですけど。」

の言葉に時は止まった。

2
「話は全て聞かせてもらったよ！！」

BGMと共に舞い降りたるはテイエムオペラオー。
彼女は特別に足裏にジェットエンジンを装着することを許されており、それゆえハリアーの如き垂直離着陸を可能としている。

「女性器を持たぬとは言え、肛門性交は可能！故に貴殿は暴力と恐喝により童貞を捨てる事が可能と判断したっ！」
「あっ、いや、俺はそんなの、知らなくて、」
「知らぬ存ぜぬは～……」

間延びした声がドップラー効果を伴い接近する。

「刑法の知らぬところですぅ～。」

螺旋を描く瞳が乙女の心を守ろうと光り輝いたとき、悪逆な強姦未遂犯は踏み砕かれて爆発四散したのであった。

3
「きゃああああああ！！！」
「……あれ？」

心が壊れるような悲鳴を上げる被害者の姿に、メイショウドトウはただ首を傾げるのみであった。
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「今日も君たちの見事な働きにより、いたいけな女性（心が）の肛門が守られた。感謝する。」
「「「はいっ！」」」

コウライ総司令の言葉にアグネスデジタル、テイエムオペラオー、メイショウドトウが規律正しく敬礼をする。

「被害者については既に記憶改竄の見得をいい感じに10代目幸四郎がやってくれているはずだ。」
「よかったぁ～。」「何よりだね。」「お世話になりますぅ～。」

アキテン三姉妹が胸をなでおろすと、総司令は油断するなとばかりに咳払いした。

4
「今回は1個人の犯行で済んだが、組織的犯罪の気配もある。」

その言葉に、3匹は居住まいを正す。

「サイボーグ化、雑穀とライスの融合、遺伝子操作……。我々の力を上回ろうとする悪意は増すばかりだ。
決して油断するな。そして、手に負えぬと知れたら即座に戻れ。退却は恥ではない。成果を得られぬことこそが恥だと知れ。」
「「「はいっ！！」」」
「では、いよぉ～～～～～１４００００」

人の口から発せられたとは思えぬ芸術的な音響が指令の口から発せられ石投げの見得が切られると、3闘神はそれぞれ投石の如く自身の居室へと飛来していった。

闘いは終わらない。終わって欲しいと願いながら、決してその日が来ないことを知りつつ戦うしかないのだ。

5
司令がモニタのスイッチを押すと、そこには美しい流線形の、しかし人でもウマでもありえない生命体の姿が映っていた。
火炎に包まれる映像の中で、その生命体は熱を意に介さず立ち、独り言ちる。

---
誰が産めと頼んだ
誰が造ってくれと願った
わたしはわたしを産んだ全てを恨む……！
だからこれは、攻撃でも宣戦布告でもなく
わたしを産み出したお前たちへの……逆襲だ……！
---

6
キャスト
アグネスデジタル：アグネスデジタル
テイエムオペラオー：テイエムオペラオー
メイショウドトウ：メイショウドトウ
オナベ：和氣あず未
童貞：ほうでん亭デジトレ（特別出演）
コウライ総司令：松本白鸚
ミュウツー：市村正親

「という訳でねっ！7月中旬からはこのラジオドラマを展開していく予定ですのでっ！どうぞよろしくお願いします！
それではバイデジぃ～～～♪」


--
夏の夢は儚くしかし眩しい

1
「強い～！めちゃめちゃ強い～～！」
テツかおばあはんにしばき倒されたヤクザみたいな声を上げてデジタルがひっくり返っている。
モニターに映っているのは今年の宝塚記念のURA公式配信映像である。

見返すたびに
「どっひゃあ～！」
「めちゃくちゃなんですよ！」
「どうなってるんですかっ！！」
「かっこよすぎでしょ！」
「こんなことが、こんなことが許されていいのか……！」
とバラエティ豊かなリアクションで悶えている。

何が起こったのか。
時間を少し遡り、妻アグネスデジタルが僕と一緒に宝塚記念を見に行った時の話をするとしよう。

2
第10R花のみちSの興奮が収まり、パドックを歩くウマ娘達が客席に手を振ったり、胸に手を当てて深呼吸したりと、それぞれの方法で精神を整えている。

「アナタ、誰が勝つと思います？！」
「わからないよ、強いて言えばエフフォーリアが勝つと嬉しいけどね。」

エフフォーリアは前走の約3か月前の大阪杯で9位に甘んじており、大きく調子を崩しているように見えた。復活を祈る客が多いのかこの11R宝塚記念では1番人気だ。

「そうですねえ、復活してくれると嬉しいですっ！でも……。」
「うん……。」

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。
大阪杯の敗北はピーク越えの兆候と見る事も出来る。
実際に宝塚記念を走った経験がある妻も走らせた僕も、甘い期待はあまり抱いていなかった。抱いていたのはただの願望である。

「おっとしんみりしてはいけません！これは華のG1なのですからっ！」

3
ペットボトルの水を飲む妻。雲が多めで最高気温は30度を超える真夏日、湿度も高くアスリートには厳しい天候だ。
続々にゲートに入る各バにも汗が滲んでいる。タフなレースになりそうだ。二人して双眼鏡を手にゲートを見る。
特にトラブルもなく、ゲートインが完了するとすぐにスタートした。直後客席の横山トレーナーの合図を見て、頷いたタイトルホルダーが飛び出した。

「えっ」
「もう！？」

妻と同時に声を漏らした。横山氏にもタイトルホルダー自身にも迷いは見えない。初めから先行策で行くと決めていたようだ。
タイトルホルダーの前走は前月春の天皇賞3200mを1着。その実績を考えればスタミナで擂り潰すのは確かに理には適っている。
しかしこれはG1レース、先ほどのエフフォーリアを始め、居並ぶのはデアリングタクト、ディープボンド、ヒシイグアス、パンサラッサ等々押しも押されもせぬ名バばかり。
その中で様子見もせずスタミナ勝負をしかけるのは余程の覚悟と自信が無ければ無理だ。
当然負けじと食いついたのはヒシイグアスとパンサラッサ。
パンサラッサはタイトルホルダーの前に出て逃げを選択、ヒシイグアスはタイトルホルダーの後ろに付く。

4
第一コーナーを最初に通過したのはパンサラッサ。その後に3バ身ほど離されてタイトルホルダー、その更に2バ身離れ内側にアフリカンゴールド、外側にディープボンド。
ウインマリリンが更にその2、3バ身ほど後ろを走る。1000m通過タイムは57.6、相当なハイペース。

「……。」

横のデジタルに目線を向けると、妻は流れる汗も意に介さずじっとレースを見ていた。
タイトルホルダーの逃げの強さは既に先のレースで実証済み。好きに走られたらそのままレースが終わる。
今は先頭をパンサラッサが引っ張って居るが、その展開に持ち込んだのはタイトルホルダーとトレーナーの策略。妻もそう見ていたようだ。

「……いや、いやいやいやいやいやいやそんなっ！」

妻が声を上げたのはパンサラッサが最終コーナーに差し掛かった時。タイトルホルダーが仕掛けたのだ。

5
「噓でしょ嘘でしょ嘘でしょ！マジ！？マジ！？マジですかぁっ！？！？」

策略を理解したとは言え、目の前の情景はとても納得できたものではない。
先行策でハイペース展開に持ち込んだ張本人が、1位のウマ娘を最後の直線で引き千切っていく。
逃げていたパンサラッサは後続のスパートに吞まれバ群に埋まる。
差しウマも脚を使うが時既に遅し。後続をぐんぐんと引き離して、タイトルホルダーが1着でゴールした。
タイムは2:09.7。宝塚記念のレコード更新である。

「はぁああああ～～～～……。」

湧き上がる歓声の中、妻は膝から崩れ落ちた。

「だ、大丈夫かい！？」
「す、す、す、凄い物を見ました……。」
「奇遇だね、僕も見た。」

6
最初からずっと上位に付き続けて最後に前に居るライバルを抜けば1着が取れる。

言うのは簡単だが実現するのは至難の業だ。それが困難だからこそ、ウマ娘は脚を貯めたりブロックしたりと、自身の能力を最大限に生かしつつ想定ライバルの長所を抑え込むために戦略を練るのだから。
いや、先述の通りタイトルホルダーには明確な戦略があり、そしてそれを完璧に遂行した。
ハイペース展開でスタミナ勝負に持ち込み、他のウマ娘のスタミナを擂り潰しつつ、得意の逃げで勝つ。正に策通りの展開で勝ち切った。

「ステイヤーが2200でスタミナを使い切ったらこうなるっ！ていうお手本みたいなレースでしたからね。」

という妻の感想に、僕は完全に同意する。
3200mを勝てるスタミナがあるのなら2200mもスタミナで勝負する。中距離レースを選んで出走するウマ娘よりスタミナに優れるのだから、擂り潰しに行くのは大正解、王道と言っていい。
何も不思議な事はしていないのだ。実現できてしまう実力と自負がある、という1点を除いて。

7
「アーネストリーちゃんを思い出しました。」

アーネストリーとは2011年度の宝塚記念で勝利したウマ娘である。
今回のタイトルホルダーと同じく、上位につけたままレースを進め、最後の直線で先頭に躍り出て1位を搔っ攫った。レコードを更新した点でもタイトルホルダーと共通する。
ちなみにそのタイムは2:10.1。

一方今回の宝塚記念では1着タイトルホルダーは勿論、
2着 ヒシイグアス 2:10.0
3着 デアリングタクト 2:10.3
4着 ディープボンド 2:10.3
と、誰もがレコードに迫る激走であった。そんな傑物たちを相手に「作戦通りに勝ち切った」タイトルホルダーの実力はずば抜けている。

「いや、本当に凄いレースだったよ。」
「ですよねぇ～～～！！！」

8
輝く妻の瞳に、現役時代の『ウママニア』っぷりを思い出して少し笑ってしまった。
そう、アグネスデジタルは自分が勝つよりもウマ娘という存在が輝くことの方が大好きな、稀有な存在なのである。

「あたしもスタミナがあればなぁ～！」

キラキラした目でタイトルホルダーを見つめる妻の横顔に「ステイヤーになりたい」と彼女が零したことを思い出す。

――マックイーンさんやライスシャワーさんも言ってました、「自分は長距離も走り切ることが出来るというだけで、短距離だろうと中距離だろうと負けるつもりはない」って。

ステイヤーとそれ以外のウマ娘ではスタミナの意味が異なる。
ステイヤーにとってのスタミナとは勝つための力であるが、マイラー、スプリンターにとってスタミナとは「出走できるレースに対する制限」である。
思えばメイショウドトウやテイエムオペラオーもステイヤーの素質を持っていた。
秋の天皇賞でこの二人に勝てたのは、距離適性が非常に大きい。……そして、この二人を始めとしたステイヤーウマ娘には距離適性という概念自体が存在しない。
どんな距離でも走り切ることが出来るなら、勝負を決めるのは最高速度だけだからだ。

9
デジタルが時代を代表する強敵二人を倒せたのは、末脚一点で勝負したからだ。
中距離レースのラストスパート。
ステイヤー相手にデジタルが勝ちうるのはその数十秒だけ。そのゴールデンタイムに全霊を注いで、何とか一矢を報いた。

だが、今回のレースを見てそれが奇蹟に近い事だったのだと改めて思い知った。
勿論デジタルは類稀なウマ娘ではあるが、2000mを越えたレースの戦績については言い訳ができない。
あの時、ほんの僅かでもスタミナを奪われる要素があったなら…… 想像するだけで怖気が走る。実際デジタルは重馬場でスタミナ切れを起こした前例もある。
スタミナで勝てない相手に勝負を仕掛けるのは、博打だ。どれほどの策を巡らせても結局は一点突破しかありえないのだから。

「……何ですかぁ？」

デジタルが不満そうに声を漏らした。

10
「え、何が？」
「何がじゃありませんよ、そんなふうに見つめられたら気になるじゃありませんか。」

無意識だった。無意識のうちに僕は彼女の見ながらステイヤーの恐ろしさと彼女の過不足ない実力の在りように思いを馳せていた。

「もしかしてオペラオーさんとドトウさんとのレースを思い出してたんですかぁ？」
「正解……何で分かるの？」
「ステイヤーとデジたんとの関わりでアナタが気にする事ってそれぐらいしかありませんものぉ。」

そりゃそうだ。

「あのですねえ、これは宝塚記念で、デジたんとアナタは観客で！アキテンとは何のカンケーも無いんですっ！ですから！見事に勝ち切ったタイトルホルダーちゃんと掲示板に残ったウマ娘ちゃん達のアフターライブ以外に考える事なんてないんですよっ！」

そういうと妻は僕の手を引いてずんずんとライブ会場まで歩いて行った。スマホのカシャカシャ言う撮影音やデジたんだデジトレだという声の一切を振り切って。
何時だって妻は正しい。ウマ娘を真正面から見つめ続けているから。サブとは言えトレーナーたる自分も、そうあらねば。

--
アナタだけ見つめてる

1
前走の名古屋でGIIIを勝ったアグネスデジタルはしかし、その一か月後のGIで14着に沈んだ。
勝ったのは先の名古屋で2着に下したマイネルコンバットだったが、雪辱と言うには余りにも情けないライバルの姿に、勝利者インタビューには彼女の名前を一切出さなかった。

次行こうか。

僕はそう言って、項垂れる彼女の肩を支えて退場した。

その日は久しぶりにタバコを吸った。
入念に消臭したつもりだが、翌日合った彼女のほんの少しの鼻の動きで悟られたことを悟った。

2
気を取り直したのか、9月末のGIIIは一着、10月末のGIIIは二着。
今度こそ勢いづいたと挑戦した11月GIマイルチャンピオンシップでは、最後の直線で何もかもを薙ぎ払って勝利した。
噛み合えば強いと知ってはいたが、ここまでとは。
多分僕は、ここで本格的に彼女に恋をしたのだと思う。

「やりましたよトレーナーさんっ！」

汗まみれ芝まみれの彼女を抱きとめ頭を撫でる。強く可憐な彼女を独り占めしたい、が、程なくライヴの時間だ。
よくやった、凄いスパートだったと褒めてシャワー室へと送り出す。

「……凄いよ。」

誰にも聞こえないように、呟いた。

3
その後は凸凹ありつつも、芝もダートも走れるマイラーとして偉大にして奇特なGI六冠馬として名を馳せる中、僕は彼女を温泉に誘った。
四度も通ったよく知った宿。彼女も覚悟を決めてくれていたはずだ、と勝手な期待をしていた。

「なっ、何を言っているのかっ、わかっているのですかっ！？」

意外な驚愕に怯むことなく、息を吸って繰り返した。

「結婚を前提に、付き合って欲しい。」

何やらワタワタと言い訳をしたが捻じ伏せた。

「……時間をください……。」

その場におけるデジタルの最終的な回答は、それだった。

4
先手のアドバンテージというのは侮れないものだ。
こうなってしまった以上、デジタルは答えを出さざるを得ない。僕と別れるか、一生を共にするか、それとももっと別の解決策を思いつくか。
僕はそれを待つだけでいい。
学生にプロポーズをした以上、断られる事だって当然想定内だ。ダメージは計り知れないが、不意打ちよりはずっといい。
ちょっと卑怯が過ぎたかと気が引けもしたが、今の彼女はファンを多く持つ名マイラー。惚れた以上半歩でもハナ差でも早く踏み出すのは当然の仕儀。

いつの間にかタバコを吸わなくなった。
女友達とも縁を切った。
派手な服も捨てて、料理もするようになった。彼女との生活を夢見て。笑ってくれていい。ヤバいハイテンション。
でもこれが、恋なんだ。

5
「走り切るまで、一緒に住んであげてもいいですぅ……。」

顔を真っ赤にして、俯きながらの返事。温泉で告白した日から数週間は経ったと思う。それだけの選択と重圧を迫ったのだ。何故かそれすら誇らしい。モラハラ気質の端緒かもしれない。

「嬉しいよ。」

飛び上がりそうな気持をこらえて、精一杯抑制した声で何とか返せたのはこれだけだった。

程なくして彼女は（僕には都合よく（！））調子を崩し、自ら引退を口にした。
ああ、愛する人の凋落を喜ぶなんておかしいだろう、でもそれが正直な気持ちなのだ。こんな不安定な愛が長く続くのか？

「トレーナーになる方法、教えてくださいっ！！」

許嫁の言葉がこれほど僕を勇気づけるなんて初めて知った。

6
夫としては失格もいい所だ、彼女の凋落を悦び、同じ道を歩くという妥協を喜ぶなど。
それでもこれは、僕が得るべき報酬であり罰なのだ。
僕は彼女にありったけを教える。
今の彼女は大学生ウマ娘。引退を表明した会見では、僕を待たせたくないとまで語ってくれた。

主夫としての家事、テレワークのみの仕事で減った収入。それが何の重荷になるだろう、愛するウマ娘と一緒になる幸せに比べたら。
このウマ娘に一生ついて行こうと決めた。その為なら愛するデジタル自身をさえ騙していいと思ったのだ。

キミだけを見つめてる。苦手だったキミの両親、今ではお茶してる。

キミだけを見つめてる。一人で待つ二人だけの部屋。
キミの微笑みを縛るのは僕の薔薇色の鎖。

精一杯の家事と仕事で迎えるから、どうか笑って。それが僕の罪悪感を消してくれる。
もう、タバコを吸う事もないだろう。

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「2022-07-10のバーチャルぱかチューバーアグネスデジタルの配信より」

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
夏っ！ホンバンっ！！
本番と言ってもエロい意味です。
皆さんいかがお過ごしですか？？？

「エロい意味？！」「エロい意味じゃねえか！！」

今月行われる重賞は全てGIIIですね。
先日は福島競バ場のラジオNIKKEI賞見に行きました。

フェーングロッテンちゃんおめでとうございますっ！素晴らしい粘り勝ちでしたっ！！
アフターライブも歌声がとてもよかったですぅ……♪

2
前走は大逃げ、今回は差しと、勝ち方にバリエーションがあるのは色々と期待させてくれますよねっ！
重賞初勝利、改めておめでとうございまーす！

「テイエム系が出るからCBC賞見に行くかと思った」

流石に九州は日帰りするにはキツいんでぇ～、えへへ♪ごめんなさい。
今年は去年と同じく小倉競バ場ということでパスしました。
でも動画ではちゃんと見ましたよぉっ！
ぶっちぎりのレコード勝ちっ！テイエムスパーダちゃんおめでとうございますっ！！嬉しくなっちゃいますよねああいうの見るとねっ！！！

勝ち方に貴賤はありませんが、それぞれ感動のポイントはやっぱり違って来ます。
ギリギリで競り合って勝つのよくやったーーーーーーーっ！！！！！ってなりますし
ぶっちぎって力の差を見せつける勝ち方も、うひょおおおお～～～！ってなりますっ！
いやー競バって本当にいいもんですね。

3
「締めに入ろうとしてる？」

ダイジョブダイジョブまだ話題はありますよ？
夏休みに予約投稿でお茶濁すって言ったじゃないですか？あれのレコーディング今やってますっ！

「今からで間に合うの？」

間に合わせるしかないんですよ。何しろ旅行するって決まったのがほんの一か月前でさ、だから折角なら温めてた企画をここで出そうぜ、ってなって！
実はレコーディング自体は大体終わってるというか、デジたんとシークレットゲストの録音と、あとは編集だけなんですよ。

「シークレットゲストって何？」「オペラオー？」「オペドトウ？」「クリスエス？」

シークレットだって言ってるでしょっ！言う訳ないじゃないですかっ！！
兎に角準備にちょっと忙しい感じなので、配信のペースもちょっと落ちますごめんね。

4
「マジかよデジたんにスパチャするのが生き甲斐なのに」

もっと別の生き甲斐を見つけましょう、嬉しいですけどっ！嬉しいけどっ！！愛される方にも都合ってもんがあってさっ！！

「ディアマンティーナを解体するな」

あはははは通じたっ！いやでもディアマンティーナの依存ぶりはもうぶっ壊す以外にどうしようもないでしょうあれは……。
残虐ではあるんですけどねえ、自分に惚れさせることで従属させたはずなのに、自分からは愛さない事で限界を迎えた、って言うのは……。
でも愛に報いがない、っていうのは割りと普遍的なテーマではありますし、普遍的ってことは、解決方法が見つかってない、って事でもあります。
ディアマンティーナがまた強いのがねぇ……。最古の四人で同じ位置を占めていたと思われるコロンビーヌを倒せるぐらいに強くて、その上で報われないってのが。

「何の配信なのこれ」

うるせえ好きにしゃべらせろよあてどもなくよぉ。

5
何の話だったかな、そうそう、夏休みの間の予約投稿っ！
ラジオドラマを展開する予定でした。前回のパイロット版はあまり評判が良くなかった、という事を踏まえた上で、シナリオ全面書き直しですご期待くださいっ！

「ドラマよりデジたんの喋りが聞きたい」

あり、ありがとうございます……っ！！いや本当に有難い事ですっ！！！今ちょっと泣いてる。
ぐすっ……ただ旅行中は物理的に配信不可能な状況になっちゃうので、そこは、そこはご理解いただければっ！！

「デジたん泣かすな」

喧嘩しなーい喧嘩しなーい！嬉し涙だから！随喜の涙だからっ！

「ずいき？」

ググってっ！

6
そんな訳でお時間じゃないですかっ！
えっとぉ、パイロット版のラジオドラマでは
「近未来犯罪都市府中市。警察の業務を請け負う民間企業コウライ社は引退したウマ娘達をサイボーグ化し、町の治安を守るUMAMUSUを産み出した。」
っていう冒頭から始まって色々滅茶苦茶してたんですけど、だいぶ路線変更するつもりですっ！
でも流石に松本白鸚様や市村正親様といった重鎮のボイスを無駄には出来ないので、それを更にカオスにまぜこぜにして皆さんの脳味噌を破壊しようと思っているんですよっ！

「リスナーの脳を破壊しようとするな」

これから15:00からはツインターボチャンネルで、「BLOOD初見挑戦一番難しいExtra Crispyだもんっ！！」が配信予定ですっ。「Show Yourself！」って英語はデジたんこれで初めてしりましたっ！
まあ絶対脳壊されると思うんで乞うご期待ですうふふ♪

「悪魔かお前は」

やだなあ悪魔なんてゲームの中にしかいませんよう。悪魔に挑めと提案したのが誰かは知りませんけどね？それじゃあバイデジ～～♪

参考：
ラジオNIKKEI賞2022 https://www.youtube.com/watch?v=txcCO9ZtgYQ
CBC賞2022 https://www.youtube.com/watch?v=qi5NMaGGzDg


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トランキライザー

1
必要なのは興奮剤だったが、医者が処方したのは鎮静剤だった。
不調の原因は取り除かなければならない。マッサージ店を尋ね、栄養ドリンクを飲み、病院にも行った。
誰もが「休め」と言った。そうじゃない。望むものはそれじゃない。

薬とビールのカクテルを呑むと何も怖くなくなった。
そう、これだよ、これが欲しかったんだ。スタイラスペンが走る。ネームがどんどんと進む。
これは省略しすぎて伝わらないかも？知った事か、それは感想を聞いてから判断すればいい。読んでもらわなきゃ良し悪しなんてわからない。面白いかつまらないか決めるのはあたしじゃないんだから。
兎に角お見せして、お出しして、反省して改良して。サイクルを回さなきゃ先に進まないんだ。
行くぞ行くぞ、鎮静剤よ我が理性までも鎮静させてくれてありがとう！！！
イラストSNSに描き切ったものを投稿して、朦朧とした意識のままベッドに飛び込んだ。

「……何これ。」

ログインして見る自分の作品は、殆ど記憶に残っていなかった。
お酒は控えめにしましょう。アグネスデジタルでした。

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全部夏のせいですよっ！

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
いやーラジオドラマいかがだったでしょうかっ！？
あたしはサークル仲間との旅行も終えまして色々と準備がばっちりですようふふ沢山語らせていただきますね♪

まず長らくお待たせしてすみませんでしたっ！
物理的に配信できる環境にはいなかったので致し方無いのですがっ、それでも楽しみにされていた方々に置かれましては申し訳なくおもっておりますっ！
ライヴって特有の楽しさありますしねわかりますわかりますっ！

2
「ドラマめちゃくちゃだった」

あっはっはっは！
あれはねぇ、パカライブの方々に色々協力いただいて、且つ松本白鸚さんや市村正親さんという大御所からいただいたボイスも生かさなきゃ、だったので、結果的に滅茶苦茶になってしまったのは、はい、すみませんっ！
でも滅茶苦茶なりに勢いで楽しめる構成にはしたつもりですっ！
あのゴールドシップさんに金色の箱舟の役をやってもらって、狂言回しに徹していただきつつも色々とツッコミに徹していていただき、
その上でフクキタルさんオペラオーさんやドトウさんやクリスエスちゃんに宇宙船ディープインパクト号のクルーをやってもらう、というのは、それなりに自身の有る脚本だったのですよ？

楽しんでいただけた方はありがとうございます、使えなかった方はごめんなさいっ！

3
むっ、うっ……！ぐえーぷ。

「げっぷ助かる。」

すみません今飲んでいるのはレッドホース https://www.nipponbeer.jp/lineup/red-horse/ ですえへへ。
あ、旅行の話をしなくちゃあ。
大学のサークルでこの夏に旅行に繰り出そうぜという話になりまして。
夫と共にまんまと小さな島へ海水浴と花火とMTGのドラフト戦を目当てに行っちゃいましたよ。

やっぱり海はいいですねえ、小さな島とは言え同じことを考える人は沢山いるもので、ビーチはむはむはで萌え萌えのウマ娘ちゃんだらけ♪
写メ撮りまくってたらウマ娘ちゃんにデジたんだーデジたんじゃんーと囲まれてわっしょいわっしょい、意識が飛んで気が付いたら宿でした。
いやーウマ娘ちゃん達はねー。自分たちが可愛くて綺麗で、ついでにいま水着着てるんだってことをわすれちゃうからよくないっ！

4
「ブーメランやんけ」

はいっ！
こんな変態ウマ娘を好んでくれるウマ娘ちゃんがいるっ！その事を十分に知っていたつもりでしたのに、実際に夏の熱気とわっしょいわっしょいの熱意に包まれるといやあどうにもなりませんわ。
はぁ～～～～～ウマ娘ちゃんがあたしを担いで、讃えて、愛でてくれているぅ～～～！！！！！
こんな承認欲求の満たされはそうはない訳ですよっ！デジたんだって気絶の一つや二つはしますさそりゃあっ！

宿に戻って火照った体を覚ましたら花火タイムですねえ。
バ蹄型花火。知ってます皆さん？半円形の花火。そこにロケット花火の柄をぶすぶすとさして先輩部員が着火。
わひゃひゃひゃひゃひゃひゃ！
花のように放散する花火の火花に着火してロケット花火がビュンビュン飛ぶっ！全然まっすぐ上とかに飛ばないんですよ真横に飛んだりする飛んだ当たった痛いっ！！

5
てなわけで夏の海を好きなだけ炭素で汚し回った後はピローのトークですよセッのクスはしてないのにっ！

「デジたんいつも夜は何をしてるの」
「トレーナーさん一番厳しかったレースは」
「デジたんの一番自慢できるレース教えて欲しい」
「結婚の切欠は？」

ハラスメント！ハラスメントですよっ！でもデジたんちょいMなんで少し気持ちよかったです！
旦那はこういうの慣れてないせいか、応答に困って度々もごもごしてましたっ！
沈黙は金ですが単なる喋りベタは鉛にも劣りますよ！！
と言ったところでどうにもなりませんわ。

6
若いと自覚している人に言っておきます。
友人は大事にしましょうマジで！
環境が変わればあっさりと接点は無くなりますっ！
そして今接点がある友人も大事にしましょうっ！具体的には年賀状とか時節の挨拶とかちゃんと物理的に残しましょうっ！
それが最後の連絡先になることも、あるんでね……。

えっへへしんみりしちゃいましたあぁげっふぅ。

夏はまだ始まったばかり！
しかし終わりは思ったより早く訪れますっ！！
「暑くて辛かった」だけじゃもったいないのでっ！思い出を残しませんかっ！
この後はマルゼンスキーさんのチャンネルで70～90年代ヒット曲一挙放送をやるそうですよっ！夜更かしする価値はあると思いますっ！それでは、バイデジ～♪


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運命複雑骨折

1
「……。」

アグネスデジタル先生は悩んでいた。
早割で原稿を叩き込めてしまうと、それから開会までの時間に熱が冷めきらない。
勢いでもう一冊描いてしまいたくなるのだが……。

「何故、何故あたしのデータベースは応えてくれないのですか……。」

ネームの一枚も切れないまま、モニタの前で頭を抱えていた。

2
新刊一冊は既に試し刷りからの微調整も終わり早割入稿済み。
だからそれ一冊と既刊本のセットでお出しして全く問題ない。

だが、描きたい事が無くても描くべき事が何もなくても、描かないと気が狂いそうになることがある。
この胸にあるのは描き上げて尚止まないただの燻ぶりの火。
けれど燻ぶりがある以上、薪をくべたくなるのがクリエイターというものだ。

ネタがないなんて甘えだ。ウマ娘ちゃんは誰もが美しい。このアグネスデジタルさえも。
描ける題材は幾らもあるだろう。愛なんてこの魂に収まりきらないほどあるはずだ。
それなのに、「しっくりこない」。
カップリングのストーリー、単なる一枚イラスト、あれやこれやとアイディアが浮かんでは消える。それら全てが尊い物なのに、描きたくならない。
描かなきゃ気が狂いそうなのに、この脳は贅沢にも選り好みをしている。

3
ノックの音に返事をすると、夫が冷えた水と暖かいハーブティーを両手に持って入って来た。

「どっちにする？」
「ありがとうございます。両方で。」

頷いた夫がテーブルの空きに汗をかいたコップと湯気を立てるマグカップを置いた。

「……手伝えること、ある？」
「……もう少し自分で粘ってみます。」
「そう、頑張って。」

言い置いて夫は出て行った。
熱いハーブティーを啜りクーラーに冷えた体を落ち着かせると、氷水を飲み込んでリラックスを一挙に吹き飛ばした。

するべきことを終えても、まだやりたい事がある。けれどそれが何だかわからない……。

4
「するべきことを終えても、まだやりたい事がある。けれどそれが何だかわからない……。」

口にする。ふと頭によぎったイメージ。イメージと呼べるほど具体的ですらない幻。それが自分の心の底で渦巻いていた不安を引きずり出した。

「……引退、納得、将来、空白……。」

抽象的なイメージを口にしながら、デジタルの手がスタイラスペンを走らせ始めた。
音声通話でアシスタントグループチャットに話しかける。

「聞かせて欲しいこと、あります。」

5
夏の祭典。
アグネスデジタルのサークルのブースには、既刊二種類に新刊二種類が並んでいた。
新刊の一方はいつも通り、萌えを全面に押し出したもの。
もう一つはしっとりとした雰囲気の表紙。

「これ、読んでみてもいいですか？」
「どうぞどうぞ！」

いつもの彼女の作風と異なる新刊は彼女のファンの興味を引き、手に取ったヒトの半数は買い上げて言ってくれた。

それは自伝的作品だった。
競争バとして走り切り、専属トレーナーとも良好な関係を築き、人生のゴールを迎えた一人のウマ娘。
けれど生涯を終えるには余りにも若い。
ターフを走るにはもう力がない。後輩の育成は狭き門。
自分に残されたものは何か。残されたもので満足していいのか。

6
やがてそのウマ娘は、「まだ走りたいんだ」と気づく。ウマソウルの疼き。ウマとして生まれたなら当たり前の事。けれど今から地方競バに殴り込みをかけるのか？
それも一つの答えだが、中央で敵わないからと地方を荒らしに行くのはプライドが許さない。そもそもそれは地方のウマを侮ったとても失礼な考えだ。
走らなきゃ生きていけない。けれどゲートから自分で背を向けたのだ。ならばどうすれば？あの選択は間違いだったのか体が滅びるまで走り続けるのが正解だったのか？

「どんな選択をしても、きっと後悔する。」

悲しく優しく笑う夫の顔。それを慈悲というのだろう。
彼女は結局、地方を荒らすことを選んだ。ウマソウルが灰になるまで走りたい、ほかのウマ娘の将来を踏み躙って構わないと。
彼女が更なる栄光を手にしたかどうかは描かれていない。その代わり長い後書きに作者の思いがしたためられていた。

「後悔ってのは選択に対する税金みたいなものだから、というのは実は別の漫画の引き写しです。でもそれって凄く大事な事だと思ったので。」

賛否は別れたが、完売という結果だけは嘘を吐かなかった。少なくともデジタルはそう信じることにした。

補足：「後悔やら失望やらは全ての行動に課される税金みたいなもんだからさ」とは、うめざわ しゅん 著「えれほん」収録の「もう人間」より引き写したものです。

--
One Vision

1
「ダーク・アグネスデジタルは本質的には家事と仕事を担う夫を労う心を持っているが、自分の意思ではくたびれた夫の汗ばんだうなじの匂いを嗅ぎたい心も大人しく休ませてあげたい心もコントロールできない…。」
「……うなじを嗅ぎながら休ませてくれればいいのでは？」
「アタックビーム！」

鞄を放り出したデジタルはキッチンで夕餉をこさえる夫の背に抱き着き息を荒げつつも片手でコンロのガスを器用に全て消し、夫を引きずって寝室へと入っていった。

2
「……フケてる？」
「半フケですっ！」
「半とかあるんだ……。」

ベッドにうつ伏せに寝かされ、その上に更にうつ伏せに乗りかかられた夫は、デジタルの深呼吸音を首から聞いている。

「嫌な事とかあった？」
「別にっ！ありませんっ！」

興奮しているのか強がっているのか判断が難しい。
デジタルの大学入学後の学生結婚。年数的にはまだまだ新婚ゆえ、ツーカーの中とは言い難い。
少なくともお互いがお互いを愛していることだけは、互いに信じていると信じ合っている、と信じているのだけど。

「……パパみたいな匂い♪」
「ふくざつ。」

3
10分近くのしかかられたところで、夫が切り出す。

「おなか減ってないの？」
「減ってます！」
「じゃあ降りてくれないかな？」
「もう少しだけ……。」

そう言って一層深く呼吸するデジタル。

「やっぱり今日何かあったろ？」
「多分っ！」
「多分？！」
「今日はアナタの匂い嗅ぎたくなったのですっ！」

4
ウマ娘の愛情表現は人間より少し野生動物に近い、と聞いたことがある。
それに付き合う内に、相手もまた野生的な愛し方をするようになっていく、と。
夫は不意に寝返りを打ち、デジタルに正面を向けた。

「！！！」

向かい合ってぎゅっとハグをすると、驚きに固まったデジタルの体が見る見るうちにほぐれていく。

「キミの事、今日はよくわからないよ。」

でも。

「僕がどうしたいかはわかったから。」

デジタルの顔が分かりやすく紅潮した。

5
「ご飯食べたら、イチャイチャしよっか。」
「イチャイチャ！いやいや、今日はアナタお疲れの筈ですし、マッサージでも何でも労って差し上げますっ！」
「それは楽しみだけどっ。」

細い妻の体を持ち上げ、広いベッドの横に置く。

「まずはご飯を食べよう。食べながらどうするか話そうよ。キミだって課題あるんだろ？」
「あはは、はい、実は今日の課題キツくて、現実逃避をしたくてですねえ……。」
「じゃあ今日貰ったウマ娘のトレーニング動画一緒に見る？」
「見ます見ます見まいでか！！」

クスりと笑い、夫は起きてキッチンに戻る。

6
「それでですねえ、サークル室がもう盛り上がって……」
「今日映像貰ったウマ娘で伸び盛りな子がいてさ……」
「先日のGIIIを振り返りで動画見たんですけど……」
「やっぱり成長が感じられるのっていいよね……」

今日のメニューはサーモンとナッツたっぷりのパワーサラダにシンプルながらスパイシーなカレーライス。
汗をかきかきおしゃべりしながら笑顔の食卓。互いに口を拭き合いしょうがないなと笑い合う。
溢れる力を感じ合う。戦うためじゃなく、分かり合うために一つになったんだと分かる。
互いがどうしようもなく違うと思い知るけれど、その度に重ねてきた時間の粒が二人の扉を開いていく。

「御馳走様でーす！」
「お粗末様でした。」

7
戦うためじゃなくても。
愛し合うためですらなくても。
互いに見つめ合っていなくても。
全然違う自分たちは、二人で一つになって未来を選べるとわかってしまう。

「今日はどんなマッサージがいいですかぁ？ア・ナ・タ♪」
「キミこそ、まだまだ話し足りないって感じだよ？」

食器を片付けながら全く嚙み合わない会話に、二人して笑う。

「あ、そう言えば半フケでしたっ！」
「思い出さなくていいのに。」

笑う夫に妻は頬を膨らませ。それなのに一心同体を感じてしまう。ただの新婚気分でもいい。今だけは二人で一つのビジョンを確かに見ているのだから。

--
スメル女

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
昨日旦那のうなじ嗅いだ。

「何言ってんの？？」
「何で？」
「臭かった？」

パパよりもマイルドな匂いだったね。

「何を聞かされてるんだ俺達は」

あははは、昨日はちょっとフケてたんですよね。

2
「ちょっとフケるとかあるの？」

デジ民（たみ）のみんなは無い？
こう、セルフプレジャーするほどではないけど、ちょっとえっちなことしたい気持ちとか。
乳首の一つも出さねえグラビアでも見たい時あるじゃん。

「おっさん」
「おっさんだ」
「出たデジおっさん」

デジおっさんんんんっはっはっはっは！
おっさんじゃありませんよっ！ちょっと甘えたかったんです昨日はっ！

3
「全部差し引いても冒頭からノロケ聞かされてるんだよなあ」

そうだね。
まあ7月も終わりまして、今月は重賞レースも少ないし、偶には家庭のお話もしようかとおもいましてぇ。

「喧嘩しろ」
「別れろ」
「結婚して」

だはははははは！！！あのねえ、あたしの配信ダンナも見てるんですからね時々っ！

「ダンナデジたんと喧嘩しろ」
「ダンナデジたんと別れろ」
「デジたんダンナと離婚してから俺と結婚して」

4
怖いー！あっははははは！
怖いって言うか怖いもの知らず過ぎでしょキミたちぃ！

匂いの話続けてもいい？昨日は旦那に甘えたかったから旦那吸ったんですけど、ウマ娘ちゃんの匂いがやっぱりあたし一番好き。
重賞走った後のライブの控室でさ、バックダンサーは更衣室がひとまとめにされる訳。
そん時のウマ娘の獣臭……。夢枕獏センセーに書かせたら多分それだけで1ページぐらい使う奴。
みんなデオドラントとか使ってるんですけどやっぱり全力で走った後だし何なら掲示板にも載らなかった悔しさもあるしさ、こう、只事じゃない訳ですよ、熱気と湿度が。
切り替えていこう！って子も居ればちょっと泣きながらメイクしてる子もいる訳。デジたんも急がないといけないんだけど、こんなウマ娘ちゃんの剥き出しの姿を見られる機会なんてないから、つい見とれちゃうわけ。
そんで時々「デジ早くしなよ」って言われたりするの。

5
「厄介ヲタ…」

うん。マジでそうだったと思う。だってそこに居るって事は自分も負けてるんですよ、ボロボロに。そんで悔しがってる子達に混じって萌え萌えしてるんだもんね。失礼なんてもんじゃないですよ。あの頃は本当にすみませんでした。
でもわかっててもさっ！ウマ娘ちゃんの汗と涙と、そしてその挫折を乗り越えようとする姿、おまけに匂いまでしたらもうデジたんにとってそこはもう……んん～～～～っ！！！！

「デジたんもしかしてそれを味わうためにボロ負けしたりしたことある？」

それは誓ってないです。まあ引退レースになった有マ記念だけは、勝てないだろうな、という気持ちではありましたけど、それ以外で勝ちにいかないレースは無かった。
なのでボロ負けは素直にただのボロ負けです、あはははは！バ券買ってくれた人ごめんなさいっ！！

「なんだかんだ言ってデジたんはウマ娘泣かせた側だしね」

はい、と言っていいんでしょうかね？言うべきなんでしょうね、GI取ったからには、強いウマ娘として胸を張らないといけないんだと思います。

6
こうやって引退して、素直に愛でることが出来る立場になっても、あの時負かしたウマ娘ちゃんについてだけは「あたしが強かったのだ」というのが義務だと勝手に思っています。まああの頃一緒に走った同期はスーパーカー様以外皆引退してますけど。
……おっとしんみりの気配？いけないいけないっ！

という訳で少しフェティッシュなお話でしたっ！この後少し時間をおいてスパチャ読みしていきますんで、よろしければ匂いに限らず、拘りを語ってもらえると助かりますっ！

「ぴょいした？」

もーデジ民はもー。まあ、久しぶりに二人でスキンシップして、ツヤツヤに満たされたとだけ言っておきます！その時だけじゃなくて、今まで重ねてきた時間の粒を感じて幸せになりましたよーだ！

「MATRIX EVOLUTIONしたんだ…」
「光を放つ身体が溶け合ったんだ…」
「ゼロへと変わる心が溶け合ったんだ…」
「ふたり出逢えた意味わかったんだ…」

はいはい！もうおしまいでーす！スパチャ読みは30分後ぐらいね！ではそれまで～？バイデジ～♪

--
嗅ぎたいの

1
「カメラオフになってるけど」
「キャプチャソフトが調子悪くて、再インストールしてるんです。」

そうか、わかったという声をインカムで聞くテレワークサブトレーナーは対面座位で胸の間の汗を妻に嗅がれている。

「……デジタル。」
「んふー……。」

妻は抗議の声を聴く気もなく、夫の腕を持ち上げて脇を嗅いだり、シャツを捲り上げて腹を嗅いだり、ズボンの膝を嗅いだりしている。

「今仕事中なんだけど。」

同僚にこんな愛撫を見せる訳にもいかないので映像はオフにしているが、それはそれとして仕事が進まない。

2
夫の抗議の声も意に介さず、脛を嗅ぎ、足先を嗅ぎ、そして仰け反る。

「流石に、足は誰も臭いんですねえぇ……。」
「わかったら離れておくれよ、今仕事中なのはわかるよね？」

構わず股間に顔を埋める妻は全くわかっていないようだ。
短パンをアンダーパンツ事ずらして男の芯に鼻を突っ込もうとしたデジタルの顎に膝蹴りを食らわすと、改めてキーボードを指で叩く。

「蹴らなくてもいいじゃないですかぁっ！」
「今仕事中っ！！」
「仕事とあたしとどっちが」
「キミが大事だけど今の君は尊重に値しないっ！」
「ムキーッ！」

3
その後もアグネスデジタルはめげる事なく夫の体を這いまわり、左肩の少し上の耳裏に鼻腔を定住させた。

「今日もラブラブだねえ。」
「恐れ入ります。」

ボイスチャット先のメイントレーナーに気恥ずかしい声を返す。
モニタに移る担当ウマ娘のトレーニング姿に彼も妻も目を見開いて注目する。

「デジたんも早く資格とれるといいね。」
「恐れ入ります。」

メイントレーナーの世辞に対し彼は定型的な返事しか返せなかった。
耳裏を嗅ぐ妻の鼻息がどんどん荒くなるのを感じ取っていたから。

補足：オジたんに野性的に愛されたいだけの人生でした。


--
オールドガール

1
デジタル先輩って苦手なコースとかあるんですかって訊かれたのでGII以下の芝って答えたら首を傾げられました！
という訳でね！トレセン学園にOGとしてイキり散らしに行って来ましたよっ！厄介な先輩っ！だって講義無くて暇だったからっ！！
まあみんな授業やトレーニングで忙しいし、最悪不法侵入で摘まみ出されてもいいやぁ～とテコテコ歩いていたら、視線を感じた訳ですよ。
視線って言うか、明らかに遠巻きにしてこちらの様子を窺っているウマ娘ちゃん達。
あちゃあそりゃあ知らないウマ娘が制服もジャージも着ずにうろついてたらそういうふうに見られますよねえ。
怪しい者じゃないんですよ～、あたしここの卒業生なんですよ～気まぐれで来ただけなんですぅ～って近づいて説明したら、
あのぉ、そのぉ……もしかして、アグネスデジタル先輩ですか？って。
シュナージー、おまえには聞こえまい！おまえの望む地球にはない、最高の……音楽（ミュージック）だ……！

2
あ、そうですよぉ、お邪魔してますぅって言ったらもうワーキャーですよこれがGI六冠バの実力ですよ見たか皆さん！
サインください握手してくださいって言われたから応じまして、ごめんねオペラオーさんじゃなくてって小粋なデジたんジョークを言って場を凍らせたりしましたよね。
困ったな雪のバ場はデジたんも初体験だぞ？
そしたら騒ぎを聞きつけた先生がやってきまして。
迷惑だから大人しくしてて、とやんわりと遠回しに言われまして来賓室に案内されました。
お紅茶出してもらいました！凄い！嗅いだことない香り！知らないティーだ……。
暫くするとなんと理事長がやってきまして！
皆さんご存じのあの調子で
歓迎！しかしノンアポは少々困るな！と。
不法侵入ごめんなさいと頭を下げると
許可！しかし名目は必要ゆえ、これから併せウマをお願いしたい！
シュナージー、おまえには聞こえまい！おまえの望む地球にはない、最高の……音楽（ミュージック）だ……！

3
だってだって綺羅や星の如く輝くピチピチのウマ娘ちゃんと走っていいんですよっ！
これはもうセックス以上の快楽だっ！
そんな訳で1200や1600や2000をウマ娘ちゃんの横顔ガン見しながら走って来ました！
若干迷惑な顔をする子も、逆に照れまくって顔を赤くする子もいました！併せウマでしか得られない栄養素を過剰に浴びたデジたんは熱が出て倒れました。起きたら知ってる天井。こんな時間。

こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
8月も上旬が終わりかけ、皆さんいかがお過ごしでしょうかっ！
デジたんは熱い熱い青春を楽しんでおりますよっ！

「デジたんの早い口上久しぶりに聞いたわ」
「卒業校にイキりに行くな」
「はい、今日のご飯はイキり散らし寿司」

えへへへ、ちょっと水のみます。んぐ、ぷは。げぇーっぷ。

4
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」
「本当に水？」

水ですよお、ほら原材料名は麦芽、ホップって書いてあります。

「ビールじゃねえか！」
「ビールじゃん！」
「晩酌配信なら事前にそう言ってよ」

あっはっはっは！おじタルは最近図々しくなってきたのですっ！生活の中で色々他人に甘えてみたらさ、割と受け入れられたりして。それがなんだか楽しいの。

5
サークルの仲間にさ、今日はレースじゃなくてライブの動画見たいんだけど、どうかなって訊いたらいいよいいよ見よう見ようってなったり。
夫に体の匂い嗅ぎたいって言ったら怪しまれはしたけど、いいよいいよって言われたり。
そうやってワガママが許されるのって、気持ちが良くて。勿論ワガママ言うばかりじゃダメなんだけど、「そのくらいなら全然オッケーだよ！」って言われるのがいちいち嬉しくてさ。

「夫の体の匂い……？」

ふふん、あたしは最近男性の体の匂いの良さがわかって来たのですっ！

「胸張っていう事ではないよ……？」

あははははそうだね、ほんとそうっ！でもねえ、皆もさあ、女の子の匂い好きじゃん？あれと一緒。

6
「好きじゃんと言われても」
「嗅がせてくれる彼女を屏風から出してください」
「デジたん嗅ぎたい」
「オジたん」
「デジオジ」
「アグネスオジタル出たな」

滅相もない、あたしなどただのウマ娘ヲタクで、こうしてチャンネル登録数もこの通りたった……
おおっともうお時間ですっ！
この後22時からはワンダーアキュートさんのスターホースポケット+実況ですっ！
今度こそスマートファルコンさんを倒せるダートホースを育成することが出来るのかっ！？
それでは、バイデジ～♪  ……ぐぇっぷ。


--
スペースデジたん

1
「ちょっとぉ不思議なぁ、夢見たのぉ～♪
あなたは宇宙飛行士でっ、あたしは農夫♪」
「逆逆。」

ぼんやりと赤い顔をして帰って来た妻、アグネスデジタルの鞄を受け取り、肩を貸してキッチンまで誘導する。
大学のサークルの飲み会とは聞いていた。時刻は0時を回っている。ウマ娘専用レーンをふらふらと走って帰って来たのだろう。
冷蔵庫のミネラルウォーターをコップに注いで渡すと、デジタルはちびちびと飲み始めた。
チェイサーをちびちび。最早口に入る液体なら何でもいいという状況というわけだ。
或いは喉や食道や胃がアルコールで荒らされて呑むのが辛いのかもしれない。
単に気まぐれでちびちび飲んでいるだけかもしれない。

「……ビールください。」
「だめ。」

気まぐれが正解。

2
「何ですかぉあたし今とてもいい気分なんですぅ、もっともっと気持ちよくなりたいんですうお酒をくださいぃ。」
「だめ。」

軽い彼女の体を無理やりにお姫様だっこして脱衣所まで運ぶ。
脱力しきった彼女から服をはぎ取り、自分も服を脱いで一緒に浴室に入る。
酔っているが故に現状認識が疎かになっているのが幸いした。十分に温度調節をしたぬるま湯のシャワーを二人で浴びる。

「ふにゃぁああああ～～～～～。」

なんだその声は。酔っぱらってぬるま湯浴びるとそんなに気持ちいいのか。それなら僕もやってみたいぞ。

「ああ、はっきりしてきましたぁ。」
「ならよかった。」

3
「裸ですねえ。」
「お風呂だからね。」
「二人とも裸ですねえ。」
「そりゃ、お風呂だからね。」
「アナタとあたしが裸なんですねえ。」
「見ての通りだよ？」

……。

「あの……。なんていうかその……下品なんですが…フフ……フケちゃいまして……。」
「……。」

酒の勢いでのセックスは倫理的に良くない事はわかっている。断るべきだ。問題は、ウマ娘であるアグネスデジタルのフケを。妻の発情を。
薬や我慢で受け流すのは、夫としてどうかというのと……。
僕の僕自身も、倫理的でない反応を示していたので……。夫婦らしい行動を取るべきだと決断した次第である。

--
昼から酒飲みグーグー眠る 決定有罪絞首刑

1
アッルッコールッ♪ アッルッコールでっ♪ あたしはぁ～げぇんきぃ～♪

「ひっでえ歌！」

あれ、音程違いましたっけ？

「そういう意味じゃねえんだよなあ。」
「上手いから余計酷い」

あははははっ！すみまへぇん♪
というわけでぇ、すぅ～～～（吸気音）……こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスれジタルれしゅっ！

「もうダメだねこの配信」

2
さてさて8月の話題と言えばやっぱりこの暑さ！あちゅい！あちゅいよほぉ！！
皆さんはねっ、チュウしよ❤対策ちゃんとしてまふかぁ？

「酔っ払いに言われたくねえ！」
「今日はマジで酷いぞ」
「いつも酷いだろ」

デジたんはねえ、さっきまで運動公園で走ってましてゃぁ。
8月はレースも少ないので観戦スケジュールによゆうがありましゅ。でもクーラー効いた部屋でじっとしてると、元アスリートとして、「動かないとこのまま不健康になるぞ！」とおうちを飛び出したんよ。
同じような考えのウマ娘ちゃん達が結構いたらしくてぇ、公園のコースでは色んなウマ娘ちゃんがめいめいに走っておりましたぁ。
コースの横ではストレッチをしたり、走り終わった後らしく汗を拭いて水を飲んだりしてるウマ娘ちゃんも居て、ああ、これは絶対健康にいい奴～♪
ウマンチッドが溢れていましたよぉ。
見惚れてるばかりではのぼせてひまふのれぇ、（ごくっ）水飲んで柔軟して、レッツゴーれすっ！（ぐびっぐびっ）けぷっ。

3
「呑むのやめろ」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」

最初は軽く走り出しれぇ、少しずつペースを上げながら3600メートル走りまひたぁ。（ごくごくっ）えへへ、デジたん長距離適性無い無い言われてますけど、ただ軽く走るだけならできるんでふよぉ。
でもやっぱり3600走ると息が上がりまひて。一旦芝に座ってお水を飲んでましら。（ごくっごくっ）

「だから呑むのをやめろ」
「もしかして公園でも酒飲んでた？」

まさかぁ、流石に走るときはちゃんとただのお水でふ、原材料「水」かっこ鉱水、ね、安心したれしょぉ？

「安心は出来ねえな」
「飲酒走行してなくて偉いっ！」

4
えへへぇ、褒められたっ！
れね、やっぱれジたんゆーめーじんらからぁ、ウマ娘ちゃん達が寄って来てくれるわけぇ、むふふ❤ んふふ❤ ありがてえありがてえこちらこそ素敵なお姿を見せてもらって勿体ないぃ。
皆さんの練習を邪魔してもよくないし、コースからちょっと離れて、こんな変態ウマ娘にですよ、ファンですと言ってくれるウマ娘ちゃん達やヒト娘ちゃん達やヒト息子ちゃん達やウマ息子ちゃん達とちょっとしたファンミーティングを開催しちゃいまひらぁ。

「いいなあ」
「生デジ見てぇ」
「今ウマ息子って」

そんでさあ、やっぱファンってありがてえなあって。幸せな気分で家に帰ってシャワー浴びて一杯かっくらって今ですよ。

「かっくらうって言うな」
「おっさんなんだわ」

5
（ごくっごくっ）そんれさあ、幸せになったよーってのを配信したくなってぇ、配信してますぅ。幸せいいねえ。幸せはいいよぉ。ファンですって言われたらパワーが溢れちゃうよ。現役時代おもいらひまひた。
ファンと言えば3兆人という地球史上空前絶後のファン人数を誇るスマートファルコンしゃまですよね、3兆人ファンのパワーがあればそりゃあんな魔王みたいな強さになるわぁ、とかおもいましゅ（ぐびっ）。

「呑むのをやめろ！！」「ぐっだぐだなんだわ」

ああ、そうそう、ファル子さんの話は始めるとおわりゃなくなるかりゃ置いといて。
皆さんありがとうございます。
ファンでいてくれて、ありがとうございます。
こんなあたしを、引退後も、こんなバカな配信を、ぐすっ、して、自己満足してる、課題もほっぽって、嬉しいな配信しよーっつって突発的に配信して、見てくれて、コメントしてくれてる皆さん、ありがとうございま、うえーん！！！

「情緒めちゃくちゃだよー！」「泣き上戸だったのか…」「まあ酒はダウナードラッグだから…」「そうかこれバッドトリップか」
「今すぐ呑むのをやめろ」

（ぐびぐびっつ）んぐ、げっぷ。

6
「やめろっつってんだろ！」
「礼を言いながら酒を呑むな！」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」

コメントの通りバッドトリップに入ったっぽいので寝ます、まとまらなくてしゅみまへん。
ええーっと、この後パカライブの配信は……今夜れしゅね、20時から、樫本先生のりこりこチャンネルで、「ウマリオカート5位以下になったら即終了」配信がありまふ。
体力が少ないという定評がある先生でしゅがダンスゲームちゃんと一曲踊り切ったり、そもそも過酷なトレーナー業務を完ぺきにこなすなど、体力というよりはその使い方が不器用なんじゃないかという分析結果を昨年あたしがだしまひた。
論文は動画の概要欄にリンク貼っておきましゅのれ、興味のありゅ方は是非～♪それでは、ばいれじぃ～♪

……。（ぐびっぐびっぐびっぐびっ）

「おいっ！」


--
琥珀色の夜

1
別に何の記念日でもないけれど、互いの暇が重なったから。
折角だからいつもはしないことをしましょうと妻がいい、それはいい、ちょっと奮発しようかと夫も財布を手に取る。

「いらっしゃいませ。」

カランと低く響く音を立ててドアベルが鳴った。

「二人なんですが、いけますか？」
「テーブルとカウンターとどちらにしますか？」
「カウンターで。」

どうぞ、と促された席に夫は妻の手を取り歩み。
背の低い妻はカウンターチェアに背伸びして飛び乗った。

2
「御注文がお決まりでしたら、お伺いいたします。」
「実はこういう所は初めてなんです。お手数ですが、お勧めを教えていただけると。」
「かしこまりました。」

薄暗い照明によくあった、抑制的な声でバーテンダーが応えた。
妻は未成年に見られないようにとマイナンバーカードをカードホルダーから取り出してテーブルに置く。それを見てすかさず、もう一人の店員がはい、成年である事を確認させていただきました、ごゆっくりお楽しみくださいと微笑みかけた。

「サービスが行き届いてますねえ。」
「それが売りだからね。」

蒸留酒主体のバー。濃いアルコールの匂いと刺激の中から己の好みを探し出そうとする、一癖も二癖もある客を日々相手にしているのだ。そう考えれば、初心者の相手など朝飯前だろう。時刻は夕飯後であるけれど。

「お待たせいたしました。」

3
差し出されたのはナッツとチーズの盛り合わせに、水割りのウイスキーが二つ。

「お口に合わなければお申し出ください。」

丁寧な言葉に夫も妻も頭を下げる。

「あ、凄い！燻製の香りがします！」
「そうだね。樽の香りか……。」

耳をピコピコと動かす妻に、夫もしばし香りを楽しむ。そして、酔いすぎないように慎重に口に含む。アルコール特有の刺激を警戒していたが、案外すんなりと喉の奥まで流し込んでしまった。そして胸の奥からかぁっと熱が広がる。隣の妻も恐る恐る口をつけてから、口の中で転がそうとして呑み込んでしまい、驚き、そして全身を走るアルコールに震える。

「こんなお酒初めてですっ。」
「僕も。」

夫はカシューナッツを、妻は色の濃いチーズをそれぞれ摘まんで口に運んだ。

4
呑みやすく、しかし確かな重みをもつ琥珀色の液体を少しずつ口に含む。なるほど、これがウイスキーの味わい方か。
ロックやストレートならもっと味や香りは濃密になるのだろう。その代わりアルコールの刺激も増すから、単に味や香りだけを多く感じるとは限らない。
蒸留酒は割って呑むのが自分に合っているのかな、と思いつつ、夫は店の奥に首を向ける。
小さなテーブルで喋り合っている客、一人で黙々と飲んでいる客、スマホを弄りながらカクテルグラスを傾ける客と様々。
この店を紹介してくれたのは彼の仕事仲間。確かにその者の言う通り、気取らず入れる初心者向けの店だ。
マスターもよく話しかけられる。が、よく見ると二言三言で会話を打ち切って、店内全域に目線をゆったり泳がせている。
バーとしての雰囲気を損なわないよう常連を贔屓しすぎることなく、しかし堅苦しくなり過ぎないよう対応しつつ、その上でサービスレベルは保つ。
その為の努力を何十年としてきた佇まい。これが一つの店を長く保って来た店主のふるまいと言うものか……。

「浮気は事前に文書にしろって約束しましたよ？」

妻が視界に割り込んできた。

「な、へぇっ！？」

5
「マスターの事ばっかり見て。ふふ、注文したいものでもあるんですか？」
「御注文でしょうか？」

妻の言葉に白髪のマスターの微笑んでこちらにやってきた。

「あ、ああ、いや。とても気遣いなされているんだな、と思いまして。」
「恐れ入ります。チェイサーをご用意してもよろしいでしょうか？」
「チェイサー？」
「失礼しました、ただの水です。」

夫もチェイサーの意味は知っていたが、如何せん混乱していて必要以上の無知を晒してしまった。どうぞ、と二人に差し出された氷水を二人同時に口にする。

「何かあれば、お申し付けください。」

そう言ってマスターはゆったりと二人から距離を取った。

6
「……プロだなぁ……。」
「はい？」

漏れ出た夫の声に妻が食いついた。
店について既に1時間ほど。チェイサーとツマミを補充しつつ、喉を焼くようなバーボンや度数を隠した甘く危険なカクテル、シンプルなビールを二人して味わう。大脳新皮質が自覚もないほど麻痺し、口から出る言葉もコントロールできない。

「マスターがさ、あの……。凄く店全体の様子に気を配ってるのが分かって。」
「ああ……。」

当のマスターは聞こえぬふり。

「かと言ってピリピリする訳でも無いし。常連さんっぽい人たちに構い続ける事もしないし。僕らみたいな初心者にもあれこれ勧めてくれるし。でもごり押しって訳でも無いし。」
「なるほどぉ、トレーナーとしてはそういうの気になる訳ですねえ。」
「そうだねえ、どうしても人と向き合う仕事だから。勉強になるって言うか、負けた気持ちになるって言うか。」

7
「GI六冠馬育てておいて誰に負けるって言うんです♪」
「オペラオーのトレーナーさんとか？」
「あーそりゃ駄目ですね、確かにアナタでは敵いません♪」
「何だよ、もうちょっとフォローしてくれてもいいじゃん。」
「ん～？珍しいですね、甘えたい声ですよぉ。」

マスターは変わらず聞こえぬふり。
そうしてもうこれ以上は酔い切れぬという所まで呑んでしまった。カウンターチェアから降りれば足はふらふら視線もゆらゆら。

「御心配かけてすみません、大丈夫です、帰りはタクシーに頼るので。」

定まらぬ指先で何とか会計を済ませると、デジタルと夫は店を出た。

8
タクシーの後部座席に並んで座り、家の近くのコンビニを指定。

「……いい夜でした。」
「何よりだ。」

デジタルの言葉に、夫が微笑む、が。

「……ああーっ！今日ウマ娘ちゃんの話全然してないぃっ！！」
「そういう店を選んだからね。」

ウマ娘とは全く縁のない店を教えて欲しい。そういう前提で同僚に訊いて探し当てた店なのだから。

「悔しいぃ～～！たかがお酒の事でウマ娘ちゃんの事を忘れてこんなにも夢中になってしまうなんてぇ～～！！！」

9
「たかがは失礼だろ。」
「確かに失礼でしたすみませんっ！しかし、あたしでもウマ娘ちゃん以外の物に集中できる瞬間があるとは、驚きですっ！」
「たまになら、いいんじゃない？自分はこういう人間なんだって決めつけるより、色々味わった方が……そうだね、人生に深みが出る。」
「樽仕込みのウイスキーのように？」
「そうそう。」
「シングルモルトよりブレンデッドのように？」
「どっちも味わった上で好みを判断する方がいいのは確かだね。」
「ウマ娘ちゃんだけじゃなく、ウマ娘ちゃん以外の……。」

妻は夫の目を見つめ、そう言って……眠ってしまった。夫は妻の耳を撫でながら運転手に問うた。

「急がなくていいですよ。できればその……ゆっくり回り道して欲しいんですが。」
「停車でも構いませんよ？2分で100円になりますが、駐車場を探しますか？」

此処にもプロがいたか、と夫は世の深さを知るのであった。

--
非実在当て馬

1
「はいこれ。」
「何です？」

何らかのカードを差し出されたアグネスデジタル。夫の手からそれを受け取りまじまじと見つめると。

「ついにやりましたね！あれほど浮気は事前に書面にしろと言ったのにっ！」
「待って待って、まだ行ってない。」
「まだとはまだとはっ！」

千切れんばかりにデジタルがカードを握りしめる。そこには『むちウマ居酒屋』の文字があった。

「一緒に行かない？」
「頭おかしくなったんですかぁ！？」

2
むちウマ居酒屋。居酒屋とは名ばかりでその実態は風俗1号営業キャバレークラブ。
それもセクキャバに限りなく近い男性向けのキャバクラである。
ダイナマイトボディからちょっぴりお腹に脂の乗ったふくよかボディまで、所謂「むちむちとした」体型のウマ娘だけがキャストを勤める。
キャスト達は寄り添って談笑するだけでなく、膝の上に対面でまたがってうまぴょい伝説を踊ったり、うっかりうまだっちした客のハロン棒を服の上から触ったりして『接待』を実施する。

アグネスデジタルの現役時代、この店の存在はトレセン学園に波乱を巻き起こした。
恋に恋するお年頃の乙女たちにとって、自分の相棒にして模範たる専属トレーナーが風俗通いをしているという事実は、その疑いがあるだけでも劇薬に過ぎる。

あの頃は他人事と思っていたのに今頃になって。
……いや、実は他人事ではない。デジタルは当時「ウマ娘ちゃんに接待してもらえる」という情報だけを頼りにむちウマ居酒屋に突撃し、入店拒否を食らった経験がある。これは夫にも明かせないアグネスデジタル最高機密の一つ。
その災厄が時を経て目の前に顕現したのである。

3
「どこのおバカさんがキャバクラに妻を誘うんですか！」
「ウマ娘に接待されたくない？」

だから！あたしは接待してもらえなかったんですよ！！
とは言えない。

「アナタが接待されるのが嫌なんです！ほかのウマ娘ちゃん見て鼻の下伸ばすところなんてみたくありませんっ！」
「見るだけならいつも一緒にトレーニングの映像みてるじゃないか。」

夫はサブ専門のトレーナー。主夫業の傍らでテレワークで複数人のメイントレーナーの助手を行っている。映像データを解析する夫の横で、自分もそれを見てうはうはするのがデジタルの日課だ。

「そうじゃなくってっ！あたし知ってるんですよっ！！このお店の『接待』はそんな生易しいものじゃないって！！」
「そうだね。」
「そうだねって……。」

4
「でも隠し立てしてもよくないかなって。」
「それはまあ、はい。」
「キミがゴミ箱からこれを見つけたら絶対揉めるでしょ。」
「それはそう。」
「だから一緒に行った方がいいかなって。」
「行かないって選択肢は無いんですか！」
「そりゃ興味はあるもの。」
「自分に正直ぃー！」

考えてみれば結婚する前からちょいちょい変なところはありましたよこの人。芝走らせたりダート走らせたり。でも結果が着いてきたから、変な選択はあたしの事をよくわかった上で判断した結果であって、決してこの人自身がおかしいのではないと信じていたのです。
それを、その期待を、こんな紙切れ一枚を切欠に裏切られるとはっ！！

5
「いいですか！」

椅子に座る夫の腿の上に、対面するようにデジタルが座る。

「ね！こうして！キャストウマ娘ちゃんがブルンボルン走り出し～♪するんですよっ！！」

上下に体を揺さぶりながら、自分にはない仮想の乳房を両手でゆさゆさと弾ませて見せる。

「うん。」
「うんじゃないんですよ！満更でもない顔をしてんじゃないっ！！」
「続けて？」
「続けて！？」

6
「だってキミにこんなことされたらこっちだって収まらないよ。」
「……！こんの……脳味噌チンポ直結野郎！」

顔を真っ赤にしたデジタルが夫の膝から飛び降りた。ウマ娘渾身のパワーで握り潰したカードをゴミ箱に放り捨ててズンズンと歩き去る。

「シャワー！浴びてきますっ！！」
「うん。」
「あたしが出た後で！シャワー！！浴びて！！！寝室に来てくださいっ！！！！」
「わかった。」

わかったじゃないんですよっ！！
ドバンっ！ 叩きつけるように夫の私室の扉が閉じられた。
夫は携帯電話を手に取ると、明日午前休を取ることとむちウマ居酒屋の名刺を渡してくれたことの感謝を認（したた）め、同僚へとダイレクトメッセージで送った。

--
耳からあなたへ

1
はい、寝る前にデジたんのお話聞こうね
トレセン学戦時代にヒシアマゾンさんに頼まれてシンコウウインディちゃんにお仕置きをして欲しいと頼まれたの
ウインディちゃんを噛むなんてできませんよっ と一度は断ったのですが、実際に噛まなくてもいい、噛まれる側の気持ちをわかってもらえればと頭を下げられたのでこれはもうやるっきゃ★ナイト
ヒシアマ姐さんを隠れ蓑に様子を観察 姐さんのお説教にも全く悪びれないウインディちゃん
これは出番ですねと糸切り歯の裏を舌で舐めて唾液を出すと涎が床に落ちましたわぁ
デジたんとっくに先走りしてたのね 恐怖を与える行き過ぎたヲタクを演じるつもりがとっくに堕ちていたんですわ
ヒシアマ姐さんという隠れ蓑からｽｲと出たあたしはもう舞台の上のウマドル
「いや～ウマ娘ちゃんを傷つける行為は本当はNGなんですけどぉ～❤❤❤」と全力全開で理性を外してウインディちゃん味わい隊を演じたのです
「噛んでごめんなさいなのだ」
素直に謝るシンコウウインディちゃんの虚無の表情を見て縁が切れたのを感じましたわぁ

デジたんのお話終わり 寝ていいですよ

2
という訳でこんデジ～。今日はですねえ、寝る前のASMRですよぉ～❤

「うまよんに苦い背景を付けるな」
「実話なの？」
「俺も小学生の頃女の子ビンタして半泣きにさせたの思い出した」

いい感じにざわついてますねぇ～。そんな皆さんの夜のテンションを、デジたんがゆっくり鎮めて、あげますねっ♪

「ちんこ立った」

繊細過ぎる……

3
今日のASMRは、少し切ないシチュエーションです。
まずは目を閉じて深呼吸をしてくださいぃ。
はい吐いてぇ～…
吸ってぇ…
吐いてぇ…
吸ってぇ…
吐いて♪
……どうでしょうか？胸に手を当てて、鼓動を、聴いてみてくださぁい。
早い人はもう一度深呼吸。焦らずにゆっくりと、心臓の鼓動が落ち着くまで待ってくださいねぇ…。

落ち着けましたか？

4
では目を閉じて。想像してください。あなたの横にあたしが居ますよ？
左耳にぃ…… ふぅ、すぅ、ふぅ、すぅ、

すき♪

すき♪

大好きです♪

5
今度は右耳にぃ…… ふぅ、すぅ、ふぅ、すぅ…

すき♪

すぅき♪

だぁい好きですっ♪

ふふっ♪今夜はぁ、一緒にぃ、お休み、しましょうねぇ……❤

「勃起した」
「眠れんわ」
「デジたん向いてねえ」
「最高」
「デジたんの旦那デジたんを俺にくださいっ！！！！！」

6
だはははははっ！！！！！
向いてないわデジたんっ！ここで勃起したってコメントを拾う当たりが向いてない！ASMR上手い人はそういうのちゃんとスルーするんですよねえ、いやあデジたんはやっぱり会話がしたいかなーって、なりますっ！

「おい待てよ続きは」
「パンツ脱いで待ってるんだけど」

眠れない奴やん！寝るの意味が違って来ちゃいますよっ！！

「切なさはどこに行ったの」

いや、この後デジたんが死んで、幼馴染に慰めてもらうっていう構成だったんですけど。

「死ぬな」
「なんで！？」
「幼馴染役もデジたんとか脳壊れる」

7
おっともうお時間ですねえ、どうしてもリアクションが嬉しくてコメント拾っちゃうんですよねえ、これも絵描きのサガ、か…

「よろしい　しぬまえに」
「かみのちから」
「とくと　めに」
「やきつけておけ！！」

こういう団結力好きよ。ヲタク特有のムーヴですよね。好き好き大好きっ！
ヲタクが間口の狭い言葉を時に投げるのは、仲良くしたいからというよりは仲良く出来ない人に遠ざかってもらうための方便というか双いう側面がありますよね、あ、しまった今日はその幼馴染が実はキャバ嬢やってル設定で、それをてこにこの前旦那を相手にキャバ嬢プレイしたことを話すつもりだったのに全然そこまでたどり着けない。

「おいちょっと待て」「待て」「どういう事？」「本編でそれをやって」「まだ終わるな」

午前1時からはライトハローさんとマルゼンスキーさんとシーキングザパールさんの新トーク企画、「オトナの証明」が始まりますよっ！初回のテーマはなんと「愛」！
初回からブレーキ無しのフルスロットルをどうぞご堪能くださいっ！それではバイデジぃ～♪（EDテーマ）


--
きょうのまんこ

1
「そう言えばこういう事、結婚してからしてませんでしたねえ♪」

ぷは❤
と粘度の高い唾液を伸ばしながら妻が言うと。

「そう言えばそうかもね、こうした後は大体セックスまで行っちゃうから。」

唾液の片端を担いながら、夫の唇が告げる。

「パコパコずぼすぼしなくたって、愛を確かめられるんですよね♪」
「結婚してからキミは随分あけっぴろげになったね。」

アグネスデジタルがにんまりと笑むと、元トレーナーは苦笑いをした。

2
時刻は20時を回り妻の学業も夫の家事とテレワークも落ち着いた頃合い。妻の賞金で買った高価で快適なゲーミングチェアに座り、夫は小柄な妻の全力全体重を受け止めている。

「でもいいの？デジタル。まだ今日の分のトレーニング動画を、」

夫の気遣いを強引に唇で塞ぐ。
分かっている。ウマ娘に萌える奇矯なウマ娘アグネスデジタルにとって、夫が仕事の資料としている新鮮な動画を自分が欲していることを。
けれどこの身はただ一つ。ウマ娘ちゃんに萌えながら恋人への愛に燃える方法は有史以来未だ発明されていない。
ならば悩む時間は無駄だ。どちらか片方しか手に入らないのならとっとと決断して、残った時間は「選んだ選択肢がより良くなるように」費やす。
ウマ娘でもないただの男性にここまで惚れ込むのは自分でも意外だったけれど、結婚までしちゃったのだから今更考えるだけ無駄。
ウマ娘ちゃんに向けるはずだった愛を、アナタにっ！
より深くより激しく！
舌の感触を、
溶け合うほどの唾液と汗の混じり合いを、
愛の証を、
一緒に味わって！！！

3
というあたしの純愛は、下から突き上げて来る物体にさえぎられた。
適度な弾力を持つ棒状の身体器官。それは まぎれもなく ヤツさ
……オスという生き物は本当に脳みそを金玉に乗っ取られているのかしら、と感じる瞬間です。

「あの……。」
「すまない、こいつはチャンスと見るとすぐに態勢を整えようとする癖があって……。」

何とか収められないんですか、という言葉をぐっと飲みこむ。夫の夫自身が反応したのは生理的なものだ。意識してどうにかなるものではない。自分がフケるのと同じくやめろと言われてやめられるものではないのだ。
それはわかる。わかるけれども、プラトニックを求めているときにこんなに分かりやすく性欲の高ぶりを自己主張されると興醒めするのも事実。

「……パイプカット「勘弁してっ！」

冗談だよ。でも……男の人って本当に、しょうがないですよねぇ……。
夫の舌への愛撫に、いつもの夫婦の営みでのテクニックが思わず混じってしまう。股下で素直にびくびく反応する「もう一人の夫」を感じて呆れかえる、アグネスデジタルなのでした。

--
愛と夢に向かって走れ

1
「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」
「エネルギーが凄い。」

ウイニングライブで気炎を吐く妻アグネスデジタルに、思わず熱が冷めてしまう夫である。

「何してるんですか！アナタの娘の舞台なんですよ！？声を出して！！！」
「ボクの娘ではないよ。」
「娘みたいなもんですっ！！」
「まあそれはそう。」

けど横でそんなに盛り上がられると、自分は正気を保っていなきゃな、という気分を禁じ得ないのであった。

2
某日Jpn3ダートレース。
1400mのスプリントを制したのは、デジタルの夫がサブトレーナーを務めるウマ娘の一人。
大外11番のゲートに鷹揚に収まった後は、順当にスタート、高い順位をキープしたまま最終コーナーに突入し、直線で足を使って一着を攫った。
圧勝とまでは言えないまでもレース運びは盤石かつ理想的で、若いウマ娘ながら貫禄を感じさせる戦いであった。

「おめでとう！」
「ありがとうございます！！」

レース後、手を挙げるデジタルの夫にメイントレーナーが笑顔で応じた。

「強かったね。」
「お陰様で！」
「いやいや。僕はお手伝いをしただけで。」
「GIを六つも制したトレーナーがサブに居るのは誰だって心強いですよ。」
「GIを勝ったのはデジタルだ、僕じゃない。」

3
「そうかもしれませんが、アドバイス本当に頼りになりました！」
「そう言って貰えると有難いよ。」
「ダート本当に強いねあの娘。」
「はい……。」

そういう二人の顔に笑みはない。
URAにおいてダート競走は絶対数が少なく、その分重賞レースや賞金額総計もまた少ない。
これは日本の気候によるもので、水捌けの悪いダートコースは雨の多いこの国には馴染まないのだ。
一方ターフのコースは水捌けこそいいものの手入れにコストがかかるという都合上、資金に余裕の少ない地方競馬場ではほぼ全てのコースがダートとなっている。
ダートの才能のあるウマ娘は日本と言う枠に収まりきらない。一方で世界の壁は余りに厚い。
そのため『ダートが得意な日本のウマ娘』というのは結果を残しにくいのが現状だ。
それこそ地方競馬を蹂躙して回り魔王と謳われたスマートファルコン、ジーワン（GI/JpnI）競走合計最多勝記録を持つコパノリッキー、その好敵手ホッコータルマエほどの突出した実力が無くては。

4
「やりましたねー！！」
「わーデジタル先輩だー！！」

一方デジタルの夫の妻は当のウマ娘と熱いハグを交わしていた。

「スンスン。」
「匂い嗅がないでください！」
「芳醇な勝利の匂いがします……。」
「結婚してからいよいよ変態になりましたね先輩。」

その言葉にバッ！と両腕を上げ間合いを取ると、デジタルは眼光を鋭くする。

「言うようになりましたねえ、ところで、これからどうするおつもりですか？」
「これから、とは……？」

5
「芝の重賞も考えてるんですけどね……。」
「うん……。」

トレーナー同士視線を逸らしつつ、今後を考える。
ダートとターフの大きな違いは地面の固さだ。ダートは地面が柔らかい分、しっかりと踏みしめる脚力がないと十分にスピードが出せない。
一方芝は地面が固いのでスピードは出しやすいが、その分反動が強く故障が発生しやすい。
ダートと芝では、別方向のタフさが要求されるのだ。
これから彼女が行くべき道はどちらなのか。
実績あるダートを粛々と極めていくのか、ライバル多きフロンティアである芝か。
それはトレーナーが決める事ではない。ウマ娘本人の身体能力と意志にかかっている。
けれど、どちらに向かって背を押すべきなのか。彼女が芝で走りたいと言った時に本当に背を押せるのか。ダートで勝ち続けたいと言った時に保身無しに肯定できるのか。
それは、未知である。

6
「出たいレースに出ますっ！」

その言葉にデジタルはどっひゃー！と仰け反った。

「芝とかダートとか関係ないですっ！走りたいところで走る！！そういうワガママを言ってももいい位には、勝ったつもりですっ！」
「……アタシもそれを言えてたらなあぁ～～……。」

デジタル自身はトレーナーに勧められるままダートや芝や国外を走って来た。客観的に自分を見てくれるトレーナーの判断の方が正しいと信じていたから。
でも思い返せばその結果負けたレースだって幾つもあるのだ。当時は自分の力不足だと思っていたけど、今はわかる。夫の見込み違いだって多分にあったのだと。
そして自分はウマ娘に萌える余り、「どのレースに出たいか」という気持ちをそもそもあんまり持っていなかったのだと。
後生畏るべし。『出たいレースに出る』。『出たいレースがある』。そう断言できるウマ娘は、自分の同期にはいなかった気がする。
けれど。デジタルは少し考えてにんまりと笑った。

7
彼女は実は、魔王スマートファルコンの親戚であり、またアグネスデジタル自身の遠縁でもあるのだ。
魔王と勇者の血を引く新世代。こんな萌え萌え要素を積載したウマ娘の行く手を案じ可能性を塞ぐなど、このデジたん一生の不覚！かける言葉はただ一つ！！
「……グッドラック！！！！！！！」

自分でもびっくりするほど大きな声が出てしまった。彼女が目を丸くしてこっちを見ている。
周りを見渡すと彼女のトレーナーと自分の夫もこちらを見ている。

テヘペロ。とごまかすと横の彼女も同じ仕草をしていた。
血は争えない。

「……グッドラック。」
「はいっ！」

改めて親指を立てたデジタルに、遠い親戚は強い眼差しで応えた。

モデル：シャマル https://www.jbis.or.jp/race/horse/0001270574/

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万聖節まだ遠く

1
今どきの洗濯機は蓋を閉めないと運転しないため、今水の中で揉まれているピンクの衣装を見る事はできない。
だがアグネスデジタルは蓋の上にじっと視点を落とし、勝負服が洗われて行く様を幻視していた。
寝不足で体がだるい。夫はまだ起きてこない。
これを洗い終わったら靴や小物もまとめてクリーニングに出さないと。

……ふわぁ、と欠伸が出る。
時計は既に9時を回っている。夜更かしの代償は今日と言う日全てになりそうだった。

「……喜んでくれてたし、いっかぁ……」

未だ熱が残る下腹を撫でて微笑んだ。

2
昨夜は酒の悪戯か、ハロウィン仕様の勝負服の話題になった。

「あれ可愛かったね。」
「えへへやり過ぎじゃないかとも思いましたけどウケは凄くよかったですよねっ！」

キョンシーをモチーフとしてチャイナ服をロリータ風にアレンジ、ピンクをベースにロリータ風な甘々とした模様やレースをふんだんにあしらった……と言う説明では到底言葉が足りない。
ハロウィンだからお化け！すぐ尊死するのでキョンシー！というコンセプトを定めた後は、それ以外の全てを可愛いに振り切ったデザインである。
久しぶりに見たくなっちゃったなあ、ええ～？あれ着るのなかなか手間なんですよぉ～？ボクも手伝うからさ、ホラホラ。
と言った感じで二人してクローゼットを開ける。
奥にしまい込まれた箱から『それ』を取り出す。
これどこのパーツだっけ？お腹きついかもです……！！ソックスも結構危ないなあでもこういうムチっとしたのも好きだ。バカバカ！
やんややんやしながら何とか着付け終わったキョンシー衣装。

3
「できましたー！どうですかー！？それぴょーんぴょーん❤」

両手を突き出しジャンプして見せる。
夫はすかさずお札を取り出し帽子にペタリ。目の光を失ったデジタルはベッドに倒れて瞑目した。

ふーっ……ふーっ……。

「……結構フケちゃってます？」

片目を開けたデジタルの前には、夫が覆いかぶさりゲートインを待っていた。

「……いいよね？デジタル。」
「……スケベっ❤」

4
そんなこんなで迎えた朝である。
夫は勢いのまま出す物を出し尽くし、妻はそれを全身で受け止め。
大マン足の後にはどうしても、後始末が待っている。
まあ普段家事は夫に任せているんでこのくらいいいですけど。クリーニング出しに行ったら眠気冷めちゃうだろうなあ……。
それならいっそ。

「アナタ、あたし大学行って来ますね。サークル室に顔出してきます。」
「あ、うん。わかった。」

遅くなるなら連絡してね、とだけ告げて夫はまた夢の中へと舞い戻る。
妻が手にするのは帽子や靴と言った家では洗えない衣装と、いつもの鞄と、そして。

「行って来まーす。」

5
「「「「ワーッ！！ハロウィンデジたんダーッ！！！！」」」」

ハロウィン勝負服を着たデジタルがウマ娘同好会の扉を開くと、案の定の黄色い悲鳴が彼女を包んだ。
ちなみに本物の勝負服はURAが所蔵しており、デジタルが持っているのはレプリカである。今着ているのは3着持っているうちの2着目だ。

サークル室からは事件性のある悲鳴が絶えなかったため警察を呼ばれたりしたとか。しなかったとか。
どっとはらい。

--
万聖節まだ遠く2

1
「ただいま帰りましたぁ～。」
「おかえり。」

時刻は午後20時を大きく過ぎたころ。玄関にへたり込むアグネスデジタルを夫が出迎える。

「冷たいのとあったかいのとどっちがいい？」
「え、まだ作ってないんですか！？」

帰宅時間は伝えた筈だ、それに夫のエプロンからも既に揚げ物の匂いがするのに。

「両方用意できるよ。」
「え、じゃあ、あったかいので……。」

2
9月下旬、湿度も温度も気まぐれなこの時期にあって、今日の気候は寒さに下振れした。
デジタルの願いを聴いてテーブルに載ったのは釜揚げうどんと各種天ぷらにフライにカツレツ。
手元の椀に熱々のうどんを引き入れ、生醤油を注いでずずっと啜る。
口の中に行き渡る熱と炭水化物の甘みと生醤油の塩味旨味に笑みがこぼれる。
蓮根の天ぷら、大葉の天ぷら、鶏肉の唐揚げを噛み締め、再度椀にうどんを注ぐ。
出汁醤油で、擦り生姜で、七味唐辛子で。彩られた小麦の風が脂分をコーティングして炸裂する度、素晴らしい幸せが押し寄せる。

やがて腹一杯になるころには大皿からはうどんも空になり、揚げ物も夫の手によって冷蔵庫へと仕舞われていた。
ああ、この後片付けをしなくてもいい幸せと来たら。

「洗い物終わったらトレーニングビデオ見るけど、一緒に見るかい？」

主夫業を主にするデジタルの夫の副業はテレワークによるサブトレーナー。その為様々なデータがメイントレーナーから渡される。
デジタルの返事は当然YES。

3
夫の膝の上でウマ娘のトレーニング風景を見るデジタル。
しかし今日は気もそぞろ。何故なら視界にはモニタの外のアレも見えてしまうから。

「ここ、少し踏み込みが甘く見えるけどどう思う？」
「あ、はい、そうですねえ……。」

と言いつつも目線はあらぬ方へと向かう。ピンクに彩られたマネキン人形に。
自分が現役の頃来ていたハロウィン仕様勝負服、キョンシー衣装を着せられたマネキン像へに。
チャイナ服をベースに、帽子、胴体、両袖、ソックス、靴に分かれたパーツ。
ピンクを基調に黄色と白で彩られたバリバリのロリータ風味。
……そして、つい先日夫と激しく萌えたその記憶。

4
「あ、あの。あれは、何ですかあ？」

我慢しきれず、デジタルは指差して口にした。

「クリーニングから返って来たから。」
「来たから？」
「飾ってる。」
「バカっ！」

つい先日うまぴょいに使った衣装をこんなに堂々と飾るとは、やっぱりこの人はあたしとは別方面で凄いHENTAIだ！

「それより此処の踏み込みなんだけど……」
「あたしはそれどころじゃないんですよ！」
「仕事の後にしてよ。」
「仕事にならないんですってばよ！」

5
「ウマ娘の雄姿を見るよりもあれが気になる？」

夫の表情に、ほんの僅か笑みの成分が混ざった事を見逃さない。あ、ダメだ。このすけべ。

「……仕事場に置いとくもんじゃないですよね。」
「仕事が捗るし。」
「本当に！？」
「今も凄くやる気出てるし。」
「だとしたらそれ大分おかしいんですよね！？デジたんの勝負服でほかの若手のウマ娘育てるやる気出てるの不純が過ぎますよ！」
「キミの現役時代の強さが思いやられて」
「絶対嘘だぁ！だったらもっと前からあたしの衣装仕事場に置いてたはずですもん！昨日のアレコレを思い浮かべながら仕事のエネルギーにしてるんでしょう！？不純っ！不純ですよっ！！ウマ娘ちゃんと向き合っていないっ！！！欲望から得られるエナジーをほかのウマ娘に向けちゃっているっ！！！」
「……もう、煩いなあ……。」

え、とわずかに後ずさるデジタルの唇に夫の人差し指が当てられた。

6
「後は一人で仕事するから。衣装が気になるなら片づけておいてよ。」
「……。」

逡巡の後、デジタルはマネキンごとゴトゴトと夫の仕事部屋を退場し、扉を閉めた。

--
二時間後。仕事を終え風呂で疲れを癒した夫が寝室の扉を開けるとベッドにキョンシー姿のデジタルが目を閉じて横たわっていた。
夫が袖を開くと、緊張性の発汗による濃い匂いが香る。

「一手目がサイテーなんですよっ！」

札の封印を破りデジタルがツッコミを入れると、ごめんごめんと夫の手がノースリーブの服の脇から乳房へと侵入する。
劃して今夜も導師による同志の調伏が始まるのであった。

--
パリは萌えているか

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
今日はですねえ、少し早いハロウィンデジたんですよーっ！
それっ！ぴょーんぴょーん❤

「カワイイ」
「カワイイ」
「カワイイ」

えへへ、ありがとうございます♪

「まだ着れるんだ」

スゴイシツレイ！
……まあ確かにお腹とか太腿とか、少しピチパツしてますけども。

2
「ムチたん好き」

誰ですかムチたんって。原型が残ってませんっ！

「アグネスムチたん」
「ムチムチたん」

だからっ！だから原型が、あ、赤スパありがとうございますっ！

「デブ」

おいっ！わざわざ赤スパでっ！！BANするぞ！！わははははは！
はーぁっ！全くもうっ！デジ民（たみ）はさあ、デジたんになら何を言ってもいいと思ってる節がありますよねっ！！

3
ほらお腹こんな感じです。見えるぅ？

「ちょっと張ってる」

言うな言うな。流石に現役時代ほど運動してませんもの許してくださいっ！
で太腿がこんな感じ。

「ハァハァ」
「ハァハァ」

デジたんの体ってそんなにセクシーじゃないと毎度思うんですけどねぇ。こういう反応結構あって不思議。あ、赤スパだっありがとうございますっ！

「カメラもうちょっと下から覗き込む形で」

お前！さっきデブって言った奴じゃないですかっ！！悪口言う上にパンツが見たいなんてお前は酷い奴だっ！！あっはっはっは！

4
もぉー。ちょっとエロくするとすーぐ盛り上がっちゃうんですから。
さてさて今日はスプリンターズステークスでしたよっ！ジャンダルムちゃんおめでとうございますっ！！
いやーウインマーベルちゃんもホント惜しかったんですけどねえ。トップスピードでは捕らえられそうに見えましたが、キャリアの差が出ましたかねぇ。
ジャンダルムちゃんはもう30戦以上戦っているでぇべてらんですからね。

「その割に浮き沈み激しいよねダルちゃん」

まあそうですねえ……。でもデジたんも戦績の凸凹ぶりについてはヒトの事言えないので……。
本人に訊いてみないと正確なところはわかりませんが、デリケートな性分なのかもしれません。それでも今回はGIを勝利したんですっ！素晴らしいっ！！（拍手）
改めておめでとうございますっ！
ウイニングライブもキレキレでしたよっ！GI初勝利の嬉しさが滲み出てるのもわかってデジたんホクホクでしたっ！ごちそうさまですっ！

「見に行ったのかよ」

勿論ですともっ！

5
ダルちゃんもこれで勢いがつくといいですよね。

「俺のメイケイエールが……」

気持ちはわかりますが次、次ですっ！どんなウマ娘ちゃんだって浮き沈みはありますよっ。
特にスプリントはマジでスパートのタイミング一つで着順変わるんで。長距離とはまた別の意味でスタミナの使い方が試されるレースなんです。
だからエールちゃんが調子を落としたとは限らない訳です。それにファンなら、負けた時こそ応援してあげてくださいっ！ファンの声援は本当にエネルギーになるんですよっ！！

「ステイヤーがスプリントの距離を全力疾走すれば無敵……ってこと！？」

そううまくはいきません……と言いたいところですが、今年それに近い事を中距離でやってのけたウマ娘ちゃんがいるんですよねえ。タイトルホルダーちゃんって言うんですけど。

6
「あー、宝塚か」
「宝塚滅茶苦茶だったよね」

めっっっちゃくちゃでしたよっ！！
初めっから最後までレースをコントロールしてましたからね。いきなりハナに飛び出した後は、逃げの勝ちパターンを確立させたいパンサラッサちゃんに先を行かせて、潰れた所で脚を使って抜き去って。
あれは上位に着いたウマ娘ちゃん皆めちゃめちゃ強いんですよっ！タイトルホルダーちゃんがちょっとパーフェクト過ぎました。

「凱旋門賞今日だっけ」

そうそうっ！流石にパリには行けませんが、中継は見るつもりですっ！

「勝って欲しいよねー」

是非是非っ！間違いなく今の日本最強馬の一角ですからっ！タイホちゃんで勝てなかったらまた何年かとんでもないウマ娘ちゃんの出現を待たなきゃいけないレベルです。

7
「プレッシャー……」

おっとっと。勝って欲しいのは勿論ですが、勝たなきゃだめだぞ！って言い方はよくありませんでしたっ！精一杯頑張ってくださいっ！！デジたんの思いロンシャン競馬場のタイホちゃんに届けっ！！

「中継の同時視聴とかやらないの？」

あ、あーーーーっ！それ、それやりましょうっ！マネちゃんに連絡しますっ！！
ああ、袖が邪魔だっ！えいっ！アーマーパージっ！（ぽいっ）

「脇見えた」
「脇…」
「シコシコ」

BANするぞ！？

8
んーーー……。流石に今すぐは判断は難しいそうです。また追ってSNSで連絡しますねっ。お楽しみという事で。
袖装着っ！この袖、可愛いんですけど細かい操作に向かなくてですねえ。それと蒸れるんですよねえ。

「くんくん」
「くんくん」
「くんくん」

キミらはぁ……。んっふっふっふ。
夫も匂いが好きなんですよねえ、なんででしょう。困ったもんです。

「ダンナも……？」
「袖の中の匂いを……？」
「という事はその恰好で旦那と一緒に居たんだ」

ん、ん～～？ど、どうでしょうかねぇ～？

9
「霊幻道士したんだ…」
「幽幻道士したんだ…」
「おテンテンしたんだ…」

あはははははっ！もうっ！キミらはっ！！！

さて予定時刻を大幅に過ぎましたが今日はここまでっ！
既にエアグルーヴさんのチャンネルで「女帝が読むっ！凱旋門賞予想2022」が配信されております。
此方は既に凱旋門賞中継の同時視聴予定もあるそうなので、デジたんより副会長が好きな人はそっちで見ましょうっ！

「両方好き」

スパチャありがとうございます。少し泣く。本当、そういうファンに支えられていますよ。
それではバイデジ～♪


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死してなお盛ん

1
「んぷはっ！！はっ！はっ……！」

目を覚ますと見知った天井でした。
往年のキョンシーコスのあたしと、全裸で横たわる夫。
本能的に股間に手をやると、ずれたパンツからどろりとしたなじみ深い粘液の感触がしました。

……ああ、今日もしてしまったのですね。

気の迷いでデジたんがハロウィン勝負服を着て見せてから夫の求めは多くなりました。
求められれば応じてしまうのがヲタク気質と言うもの、気絶するほど気を遣られる日々が続いております。

2
「んひえぇ～……。」

あたしの口から洩れる声も物ともせず、夫の顔がすぐ近くで寝息を立てております。小憎らしいと思わなくもありませんが、あたしを気絶するほど……その……懸命に責め立ててくれた証だと思えば、愛しさもまた募ると言うもの。
頭を撫でてあげたところ、べちゃりと粘着質な体液が夫の髪にまとわりついただけでした。
……んまあ思い知るといいんですよ、体液をシャンプーで落とすのがどれだけ大変かを。

んひぇ、袖の中までべっちょべちょ。靄がかった記憶を辿ると夫が袖射精をしたような映像が思い浮かびます。うへぇ、ド変態じゃないですか。
そんな無駄撃ちをした上であたしの赤ちゃん宮殿を跡形もなく陥落させたかと思うと、背筋が凍ります。
ヒトミミのオスはウマ娘と種付けするたびに精力を増していく、という都市伝説は本当なのでしょうか……。

そんなあたしの思惑も知らずに、暢気な寝顔ですやすやの夫。
まあなんて可愛らしい。ぐちゃぐちゃにしてあげたい。

3
そう思ったのでシーツと一緒に風呂場に引きずって水シャワーを浴びせました。
冷たいっ！冷たいっ！！と暴れる夫に洗剤を塗りつけてシーツやあたしの服、そしてあたし自身と共にごしごし容赦なく洗ってあげます。

「いや悪かった現役当時からピンク色のキョンシー衣装は好みでさ、天真爛漫な笑顔とそれに相反するような脇の露出、レイレイを思わせる大きな袖余り。
レイレイっていうのは昔の格闘ゲームのキャラクターなんだけど自分にとってはセックスシンボルの一角でもあってそんな存在が目の前に実体を伴って現れたかと思うとやっぱり興奮を禁じえなくて、ああやっぱりデジタルって可愛いなあ、可愛いウマ娘には無限の可能性があるんだ、キョンシー衣装でもこんなに可愛いし抜け目なく脇の露出もあるし、現役当時はとても言えなかったけど正直君みたいなどちらかと言うと幼い体系で且つ自分の性的魅力に鈍感なウマ娘がそんな服で好き放題に動き回る様と来たら」

急所を優しく握ると、掛かりは収まったようです。


--
夜道は長いが悪くない

1
ドアガラスの向こうからは確かに明かりが漏れているが、いつもの賑やかな音は聞こえてこない。
「ウマ娘同好会」の看板の下、副部長は聊かの違和感を覚えつつノブを捻った。

「あ、副部長、お邪魔してます。」
「デジタル君か。」

そこには机に向かって何やらノートに書きつけているアグネスデジタルの姿があった。
何故今日は音楽もレース映像も無しに、と言いかけた所で副部長は答えを見つけた。
彼女のノートの傍に開かれている分厚い書物。それは紛れもなく、ウマ娘トレーナー試験過去問題集である。

「丁度講義の隙間だったんで。」

そう言ってデジタルは照れ臭く笑った。

2
「お邪魔してます。」
「とんでもない。」

副部長はドアを静かに閉じると本棚からウマ娘名鑑を取り出し、デジタルから少し離れて腰かけた。ウマ娘グッズが所狭しと彩る室内で昼下がりの少し傾いた日差しの中、紙の音だけが静かに響いている。

「……あの。」

沈黙を破ったのはデジタルである。

「ん？」
「気を遣わせてすみません。」
「気にしなくていいよ。俺は元々静かな方が好きだ。」
「そうなんですか！？それなら猶更普段はすみません！！」
「気にしなくていいって。」

3
「賑やかなのが嫌いな訳じゃないよ。俺だってあのパープリン部長と同類なんだから。」

それを聴いデジタルは思わず笑みを漏らす。パープリンと言われた部長は、デジタルの前で「うぅ……デジたん結婚して……」と無意識に（！）声に出してしまった剛の者である。

「だから元競走バのアグネスデジタルが此処に居て、好きに過ごしてくれてるってだけで嬉しい。」
「イケメンのセリフですねっ！」
「顔に似合わずね。」
「いや、そういう意味ではっ！」

わたわたと否定のジェスチュアをするデジタルに副部長は苦笑いを返す。

「キミのお陰で奇蹟みたいな時を過ごさせてもらってる。だからキミも好きなように過ごしてよ。」
「……はいっ！」

そしてまた部室を紙擦れの音が支配した。

4
「……あの。」

沈黙を破ったのはまたもデジタルだった。

「ん？邪魔なら出ようか？」
「違くてっ！さっき凄くありがたい事言ってくれてありがとうございますっ！……あたしがいうのも何ですが、先輩ってモテる方なんじゃって思って。」
「俺が？」
「あいっ。」
「残念ながらそうではないんだよなあ。」

ウマ娘名鑑に目線を戻そうとした副部長にデジタルが畳みかけた。

「本当ですか？」
「ヲタクだからね。」
「ヲタクだから。」

5
「ん、そう。あのパープリン部長と違って俺の卒業した高校はヲタクに優しくなかった。」
「部長はヲタクに優しい高校出身なんですか？」
「幸せな事に中高とずっとウマ娘同好会所属だとさ。でも俺はそうじゃなかった。同じ趣味の友達はいたが、みんなで背を丸めて教室の端で話をしてばかりだった。」
「そうですか……。」
「だから、今はとても幸せなんだ。俺の事は何も気にしないでいい。」

会話を切り上げたがっているのはデジタルにも分かった。けど、今ここで聞かないと副部長は一生……少なくともこの大学にいる間は……誰にも本心を話せずに終わるんじゃないか？そんな予感が彼女にはあった。

「あたしも、今幸せです。」

副部長が目を見開いてデジタルを見た。君もか、君もなのか？と期待と不安が籠った目を。

「トレセン学園時代だってそりゃあ幸せでしたけど。でも本当の意味で同好の士と出会ったのはこの大学に入ってからなんです。ウマ娘ちゃんもあたしも走る事で忙しくて。夫も理解者ではありますけどヲタクじゃありません。」

6
「ウマ娘ちゃんがとにかく好きなんだ、声も顔も息も気配さえっ！そう堂々と言い合ってわかり合えるって、本当に幸せで。一緒にカラオケでNEXT FRONTIER歌ったり、一緒にレース見に行ったり、一緒にウイニングライブでヲタ芸打ったり。あたしはこうしたかったんだって。中高の六年間で出来なかったことをさせてもらってるんです。」
「そうか。ほかの部員が聞いたら泣いて喜ぶよ。」
「先輩だって。」
「え？」

副部長が自分の顔に手をやると、確かに二筋の涙が零れていた。

「恥ずかしいな。」
「恥ずかしくないですよっ！あたしがいて幸せだって言ってくれたじゃないですかっ！！幸せが零れ落ちてるんですよっ！！！それだけで一冊描けそうっ！！！！
「それはちょっと、」
「それにっ！走らなくても誰かを幸せにできるってわかってあたし嬉しいんですっ！」

気づけばデジタルは立ち上がっていた。

「トレセン学園では走れてナンボでした。でもあたしの今の夢は走る事じゃない。ウマ娘ちゃんを幸せにすること、そしてあたしも幸せになる事なんです。」

7
「ウマ娘を幸せにするために、トレーナーに、か。」
「うーんそこまで大きな口は……。」
「ええ？」

副部長の歪んだ眉根にデジタルも困り眉で返す。

「ウマ娘にトレーナーが出来る事って、本当に一握りでして。いや、夫にはほんっっとぉおー……にお世話になりましたけどっ！
でもトレーナーはウマ娘の代わりに走る事は出来ません。悩みも不安も傷の痛みも病気の辛さも肩代わりできません。
出来るのは精々、傍にいることぐらい。走る以外の事務作業その他を全部引き受けて、走る事に集中させるくらい。
勝つとか負けるとかについて、トレーナーに出来る事は多くありません。ゲートインした後は手が出せませんし、何より物凄いウマ娘ちゃんが同じレースで走ったらもうどうしようもありませんもの。」

キミこそその「物凄いウマ娘」の側だろ、と言いたくなる口を副部長は辛うじて閉じた。

「それでも、ウマ娘ちゃんの一番近くで幸せを分けてもらえるのがトレーナーだと思って。幸せになろうとしてる時に少しだけ背中を押せるのも、不幸せになろうとしてる時にちょっとだけ袖を引っ張れるのも、トレーナーだと思って。」
「微力を尽くす、か……。」

8
「ありがとう、吹っ切れた気がするよ。俺は俺で抱えてることがあったから。ほら修士二年ともなると。」
「あー……。」

ちなみに『パープリン』こと部長は博士課程留年中である。

「ありがとう、アグネスデジタル。キミは本当に、凄いウマ娘だよ。」
「副部長こそ、この同好会を取り仕切っていただき感謝しますっ！引退した後正直どうしようと思っていたんですよっ！でも走らなくたって幸せになれるんだって。思い出せたんですっ！」

走るのをやめたウマ娘はただの凡人。けれど日が沈んでも人生は続く。そして夜をあてどなく生きる事になる。けれどふとした時、夜空の星の瞬きに気が付くこともある。

「キミと結婚できない事をこれほどまでに無念に思ったことはない。」
「やっぱりイケメンのセリフですよそれぇー♪」

二人して、笑った。


--
万聖節が来るまで待って

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
今日もハロウィンデジたんですよーっ！ぴょーんぴょーん❤

「袖くんくん」
「袖くんくん」
「袖くんくん」

もうしょっぱなからリスナー層が酷さが露呈してますねえ～もぉ～。
確かにね？前回はこの袖が蒸れると言いましたよ。でも乙女の汗の匂いをそんなにあからさまに嗅ごうとするものではありませんっ！
デリカシーがありませんよっ！あ、スパチャありがとうございますっ！

「デリカシー代」

品性はお金で買えませんよっ！

2
ま、ま、ま。どんな方向性であれ好評なのは良い事ですっ！
デジたんのこのキョンシー衣装が公開されてから薄い本が増えたの、知ってますからね？
いつもの勝負服に比べても攻めた格好ですしね。
脚はほら、こんな風に超ロングソックスで強調されてますし、こうやって横から見るとボディラインも出ますから。
レース中は観客席からは横の姿が一番よく見られますし、そういう意味でもこのなんて言うんですか？前後にピチパツした衣装は受けが良かったのかなーって思いますっ！

「普段の勝負服もエロい」
「へそ見えててエロい」
「脇出てたよね」

うーんもう今日はデジたんの服の話題にしかならなさそうですねぇ、しょうがないデジ民（たみ）さん達だっ！

「うぅ……デジたんが悪いんだ……」

犯罪の匂いがするぅ。

3
「犯罪なのはデジたんの勝負服だろ」
「何だよあの小学生みたいな服は興奮する」

あああああもう今日はだめだぁー！キョンシー服見せびらかしてやんややんやしてもらおうと思ってたのにロリコンが多すぎますね今日はっ！

「ロリコンじゃないよデジたんが好きなんだよ」
「デジたんが可愛いせいでロリコンになったんだから責任取って欲しい」

バカバカっ！何が責任ですかっ！！あたしはこれでも人妻ですよっ！？

「うう……人妻合法女児デジたんと一心同体したい……」

あたしになら何言ってもいいって思ってますよねっ！？

4
もうバ鹿らしくなってきました。えーい袖ぽいっ！

「それを捨てるなんてとんでもない！」
「袖くんくん」「袖くんくん」

袖嗅ぎ勢うるさーい！ほら、この衣装はノースリーブでね、脇パイも凄いんですよ、あたしの小さいお胸でもほら、横からだとこんな感じにちょっと見えちゃいますよね❤

「脇パイいいね」
「いい……」

でしょー。

「相変わらずお尻薄い」

どこ見てんですかっ！？

5
このキョンシー衣装はですねえ、各方面に肝煎りで作ってもらったものなのです。
ウマ娘ちゃんを見てすぐ失神してしまうあたしのダメなところとか、勿論ハロウィーン衣装なのでお化け要素が無いといけないとか、でも怖がらせるんじゃなくてあたしの魅力を引き出すためにはどうするべきかとか、デザイナーさん達やあたしが沢山討議して決めてくれたものなのですよっ！
可愛くてセクシーで理解度高くてお気に入りなんですっ！

「ｳｯ」

生霊を出すのをやめなさーい！

「俺も生霊出るっ！」
「うう……脇パイもっと見せて……」
「前と後ろの『推』の字ってそういう事だとずっと思ってました。」

ﾋｮｴｴ、そっかぁ……あたし思った以上に性的に見られていたんですねぇ。

6
おっともうお時間です。
この後はビコーペガサスちゃんのチャンネルで『本当のヒーローになりたいっ！』という配信がされます。
と言っても正義だ悪だというお堅いお話ではなく、かっこよくあるためにはどうすればいいかとか皆が好きなヒーローや悪役を聴きたいとかそういうお話みたいでです。

「俺は怪人になりたい」
「俺も」
「俺も」

そうですか。それではバイデジ～♪

--
運命とは命を運ぶと書く

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
ちょっと前ですけど秋華賞見てきましたよ～っ！いやーヒヤヒヤしましたがスタニングローズちゃんおめでとうございます！追いすがるナミュールちゃんもかっこよかったっ！

「結構危なかったよね」
「薔薇の一族の意地を見せたね」

ねぇー。スタニングローズちゃんは晴れてGIを初勝利っ！このレースでは先の優駿GIでのスターズオンアースちゃんに対する雪辱を果たした訳で、くうぅぅ～～～♪
こういうのこそが美味しいんですよぉっ！
スタちゃんはこの勝利で10戦5勝。しかも6着以下には入った事がありません。芝の中距離においてはもう押しも押されもせぬ一流の競走バと言っていいでしょう！

「勝率5割ってイカれてるよね」

そうっ！凄い事なんですよこれはっ！！勿論勝てるレースを選んで走ってるのもあるでしょうけど、それはどのウマ娘ちゃんだってそうです。
その中でこの勝率はもう、もう、すごーい。是非是非この調子を保って、もっともっと強くなって歴史に残るウマ娘ちゃんになって欲しいものですっ！

2
「入れ込んでるねぇ」

えへへ、スタニングローズちゃんは知り合いの親戚でもありましてぇ。そういう意味でも勝利は嬉しいのです。

「あ、4番」
「そっかクロちゃんの」

そうそう。クロちゃんの親戚なんですよ。クロちゃんとあたしと言えば切っても切れない因縁があります。今は仲良しですがそうなるまではやっぱりそれなりにギクシャクありまして。
しかもクロちゃん結構早く引退しちゃったでしょ？だからついデジたんもクロちゃんの分も頑張れっ！て思っちゃいました。
実はクロちゃんとは最近一緒に走ってきまして。草レースと言うほどではありませんが、運動公園でせーの、どん、ぐらいの感じで。

「金取れる奴じゃん！」
「気軽にダート王決定戦するな」

あはははは！いやいやっ、そんなバチバチしたもんじゃありませんよっ！現役時代に一度は競いたかったよねーって話になって、じゃあお互いブランクはあるけど軽くやってみる？って感じで。

3
「ていうかクロちゃん走って大丈夫なん？」

病気の話ですよね。競走バとして戦い続けるのは無理ですが日常生活や普段の運動程度であれば特に問題はないそうです。それどころか「白黒つけられるなら、命ぐらい失ったって構わないんだっ！」とゲンダテッショーボイスで言い出すほどでした。
引退して尚この闘志の持ち主なんですからそりゃ強いですよ。

「軽くやってみるとは」

あたしも気圧されちゃいました。

今は仲がいいとはいえ、因縁が消えた訳じゃありませんしねえ。
夫の判断次第ではあたしの代わりにクロちゃんがオペラオーさんやドトウさんとやり合ってたと思うと、デジたんもこれは「チェストドバイ」の心意気で走らないとと思いました。

チェストドバイとは。
「ぶち殺せ」の意味である。

4
「バチバチしてんじゃねーか」

はい。バチバチしてました。すみません。
だってさぁー、あの時敢えて競走バとして意地を通した言わばターニングポイントな訳ですよデジたんにとってもぉー。
その因果が巡って来たら、例え草競バでも、元競走バとして逃げる訳には行きませんよ。
夫とクロちゃんのパートナーさんにお願いしてスタートの合図と着順の決定をやってもらいました。

「夫同伴かよ」
「クロちゃんのパートナー？」

クロちゃんと一緒に来てたヒトミミの方ですね。これはプライベートな話なのでどういう方なのかとかはお話しできません、すみません。

「結果は？」

負けました。

5
「負けたのかよ！」
「クロちゃんつっっっっっよ」
「病身でデジたんに勝てるのおかしいでしょ」

あたしもブランクありましたし、闘志モリモリのダートの競バ史上最強候補相手では流石に……と言い訳させてくださいな。
でも全力で走るのってやっぱり気持ちいいですっ！ウマソウルが震える感覚があります。

「俺もウマソウル欲しい」

タキオンさんがメジロ資産をバックにウマソウル研究を続けていらっしゃるそうなので進捗在り次第ご連絡いたします。

「赤兎馬出てきそう」
「スレイプニル出てきたら競バ終わるぞ」

でも赤兎馬様やスレイプニル様のお姿見られたら絶対本描きたいですよっ！

6
「ナマモノを大声で宣言しちゃダメっ！」

失礼しましたっ！
さてこの後はツインターボチャンネルで「『カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄』 クリアするもんっ！！」が始まりますっ！
果たしてツインターボちゃんはカケフくんの尋常ならざるスピードとビック東海の斜に構えたセンスについて行けるのかっ！？
SNSで「ケフカ君」とか書いてたのを修正するのは間に合うのか！？

お楽しみにっ！
それではバイデジ～♪

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あたしが誰かを決めるのはあたしじゃない

1
「……。」

10月下旬某日。年末の大戦に向け試し刷り入稿を叩きこんで顔を覆うあたしです。
二冊目。
テーマもプロットも決まっています。タイトルは「The Brave on dirt」。ダートの勇者。はい、あたしです。
現役を引退して数年。自身の歩んだ道のりや心理を誰かに知ってもらいたくて描くのですが、流石に事実そのままをなぞったのでは面白くない。
大いにファンタジー風味を交え、トレーナー達は異界からの転生者と言う形にしました。
そしてそれぞれにウマ娘ちゃんと出会い、レースや交流を通して関係を深めていく、と言う内容です。
なのですが。
この期に及んでどのくらい事実を反映すべきか悩んでいるのです。
全くの架空の出来事では自伝になりませんが、事実を忠実になぞるのなら初めからノンフィクションで描くべき。読者を最も楽しませられるラインはどこか？という永遠の問いと今向き合っているのです。

2
ぐるるるるる……。

喉奥に詰まった唾液が吐息と混ざって唸りを上げました。痰も混ざっていますね。10月も下旬、知らず知らずに体を冷やしていたのかもしれません。
席を立ちドテラマンになってからまた座り直します。

トレーナー陣は異界で放埓の限りを尽くした魔法使いたち。敢えて不自由を求めてこの宇宙のこの地球に人間として生まれ変わったのです。
深淵なる知識を持つ元魔法使い達は思い悩むウマ娘達をトレーニングし、そして惹かれ合うように出会い、交わり……というストーリー。の、つもりなのですが。
自伝ですからデジたんは「一人目に現れるウマ娘」である必要があります。
しかし、しかしですよ？ウマ娘ヲタクが高じてトレセン学園に入学し己のヲタ道を行こうとするウマ娘は、主人公にするにはあまりにも色物すぎるのですっ！自分で言うのもナンですがっ！！
それにそんなドヲタ競走バは歴史上あたしぐらいしかいません。
あたしは「ああ、このウマ娘は多分デジたん自身の事なんだな」と察してもらう程度にしたいのですが、これでは主張が強すぎます。
ああ、あたしってなんて酷い競走バだったのでしょうか？！

3
困ったときは原点に戻ります。
あたしは如何にしてウマ娘ヲタクになったか？
生まれた時から運よくウマ娘ちゃんの大量の資料に恵まれており、幼い好奇心のままに読んで、見て、聞いて、惚れ込んでしまった。
おお、この部分だけなら使えそうですよ。ただこれはバックボーンであってキャラクターの登場時点で即座に使えるものではありません。
このバックボーンから導き出されるのは、ウマ娘ちゃんファンとして振舞うウマ娘を見て才能を見出す異界生まれのトレーナー……。

さあこのウマ娘とトレーナーの出会いをどうしましょうか。
グッズ売り場、ウイニングライブ、ファンサービス会場、色々と思い浮かびます。

デジたん自身はトレセン学園で一人藻掻いていたところをたまたま今の夫ことトレーナーに見出されたのですが、さてはてそこまで事実をなぞるべきか。
物語の導入は「導入にしか過ぎない」とも言えますし「物語の方向性を決定する」とも言えます。
むむむ。
むむむむ。
物語全体の流れを一旦メモ書きにして、導入を逆算します。

4
好き勝手に描いているあたしですらこの有様なのですから、雑誌連載して生計を立てている漫画家さん達はもっともっと凄い苦労をしているのでしょうねえ……。
そう思うと何だか力が湧いてくるというか、あたし如きが手を抜くわけにはいかないぞと言う説明しにくい義務感に圧されてしまいます。あたしにもどうやら漫画描きとしてのプライドがあるらしいのです。

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悩み切った結果、「トレセン学園で一人自主トレを積むウマ娘」と「異界から現れたトレーナー」が出会うにすると決定しました。
事実そのままですがあたしの自主トレ時代ってあまり表に出てない情報ですからそのままフィクションとして使えますし、元々のコンセプトが自伝なのですから捻ってもしょうがない、とした結果です。
というわけで今回の本は出会いとぶつかり合いと18禁同人誌のノルマとしてヤることはヤるという感じになりますが末永くお付き合いいただければ幸いです。
背景については後書きで補足してますので、興味のある方は目を通してくださいませ。

それではバイデジ～♪

※以上、アグネスデジタル個人サイトより転載



※チバトシロウ先生のBlack Witches シリーズが正にこれ。
後書きにこそ描きたい事が込められている、という制作姿勢については此処では触れません。

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いっぱい食べる君が好き

1
妻はウマ娘だけあって食事は毎回それなりの量を食べる。
けれど決して口に入らない量をスプーンに盛ったりしないし、口の中に押し込んだりもしない。
今も、琥珀色のスープから掬い上げる麺は四、五本と言ったところ。
それを口に含み、絡んだスープを散らさないよう慎重に吸い込んでいく。
もくもくもく、と丹念に噛み砕いた麺が飲み込まれ、小動物のように膨らんだ頬が元に戻る。
所作の一つ一つに育ちの良さが滲み出る。

「……なんですか。」

不満げな目線がこちらを向いた。

「可愛いなあと思って。」
「からかってるんですか？」

妻の名はアグネスデジタル。そして僕は、彼女の元専属トレーナーだ。

2
僕がサブトレーナーを務めるウマ娘の一人が東京を遠く離れた競バ場で走る為、泊りがけで付き添いに行くと言ったところ妻もついてきた。

「大学の勉強は？」

無言で取得単位一覧を突き付けられた。
一日二日休んだところで小動（こゆるぎ）もしないというエビデンスを得た以上、断る理由はない。
そんな訳で僕とデジタルはそのウマ娘の堂々たる疾走と華々しいライブを見届けた後、このショッピングモールでゆったりと買い物を楽しんだ。
日もとっぷり暮れて夕食時。
観戦にライブ鑑賞の疲れを抱えた上で荷物を抱えて飲食店を探す気力は互いに無い。もう夕食はここで済ませて、ホテルの部屋に入ったら即風呂に入って寝てしまおう。
そんな訳でモール内のフードコートへと足を運んだという訳だ。

「見られてると食べにくいんですけど。」
「気にしないで。」
「気になるって言ってるんですけど……。」

3
満腹になって胃に血液が言っているおかげか、妻の不平にまともに反論する気にならない。
困って顰める眉も愛らしい、ぐらいの事しか考えられない。
とは言え「食べ方が可愛い」なんて言葉が成人女性に向けるようなものではないのはわかっているので、頭を冷やす意味も込めて用足しに立った。

----
お手洗いから戻ってくると妻はスマフォを構えたファン達に囲まれて、苦笑いしながらラーメンを食べていた。
かわい～
推せる～
こっち向いて貰っていいですか～？

元々自己肯定感の低いヲタクだった彼女は求められる事に弱い。食事の楽しさより承認を優先してしまうのは致し方ない所ではある。
とは言え愛される方にも都合と言うものがある。さもなければディアマンティーナは分解されなかったろう。

4
「すみません、今はプライベートなんで。」

向かいの席に座り集まったファン達を嗜める。

うわ～デジたんの旦那さんだ～
推せる～
トレーナー業務に没頭してたせいで食事の時間も惜しんでたから早食いが習慣化しちゃってデジたんよりずっと早くハンバーガーを平らげちゃってもう後は妻を愛でる事しか出来ずに手持ち無沙汰になって仕方なくトイレに行ってた旦那様が帰って来た～

やたら理解度の高い言葉が混じる音声の洪水の中、流石に食事中は勘弁してくれと告げると、ファン達は行儀よく一礼して散って行った。
夫はため息を一つ。

「デジタル、そろそろああいうのもあしらえるようになってもらわないと。」
「そんな！ファンサは大事ですよ！？」
「時間と場所を弁えないファンはファンではないよ。」

5
ばつの悪そうな顔をして、デジタルは再びラーメンを食べ始める。麺を一啜り、スープを一飲みすれば、曇っていた顔が「美味しい！」一色にたちまち戻った。まあ、確かにこれは動画に残したい可愛さではあるが……。

「……見られてると食べにくいんですけどっ。」
「ごめん、僕も弁えてなかったね。」

しかしこの場を離れるとまた人が寄ってくるかもしれない。僕は携帯電話を取り出して今後の予定の確認などを始めた。とは言え、正面からはちゅるちゅる、もぐもぐ、ごくん、ぷは、美味しい♪ なんて音が聞こえてくるわけで、集中など出来るはずもない。

「ほんと可愛いよなぁ……。」

あ、声に出てしまった。

「……あー、このラーメンあっついですねぇー。」

見ると、妻の顔は丼に向いたまま真っ赤に染まっていた。

6
その後、無事食事を終えホテルにチェックイン。

「さぁー！今日は語りまくりますよぉー！！その前にお風呂です、お先いただきまーす！！」

妻が浴室に飛び込み、僕は荷物の整理を始める。

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やがてガウンを着た妻が湯気を立てながら出てきたので、入れ替わりに風呂に入る。体を洗い、湯船でゆっくりと体を暖める。今日は久しぶりによく歩いた。いつもの凝りとはまた別の疲れが湯の中に溶けていく。
十分に温まったところで風呂から上がり部屋に戻ると、デジタルはテーブルに突っ伏して眠っていた。
トレセン学園時代には温泉宿で夜通しウマ娘トークが出来たのに。流石に成人するとそこまでのスタミナは保てないのか。
けれど、電池切れのように眠ってしまう姿は彼女の外見に相応しい幼さのようにも見える。

「子供っぽいやら歳を取ったのやらだな。」

ピクリと動いた眉毛を見ない振りしてお姫様抱っこで持ち上げると、妻の顔は嬉しそうな笑顔に変わった。


--
B74 W51 H75

1
夫の手が妻の尻を強く揉み込む。
妻は、んっ、という声を漏らしながら反射的に筋肉に力を入れる。

「キミの筋肉は柔らかくも弾力に富んでいて飽きないよ。」
「誉め言葉じゃないなぁそれはぁ……。」

呆れ声を漏らすのはかつての優駿アグネスデジタル。
その声に怯むことなく尻を揉み続けるのは元専属トレーナーの夫である。

「小ぶりで薄く見えるけど実際には幾層にも重なり折り畳まれ圧縮された濃密かつ柔軟な筋肉がびくびくと反応して、」
「やだぁ……。」
「手が幸せだ。」
「いやだぁ～～！」

2
事の始まりはある日の夜。
共に夕食を終えた後、自室で仕事中の夫の元にアグネスデジタルは茶を運んだ。

「ありがとう。一緒にデータ見る？」
「見ます見ますっ！」

サブトレーナー業を勤める夫にはデータ分析という重要な仕事がある。ウマ娘の走りぶりを動画で確認して、問題点、改善点を見出す大事な仕事だ。
妻アグネスデジタルはウマ娘好きで知られた元競走バであり、観察力にも優れる。
競走バの経験とウマ娘ファンの執念を併せ持つ、これが私の能力。本土によって付けられた名は、アルターエイリアスだっ！アグネスデジタルだ。
二人してモニタ上のウマ娘の走りを見る。毎日のルーチンワーク。だがその日はデジタルが今までに味わったことの無い刺激があった。

「ひゃいっ！？」
「……。」

夫の片手がデジタルの尻を撫でていた。

3
「何するんですか、んむぅっ！？」

デジタルの抵抗も意に介さず夫の手が尻をぎゅっと掴む。

「んん、アナタ最近スケベさを隠さなくなってきましたよねっ！」
「現役時代には手を出せなかったからね。」
「……現役時代からこうしたかったって事ですかぁ？」

返事の代わりに尻を揉む手を強める。

「んぐっ、それで仕事になるんですかっ！」
「指先の適度な刺激は脳を活性化させる。」
「あたしの尻を玩具代わりにしないでくださ、ひゃあっ！？」

夫の手がうるさいとばかりに尻たぶの間に滑り込んだ。


4
その後夫の仕事中も尻を撫でまわされ、仕事が終わった後寝室のベッドに仰向けに寝かされ今に至る。

「でも今までっ！そんなっにっ、お尻に興味っ、あるよっうに見えませんでしたけど。っ！」
「自分でもわからないよ。気まぐれと言うか、味変みたいなもんかな。」
「本っ当っ、酷い人っですっアナタはっ、んんっ！？」

夫の両手がデジタルの小さく薄く、しかし張りのある尻を揉み込む。

「そっちこそ大学の講義で座りっぱなしで凝ってるんじゃないか？」
「んもう、あたしじゃなきゃアナタ今犯罪者ですからねっわかってるんですかっ！」
「ああ、わかってるよ。キミが凄く素敵な妻だって事。」
「サイッテー！」

不意に夫の手が止まった。デジタルが振り向くとすぐ傍に愛する夫の顔があり顔に手を添えられたかと思うと不意打ちの口づけを

5
こんなのデジたんじゃねえ略してこんデジ。

こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
ナレーションは高田裕司さんでお願いしましたっ。ありがとうございましたっ！

「デジたんふざけんなよ」
「ふざけんなfc2で続きをお願いします。」
「もうだめだねこの夫婦」

あははははっ！いやはや脚本書いた甲斐がありましたねー♪

「お前の脚本かよ」
「おデジお前マジ」
「この既婚者ファンをおちょくることを覚えやがった」

6
セクシャル方面で責めると反応が大きいと社長からは伺っておりましたがこれほどとは。んー、ちょっと刺激が強すぎたかもしれませんごめんなさいっ。

「ああ、こんなのデジたんじゃねえ略してこんデジってそういう」
「社長何アドバイスしてんだ」
「ていうか配信で散々セクシャルやってるからわかってるでしょデジたん」
「その為だけにラジオドラマ書いて高田裕司に声かけたのさいていすぎる」

んー。ドラマというかドキュメンタリーなんですけども。
さて11月6日日曜日はアルゼンチン共和国杯ですっ！現在の一番人気はマンハッタンカフェさんの親戚にしてキングカメハメハさんの血を引くテーオーロイヤルちゃんですがっ！
……いやこのレース、マンハッタンカフェさんやキングカメハメハさんやプイちゃんの親戚が多い……やめときましょうかこの話題っ！

「おいドキュメンタリーって」

この後0時からはマンハッタンカフェさんのPhasmophobia実況ですっ！初プレイだそうなのでネタバレコメントは控えてくださいねっ！
それではバイデジ～♪

誤 : 仰向け
正 : うつ伏せ

--
嗅ぎたいの リマスター

1
「カメラオフになってるけど」
「ストリーミングのソフトが調子悪くて、再インストールしてるんです。」

そうか、わかったという声をインカムで聞くテレワークサブトレーナーは対面座位で胸の間の汗を妻に嗅がれている。

「……デジタル。」
「んふー……。」

妻は抗議の声を聴く気もなく、夫の腕を持ち上げて脇を嗅いだり、シャツを捲り上げて腹を嗅いだり、蹲って膝を嗅いだりしている。

「今仕事中なんだけど。」

同僚にこんな愛撫を見せる訳にもいかないので映像はオフにしているが、それはそれとして仕事が進まない。

2
夫の抗議の声も意に介さず、膝に続いて脛を嗅ぎ、足先を嗅ぎ、そして仰け反る。

「流石に足は誰も臭いんですねえぇ……。」
「わかったら離れておくれよ、今仕事中なのはわかるよね？」

構わず股間に顔を埋める妻は全くわかっていないようだ。
短パンをインナーパンツごとずらして男の芯に鼻を突っ込むデジタル。
その顎に膝蹴りを食らわすと夫は改めてキーボードを指で叩く。

「蹴らなくてもいいじゃないですかぁっ！」
「今仕事中っ！！」
「仕事とあたしとどっちが」
「キミが大事だけど今のキミは尊重に値しないっ！」
「ムキーッ！」

3
その後もアグネスデジタルはめげる事なく夫の体を這い回る。
最終的に後ろから抱き着いて、夫の左肩の少し上の耳裏に鼻腔を定住させた。

「今日もラブラブだねえ。」
「恐れ入ります。」

ボイスチャット先のメイントレーナーに気恥ずかしい声を返す。

「デジたんも早く資格とれるといいね。」
「恐れ入ります。」

妻の代わりに返事を返す。
定型的な返事しか返せなかったのは、耳裏を嗅ぐ妻の鼻息がどんどん荒くなるのを感じ取っていたから。


--
Trainer Trainer

1
『いい物は必ず評価される』

これは市場を知らない幼い見解に過ぎない。だが何故いい歳をした創業者すらこの妄言を信じるのを辞めないのだろう？

努力は報われるべきだという洗脳は富裕層から貧困層に至るまできっちりと行き渡っている。
報われれば自身の努力の成果であり、報われなければ努力が足りないという自省に落ち着く。
できる人間にモチベーションを与え、できない人間にもチャンスを幻視させる素晴らしい思想。
その陰には、自らの努力が足りないのだと心と体に鞭打つ人間がいるのに。
お前の努力が足りないのだとただ鞭打つだけの人間がいるのに。
鞭の痛みだけを人生とする多数の人がいるのに。

--悪い、今から出る。悪いけど家事頼む。

ショートメッセージを妻に打ち込むと、僕はすぐさま身なりを整えて家を出た。

2
「おデジどうした……？」

携帯を見つめ頭を抱えるアグネスデジタルに、サークル室の同志が声をかけた。

「いえ、ちょっと家庭の事情で……。」

と告げるや否やウマ娘同好会のメンツは彼女の元に集まり矢継ぎ早に問いを投げる。
--旦那さんとうまく行ってないのか？！
--デジたんを悲しませるとは酷い夫だ
--やっぱりあたしが結婚しておくべきだった
--俺達に何かできる事はあるか？

ウマ娘同好会においてG1をいくつも勝ち取ったウマ娘は学年関係なく最上位の存在である。

3
「いえ、本当に大丈夫ですから。ただちょっとそのー、プライベートな事情で今日は早く帰ります。すみません。」

アグネスデジタルが深く頭を下げると水を打ったように静まり返り、往々にうん、わかった、仕方ない、と了承の声を返して背を向けた。
デジタルはすみませんと一言告げ、鞄を肩に掛けるとウマ娘専用レーンを家に向かってひた走った。

大学生アグネスデジタルの夫は、現在主夫兼テレワークのサブトレーナーを勤めている。
その夫が家を空けなければ行けない。これは非常事態である。
――そして、トレーナーの非常事態はトレーニング対象のウマ娘の非常事態に他ならない。
ましてテレワーク前提の夫ですら現地に行かねばならない事態となれば、並大抵のトラブルではない。
そんな知らせを聞いて、態度に出さずにいられるほどアグネスデジタルは浅いウマヲタでない。

祈るような気持で家路を走り、鍵を開け躊躇無しに夫のPCを操作する。
そこには、メイントレーナーからのチャットが表示されていた。

----骨折発生。至急招集する。

4
僕の意見は他のサブトレーナー達と同じだった。
長期療養。もとより骨折から出来ることなどそれ以外にない。だがメイントレーナーにとってはもう一段苛烈な選択肢があった。

「引退を考えている。」

その場にいるサブトレーナーの誰も、俯くばかりだ。
競走バの骨折は単なる怪我ではない。レースや練習に「ついていけない」というシグナルでもある。
ウマ娘は時速60km以上で走る人智を越えた存在である。だが決して無敵ではない。その脚力を受け止めきれず肉体を壊すことは日常的にある。
ましてや肉体の限界を追求し拡張していくことを使命とする競走バにおいては猶更だ。
ウマ娘は頑丈だが、それだけに蓄積した疲労が爆発するダメージもヒトの比ではない。件のウマ娘の脚は、骨だけでなく周辺の筋肉も著しく破断していた。
まずは骨の自然修復。その後衰えた筋肉の治療と再強化。その時間だけ同期とは鍛錬の差を付けられる。
骨の修復も放っておけば元通りになるものではない。骨の自然修復は例えればはんだ付けのようなもので、細心の注意を払って治療しても大なり小なり違和感が残るのが常だ。

5
それでも、僕は手を挙げた。

「望む限り、走らせてほしいと思います。」

場は、また水を打ったように静まり返った。それが出来れば苦労はしない。
わかっている。僕だってアグネスデジタルのトレーナーだったのだ。

「出来る事を全部やって、それでも無理なら。その時に最後通牒を告げればいいと思います。キツい事ですし、トレーナーの自己満足だとも思う、でも。
自己満足すらまともにできないなら、ウマ娘の人生を満足させることもできやしない。」

脳裏に浮かんだのは妻の姿。全てのウマ娘を分け隔てなく愛しながら、誰よりも自分の在り方を曲げない唯一無二の在りよう。

「……やっぱりそうか。」

メイントレーナーは安堵の混じる声でそう言った。

6
新聞によると、そのウマ娘は「長期治療後の復帰予定」という路線になったらしい。

「この娘また走れるんですよねっ！？」

期待と不安の入り混じった目で妻が乗り出す。

「彼女次第だよ。」
「なら問題ありませんっ！」

即答する妻に背筋の伸びる思いがした。ウマ娘を信じるという点において、アグネスデジタルに勝てる者が地球上に居るのだろうか？

「……早くトレーナー資格取っておくれ。」
「何です？急に？」

目を丸くする妻に、僕はただ笑顔を返すばかりだ。

--
Q.マイルチャンピオンシップとは何ですか？ A.マイルのチャンピオンシップよ。

1
「セリフォスちゃぁああああああんん！！！！！！！」

阪神競バ場の観客席で、妻が勝ちウマに歓声を上げる。
混戦となった最後の直線で有力馬を千切っての一着。文句のつけようもない見事な勝利だ。

「凄い末脚でしたねっ！」
「うん、強いのは知ってたけどゴール前の競り合いであのメンツに勝つのは、ちょっと予想できなかった。」

キラキラした瞳でこちらを見上げる妻の名は、アグネスデジタル。
彼女もまたこのマイルチャンピオンシップの覇者として名を連ねるウマ娘の一人だ。

2
「予想、んー、まあ、そうですねえ……。」

予想の話をするとデジタルはいつも複雑な顔をする。
勝ちウマの予想をするということは負けるウマ娘の予想をすることと表裏一体だ。しかし全てのウマ娘を愛するデジタルにとって、予め負けそうなウマ娘を予測しておく、というのは余り馴染まない。
勝ったことは喜ばしいが、負けたことも忌避すべきではない。勝利も敗北も努力と実力で掴み取った結果であり、これからに繋がる道しるべなのだから。

「おっと、そろそろウイニングライブの時間ですっ！」
「急がないとね。」

僕たちは手を取り、人波に載って会場へと歩を進めた。

3
会場の興奮について僕は語る術を持たない。
ただ、一番人気だったウマ娘が五番手の位置で、八番人気だったウマ娘が二番手の位置でそれぞれ踊っていることに、やはり残酷さは感じた。
けれど彼女らはそんな事はおくびにも出さず、キラキラとした笑顔とキビキビとしたダンスでライブを彩っている。
競バが強いウマ娘はその分大舞台でのライブ経験も多く、アイドルとしてのプロ意識も強い。
だからグレードの高いレースほどウイニングライブもクオリティが高い。

僕の隣で妻は只管ウマ娘の名前を叫んでサイリウムを振っていた。大好きだと全力で表現する。表現する事自体にも喜びを感じる。それはイチウマ娘ヲタクの姿に過ぎないとも言えるし、誰よりもウマ娘を愛するウマ娘の姿とも言える。
僕にはない、僕とは違うウマ娘の愛し方だ。

「ほらっ、アナタもこれ振ってくださいっ！」

手渡された二本のペンライトを僕も両手に持って振る。
ヲタ芸は打てなかったけど、僕なりにレースに参加したウマ娘達への労いは表現したつもりだ。

4
----
「ぶふぅーーー❤」

ルームミラーに映る後部座席で妻が幸せそうに溜息を吐く。だらしない声や顔はちょっとファンには見せられない。
僕だけが独占できる、僕が一番好きなウマ娘の無防備な姿。笑みを噛み殺しながら運転を続ける。

「やっぱりG1はぁ、いいですねえぇ……。」
「そうだね。」
「ですよねぇっ！研ぎ澄まされた才能と努力のぶつかり合いっ！」

独り言のように漏れた言葉に相槌を打つ。途端にデジタルは身を乗り出し、シートベルトのロック機構に抑え込まれた。いつもの事なので彼女も気にしない。

「凄く凄いんですよっ！逃げ狙いのウマ娘ちゃんも先行のウマ娘ちゃんも差しも追い込みもっ！
皆自分の得意と不得意をわかってるっ！その上でゲートオープン前までの緊張と、その後の展開……思うようにいくウマ娘ちゃんもうまく行かないウマ娘ちゃんも居て、それでも走るのを辞める訳には行かないから今この時に全力を尽くす、それがとてもとても美しいんですっ！」

5
「それを配信で聞かせてやりなよ。」

妻は大手動画サイトに配信用チャンネルを持っている。

「あああそうですねえっ！そうすべきでしたっ。全てのウマ娘ファンは当然さっき言ったことぐらいわかってると思っていましたがそんな訳ないですよねっ！
あたしだって専門用語やレース展開なんて全然知らなかった時期がある訳ですしそう言うのをケアするのは話題としてもとてもいいと思いますっ！」
「今はゆっくり休んでなよ。」
「忘れちゃいますからっ！」

どこからか取り出したメモ帳にペンを走らせる妻。現役の頃と変わらないなと笑ってしまう僕。

「ウマ娘については、キミには敵わないな。」
「何を仰るのかっ！？」

6
「このあたしにG1を勝たせてくれたアナタがそんな事を言うなんてっ！」
「でも僕はキミのように全てのウマ娘を愛することは出来ない。」
「……。いいじゃないですか。」

ルームミラーに映る妻の顔が紅潮したように見えたのは、西日のせいだろうか？

「あたしみたいなヲタクでなくたって、アナタはウマ娘と結婚するほどのヒトなんですよ……？」

続く声が小さくなっていく。

「……明日、講義あるんだっけ？」
「はい？」
「……今日は疲れたから、ホテルで休みたいなーって、思うんだけど……。どうかな？」

妻は顔を真っ赤にしながら、はい、と聞き取れないほどの声で答えてくれた。


--
幸せな空騒ぎ

1
お疲れさまでしたー！という声に軽く手を振って、俺は椅子に体を預けた。
12月25日午前3時28分。クリスマスカウントダウンライブを終え、舞台を彩ったウマ娘達が会場を後にする。
俺はそのウマ娘の一人のサブトレーナーを担当している。
妻帯者ではあるが、これほどの大舞台になれば足を運ばざるを得ない。サブとは言えウマ娘を預かる者なのだから。
背もたれに体重を預けてふうぅーーーと長い息を吐くと、お疲れさま、の声と共に缶コーヒーが差し出された。

「ッキミ、何でここに！？」

聞きなれたその声の主は、俺……僕の妻だった。

「何でって、普通にサークル仲間と見に来てましたもの。」
「だったら控室（こっち）に入っちゃダメだろ！？」
「関係者の妻ですって身分証見せたら通してくれましたよ。」

そりゃそうだろう。僕の妻で元競走バ、アグネスデジタルだと示されたら通さない方が問題だ。

2
僕にはこうした事情があるので、『夫婦のクリスマス』は先週に済ませている。それは兎も角。

「……一言言ってくれればよかったのに。」
「そしたら事前の手続きが色々面倒でしょ？ノンアポで飛び込んで拒否されても、別に『アグネスデジタルがまたバカなことした』で済みますもの。」

アポを取るよりノンアポの方が利点があるなんて理屈（ロジック）は初めて聞いた。エアシャカールが聞いたらひっくり返るんじゃなかろうか。

「改めて、お疲れさまでした♪」
「ありがとう。でも、」

缶コーヒーのプルタブを開け、一口分を喉奥に流し込む。

「サークル仲間とは離れてもよかったのかい？」
「いやぁ～実はですね？ライブの後花束渡しました！アナタの見てない所で！！
そんで先輩風ビュービュー吹かせてやりましたよ、歌の発声とか踊りのキレとか表情とかファンアピールの目線とかそりゃもうチクチクとダメ出しを、」

3
「嘘つけ滅茶苦茶頭下げてサインねだってただろ敬語で。」

デジタルの頭に大きな手が載せられた。

「あ、あらら……。」
「！ お疲れ様です！」

椅子から立ち上がり頭を下げた。
彼は今回のライブに参加したウマ娘の一人のメイントレーナーだ。僕の先輩でもある。
彼より遅くトレーナーになり彼より早くサブトレーナーに引っ込んだ自分にとって、多少苦手というか、申し訳なさがある。

「お疲れ。相変わらずお転婆なお姫様だね。」
「恐れ入ります。」
「トレーナーさんはご結婚の予定はあるんですか？」

4
頭を下げる僕を他所に、相変わらずのお転婆さをぶつけるデジタル。

「担当と？『無い』と言っておこう。」
「ですよねぇ～～♪」

デジタルが「美味しそうな」顔をした。

「失礼だろ。」

デジタルの肩を引いて先輩から遠ざける。
現役ウマ娘との恋愛話など、事実がどうあれ担当トレーナーの返答は『ノー』しかあり得ない。妻はそれをわかった上で探りに行った。流石にやり過ぎだ。

「ところで、サークルの仲間は？置いてきてよかったのかい？」
「『ダンナとのイチャイチャ話をたっぷり持ち帰って来てくれ』と託（ことづか）りましたっ！」

5
なるほどウマ娘ファンってのはいい根性をしている。

「折角来たんだ、片づけ手伝ってもらうぞデジタルちゃん？」
「勿論ですともっ！ウマ娘ちゃんの努力の残り香を味わえるなら文句などあろうはずがっ！！」

動機は兎も角ウマ娘のパワーは撤収作業に大いに役立つ。増して元ライブ経験者なら専門用語や順序などの機微も知り尽くしている。コーヒーを飲み干し、引き立てられるデジタルの後ろから僕もついていく。カフェインは鎮静ではなく興奮を齎す成分なのだから。
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何もかも搬出が終わりトラックが出発した頃には、空は白んでいた。

「手伝ってくれてありがとう、デジタル。」
「いえいえ、あたしも色々と収穫があり」

言いかけた彼女に一人のヒト娘が駆け込んでタックルじみたハグをした。

「うわーんやっと出てきてくれたぁ、もう別の出口から出てるんじゃないかって思ったよおお。」

6
よしよしと頭を撫でるデジタルに二人の若者が歩み寄って来た。

「はいはい引退済みとは言えスターウマ娘にいきなりハグは反則物だから。」
「お疲れ様です。わたくしウマ娘同好会の副会長をしている者です。デジタルさんにはお世話になっております。」

女性がデジタルからヒト娘を引き剥がし、男性が丁重に自己紹介をした。と、途端にあたりが騒がしくなった。
あれデジたんじゃね？ デジたんじゃんなんでここに？ ライブ見に来たんでしょ、じゃ傍にいる人達はサークルとか旦那さんとか？
どうやら宿を取れなかった観客が始発まで周辺で時間を潰していたらしい。

「……逃げるぞ。」

副会長を名乗った男がデジタルの手を取って走り出した。それを追うように写メや一眼レフを構えたファン達が迫る。
僕も走り出しかけたが、副会長とやらが迅速に帽子とマスクとサングラスで妻の姿を偽装したのを見た。
その手際を見て僕はデジタルの携帯に「何かあったら居場所だけ伝えろ」とショートメッセージを送りその場を離れる。
その後真直ぐに自宅に戻ると妻は既に帰宅しておりニコニコとおかえりなさい♪と迎えてくれたのでヲタクの底力を思い知った次第である。

--
matron

1
「んむむむむむ……。」

お屠蘇で煮えた頭が湯気を出しそうになっています。
モニタに映るのは尊敬する作家様の有料コンテンツ。この方がいなければ一つのジャンルが終わる、と言ってもいい、とてもダイナミックな絵を描かれる……しかしマイナーなジャンルの……その道のプロでございます。

自分の趣味か、と言われれば実はそうでもないのですが、自分の趣味ではないけどこれは応援せざるを得ない、と思わせるだけの画力とアイディアを持つ大先生でございます。
そこに提示された金額は……5桁円。
その代わり一回でもそのプランで支援すれば今まで出版された同人誌ほぼすべて送ってもらえるという大盤振る舞い。
しかししかし、趣味でない本を送ってもらう為にえいやと高額支援をするのは100%の肯定はできません。
同じサイトで支援している別の方にも示しが着かないというか、支援というのは見返りを求めるものではないはず、というか……。
ぐわんぐわんと思考が揺れるのはきっとお酒のせい。
こんばんは、アグネスデジタルです。

2
SNSで大学のウマ娘愛好会メンバーに相談したところ、
「正月ぐらいダンナとイチャイチャしてろ」というお返事。
さいですか。
残念ながら夫はサブトレとして担当しているウマ娘ちゃんの年越しライブを終えてダウンしております。デジたんも当然見に行き、スタミナ切れで死に申した。

一足早く目覚めてマイPCに向かったところ冒頭の事態でございます。
疲れの残る頭で考える事ではないのかもしれません。
でも寝直すには覚醒が過ぎてしまいました。
この方の描くウマ娘ちゃんはグラマラスで筋肉質でえっちで表情豊かで都合が良くて時に傲慢、時に従順で……。
これほどの腕の方が金欠を理由に絵描きを辞めてはならない。そう思わせるだけのパワーがあるのです。

3
しかし、もしこの方に高額支援を行ったならば。
今ほかの方にデジたんが支援している方々にも同等の支援をしなければ不公平（UNFAIR）です。けれども「今までの同人誌ほぼ全て」の報酬は魅惑的だ。

それとはまた別に、デジたんが気にしていることが一つあるのです。

それは、支援しなければ見る事の出来ないコンテンツの存在。
「支援の見返り」と言えば聞こえはいいですが、それはほぼ全ての人類にとって供給されないコンテンツでもあります。
そんな勿体ない事があろうか？
素晴らしいイラスト、素晴らしい動画を、毎月相応の額を払っている人しか見ることが出来ない。知ることも出来ない。
サブスクリプションに近くはありますが、あっちは毎月一定額で多数のコンテンツを選べる「商業主義的」で「利便性を求めた」料金形態。
個人作家ごとに毎月ン円という制度だと、どう足掻いても好きな作家のほとんどはカバーできないままです。
支援のための投資。コンテンツ購入の為の入金。その狭間を縫う事は間違ってはいないし成功しているモデルでもあるしぶっちゃけデジたんも利用していますが、偶にこうして考えちゃうことがあるんですよねえ。

4
不意にノックの音。どうぞと呼ぶと夫が入ってきました。

「絵を描いてるのかい？」
「いえ、今はちょっと。」

暖房とアルコールでぼやける頭を何とか奮い立たせながら、お悩みを吐露しました。

「月一なら、一回ぐらいはいいんじゃない？」

それが回答でした。

「一度限りの贅沢として高額で支援して、その後減額するのが一番効率的じゃないかい？」
「正直あたしもそう思っていました。でもそれって気まぐれに自分に都合よく支援するって事ですよねえ？」
「ファンの心変わりはよくある事だよ。それにキミやキミの支援している他の人たちも絡む話なんだ。考えたって複雑すぎて答えは出ない。気持ちに従うのが一番でしょ。」

5
丸め込まれた感じはしますが、悪い気はしません。
ケツイしました。くらえ絆地獄！

「では行きます！ひと月限りの最大火力支援、999ダラー！！」
「999ダラー！？」

1月限りのデジたんからのお年玉、お受け取り下さいませ。ポチり。

これ6桁円だと気付いたのは翌日です。お酒はほどほどにしましょうね。

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2023年初配信

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
ハッピーニュー…イヤァアアアアアアッハァーーーー!!!
ハァ？

「はぁ？じゃないんだよ」
「あけましておめでとう」
「もう酒入ってんの？」

いやこれから入れます（ぐびっぐびっぐびっ） っぷぁ。

「カワイイ」
「カワイイ」

ありがと、ありがとでーす♪

2
今日はねえ、12月に見たレースの振り返りをしようかなと！思います！
まずは12月24日に開催された、阪神カップ。
最後の最後まで何人ものウマ娘ちゃんが一着を争っていましたが、勝ったのはダイアトニックちゃん。
実力伯仲のウマ娘ちゃんが複数いるとああいう展開になるんですねえ。
何人ものウマ娘ちゃん達が最後の最後まで1着を奪うために全力で走る姿っ！自分のことのように乗り出して見ちゃいました。
自分の脚、もっと速く、もっと速く動け！！って感じの鬼気迫る表情をしていました、美しい……。
一対一の競技では味わえないレースの醍醐味ですよねえ。
ダイアトニックちゃんはG2、G3では勝ち星があるのですがG1は高松宮記念の3位が最上位。そして彼女はこの阪神カップが引退試合となります。お疲れ様でしたっ！

「お疲れ様でした！」
「引退レースで勝つとまだやれるんじゃって思っちゃう」

そうですよねえ、G1行けるんでは！？ともデジたんもちょっと思ったのですが。そこは色々ね、事情があるでしょうし。

3
さて同日開催のグレイトフルステークス。
阪神カップとの兼ね合いでこっちは後で映像で見てました。
勝ったのはシルブロンちゃん！
最後の直線で外からぐぐーーっと上がってくるのは圧巻の強さ。
2500mでそこまでの脚を残したまま走れるだけでも超凄いんですけど、これはデジたんがマイラーだからそう思うだけかなあ？

（ぐびぐび）っぷぁ、続いて大本命、有馬記念！！
タイホちゃんにプボちゃんにエフフォーリアちゃんにと流石有馬というべきオールスターなメンバーでした！
最終コーナーから忍び寄り、最後はカミソリのような末脚でとどめを刺して一着を奪い去ったのはイクイノックスちゃん！！
イクイノックスちゃんはこれで6戦4勝、うちG1が2勝、負けたのもG1でこれはどちらも2着。デジたん自分で口にしてて信じられません。

「強いねー」
「凄い強さだった」

ねー、後生畏るべしって奴ですねー。もっともっと活躍を期待しています！！

4
（ぐびぐび）さて最後は28日に開催されたホープフルステークス！
じっくりした競馬からのギリギリの先頭争い！トップナイフちゃんか！と思いましたが競り勝ったのはドゥラエレーデちゃんでしたっ！いやーいいもんみましたよぉ♪
そしてこれがG1初勝利！おめでとうございますっ！（パチパチパチパチパチ）

おまけでもう一つ。諸事情で後で動画で見た18日開催の朝日杯フューチュリティステークスです。
ドルチェモアちゃんこれで3戦3勝！！！無敗です、無敗。
ドルチェモアちゃんと言いイクイノックスちゃんと言い、もう現役時代のあたしでも勝負になるかどうかっていうすんごいウマ娘が活躍する時代になっちゃいましたねえ。
デートぶっちして見に行けばよかったってちょっと思っちゃいましたよ。

「デート？」
「誰と？」
「浮気？」

ダンナとですよっ！
『誰と』じゃないんよ！浮気でもないんよ！！失礼なっ。

5
うちはですね、家族のクリスマスを一週間前倒しに、年末年始のご挨拶は一週間後ろ倒しにしてるんですよ。
ダンナトレーナーだからクリスマスは手が離せないしあたしは年末はイベントがあるってことで。
だから朝日杯の日はクリスマスデートしてました。
で24日は阪神カップ見てぇ、クリスマスカウントダウンライブ見てぇ、家に戻って仮眠してから有馬記念見に行きました。

「タフネス…」
「タフという言葉はデジたんの為にある」

そのカウントダウンライブの裏方にうちのダンナが居たって言う。
そんな感じで仕事と趣味がどうしても噛み合わないんでね。自分たちの方が日程を変えればよい、という考えに行きつきました。

「朝日杯の裏でデジたんはダンナとステークスしてたんだ」

ステークスを隠語にしないでください。

6
んなわけでね、年末のイベントも終えて！確定申告の書類も作って！在庫の整理も終わったというところで余白の時間が少し取れたので配信させていただきましたっ！
みなさんはお正月三が日いかがお過ごしでしたか？
明日からお仕事という方もおられるでしょうし、もう既にお仕事されてる方もおられると思います。
そんな人たちのね、お慰めに少しでもなってればいいなあと思いますよっ！
さてこの後の時間はオグリキャップさんとタマモクロスさんのオフコラボ、『炬燵でおもちと雑談』です。
おもちと語らうのかな？？？ここで言うおもちって咲-Saki-用語でいう所の体の部位の事かな？だとしたらドトウさんとかヒシアケボノさんとかクリークさんとか

「酔ってんのか」

酔ってません！それでは、バイデジ～～～～っ、ぐぇっぷ。

「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」

--
[補足]ハッピーニュー…イヤァアアアアアアッハァーーーー!!!
https://store.line.me/stickershop/product/21802595/ja
書いた後でこれは元ネタわからんなと思ったので補足しておきます。
--

--
拾う神あり

1
「うおおおおおおおおマジですかぁ！！」

大声とそそり立つ尻尾。
自分の横でソファに寝そべっていたデジタルの突如の驚愕に、夫も面食らう。

「どうしたの。」
「これですよこれっ！」

そうやって突き出されたのはスマートフォンの画面。
そこにはアグネスデジタルの没勝負服の写真。
その下の文面では特別復刻版としてコスチュームを作りたいので連絡されたし、とのこと。

「あれ？着た事なかったよね？」
「でも一応勝負服候補として公開はしましたし。」

2
「やっぱり嬉しい？」
「そりゃそうですよ！あたしみたいな引退バの、しかも没コスだなんて！！よっぽど好きじゃないと作ってもらえませんものこんなのっ！！」

確かに酔狂だとは思う。

「でも君この勝負服嫌がってたじゃない。」
「ま、ま、ま、当時の自分にはちょーっと、セクシーが過ぎるかなーって思ってましたのでっ。」

勝負服の没案は白い網タイツにガーターベルト、右手だけの手袋、足の甲を見せるアンクルストラップの靴とどちらかと言えばセクシーに寄せたコーディネートだった。
https://umamusume.jp/app/wp-content/uploads/2021/01/a54adb203540e98efe832550a082a6d8.png
が、本人のセンスには合わず敢え無く没に。この没デザイン自体はそこかしこで折に触れてメディアに公開しており、その度にデジタルは「あたしにはちょっと」と照れ笑いしていた。

「ファンメイドでコスがあるのは知っていましたが、まさか企業が本人公認の品を作るために動いてくれるとはっ！」
「なんか手伝えることある？」
「打ち合わせがあるそうなので付き添っていただければっ！！」

3
某日、夫妻でその企業に訪れた。

「オワーッ！いきなりスペシャルウィークさんの勝負服と制服が並んでお出迎えっ！その横に寄り添うようにスズカさんの衣装がっ！尊い！！
ウララちゃんの勝負服、絆創膏は肌色タイツの上に模様を描くことで実現してるんですねっ！
こちらはお、お、オペラオーさんの勝負服、こちらは一足先に没案も商品化されたんですよね、こっちの方が濃い光沢があるんですよそしてやっぱり隣にはドトウさんの勝負服っ！でっっか……！没案も制服もでっっっか……！！
あっヒシアマ姐さんだっ！いい寮長さんでしたよねえ何だか萌えると同時に懐かしくなっちゃう今どうしてるんだろっ！？
ええーったづなさんのコスも秋川学園長のコスもあるんですかっ！？ギャーッ！クリスエスちゃんの服まで引退レース思い出しちゃいま…」
――――
「すみません、普段はもう少し聞き分けのある子なんですが。」
「はしゃいでしまって大変申し訳ありませんでした。」

深々と頭を下げる妻にいえいえと笑顔で返す企業の方たち。
その後の打ち合わせは滞りなく終了。
後日プロトタイプを作るので確認に来て欲しい、ということで一旦は解散。

4
更に後日。

「こちらになります。ご確認ください。」
「ん、んふふふ、えへ、えへへへへ……♪」

没勝負服を着せられたマネキンを見ながら、デジタルが見たことの無い萌え方をしている。
と、夫の方に振り向いた。

「……照れますねこれ♪」
「いいからちゃんと確認して。」
「あい。」

その後妻はマネキンの脚を見たり胸の上から覗き込んだり背中に回り込んだり耳飾りを凝視したりガーターベルトを見たりネクタイを触ってみたりまたガーターベルトを見たり。
へぇー、ほぉー、なるほどぉー、うへへへへ嬉しいなぁ。
試作品のチェックという目的をすっかり忘れて楽しんでいた。

5
「本人が此処まで入れ込んでいるのなら、問題ないと思います。」

妻の代わりに夫が答えた。

「それはよかった。」
「あのっ！」

妻が挙手する。

「お願いがあるんですけど……。」

6
「良かったですねえ、試作品の予備があって！」

帰りの車の中で、デジタルは紙袋を抱えてご満悦だ。

「確かに、キミ自身で着てみるのが一番というのは確かだ。」

そういう夫は苦笑い。本人は本当にただ着てみたいだけだったのに、向こうの方で『試着』という大義名分を提案してくれた。

「……アナタも興味ありません？没デジたん。」
「……。運転中にそういう話をするのは危ないから。」
「そういうってどういうことですかぁー？なぁにを想像したんですかぁー？ねぇねぇ～～？」
「……。」
「二人でちゃんと確認するってだけですよぉ、魅力的な衣装かどうかをね、ねっ？何もやましいことなんかっ！えへへ❤」

夫妻は共に翌日休日であり、預かった試作品は後日クリーニングしてから返したことだけ記述して本稿は終わりとする。


--
新参シンザン信山

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
牛乳と寒天でこんなもの作ってみましたぁ～～～！！！

「褒められる前提で配信してるのが嫌」
「自分の可愛さを過信してるのがちょっと鼻につく」
「デジたんの作ったものなら何でも鼻から食べる」

まずブツの感想から言って？！
確かにデジたんにそういうリスナーへの甘えはありましたよ！ すみませんでした！！あと鼻からは食べなくていいですっ！！

という訳でっ！！牛乳寒天で作った三段ウエディングケーキミニチュア版でっす！！！

2
「ウェディングケーキ風だから辛辣なコメントされるのでは？」

そうですね……。どうせ作るなら豪華にしよう、豪華な甘味と言えばウエディングケーキの重ねっぷり！
と思い至って5段重ねウエディングケーキ風牛乳寒天タワーを作ってしまいました……。
捨てますね……。

「捨てんな！！！」
「捨てんなって言われたがってるのがもうキモい」

おい！キモいって言ってるキミは何でこの配信を見てるんですか！？憎しみがキミの生きる糧なの！？
あ、スパチャありがとうございますっ！

「アグネスデジタルのバレンタインチョコは全て俺のために作られるべき」

ん～～～～～ノーコメントっ！！！

3
不評だったのでケーキ風牛乳寒天は画面外で処理しておきますねぇ……。
さてレースで機になるのはやっぱりシンザン記念ですよね！
何故ならエロ漫画雑誌でそういうペンネームの方が読者投稿ページに長年イラストを投稿なさっておられるからっ！

「理由……」

創作活動の大先輩ですから当然のリスペクトですっ！
さて今年のシンザン記念はライトクオンタムちゃんにユタカトレーナーでしたねっ！
いやーあの最後の追い込みは強いとしか言いようがありません。サンライズピースちゃんが内からスパートかけた時は決まったと思いましたが更に外から抜き去るとはっ！
2歳新バ一着からのG3勝利はもう文句のつけようがありませんっ！
どこまで伸びるのか今から楽しみですっ！頑張ってくださいねっ！

4
クオンタムは日本語で量子。
量（はか）る子（こ）どもと書いて量子。伝わってるかなあ？
量子の領域では、物質の存在は確率的にしか決定しないそうです。我々が観測して初めてどこにどんな量子があるか決定される。
でも観測なんて意識しなくてもあたし達は普通に生きていますし、ニュートン物理学の範囲内で全然問題なく生きていけていますっ！
ライトクオンタムちゃんのライトは、英語で光を意味します。L I G H T です。光の粒子、光子ですねっ！KOUSHIROUさんではありませんっ！！
2連勝と言えば簡単そうに見えますが、その初勝利を収める事すら実際には困難極まる事。
増してや二戦目で重賞を勝ち取るなんてとんでもない事です。

競バの世界は一着以外は全部「負け」、です。レースってのはそういうもんです。そして、「勝つ」と「負ける」とでは全く価値が違う、厳しい世界でもあります。


5
だからこそ、あたし含め誰もが勝てる土俵を求めて体を鍛えてレースに出るんですよ。
日程やコースの長さや坂の有る無しで戦うウマ娘ちゃんが分散されはするんですけど、逆に言えばレースに出るウマ娘ちゃんはその日程、そのコースの長さ、その坂の有る無しにアジャストしてるウマ娘ちゃんばっかりなんですよね。
その中で勝てるのはやっぱりとんでもない事です。

「自賛やめろ」

ごめんなさぁい。でももう引退してるんだし優しくしてくださいよぉ。この娘と違って滅茶苦茶負けたレースもあるんですしぃ。
ねっ？ ♪ ❤ 💛 ♥

「許す」
「許さん」
「俺に詫び続けろアグネスデジタル」

ASMRネタもちょっと考えようかなあ。

6
ああそうだった牛乳寒天バベルの塔の話をしてたんでしたよウマ娘ちゃんの話をすると脱線しちゃうなあもぐもぐぱくぱく

「パクパクですわー」
「お酒のお供に最適ですわー」
「ビールの苦みを洗ってくれますわー」

ありがとありがとですーもぐもぐ。こういう酷い建造物はたまにしか家事をしないからこそできる贅沢と言いますか、家事の重みを忘れているからこそできる暴挙と言いますか。
ゴメンね夫ちゃん、ちゃんと責任取って平らげますよぉ。
さてこの後23:30からはマーベラスサンデーちゃんの「トランジスタグラマーベラス！！ ニーアオートマタ初見プレイ3」が配信されます。
マベちゃんのお胸と2Bのお尻とリスナーがどちらに注目するのか賭けません？
それではバイデジ～♪


--
愛はブーメラン

1
「今年もチョコレートでいい？」
「キミからもらえるなら何でも嬉しいよ。」

みかんを剥きながら答える夫に、しかしアグネスデジタルは困ったような笑顔を浮かべた。

「ああ、何でもって言うのは流石にデリカシーが無かったな。」
「いえいえ、そういう事ではなくてっ！」

炬燵の布団から取り出した両手で否定のジェスチュアをする。

「その、こんな風に好きな気持ちを表現する方法がですね、カタチだけ、そう『ケイガイカ』していくことがすっと怖くなってっ！
あなたを愛していないのに愛しているふりをするようになるのかも、とかふっと思っちゃったのですっ！」

2
ごめんなさい、と頭を下げるデジタルに夫はみかんの房を引き剥がしながら平気な顔をして。

「多分、それって当たり前の事だと思うよ。」
「ハァ？！」
「あ、あ、いや言い方が悪かったかなぁ？」

果汁に汚れた指を舐めながら夫が言い繕う。

「僕の両親も別にバレンタインデーやホワイトデーにプレゼント渡したりなんてしてなかったよなあって。」
「ああー……うちもですねぇ。」

両手を炬燵の中に戻しデジタルの目が思い出を見るように宙を泳いだ。

「……愛って減るんですかね？」

3
夫が口に放り込んだみかんをしっかりと噛み締め、嚥下する。

「みんな知ってるけど、それって切ないけど。」

ごくり、とデジタルも唾を呑んだ。

「多分、変わっていくんだと思うよ。少しずつ。」
「うーん……。変わる？ですか？減るのではなくて？」
「どうかなあ？例えば子供が出来たりすると、生活は違ってくるよね。今目の前にある課題が変わってくる。」
「想像はつきませんが、理解はします。」
「聡明な妻を持って幸福です。」

夫は更に一房口に含み、じっくりと果汁を味わうように噛み締める。

4
「未来の事はわからない。でもいずれ僕もおじさん、おじいさんになるし、キミもおばさん、おばあさんになる。」
「おじさんとおばさん、おじいさんとおばあさん。」
「もしかしたら、父と母、祖父と祖母になってるかも。」
「子供、孫、うーん、ひ孫の顔までは見たいかなあ？」
「その時、僕らは今と同じように愛し合っているだろうか？」
「えー？……うーん。愛し合っていたいとは思いますがー……。」

我が子をほったらかしてデートに出かけるような母ではありたくない、とデジタルの心が疼く。

「いつか、二人でバレンタインやホワイトデーの話もしなくなるんでしょうか……。」
「そうかもしれないし、そうならないかもしれない。
でもね、愛したくないな、と思った時には愛さなくていいし、愛したいなと思った時に別に愛さない事を選ばなくてもいいとは思うんだよ。」
「どういうことです？」

5
「うーん……。」

頭を掻きながら夫が言葉を探す。

「未来の事はわからない。でも子供の事にしろ、仕事の事にしろ、歳をとる事にしろ、それってどうにもならない。
僕はトレーナー業や家事が疎かになるかもしれないし、キミもウマ娘のレースやライブに行く足が遠のくかもしれない。」
「そんな事はっ！」
「まあ聞いてよ。」

夫がみかんを差し出すと、妻はそれを手に取り、和歌山式で皮ごと割る。

「仮にそうなったとしても、それは多分悪い事だと思うべきじゃないんだ。生活や体力や環境や、きっと色んな要因が重なってそうなる。
そしてそれは今から心配してもしょうがない。だってさ、今こうしてここにある僕らは、過去に夢見た通りだったかい？」

6
「……愛が減るのは嫌です。」
「そうだね。でも増えるかもしれないよ。」
「言ってる事違いません？！」
「未来の事はわからないってだけさ。僕らはいずれ衰える。でも、その衰えを乗り越えて有り余るほどの愛のカタチを見つける事もあるかもしれない。」
「むむむ……。やっぱり丸め込まれてるみたいでイヤです。アナタのそういう言い方、正直改めて欲しいなあ。」
「そういうってどういう？」
「『なるようにしかならない』とか、そういう当たり前の事を言うところっ！ですっ！！」

愛の話をしているのに、理屈の話をされても納得できません。

「一生愛してる、と今は言える気持ちがあるよ。」
「そういう所ですってばっ！」

それが精いっぱいの誠意だとはわかっているから、許してあげますけどっ！頬を膨らませる妻に、夫の脳裏にはうろ覚えの祈りが去来して。
窓の外では、積もる事の出来ない小さな小さな粉雪が降っていた。


7
神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、
そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。

一日一日を生き、この時をつねに喜びをもって受け入れ、困難は平穏への道として受け入れさせてください。

これまでの私の考え方を捨て、イエス・キリストがされたように、この罪深い世界をそのままに受け入れさせてください。

あなたのご計画にこの身を委ねれば、あなたが全てを正しくされることを信じています。
そして、この人生が小さくとも幸福なものとなり、天国のあなたのもとで永遠の幸福を得ると知っています。

アーメン

ラインホールド・ニーバーの祈り


--
当時、ローマでは、2月14日は女神ユーノーの祝日だった

1
ヴァーーーーーーーーン、
アァレーーーーーーーン、
帯っ！
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！

そんな訳でデジ民（たみ）向けのチョコレートを生配信で作っていきます喜んでくださいねっ！
Van Allen radiation belt（いい発音）とはっ！地球の周囲を囲む放射線の帯の事。
地球の自転軸を中心にしてドーナツ状に地球の周りに位置しています。
更にそれには内側と外側があり、内側の帯は陽子が多く、外側の帯は電子が多いのです。
何故そんなものがあるかというと地球には磁場があるからだそうです。方位磁針のあれですね、N極が北を向きS極が南を向くという。
それが陽子や電子を地球の周囲に捕らえ言わばバリアのように展開しているわけです。これがあたし達の生活にどのように影響するかというと

「俺達は何を聞かされているんだ……」

2
さてちょうどよく混ざり切った生クリームとチョコレート。そこにバターを追加！
温めつつ（王女）ヘラでこねこねしながら溶かし込んでいきます。（さっくさっく）
……喋ることないなあ。（さっくさっく）

「さっきまでヴァンアレン帯で盛り上がってたのに」

そうですねえ、チョコレートに地球の磁場や地球周囲の放射線の話は全然関係ありませんしねぇ。（さっくさっく）
さて溶け切った所で更に蜂蜜を混ぜ込んでいきます！

「生チョコか」

曹操（字は孟徳）！作り方を知るとどこが生なんだという感じですが、「もしもチョコレートに『生』があったなら」という架空の存在に近いですねっ！
くちどけ特化型の柔らかいチョコレート、なるほど生と言われれば生かもしれない、そんな感じのスイーツです。

3
（ダーク）ヘラでゆったりとかき混ぜていきます。
空気が混ざると食感がね、よろしくなくなるので。
あせらないでまけるわ

「ふわふわの方が溶けやすいんじゃないの？」

その分野はぬ～ぼ～に譲りましたっ！

「その子はもう……」
「エアインチョコって分類ならほかにも色々あるけど」
「エアインチョコってサクサクしてるけどくちどけは生チョコと相性悪いのでは？」

なるほどなるほどぉー。

4
今回は冒険せず空気を出来るだけ含まない方向で行きます。
あれですよ、誰が言ったかお菓子づくりってしくじるとリカバリーが効かないそうで。
煮詰めた煮物や固く炊いちゃったご飯なんかは美味しく変身させる方法がありますが、お菓子はそういうつぶしが効きません。
アレンジしたい時も一先ずはレシピ通りに作ってみて、それからですねえ。

「もしかしてその生チョコもぶっつけ本番？」

いやいや、流石に調教なしにレースに出る程このデジたんは自分を過信しておりません。
一回リハーサル的なものはやっております。

「何だつまんねえ」
「ハプニングこそが見せ甲斐だろ」
「お前はそこで乾いていけ」

ライバーとして生きる厳しさを今、ひしひしと感じておりますっ！

5
しかししかしですね、今作っているこれは皆さんへのヴァーチャルプレゼントなのですよっ！？しくじったら
これが焦げたり混ぜきれていなかったりしたら、それはそのまま皆様の元に届くという事なのです、だからハプニングが起こるとそれはデジ民の皆様へもフィードバックされるのですよっ！

「俺はデジたんが丁寧に作った綺麗で美味しいチョコを貰えたと信じているから関係ない」

オルタナティヴファクト……。

妄想は確かに絶大な力を持ちますしデジたんも同人誌という形で具現化していますが、絶対ではないという事を心にとどめておいてくださいっ！
あっ、そろそろ溶けたのでバットに移しましょう、だばぁーーー。滑らかで綺麗ですねっ！
さてラップをして。粗熱が取れるまで暫くかかるのでスパチャでも読んでいきましょうかね。

6
「チョコください」
これからあげます。
「旦那にもチョコあげないの？」
もうあげましたっ！
「チョコはいいから愛をください」
チュッ♥
「今の推しウマ娘は？」
シャマルちゃん。
「何故俺はバレンタインデーに人妻の動画を見ているのか」
そういうエロ漫画の導入ある。

さてこのあと0時からはスペシャルウィークさんとサイレントスズカさんのオフコラボ、「寝る前に聞いて欲しい話」が始まりますっ！楽しみですねっ！それではバイデジ～～！！！

--

[余談]サイレントスズカって誰だよごめんなさい。

--
二人で一つになろうよ

1
「そろそろ鍋に火を入れてください。」
「オーケー。」

鶏肉を一口大に切りながらアグネスデジタルが夫に声をかける。
まな板の上にくし形きりにされたかぶの根にざく切りにされたかぶの葉。
デジタルは鶏肉に塩コショウをまぶすと、生姜の皮を剥いて千切りにしていく。

「遅れました、まずは生姜です。」

差し出された生姜の千切りが、鍋の中で熱されたオリーブオイルの中に投じられる。

「ありがとう、少し待ってね。」
「生姜が先が良かったですねえ。しくじりました。」

2
2月いっぱい、デジタルは大学の休暇期間に入る。
課題はあるが、今日は久々に夫と家事をすると決めたのでキッチンに二人で立っている。

「いいよ、入れて。」
「はい！」

デジタルが鶏肉を入れると夫はコンロの火を中火に変えてヘラで転がして炒める。
肉の色が変わってきたところでデジタルがかぶの根を投入。更に炒める。
かぶがまだらにきつね色に焦げた所でコンソメと水と追加。灰汁を取りながら弱火で煮る。

夫がかぶに串を差し、引き抜く。緊張の視線を向けるデジタルに親指を立てると、妻はまな板に残っていたかぶの葉を投入した。

3
「ん－♥♥❤❤おいしっ！」

妻が満面の笑みを浮かべると、釣られて夫も笑顔が零れる。

「お陰様で。」
「いやいや、噛み合わない所結構ありましたよねぇ。えへへ。」
「気にしないで。料理の分担って難しいもんだし。」
「いやぁ～～、でも大学生やってる間にブランクあるんだな、って感じましたよっ。」

白米を合間に入れながら、スプーンで鶏肉とかぶのポトフを味わう。

「いつもありがとうございますっ。」
「どういたしまして。」

深々と頭を下げる妻に、夫も頭を下げて返した。

4
トレーナー試験合格を目指しつつ大学生活を送るデジタルは、どうしても家事を夫に頼らざるを得ない。
一方の夫はそれを見越してリモートワークでサブトレーナーとして働きつつ家事をこなしている。
デジタルにとってそれは有難くも後ろめたい事だったので、今月ぐらいは罪悪感を贖おうと思っていたのだが。

「手伝って貰えて本当に助かったよ。ありがとう。やっぱり一人でやる料理って限界があるし。」
「あ、ああ、すみませんいつも、いつもすみませんっ！」
「二人で作る料理って、僕が作るより美味しいと思う。」
「んぐっ！？
えふっ、えふっ、えふっ、えふっ……❤」

デジタルは真っ赤にした顔を伏せて、咳き込むように笑った。

「ああああああっ！あたしの愛はウマ娘ちゃん達のモノなのにっ！もう……。いつまで経ってもそういうの、あたし慣れないです。」
「嫌だった？」
「イジワルッ。」

5
夕食の片づけを終えて。パソコンに向かう夫の膝の上にデジタルが乗って来た。
夫はいつものようにウマ娘のトレーニング動画を再生する。

「1年目でこのフォームの綺麗さ凄いですねえ。」
「だろ？僕もダメ出ししなきゃいけない立場なんだけど、困っちゃうよね。」
「あっ！この子も担当なんですかっ？！」
「いや、その子は通りがかって来ただけで担当はその手前の子。」
「……この子スプリントで行くんですか？」
「マイルまでは行けると思うんだけど、ライバルが強いんだよ。」
「あ、これステイヤー適性ありですねっ！いーなー羨ましいなーこの子誰とでも走れちゃうんだっ！」
「そんなに簡単じゃないよ、短い距離でスタミナを使い尽くすのだってテクニックが必要だ。」

元名バとそのトレーナーとの新バ評は各バのメイントレーナーにも好評だ。

6
夫も妻も今日の分の課題と入浴その他身支度を終え、二人寝室で天井を仰ぎながら。

「もっと料理できるようになりたいです。今日は噛み合ってない気がしましたし。」
「ああ、そんな事言ってたっけ。」
「あたしだってアナタに美味しい料理をご馳走してあげたいんですよ？でもブランクはどうしてもあるじゃないですか。今日は何だかリハビリに付き合わせたみたいで、なんだかなって！」
「気持ちはありがたく受け取るけど、ちょっと前にバレンタインのプレゼントしてくれたばっかりじゃない。」
「それはそれっ、これはこれですっ！いつもの家事のお返しはその程度ではとてもとてもっ！」
「負い目がある？」
「はいっ！」

あっはっ！余りにも潔い肯定に夫は吹き出す。そして表情と声色に欲望を含めてこう言った。

「時にデジタル。明日僕は休みなんだけど、」

言い終わるが早いか自分のベッドから跳ね飛んだデジタルがルパンダイブを決めるのであった。


[余談]
参考 : https://gucci-fuufu.com/2023/02/26/chicken-thigh-turnip-ginger-pot-au-feu-boil-stir-fry/

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Key of Life 時をこえて今も

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
突然ですが皆さんにはっ！
『これで自分の人生が決まったなって瞬間はありますかっ！？』
デジたんは幼稚園児だか小学生だかの頃に実家で競バの資料が大量にあるのを見つけて、競走バちゃんラブになって今に至ります。
トレセン学園時代に同級生からも「これこれこういう切欠でトレセン学園への進学を決めた」って話があったなあって思い出しましてですねっ。
ウマ娘に限らず誰も彼も、何て言うんですか？「思い返して見ればあれがロックミュージック用語で言う所の『初期衝動』だったなあ」って経験は結構誰にもあるんじゃないかと思いましてっ！
先週から募集フォームを設けておりましたっ！
という訳で始めますよ、「思い出したよ……久しぶりに 最初の気持ちってやつを」！

2
まずはハンドルネーム、デジたん大好きさんから。

「自分が競バにハマったのは、親が見ていたウマ娘専門のエロ番組で、

次っ！
ハンドルネーム、クイーンヘイローさんからっ！

「マルゼンスキーさんが四苦八苦しながらゲームしてる配信を見てウマ娘の配信を見るようになりました」

なるほどですね～♪ゲーム配信が入り口なのはあるあるですよねえ。
スーパープレイ動画とはまた違って、「その失敗あるある」という共感と、「そんなところで足踏みするな」というイライラをいい感じのバランスで供給する必要があります。
マルゼンスキーさんは元々本人がね、超美人ですし。ああいう方がゲームをなさっておられるのってこう、「下界に降りて戯れておられる」って感じがあって尊みがあります。
あたしもミススーパーカーのゲームプレイ動画大好きですよっ！ Bloodborneで死にながら進みつつも最終的にトロコンに至ったのはやっぱ凄いなって思いますっ！

3
次、桐生院典明さんからです。

「某青年向け雑誌に連載されていた漫画を見てカルチャーショックを受けました。
乳首描いていいんだ、こんなに残酷な世界があるんだ、とかショックを受けて、更にとんでもない化け物と血まみれになりながらそいつらに立ち向かう主人公っていう泥臭さにもショックを受けました。」

ベルセルクとセスタスを広める会さんかな？
そーですねー。言い方凄い悪いんですけど、露悪的な作品というか。
少女漫画少年漫画レベルでは描けない世界を見せられると、ショックあるのわかります。
新しい世界を見た気になるんですよね。想像もしたこともない世界に触れるとワァッ！ってショック受ける奴！！
それがぶっ刺さって一生追いかける羽目になったりね。

では最後、りこちゃん結婚してさんから。

「樫本理子さんを見てヒト娘に興味を持つようになりました。」


4
危ない！危なーーーーーーーい！！！
樫本センセを見る前は何に興味を持っていたのかな？樫本センセのどこがそんなにキミに刺さったのかな？
聞きたいけど聞いちゃいけない匂いがプンプンします！

皆さん投稿ありがとうございましたっ！

『自分は本当は何がしたかったのか』

これに向き合うと色んな事が思い出されますよねえ。
『こうしたかった！』という真直ぐな気持ちで今も生きている方もいれば、『今の自分はこうするほかない』という縛りを付けた上で努力された方もおられますっ！

デジたんは半々かなあ。
ウマ娘ちゃん達の近くに行きたい！という真直ぐな動機でトレセン学園に入学したという所もありますし、
入学した後は他のウマ娘ちゃんの恥になってはならない、ウマ娘として一端（いっぱし）に走れなきゃいけない！という縛りを付けていた面もあります。

5
そんなデジたんも引退を迎えまして。ね？結婚もしましてさ。
あの頃は本当に自分がしたかったこと、確かに出来てたはずだってわかるんです。
でも当時の自分はまだまだもっともっとって思いが一杯一杯で、そんな幸せに気づけなかったんですよねえ。
いや幸せは感じてましたっ！
でもなんていうかなあ、許容量を超えてたのかなって気はしますよ。
楽しい！嬉しい！素晴らしい！！という気持ちで満たされて、「今自分は幸せな環境に居る」というより広い視点での振り返りはあんまりしなかった気がします。

今は大学でウマ娘同好会に入りまして。
ウマ娘ちゃんと一緒に走るのではなく、ウマ娘ちゃんを同志と一緒に見る、という幸せを噛み締めております。はい。

同好会のみんなー！見てるー！？あははははっ！

（無言赤スパ）

おっとっと……？あなた今すぐぱかチューブのハンドルネーム変えてくださいね危ないですよネットは危険が危ないんですっ！

6
今日読まなかったお手紙もねぇ、色々こうリビドーや情熱が込められていて読んでいて本当に楽しかったですっ！
またどこかの機会でご紹介できればいいなあと思いますっ！
（カシュ）さてデジたんはこれから晩酌に入ります。
（ぐびぐび）ぷふぃー♪
今日はちょっと用事があって晩酌配信は出来ないのですが、その代わりっ！
この後0時からツインターボちゃんのチャンネルで「自画像描くっ！」という配信がされる予定です。
達筆で知られるツインターボちゃんですが絵筆を取ったらどうなるのか。いやあデジたん楽しみです。
うふふ、多分皆さんびっくりしちゃうと思いますよ、大きな声では言えませんがデジたんもその、色々作業を手伝って貰ったことがあるので。
あたしもアーカイブで見ますっ。

「用事って何だろ？」

セックス。
それじゃバイデジ～❤


--
ナイト・オブ・ファイヤー

1
鏡に映るあたしはいつもより少しだけ濃いめの化粧。
薄暗い中ではこのくらいしないと映えないそうで。
服もいつもの小学生コーデとは違い、動きやすくも大人っぽい物をチョイス。

「では、行って来ます！」

ハンドバッグを肩掛けにして、玄関に向き直り夫に敬礼。
行ってらっしゃい、楽しんでおいで。そういう彼の顔に僅かな躊躇があったのをデジたんは見過ごしません。

「大丈夫ですって！同好会のみんなも一緒ですし！」
「うん、あの子らは頼りになるよね。」
「それに約束したじゃないですかっ！浮気する時は事前に連絡する、って♪」

そういうとこだぞ、と彼の眉根が語っていましたが、ニッコリ笑顔でお返しして家を出ました。

2
「やっほーデジたん！」
「はーい！」

待ち合わせ場所に辿り着くと程なくウマ娘同好会メンバーが揃いました。
時刻は22時、建物の細く長い階段を下りて、大きな扉を開くとそこには光舞うフロア。
ウマ娘ソングオンリーオールナイトクラブイベント、開催ですっ！

----
この楽しいお時間を詳細に語るのはとても難しいことです。
瓶に口を付けてビールを呑むのも初体験。
映像に合わせてウマ娘ソングをそのまま流す事もあれば、脳が揺さぶられるのようなユーロでガバなハードコアミックスもあったり。
ほわほわといい気持ちになりつつ大きな声で口ずさみます。
ヲタ芸も打ちます。ペンライトも振ります。いえーいいえーい！

3
開演から2時間ほど。しっとりとした曲が流れ始めるとあたしは近くの同好会メンバーの肩を叩きます。

「おてあらい。」

ざわめきの中で言葉が伝わるよう、唇の動きを見せるように告げると、彼女も「いってらっしゃい」と唇の動きで返してくれました。
皆さん考える事は一緒のようで女子トイレは混み合っておりました。自分の番が来る頃にはもう、フロアから聞こえる曲が再びハードなものに変わっていました。

事を手早く済ませ、化粧直しは断念。列をすり抜けフロアに向かおうとすると目の前に見知らぬお兄さんが三人。

「ひょっとしてアグネスデジタルちゃん？」
「……は、はい……。」
「マジか、マジだ。」
「えー緊張してきた。」
「あの、あたし今プライベートでして。」
「俺らもプライベート。奇遇だね。」

4
奇遇じゃありませんよ。ひょっとしてこれは……。

「ナ、ナンパと言う奴でしょうか……。」
「え、あ、うん！」
「デジタルちゃんさえよければって話なんだけど。」
「これ終わった後でさ。デジタルちゃんも最後まで楽しみたいでしょ。」
「ひょえ、あ、その、はい……。
ちょっと待ってくださいね！」

----
夫のスマートフォンに着信。
バイブするそれを操作すると電話ではなくSNSの映像通話だった。

「いえーい♪みてるぅ～？あたしこれからこの人たちと浮気しまーす❤」

5
「うん、見えてる。」

その声はデジタルのスマホとフロアから同時に聞こえた。
声の方を向くと、そこには夫が電話片手にデジタルの方へ近づいてくるところであった。

「妻がお世話になっております。」
「あ、はい……。」

三人組の男性はそそくさと退散。

「来ちゃったんだ。」
「来ちゃったよ結局。」
「心配かけて、ごめんなさい。」
「いいさ、僕とキミの仲だ。」

6
そんな夫も酒と音と光と深夜テンションに徐々に呑まれ、最終的にはコールや手拍子さえする始末。

やがて長い夜は終わった。
夫が同好会メンバーに「邪魔してごめんね」と言うと、彼らはお気になさらずとほくほく顔で応えた。

「いい物を見せてもらいましたので。」

夫は首を傾げ、デジタルは苦笑い。朝日の中、始発電車でめいめいの帰路に就く。

そして家に帰った二人は一緒にお風呂に入り、
一緒のベッドで寄り添って眠りましたとさ。めでたしめでたし。

……という内容の薄い本がウマ娘同好会名義で発行されデジタルが絶叫したのはまた別の話。

--
ありのままスプリント

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
ファストフォースちゃん高松宮記念勝利おめでとうございますっ！！
36戦目にして遂に遂にのG1初勝利は雨の中京競バ場。
団野トレーナーの指差すようなガッツポーズもサマになっていました。
前走のシルクロードステークスの借りを返すと言わんばかりに、ナムラクレアちゃんを2着に抜き去っての勝利というのも劇的ですねえ～。じゅるりら♪
ウイニングライブもお美事でございました。
レースで火花を散らしたお二方がライブでは笑顔で視線を交わし合うのです。
残酷な事でもあるんですが、でもでも闘争心バッチバチで競い合った後はステージの上で思いっきりアイドル！って、ストレスの発散にも効果があるんじゃないかなぁ、と引退した今となっては思います。

2
さてそろそろ3月も終わり。新たな旅立ちのシーズンですねえ。
デジたんもこれを機に新しい試みとして、「配信切り忘れ配信」にチャレンジしようと思ったのですよ。
「配信切り忘れ配信」とはっ！
通常のライブ配信後もマイクとカメラをそのままに日常音や部屋の様子をただただお送りする、と言うものです。
気になるあのライバーの生の姿が見たいっ！そんな需要にお応えしますっ！！

……めでたく事務所NGを食らって没となりましたが。

（かしゅ）（ぐびぐび）

「また呑んでる」
「ヤケ酒やめなー」
「これ以上に生々しい姿を見せるつもりだったのか」

3
ぐぇふ。

「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」
「げっぷ助かる」

ウマ娘ちゃんのね？いや、ウマ娘ちゃんに限らずさあ。推しの配信でうっかりこう、マイクの切り忘れとか発生したらちょっと嬉しいじゃないですか？嬉しくない？
或いは自宅のペットが乱入してきたりするのとか。
個人の生配信ってそういう、配信向けの顔とプライベートの顔が混ざり合ったところが魅力だったりするのかなって思うんですよ。
あたしだってかっちりした企画ものではお酒吞みながらなんて絶対できませんけど、でも気心の知れた、というと甘えてるかもしれませんが、リスナーさんの前でちょっとだらしなく振舞うのも、
デジたんはリラックスできるしリスナーさんにも喜んでもらえるし、WIN-WIN感があります。

「LOSE-LOSEかも」

ええっ！？

4
「デジたんお酒呑むのイメージと違って最初ショックだった」
「俺はロリコンじゃなかったのにデジたんが悪いんだよ」
「酒呑むロリとか脳味噌おかしくなりそうだった」
「気軽に夫婦生活の話をするし」

あはははは。デジ民だって悪いんですよっ！ぴょいした？とか訊くんだものっ！
こちとらまだまだ新婚なんですから、仲いいところをアピールしたいじゃないですかっ。だから「してません」なんて嘘つけないでしょう。

「ノーコメントでよかったのでは？」
「こっちが訊く前からぴょいの話してただろ」

あはははははははっ！そうだったかなぁ？そうだったかも！
そりゃあデジたんが甘えてたんですねえ。

5
言い訳をさせてもらいますとっ！
ご存じの通りデジたんは昔っからウマ娘オタクでありました。それこそ現役時代は正に自分が競走バとして同じ舞台で戦って来た訳です。
その頃はリラックスとか考えたこともありませんでした。体力と気力が続く限り、トレーニングや推し活に費やして、夜は電池が切れた様におねんねですよ。
幼児。もう全く幼児の有様でした。
でもこうして引退して身を固めてからはですね。リラックスするのもいいなあと思うようになったのです。
それこそ今回のオープニングで、競バ観戦の感動をワッと吐き出してですね。
その後は一息ついて晩酌でほわほわして。
こうしてリスナーの皆さんと取り留めもない会話をして。
あ～ファンの人たちとこんな風にカジュアルに話が出来るの幸せだなぁ～♪
って思ったりするんですよ。

引退した後でもこんな風にファンの皆様が居てくれて、デジたん本当に幸せです。

6
とは言え事務所に所属してライバーやらせてもらってる以上は皆さんにも事務所にも還元しなければいけません。
デジたんがリラックスできるってだけじゃなく、エンターテインメントバリバリの企画もやりたいよね、という話も事務所としてる最中です。
いついつに誰と何をするみたいなことはまだ全然言えないんですけど、メリハリのメリ？ハリ？の部分もちゃんとやっていきたいなあと思っています。（ぐびぐび）
決まったらSNSでお伝えいたしますんでよろしくお願いしまーす♪
さてそろそろお時間ですね。この後は1時間後にダーレーアラビアン様のチャンネルでゴドルフィンバルブ様を迎えての「ダーレードチラサン？うろ覚え似顔絵対決」が配信されます。
神とも神と聞こえ来る二柱の始祖ウマ娘様は、果たして現代に通じる絵心をお持ちなのかっ！？是非ご覧になってお確かめくださいませ～♪
それではバイデジっ！

……あー汗かいちゃってますね、お酒呑むと熱くなってだめだな。（衣擦れの音）面倒だけどまたシャワー浴びるかなー……下着替えるだけでいっかぁ……

「マイク入ってる入ってる」「脱いじゃだめだって！」「いやもっと脱げ」

……あっ！？


--
笑う赤鬼

1
来年の事を言うと鬼が笑うとは申しますが、あたしもそろそろ就職先を考える年次になりまして。
周りのみんなが就職活動に精を出している中、トレーナー資格の勉強に勤しむのはやはり少し焦る気持ちにもなってしまったりします。
ぶっちゃけ例え無職のまま卒業したとしても、現役時代の賞金で問題なく生活は出来るのですが。
それでも次のステージへ進もうとする同志達を見ていると、デジたんはそうした活動から背を向けてもいいのか、という気持ちにもなります。
ウマ娘関連のお仕事をしながらトレーナー資格取得を目指すか、それとも大学院まで進学するか。
どっちに決めても、夫は肯定してくれるでしょう。
同志も応援してくれるでしょう。

つまり、これからの将来の選択は、シガラミやらギムカンやらカンケーなくっ！純粋にあたし自身が決めるべき事なのですっ！！

2
トレーナーになる。
それは光り輝くウマ娘ちゃん達と出来る限り近くに居続ける為のあたしの夢。
それを揺るがす気はありません。
けどそこに向かう道は幾つもあります。
そして困ったことに、人生の道はどっちが近道だかわからない事もあるのです。
純粋に考えれば生活の全てをトレーナー資格試験に突っ込んだ方が合格率は上がると思います。
けれどそうしたガリ勉生活にデジたんが絶えられるかは未知数ですし、他の人と交流した方が気晴らしになったり試験のコツを得るヒントになったりするかもしれません。
ガリ勉するにしても家に引きこもるのかサークル室の妖怪になるのかという選択肢がありますし、
他の人と交流するならそれこそ院に進学するか就職するか、就職するならどこにするか。
そして何より、そうして選んだ道を順調に歩むことが出来るのか。

考える事は山積みです。

3
ストレス発散のため運動公園へ。
ウマ娘であるデジたんは、ひとっ風呂ならぬひとっ走りで気持ちがすっきりすることがあります。
先日の雨でぬかるんだターフにスニーカーをぐっぐっと踏み込ませ、脳内にゲートを描きます。鉄柵がガシャンと音を立ててオープン。走り出すアグネスデジタル。
足底を掬うような泥濘を、ダートを走った頃を思い出しながら芯まで踏みしめ走ります。もっと速くもっと前へ。けれど無理はせず足を矯めて。
直線になったらエンジン全開、滑る靴底を脚力で大地に押し付け、前へ前へ。フルスピードでゴーーーール！！！！！
スピードを緩めながら、心地よい疲れと汗の冷たさを味わいます。
走るって、やっぱりいいなあ……。

「サイン、もらってもいいですか？」

ああ、ファンってやっぱりいいなあ……。

4
「トレセン学園に就職したい」
「おっと？」

すっきりした頭で考えた結果を告げると、夫は面白そうな、困ったような、何とも言えない反応を返しました。

「そんなに変な事言ってるかな？」
「いや、変ではないけど。学校で働きたい、って教師以外ではなかなかない発想だよね。」
「用務員さんとか。」
「トレセン学園の用務員はそれこそ狭き門では？」
「門の狭さは夢を諦める理由にはなりませんっ！」
「夢。」

うむ。夢です。青春真っ盛りのウマ娘ちゃんを見ながら働くことが出来る。現役ウマ娘の走りをこの目で見ることが出来る。トレーナー資格を取るまでの働き口として、これほどのものがあろうか！

5
「なあ、そうだろ松っ！」
「どうかなあ、君の選択なら反対はしないけども。」

あらら何やら言いたげ？

「トレセン学園でどういう職務に就いて働きたいのかって真剣に考えた？」
「うーん、働きたいというか、どうせ働くならトレセン学園って考えでした！」
「まあそれもありか。」

夫はうんうんと頷いて、何だか勝手に納得しています。

6
「それもありって……。何やら腹案がありそうな言い方ですが？」
「いや腹案ってほどのものはないけど。
早く二人でトレーナーやりたいなーって。」
「ええ？二人で？」
「ちょっと夢だったんだよね、僕とキミでさ、GI六勝の実績のあるトレーナーコンビって。」
「アナタって時々子供みたいですねっ！」
「君はいつだって若いままじゃないか。」

あははははっ！
はははは。

二人して笑ったあとトレセン学園に電話を掛けると来年度の新卒を採る予定はないと言われましたとさ。

--
春爛漫

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
リバティアイランドちゃん桜花賞勝利おめでとうございますっ！パチパチパチパチパチッ！
いやぁ～～～、凄まじい差し足でしたっ！
日本中のトップウマ娘が集まるG1で、ほぼ最後尾から全員撫で斬りに抜き去るのは尋常じゃないっ！！
新馬戦、アルテミスステークス、阪神ジュヴェナイルフィリーズ、そして今回の桜花賞で4戦3勝。しかもどれも芝1600メートルのレース。
自分の強みを早いうちに見出し、その舞台で存分に戦うっ！そして勝利するっ！！ ああ、何と美しいのでしょうっ！？デジたんも一緒に走りたいっ！！！

……と言いたいところですが、最早デジたんでは相手にもならないでしょうねえ……。現役時代の全盛期でもちょっと自信ないかな……。

そもそも4戦の成績が1着2着1着1着って時点でもう凄すぎなんですよ。
どんなレースであれ、同じ距離同じ競バ場同じ条件で「これなら勝てる」と確信しているウマ娘ちゃん達が同時に出走している訳です。その筈なんです。
何でそれで1着2着1着1着なんて戦績を残せるのかっ！？

2
これだからウマ娘ちゃんのファンはやめられませんっ！！！
どんなにフェアな条件を用意しても、其処に怪物は生まれるのですっ。まるでウマ娘という存在には枷なんて掛けられないとあざ笑うかのように……。
きっちりルールに従って決められた枠の中で戦った上で、その枠をぶち壊すようなレースをして見せるウマ娘ちゃんの存在は、やっぱり華がありますねえ～。

えほっ、えほん。ちょっと興奮しすぎちゃいました。
（ごくごく）
っぷふぅ。

強いウマ娘ちゃんはね、時代を切り開くウマ娘ちゃんなんですよ。それに挑むウマ娘ちゃん達は時代を築くウマ娘ちゃん達。
どっちがスゴいとかは本当は無いんですよって言い訳しておきますっ！
リバティアイランドちゃんとそのライバル達の活躍を祈っておりますっ！

3
デジたんね、このレース大学のウマ娘同好会のサークル室で見てたんですよ。
サークル仲間でちょっと当日に現地に行くのが辛いというメンバーが居まして。じゃあ一緒に映像で見ましょうと。
現地で見るのも勿論いいけど、映像だとカメラがアップにしてくれますし、仲間内だけでわちゃわちゃ騒ぐのも楽しい筈だってことで。
結果っ！楽しかったですっ！！

いやー、水入らずっていうんですかね、違いますかね？
気心の知れた仲間同士でワイワイ騒ぐのやっぱり楽しいなあ、いいなあって思いましたっ！
ウイニングライブもカメラ越しにドアップで見られましたしねっ！

何て言うか、こういうのいいよなあ、また味わいたいなあって思いましたっ！

4
さて明日は皐月賞ですねっ！
中山競バ場第11レース芝2000m！
予想はぁ……立場上控えてくれとマネちゃんに言われてまして秘密ですがっ！
素晴らしいレースになって欲しいと思いますっ！

本日は短めですがこの辺で失礼したいと思いますっ！中山に行く準備しないといけないんでっ！！

この後23時からはアグネスタキオンさんのチャンネルで「ナリブスカイオペラと語る皐月賞の過去と未来」が配信されますっ！
いーなーデジタンも参加したいなーいーなー！！あ、ごめんなさいDiscordで呼び出しが……えっ！？

……えへっえへへっ、23時から「ナリブスカイオペラと語る皐月賞の過去と未来」、急ですがデジたんも参加予定ですっ、急に呼ばれましたっ！急や。
うひひひっ、もしかして予想も語っちゃっていいのかなあ……？ちょっとこれから接続のテストをしないといけないのでっ！おいとまですっ！！
またすぐにお会いしましょう、それでは、バイデジ～♪

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黄金

1
「おしっこ。」
「無理。」

無理なのはわかっています。
フロントガラスの先から地平線まで続く渋滞はのろのろと進んでは止まりを繰り返しています。ナメクジに乗った方がまだ早く進めそう。
それでもこの下腹部から疼いてくる本能は、とてもお行儀よく並んではいられないと訴えて来ます。

「持ちません。」
「……。」

ルームミラーに、苦渋に歪む夫の顔が映っています。その顔をしたいのはあたしの方です。
助手席のあたしに夫が空のペットボトルを差し出します。

「無理。」

2
無論このアグネスデジタルにも不備はございます。
ゴールデンウィークの車の渋滞を想定できていませんでした。携帯トイレの必要性を考えもしなかったのもあたしの落ち度。
でもそれは夫の落ち度でもある訳です。
なにより今切羽詰まっているのはあたしであってあたし自身の迂闊さを反省したところでどうにもならんのです。夫君よ何とかしてくださいっ！縋った結果がペットボトルとか絶望しかないじゃないですかっ！！

「他に空の容器が……。」
「……。」

容器意外に選択肢は無いんですか。
いや、例えそれが携帯トイレだったとしても実質的な扱い方は変わりませんけども、それでも飲み物の容器にするのはかなり抵抗があります。ダメさが凄い。

あたしと夫の目線が同じものを捉えました。
蓋つきのコーヒー用紙カップ。

3
立ち寄った喫茶店で買ったコーヒーは蓋に特徴的なごく小さな飲み口がついています。
蓋を外せば検尿よろしく十分にあれを受け止められるし、蓋を閉めれば匂いも最小限になります。
なりますが。

「……。」
「……。」

受け取ったあたしは、受け取ってしまったあたしは。決断をしなければなりません。
今これ以上のものはありません。しかしこれは底辺以外の何物でもありません。

「我慢します。」
「わかった。」

時間が解決してくれることに賭けました。

4
最悪の選択肢は最後の選択肢にしておけばいい。どうしても我慢できないのなら本能が勝手に理性を取り払って恥を掻き捨ててくれるでしょう。
それまでは自身の忍耐を信じます。渋滞はもしかしたらもうすぐ解けるのかもしれませんし。

『―――－からの渋滞は10km……』

カーラジオを切りました。
来たる禍いに尻尾が痙攣しています。

「ごめん。」

夫の詫びも空しい。

ああ、そうだ。思い出した。
時間はどんな事も必ず解決してくれますが、それはいつでも時間切れという形であることを。
漏らすか、ボトラーになるか。時間はあたしに恥辱の形を迫っているのです。

5
むっ、いけませんっ！！漏らす or ボトルを思い浮かべた瞬間尿道が油断しましたっ！
とっさに締め直しましたが間に合ったかどうかを確認する気にはなれません。

「……。」

バックミラーにはレース前にも見せた事の無いような渋い顔をしたあたし。
30分は耐えられる目算ですが、それ以降はもう……。

決意を固めカップの蓋を取りスカートをにじにじとずり下ろします。と、車が前進し始めました。

「渋滞情報も当てにはならないな。」

車の列は少しずつ加速し、高速道路という名目を取り戻していきます。それから間もなくサービスエリアへと車は到着しました。

6
「済まない。」
「いや、あたしも準備を怠っていました。」

車に戻って来たあたしに頭を下げる夫。お互いに出す物出しまして、車に乗り込みます。

「……見たかったけどね。」
「何をですか？」
「……。」
「……。」
「その、」
「黙らないとあたしここから走って帰ります。」

そういう事は家でやりましょう、家で。

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星降らない夜

1.
「さ～さ～の～は～さ～らさら～♪の～き～ば～に～ゆ～れ～る～♪」

楽し気に歌うアグネスデジタルが、ベランダに飾られた笹に短冊を結び付けている。

「ご機嫌だね。」
「えへへ、子供の頃に戻ったみたいでっ！」

夫の声に笑顔を返すデジタル。小さな体躯と屈託のない笑顔は本当に子供のようだ。

「ちょっとやり過ぎかなあとは思ったけど、喜んでもらえて何よりだよ。」
「来年もやりましょうねっ！」

二人っきりの七夕にわざわざ笹を用意するのは大袈裟ではと躊躇っていたが、思い切ってよかったと夫は息を吐く。

2.
「何を願ったの？」
「世界人類とウマ娘が平和でありますように！」
「なんて眩しいんだ。」
「アナタは？何て書いたんですっ？」

差し出した短冊には『これからも幸せに過ごせますように』。

「っきゃ～～！織姫と彦星相手に惚気るなんていい度胸ですねぇ！！」

願いの裏の意味は、『今が最高に幸せ』。

「でもでも、もっとこう、『担当してるウマ娘ちゃんが活躍しますように』とかあったんじゃないですかあ？」
「それを言うならキミだって『トレーナー試験に受かりますように』って願ってもよかったじゃないか。」

3.
「それは～…個人的な望みですしぃ。それに願掛けのお陰で受かるだけでは意味がありません。トレーナーになれるだけのちゃんとした実力が無いと。」
「僕もだ。自分の仕事は自分の実力でこなしたい。」
「志の高い夫を持って幸せですっ！しかしですね、担当してるウマ娘ちゃんが活躍できるかどうかってその…嫌な言い方ですけど、トレーナーだけの責任に収まらないじゃないですか。」

デジタルの言わんとしていることを察して、夫の顔が引き締まる。

「本人の性格とか体質とかご家族とかご友人とか！天変地異も起こったりっ！トレーナーじゃどうにも出来ない事って幾らでもあるでしょ？だからウマ娘ちゃんの活躍を願うのって別に他力本願とかそーゆ―ことは無いと思うんですっ！」
「そうだね。じゃあこのお願いは取り消そうか。」
「あぁあぁいやいや、幸せでありたいという願いも大事です大事ですよはいぃ。すみません。」

短冊を外そうと伸ばした夫の腕を、慌ててデジタルが掴まえる。雨上がりの熱気に当てられた手はじっとりと汗ばんで、夫の腕を濡らした。

「そろそろ中に入ろうか。」
「そうですね、汗かいちゃいましたっ！いい匂いしちゃいますっ！」

4.
「はぁ～涼しぃ～♪」

ガラス戸を抜けてクーラーの効いた部屋に戻るとデジタルが気の抜けた声を出す。

「シャワー浴びてきなよ、後で僕も浴びるから。」
「一緒に浴びましょうよ。」
「え？」
「幸せに過ごしたいんでしょ？幸せにしてあげちゃいますよ♪」
「フケたの？」
「そーゆー直截的な言い方風情が無くてヤですっ！」

そう言いつつ夫の手を取りずんずんと浴室に引きずるアグネスデジタル。今宵の空は曇り。例年七夕の時期は晴れにくいものだが、今日ばかりは織姫と彦星の目が届かないことに二人とも感謝したとかしないとか。

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いつだって灼熱の季節

1.
「よしっ終わりっ！！」

描きあげたモノクロの4ページには今を時めくウマ娘たち……を小学生化した姿。
終業式の後、それぞれに荷物を抱えて帰路を行く姿だ。
荷物の数や種類、表情、ランドセルの形状などに個性を持たせ、好き放題に妄想をぶつけたデジタル原稿を怠りなく保存。そして流れるような手つきでデータ入稿を完了すると、アグネスデジタルはぐいーっと伸びをした。
テーブルの上の冷えた緑茶を一口すすって息を吐く。

今入稿したのは100円で頒布予定のペーパーだ。予定分の新刊を描きあげた直後は創作熱が冷めやらないので、ここ数年はペーパーに熱情を叩きつける手法を取っている。
それ以前は強引に新刊もう一冊でっちあげるという手法を取っていたが、残り火を鎮めるという目的に対して色々な意味での消耗が大きすぎると遂に気づいたのであった。

2.
ウマ娘小学生化、というアイディアを思いついたのは、今日丁度終業式を終えた小学生の帰宅姿を見かけたからだ。
ああ、自分もああいう時期ありましたっけねえというノスタルジーと、個人ごとに異なるバラエティ豊かな荷物模様に着想を得た。そしてそのアイディアは「ペーパーだから許してもらえるでしょう」という甘えもあり、大いにデジタルの筆を走らせた。

部屋を出たデジタルは足元に盆が置かれていることに気づいた。
載っているのは甘納豆と、冷えた緑茶のお代わりだ。

「ノックにも気づかなかったとは……。」

クーラーの効いた部屋で尚も汗を描くほど興奮していた、と言う自覚はありますが。

「あ～……集中できてたってことでっ！」

とは言え夫に何の礼も無しというのも無い話。盆を持ち上げその足で夫の部屋へと歩き出す。

3.
ノックをすると「どうぞ」のお招き。ドアノブを捻り夫の部屋へと入る。

「おや、要らなかったか。」

椅子をくるりと回し妻に向き直った夫は少し意外そうな顔で応じた。

「あはは、集中しすぎてしまったようでぇ～。お恥ずかしい。」
「わかったよ、じゃあ一緒に食べようか。」
「はいっ！」

そう言うとデジタルは甘納豆と緑茶を夫のデスクの上に載せ、自分は夫の膝の上に乗った。

4.
――――あれ？あたしそもそもシャワーを浴びるつもりだったのでは？
部屋を出た理由を思い出したデジタルだがもう遅い。その豊かな栗色の髪には夫が鼻を埋めている。

「いい匂いがする。」
「ひゃいっ！？」

からかいなのか本気なのか区別がつかない。何しろこの夫は自分のようなウマ娘オタクと結婚するような変態なのだ。
モニタに映っているのも彼がサブトレーナーとしてリモートワークで分析をしているウマ娘達の映像。言わばデジタルとは別の方向性のウママニア。

「な、なにを言ってるんですかこの変態っ！」
「懐かしいなあ君の異名だったっけ、変態。」
「アナタの組んだローテのせいでしょっ！」

首をブンブンと振って夫の顔を振りほどくと、デジタルは彼の口に甘納豆を捩じり込む。

5.
「お礼を言いに来たつもりだったんですよっ！まさかハラスメントを受けるとは思いませんでしたっ！」

頬を膨らませてむくれるデジタルも可愛いなあ。
「頬を膨らませてむくれるデジタルも可愛いなあ。」
「あたしシャワー浴びて寝ます。」
「待った待った悪かった。」

膝から降りたデジタルの顔を掴み、夫も甘納豆を口に押し付ける。

「んむむ……。これ、高い奴ですね？」
「甘納豆なんてなかなか買わないからね。どうせなら一番いい奴がいいかなって。」
「本当にもう……。」

夫の膝に乗り直すデジタル。うなじを嗅ごうとする夫の顔を手で拒否した。


6.
デジタルを膝に乗せた夫の作業は続く。映像を見直し、気になる部分を探し、長所を伸ばすアドバイス、短所を埋める解析結果、全体の成長傾向の所感を文章にまとめていく。
デジタルはモニタの黒い部分に時折映る夫の真剣な顔を見つめている。
こういう時の顔、かっこいいなあ
「こういう時の顔、かっこいいなあ」
「え、何だって？」
「おっとっと声に出てしまいました。」
「僕と同じだね。」
「そうですねえ。好きなシャツやコーヒーの味、ささやかなことがいつの間にか同じになってふたりは一つになるって感じです。」
「やめてよ仕事にならなくなる。」
「明日にしません？」
「そういう訳には……。」

夫が下を向くと、見上げるデジタルと目が合った。妻が何を考えているか手に取るようにわかった。
ああ、確かに僕と君は一つになりつつある。だってそうなりたい僕と君なのだもの。
その熱を孕んだ瞳に抗えるほど、夫はドライなトレーナーではなかった。


[余談]デジたんの髪色は栗色じゃないっすね。何色だこれ。


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そして物語は終わる

1.
「……。」

萌えよりもストーリーよりの同人誌を描くようになって分かったことがある。
『物語は、悲しくなければならない。』
悲しいという表現で不足なら、取り返しがつかない、腑に落ちない、幸福でない、そうした要素を持たないといけない。
何故か。
「もっとどうにかなったはずなのに」という読後感こそが、読者にその物語を深く反芻させるからだ。
どうすればよかったのか、どうなればもっと幸せになれたのか、自分ならどうするか、現実に当てはめたらどうなるか。
胸に残った不快感を解決するため、読者自身が物語を何度も咀嚼し何通りにも解釈しバラバラに解体し味わい尽くそうとするからだ。

「……。」

アグネスデジタルが今書いているプロットも、ウマ娘達が葛藤し、擦れ違い、その果てにそれぞれに答えを出すと言うものだ。
すっきりとは飲み干せない、読み手にある種の努力を強いる物語。

2.
幸福な物語を清涼飲料水以上の仕上がりにするのはとてもとても難しい。
良薬口に苦し、の言葉の通り、「苦味の無い良薬」は本当に稀だ。
かと言って苦味そのものを目的とするのは本末転倒。登場人物を不幸にすること自体はデジタルの趣味ではないし、物語を通して教訓を与えようとする『薬臭さ』も本意ではない。

ただウマ娘ちゃんに萌えるだけの話を何故描かないのか。
デジタルは時折自問する。
そうした『ポルノ』だって需要があるし、何よりデジタル自身萌えや幸福に塗れた作品こそが好きだったから。
解釈違い上等、都合のいい設定上等。
「自分はこのウマ娘ちゃんが好きだ！」「このウマ娘ちゃんのこういう所が好きだ！」愛を只管出力する事だって立派な創作であり、『ポルノ』でしか得られない快楽だって存在する。

だが、引退して結婚して一人とのただのウマ娘に戻った時。最早デジタルには、葛藤の無いウマ娘達の物語を描くことが極めて困難になっていた。

3.
競走バには必ず優劣がある。
勝敗の裏に努力と苦悩があり、そして殆ど全ての努力と苦悩は花を咲かせず実を結ばない。
その世界に一度でも身を置いてしまったから。
そして、デジタルが憧れ萌えるウマ娘達の姿はそんな地獄のような狂気の世界にこそ支えられていると知ってしまったから。
花も実もつけない苦痛と苦難もまた、ウマ娘の美しさだと理解してしまったから。

「……。」

誰も不幸になって欲しくない。ウマ娘ちゃんはいつも笑顔で居て欲しい。勝負が終わればノーサイド。笑顔でステージを歌い踊り、次の対決まで喜んで鍛錬を続ける、そんな存在であって欲しい。
だがそれは嘘だ。嘘は嗜好品にはなっても物語にはならない。元競走バとして事情を知る自分が本を出す以上、恥ずかしくない物語にしなければならない。
そうすると……デジタル自身も決して望まない、『誰かが不幸になってしまう』話を描かざるを得なくなる。

4.
不幸のバリエーションも様々だ。
冒頭の時点で既にその不幸は過去で、丹念にその過去を追ってエンディングに辿り着いてもそれは過去だからもう取り返せない。
順風満帆で希望を持ったスタートなのにどうしても倒せない強敵が立ちはだかり、しかもその強敵には更に強い難敵に苦戦している。
誰も間違っていないし信念のままに行動しているのに、だからこそ衝突を避けられない。
逆に衝突を避けたいが故に自分の信念を曲げざるを得ない。
不可避の災害や身内の不幸がその先の人生を大きく狂わす。
逆に降って湧いた望外の幸福が友人や家族との仲を乱す。

こうした事を考えるたびに、自分は本当にこれが描きたかったのか？と思ってしまう。

このアグネスデジタルは、全てのウマ娘ちゃんの幸福を今でも願っている。けれど物語として成立させるには『悲しみ』がどうしても外せない。

5.
「ごふっ！」

最後のページのペン入れを終えたデジタルが咳き込んだ。これから後書きに入る。ああ、今回もまた長い長い言い訳をしてしまうのでしょう。幸せであって欲しかった、悲しませたくなかった、けれどこの切なさ、やるせなさ、腑に落ちなさもまた、描かざるを得ないものだったのだと。
500ml缶のチューハイの蓋を開け、若さに任せて喉に流し込む。こうでもしないとやってられない。悲しみに耽溺し過ぎるとキャラクターを悲しませる事自体が趣味になってしまう。そうした作家を何度も見て来た。
悲しくなんかしたくなかったよー！幸せになって欲しいよー！！と後書きにぎっちぎちに書き込む。自身の心を濯ぐために。ウマ娘ちゃん達の笑顔を無邪気に信じて居た幼い自分を忘れないために。

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「んふー。」

すっかり酔っぱらっても手は作業を覚えている。顔の火照りを自覚したままデータ入稿を完了すると、デジタルは自室を出た。
明日は気晴らしにペーパーを掻くつもりだ。初心に戻ってただただウマ娘ちゃん可愛いカッコいい素晴らしいを叩きつけるだけのものを。

今日は疲れた。

6.
寝室に向かい扉を乱暴に開ける。

「愛妻のお通りだぁ！！！」

驚いて身を起こす夫に向かい、酒臭い体で抱き着く。

「暑いなあ、もっと冷たくなって？」
「無茶言うなよ。」

胸に顔を埋めたデジタルがそのまま寝息を立てるまで、夫はただ彼女の背を撫で続けていた。

「お疲れ様。」

成人してすぐに酒を覚えた妻の身と、酒無しには居られないほど執筆作業に消耗するようになった妻の心を労い、彼はデジタルを隣のベッドへそっと横たえた。


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too hot.

1.
「うおおおおお暑すぎいいいぃぃぃぃぃ！！！！」
「デジタルが壊れた。」

クーラーの効いた部屋で過ごしては買い物やら大学やらに出歩くたびに汗だくになってぐったりするのは流石に体に悪いのではないか。
どうせ汗をかくなら日の光の下で適度に運動して健康的な汗のかき方をしてみよう。自律神経ちゃんにもいい刺激があるかもしれない。

そんな訳で運動公園のウマ娘用レーンを突っ走ったアグネスデジタルである。
もつれる脚で木陰の夫の元に倒れ込んだ。

「あうあうあう」
「はいはい。」

差し出された水筒から水をぐびぐびと飲む。

2.
「ふいぃ、生き返りました。」
「正直僕もかなりきつかった。」

夫も夫でジョギングをしていたが、身の危険を感じるレベルの火照りを感じて一足先にレーン近くの木陰に逃げ込んだのである。

「正直、トレーナー業をやっていることが少し恥ずかしくなった。この体たらくでウマ娘に健康管理だ何だと説いていたなんて。」
「もうしょうがないですよこれは。別に担当ウマ娘ちゃんに間違った事や無理な事をを指導している訳ではないんでしょう？」

それはそうなんだけど。汗だくの顔をタオルで拭って息を吐く。

「頭で分かっていることとそれを体感することは全然別だなって思い知ったよ。」
「あたしもです。ブランクあるとは言えもう少し頑張れると思ったんだけどな。」

3.
十分に水分補給をした後は、自家用車で帰宅。
リビングのエアコンのスイッチを入れ、二人そろって衣服を選択籠に放り込み、二人そろって浴室に駆け込む。限りなく水に近いぬるま湯のシャワーで汗を流した後はクーラーの効いたリビングに転がり込む。

「痒い所はございませんか？」
「ございませ～ん♪」

デジタルの長く細い髪を手で梳きながら、夫がドライヤーで丹念に乾かす。
熱し過ぎて傷めないように気を付けつつも、若く美しい髪の感触を楽しむ。

「どうでしたか、久々の運動の感想は。」
「暑すぎ。」
「そうですか。」
「でも気持ちよかったです！」

4.
「そう言って貰えたなら。」
「あなたは？」
「僕もなんだかんだでスッキリしたよ。やっぱり多少冷房病気味だったみたいだね。」
「無理矢理負荷かけてリセットした、って感じでしょうか。」
「体には良くなさそうだなあその言い方だと。」

ドライヤーを止めてリボンを手渡すと、デジタルは自分の髪を梳り始めた。夫は抜け毛をさりげなく拾い集め、ごみ箱に捨てる。

「正直、暫くは嫌かなあ、ぐらいには暑かったです。」
「どうしたらいいんだろうねえ、夏こそ運動しなきゃいけないんだけど。」

人体の基礎代謝は冬より夏の方が低い。その為運動の重要性は夏の方が高い。しかしながら外に出たくないぐらい暑いのは如何ともしがたい。
消耗激しい猛暑を避けたがるのもまた、人体の正常な機能の一つだ。

5.
「来週はプール行きましょうか。」
「いいアイディアなんだけどキミ絶対目立つからなあ。」

運動公園で走るのも大概だが、水着姿の元競走バとなれば注目度は更に跳ね上がる。

「気にしなければいいんですよお、引退してもう長いんですし。現役の子達だってプライべートでプールぐらい行きますよ？」
「ん、その通りなんだけど。」
「夏なんですし、一回ぐらいは水着着たいです！」
「そっかあ。」
「そっかあとは何ですそっかあとは。あなたカナヅチでしたっけ？」
「そうじゃないけども。」
「じゃあ何が気に食わないんです、さっき言ったようにあたしが目立ったところで高が知れてますって。」
「いや、別に気に食わない訳じゃないよ、心配しすぎただけ。」
「何を？」

6.
「その……男の目線を。」

デジタルは一瞬ぽかんとした後、大笑した。

「思春期かよっ！あなたそんな嫉妬深かったんですねえ、初めて知りましたっ！！」
「いや、僕はさっき水着姿を想像して興奮したから。他の男もきっと興奮するだろうなあと思ってつい及び腰になってしまった。」
「嫉妬より面倒な拗らせ方っ！」
「冷静に考えればキミの言う通り、僕の気にし過ぎだと思う。キミの水着姿に僕ほど興奮する人は稀だろうし、来週はプールに行こうか。」
「その言い方はあたしの方が釈然としませんが？！」

その後、二人してソファで仮眠。その後近くの公営プールをネットで調べ、押し入れの奥からデジタルは水着を取り出した。体にあてがって夫に見せる。

「……来週ですからね？」

意味深なその言葉に夫は不覚にも生唾を飲んでしまうのだった。


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はつらつなライフハック

1.
というわけであつすぎの歌を聴いてもらいました。
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！

この度っ！ワタクシッ！晴れて冷房病になりましたー！！！わー！パチパチパチパチーー！！

「晴れてとは」
「パチパチパチパチじゃないんだよ」
「頭ゆだってるのかな？」

まあ聞いてくださいよ皆さん。大学生であるあたしは平日朝から登校する訳です。校舎に着いた頃には汗だくで、クーラーの効いた講義室に入っても暫く汗がひきません。
夏ってそんなもんだろと思っていましたが、外に出てからお昼ごろまでずっとだるい、という日が続いていて。
これはどうやら温度変化で体がやられてんな、と最近やっと気づいたのです。

2.
「今年めちゃくちゃ暑いもんね」
「冒頭の歌はそういう事か」

そうそう。お医者に掛かりまして「自律神経が傷んでいる」と。
で、言われたのが
・冷たい物を取り過ぎるな
・適度に運動と入浴をしろ
・ストレスをこまめに解消しろ
という3点。
並行して熱中症対策も必須だけどそうしたバランスについて口頭で全部は説明しきれないので、という事で夏バテ対策冷房病対策のための冊子を頂きました。

お医者さんに相談したという事実自体がこう、やんわりと安心感があったりして。今はまあまあ大丈夫です。

3.
皆さんもヤベーと思ったら内科にかかりましょう。仮に何もなかったとしても、大したことがないとわかるだけでも意味はありますよっ！

「わかる」
「安心大事だよね」
「大したことないのにお世話になるのってお医者さんに悪いなとか思っちゃう」

取り越し苦労かどうかはお医者さんにしかわかりませんしねー。あたしもこんなの一時的な疲れだろうと一か月くらいほったらかしでしたし、言い換えればその一か月ずっと病状が悪化し続けてたって事でもあるので。
夫にも心配されちゃいました。

さて夏と言えばコミケですね。デジたんも個人で参加しますよっ！

「カタログ買った」
「新刊楽しみ」

4.
「進捗どうですか？」

無事入稿終わってますよー。試し刷りもしてしっかりミスを直して再入稿してますんでご安心を。
興味のある方はお手に取ってください！お店への委託も予定はしてるので、現地に来られない方もサイトのサンプルをご覧の上、ご検討くださいね♪宣伝でした。

「よかった」
「デジたん極道入稿常連組かと思った」

デジたんを何だと思ってるんですかっ。ダメなオタクっぽいイメージがあるのは知ってますけどっ！
……経験上、自分は。自分はですよ？かなり余裕を持って描かないといい物が作れないと痛感してまして。情熱と勢いでゴリゴリゴリっ！描くので、手直しが多いんですよね。
最初はそれでも最悪印刷できさえすればいいやと思ってたんですが。締め切りに追われて無理して描き上げた挙句刷り上がりを見て後悔するのもうやだあっ！！ってなって。
今は夫に進捗管理をお願いしています。

「いいのかそれは」
「まあトレーナーならそう言うの得意かもしれんけど」

5.
だってねぇ、好きで描くものですから。
商売ならさ？関わる人すべてにとってお金にならなきゃいけない、その役に立たなきゃいけない、ってのが一番の目的になりますから。
苦しさや後悔と引き換えにしてでも締め切りに間に合わせるって事に意味があるというか、大前提と言うか。

でも自分の意思で好き勝手に描くものなのに締め切りに追われた挙句クオリティがダメダメ、というのは誰も幸せになれない、何よりまずデジたんが幸せになれないぞっ！と。

「夫の進捗管理は厳しくないの？」

夫はただの趣味って事を前提に管理してくれてるんで。「進捗予定を破ってもいいよ、その責任は全部キミが被るけど」ってスタンス。

「コワ～……」
「早くしろって尻叩かれるより怖いわ」

ねー。こっちはお願いしてる立場ですから、いよいよ裏切れませんよこんなの。

6.
そんな訳で繰り返しになりますが無事夏コミ参加できそうですんで。
現地来られる方は暑さ対策きっちりお願いしますねっ！もうめちゃくちゃ暑いのは確定なので、携帯できる冷房器具は全部持ってくるぐらいの勢いでお願いします。
やり過ぎると周りに迷惑かもって思うかもしれませんが、熱中症でダウンするよりずーっとマシなんで。倒れると迷惑で済むレベルじゃなくなりますからね？
デジたんも気を付けます。

「大丈夫？7月時点で自律神経やられてるのに」
「デジたん本当気を付けてね」

ありがとうございます。本当に気を付けます。
脇の下に保持する保冷剤とかもあるそうなんで、調べてみてください。あっこれは太ももとかにも付けられるんだ？へー！？

「デジわき…」「デジもも…」「デジ汗…」「デジ汁…」

はいはい。それではこのあと23時からはトーセンジョーダンさんの「夏こそホラーっしょ！ 『Kanpeki』デモ版プレイしてみるっ！」配信予定です。お楽しみにっ！
それではバイデジ～♪

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暑さは辛いほど暑さを避ける行為は気持ちい

1.
「どっひゃーい！」

ウォータースライダーの出口から飛び出してひっくり返るように着水するアグネスデジタル。
ウマ娘同好会の面々は思い思いに防水カメラのレンズを向けていた。

「みんなも一緒に滑ればいいのにー！」
「みんなで並んだら迷惑だろ。」

同好会副会長の男性が嗜めるが、単に自分の水着姿を堪能したいだけだと見抜いているデジタルはむくれ顔のままだ。

「皆さんとは同志のつもりですのに。」

夫の手を取り、プールサイドへと上がる。

2.
夫婦で運動をしたいから
屋外でランニングするのは懲りたから
どうせならサークル仲間と楽しみたいから

要するに避暑にはしゃげる口実が見つかったから。

「あたしの奢りでみんなでプールに行きましょぉお～♪」

部室のドアを開けて開口一番口走ったデジタル。熱に浮かされたようなその言葉を撥ねつけられる会員に一人もいなかった。
ちなみに、流石に自分の入場料は自腹で落ち着いた。

「わっはっはっは！」

流れるプールをウマ娘パワーで泳ぐデジタルには誰も追いつけない。

3.
「旦那さん？調子悪いんですか？」
「デジタルと比べられたら形無しになっちゃうよ。」
「ああそれはそうですね、失礼しました。」

併設されたスパで休む夫に女性会員が近づいて声をかける。

「君たちは楽しんでる？」
「おかげさまでっ！元G1ウマ娘ちゃんからリゾートへのお誘いなんて、一生に一度あるかないかですしっ！」
「それはよかった。こっちの都合に勝手に巻き込んだと思って申し訳なく思ってたからさ。」
「とんでもない！こちらこそ夫婦水入らずを邪魔するんじゃないかって話も出たんですよ？」
「気遣ってくれてありがとう。僕はもう少し回復してから泳ぎに出るから、キミも行って来なよ。」
「浮気疑われたら困りますもんねっ！」

この子も何となくデジタルのような距離の近さがあるなあ、と夫は何となく思った。

4.
昼には、プールサイドにある水着ごと利用できるレストランで昼食。
入場料が良心的な分、お料理はきっちりとリゾート価格だ。勿論質もしっかりしているから文句はないが、大学生にとってはちょっとばかり背伸びを感じてしまうお値段。

「今年は多めにボーナスが出たから、好きなの頼んでいいよ。羽振りよく見せたい気分なんだ。」

夫がそう告げると、同好会の面々は一旦はバツが悪そうにしたが、会長が持ち前の面の皮で「じゃああれとこれとそれと」と言い出したのを皮切りに皆大人の懐に甘えだした。

テーブルを合わせて大きな卓を作るとデジタルを中心にウマ娘トークが始まる。
今年の期待バは。最近のあのレースは。海外が狙えるウマ娘は。
同志が熱く語り合う中でデジタルの姿をひたすら動画に収めていた会長は頭をはたかれていた。

5.
料理が運ばれてきても彼らの口は止まらない。
スパゲティナポリタン、かつ丼、ブイヤベース、刺身定食、その他諸々。
思い思いの個別の昼食に話のツマミのためのポテトフライに唐揚げを加え、同好会員達は食べると喋るをその口腔に器用に切り替えさせる。
夫はその若さに思わず切なげな笑みを浮かべ、ちらりとそれを確認したデジタルが水を向ける。

「あなたは？今年の注目ウマ娘っています？」
「僕？じゃあそうだな。やっぱり最近上り調子の……。」

そして夫自身もまだまだ気は若いのだと自覚させられる。
ここに居るのは誰もがウマ娘を心から愛する仲間たちだ。立場や年齢や趣味や好みの違いなんて些末。好きなものを好きなように語るだけでも楽しくなってしまう。
ああ、そうだ。友達とはそうしたものだ。ここに居るのは皆、わかり合える事もわかり合えない事すらも楽しく話しあえる、「友人」なのだ。

6.
その後はそれぞれの疲労度に従って、ひたすら泳ぎたおしたり、そんなデジタルをカメラで収め続けたり、はたまた着替えてゲームコーナーに入り浸ったり、様々なスパを楽しんだり、屋内のシアター付き仮眠室で横たわったり、「友人」らしい気の置けなさで好き勝手に振舞った。

劃して、帰りの電車の中。

「実は私、ああいう屋内プール初めてだったんです。」「へえ。」
「疲れたなあ、温泉入ったのに疲れちゃったって変だけど。」「新陳代謝って奴じゃないですか？」
「涼しくて自由にできるプールっていいね。」「普段使いにはちょっと高いですけど、ちょうどいい贅沢って感じですよね。」

その若い会話を浴びるだけで、夫の心に平穏と活力が満ちていく。

「デジタル。」「はい？」
「今日は、楽しかった？」「……はいっ！」

同好会一同がいやらしい笑みでそのやり取りを拝んでいたのは言うまでもない。


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夜の健全な戦い

1.
休日には偶に妻・アグネスデジタルのレースを見返して過ごすことがある。惚れ込んだ相手のレースは、勝利であれ敗北であれ感慨深いものだ。自分がレースを選び、自分がトレーニングメニューを構築し、その結果の勝敗。

輝かしい勝利であれ、見るに堪えない惨敗であれ、それらは僕の心に強い印象と学びを刻んでくれる。

何が良かったのか、何が悪かったのか。答えの無い問いを強い感動と共に突き付けてくれるそのシーンは、僕の宝物だ。

2.
ノックの音。どうぞと応えてノブの音がするや否や、「どひゃ～～」という羞恥混じりの声が漏れる。

「アナタ、またこれ見てたんですかっ！」
「うん。」
「うんって……。」

妻にとっては過去のレースが照れ臭い物なのは分かる。でも僕にとっては大事な経験で、幾らでも学ぶことのある原典なのだから許してほしい。

「今担当してるウマ娘ちゃんはいいんですか！？」

僕はトレーナー職を完全に降りた訳ではない。大学生である妻を支えるため、テレワークで複数のウマ娘のサブトレーナーとして働いている。

「今日の仕事は終わったから。あとはメンタルを整えてたところ。」

3.
「ひょええ……。」

好き合って結婚したんだから今更そんなリアクションしなくても、と思う反面、過去の実績を何度も飽きずに見る僕をちょっと恐ろしく思うのも理解できなくはない。

「ごめんね。でも、キミは僕の人生を変えたウマ娘だから。心から惚れ込んで、全力でトレーニングして。その結果は幾らでも反芻する価値があると思ってるから。」
「は、はあ……そうですか。」

理解いただけなさげな態度に納得半分失望半分。
気持ち悪い事なのは分かってるよ。でも気持ち悪いぐらい惚れ込んだからプロポーズして、そんな僕の申し出を受け入れてくれて、お互いの両親もOK出してくれたんだ。
嫌がられはしても、文句まで言われる筋合いはない、とは思う。

……妻にしてみればストーカーじみた執着に見えるのかもしれない。結婚して初めて僕のこうした剥き出しの欲望と対峙して。
想定と実情は違う。現場を見て事前の覚悟や約束なんて吹き飛ぶのもまた人情だ。

「今後は、見ない方がいい？」

4.
「ちょっと待ってくださいうーんうーんあなたがあたしの現役時代の映像を見るのは別に悪い事ではありませんがそれが頻繁に何度もとなるとやっぱりちょっと変かなと思いますしアナタが何でデジタンの勝ちレースだけでなく負けレースも見返しまくっているのかとか理解できないところも色々あって、そもそも負けレースって見せたくないものですし」

デジタルが目をぐるぐると渦巻かせて思考を口にしながら考えをまとめていく。
脳に男女差はほぼないという話も聞くが、理論と感情の扱いについてはやっぱり大きな生来の差があると自分は信じて居る。

「アナタデジタンのレース見るの好きですか？」
「勿論。」
「負けたレースも？」
「そうだよ。」
「どうして？」
「勉強になるから。」
「何の？」
「負け方の。」

5.
「……それだ、それです。」

デジタルはようやくロジカルな回答に辿り着いたようだ。

「あたし、かっこ悪いとこ見せたくないんですよ。負けた時凄く悔しいんですよ。その恥ずかしいレースを何度も何度も好きな人に見られるの、嫌ですっ！」

その言葉を聞いたとき、何故か僕の心は晴れやかになった。

「わかったよ。」
「よかった♪」
「だからこのレースの敗因について今のキミの目線で解析してみて欲しい。」

このウマバカァー！！という嘶きが近隣に響き渡るのであった、


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降誕祭と折り合いの話

1
「ごめん！今年クリスマスライブ行けなくなった！」

ウマ娘同好会のサークル室でメンバーに向かって両手を合わせて頭を下げる女性。

「ありゃりゃ……何かあったんです？」

同じくサークルメンバーの一人であるアグネスデジタルが応えた。
続いて矢継ぎ早に他のメンバーの質問が飛ぶ。

「用事でも出来たの？」
「チケットは払い戻したのか？」
「グッズ何買ってきたらいい？」

2
その女性は、どうしても外せない急用が出来て、サークルメンバーと一緒にウマ娘クリスマスライブに同行することが出来なくなったこと、
チケットの払い戻しは既に済ませたこと、
推しウマの缶バッジとキーホルダーを買ってきてほしいこと、
そして、その急用が不吉なものではないので心配はしないでいい事を告げた。

それを聞いて一同は了承。

「ご家族の不幸とかじゃなくてよかったですよ。」
「ほんとにねー。頑張ってきなよ！でいいのかな？」

デジタルが安堵の溜息をつき、もう一人のメンバーが元気のいい声をかける。

「あ、あはは、頑張って来るよ。」

本人からは、強張った笑いが返って来た。

3
「と言う事があったのです。」
「そっか。残念だけどしょうがないね。」

夕餉の席で夫に先のサークル室のやり取りを話したデジタル。
今日のご飯はタラと水菜と手羽元をたっぷり入れた水炊きと、濃いめに仕上げたきんぴらごぼう。

「悪いご用事じゃないというのはよかったですよ。」
「そうだねえ。もしかしたら良い用事かもしれないね。」
「良い用事？」

ポン酢醤油が滴る水菜を口に入れかけて、デジタルの動きが止まる。
ウマ娘の生ライブを見る以上の良い用事？ウマ娘同好会のメンバーにとってそんな用事などあるのか？

「身内にご不幸じゃなくて、めでたい事があったとか。」
「……あ！ああー！なるほど！」

4
言われて初めて、親戚の結婚や出産と言った可能性にはたと気づく。

「だったらそう言ってくれればよかったのに、水臭いなあ。」

出汁とポン酢醤油の絡んだ水菜をもしゃもしゃと噛み締める。

「照れ臭かったのかもね。身内の事をあんまり他人に話したくない人もいるし。」

夫は手羽元をトングで器に移し、豪快にかぶりつく。

「そんなもんですかねえ。」
「そんなもんかもよ。……どうする？そのご友人の事情、もうちょっと邪推して楽しんでみる。」
「……やめときます。」

そう言ってデジタルは、ぶつ切りのたらを菜箸で拾って、少し油の浮いたポン酢醤油の器に入れた。

5
夕食の後片付けと入浴を終えて夫の仕事部屋。PCに向かう夫の膝の上に乗り、抱き着いているデジタル。
夫はこの強力な妨害にも負けずキーボードを叩き、サブトレーナーとして担当しているウマ娘達のデータをまとめている。

「今年は横浜のホテルでしたっけ。」
「うん。丁度良く予約が取れたしね。」

これは夫婦でクリスマスを過ごす予定の話。クリスマスと言っても24、25日の事ではない。
ウマ娘のサブトレーナーとしてクリスマスライブを催す側の夫とウマ娘ファンとしてクリスマスライブを見る側のデジタルは共にクリスマス当日には予定が空かない。
そのため、『夫婦のクリスマスは12月3週目、有馬記念の前週に執り行う』と決めている。
ちなみに年末年始も同じ事情で予定が空かないのでので『夫婦年末年始の行事や里帰りは、1月2週目に執り行う』とも決めている。

「楽しみ～♪」
「キミが現役時代に滅茶苦茶稼いでくれたおかげだよ。」
「そう言う生々しい言い方は無しにしましょうよ。」

6
夫の風呂上がりのうなじをすんすんと嗅ぎつつ、デジタルはあることに思い至る。

――――もしかして、クリスマスライブに来れなくなったあの人も、『あたし達と同じ事情』が発生した……？
――――そしてあの人は、クリスマスライブよりもパートナーと過ごす方を選んだ……？

何となく歯切れが悪かった言葉もそう考えれば納得がいく。

ウマ娘同好会の一員でありながら、ウマ娘よりヒト息子/娘 に現を抜かすなど、色ボケしたか！

デジタルの脳裏に勝手な怒りが湧いてきたが、仕事中の夫に抱き着きながらでは形無しと思い至り深く反省し。
夫の襟を引っ張って中の匂いを嗅いだ。頭をはたかれた。

「今の君は尊重に値しない。」
「ごめんなさいでした。」


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犇めく数多の夢

1
夢を見ている途中で、これはもっといい夢になるんじゃない？と思える時がある。
いつも使っているスーパーは急坂商店街の山の上、自宅は高架の下の集合住宅、電車は全部地上100mのモノレール、実家は遥か通くJR直通で5分以内。放物線のような急な坂で繋がっていて上り下りは命がけ。

直感と感覚が並べ立てた設定がまるで物質Dのトリップみたいに支離滅裂で理解に直結してしまう感覚。
夢。夢ゆめYUMEYouMay。
大好きな一番の。叶えたい渇望、この夢見心地だからこそ見いだせる理性のタガを外した本当の本当は何？

瞼越しに火の光すら感じられる明るい夢の波打ち際で、それでも夢にしがみ付いてあたしが出した答えは。

走って戦って最強になりたい。
知ってるウマ娘全部と一緒に走って輝きを浴びたい。
そして、彼女らがやっぱりすごかったのだと感動したい。
「え？アグネスデジタルが端役？G1をいくつも取ったあの女が只管に上を見るだけ？」それは反発を招くでしょうだから不本意ながら実績相応の傲慢さを見せれば外野は黙るよね？


2
――――あたし自身なんてどうでもいいんです！強く美しく素晴らしく尊いウマ娘を骨の髄までしゃぶりたいんですよぉおおおおおおおおそれでそれがアグネスデジタルだと満足ですかそれがアグネスデジタルだと納得してくれますかあたしもそんな気がしてきましたっ！！
残念ながら瞼を開いてしまい、急速な覚醒に先の1レス目のような光景は記憶の彼方に塗り替えられていきます。
覚えていた夢の残滓はこのアグネスデジタルが認識そのもの。現実の記憶を思い出すほどに、あたしは『世の中』をどれほどぐちゃぐちゃで不正確に認識していたかを思い知ります。

消える記憶の遺物の中、残る眩しい名残。

・戦って最強に
・ウマ娘全部の尊さを味わいたい

カーテン越しの朝の光にそれが無謀と現実感を持って知るのです。

あたしはもうとっくに引退していて、どんな競走バとも決して戦える立場ではないのだから。


3
あたしことアグネスデジタルは大学生。
トレセン学園時代に知り合ったトレーナーさんと共に競走バとして駆け抜け、分不相応なまでの賞賛を手にしました。
楽では無かった。
逃げ出したいとすら思った。

それでも大好きで尊敬するウマ娘ちゃんを絶対に裏切りたくないから、執筆も出走も全力を尽くした。
時には故障して忸怩たる思いで長期間休養することに甘んじてさえ。

そして苦く眩ゆい青春は終わり、隣にいてくれたトレーナーさんと、人生の朱夏を愛すると決めた。

寝起きのぼんやりとした頭だからまとまらないけど、
寝起きのぼんやりとした頭だからこそ鮮明にしてくれる剥き出しの気持ち。


4
睡魔が薄れていけば、合理的な答えがいつもの思考フォーマットにカチカチと嵌っていく。

あたしが引退したってウマ娘ちゃんは尊いまま。
ウマ娘ちゃんの傍にいる為にトレーナーを目指している。トレーナーになればもっともっとウマ娘ちゃんの喜怒哀楽に寄り添える。
現役時代のあたしを支えてくれたトレーナーを愛している。結婚した。
夫はあたしのウマ娘への愛を応援してくれている。
唯一無二の最高に愛しいパートナー。
それはウマ娘ちゃんへの愛とベクトルが違い、矛盾しない。

正気の時に前提としている様々な事柄が、眠りと言う再起動を経て改めて再設定されて行く。

「んんんんぬああああぁぁぁぁぁぁ～～～～～～……。」

約10秒後、ドアをノックする音が聞こえた。

5
「おそよう、デジタル。」

扉を開いて覗いてきたのは無二のパートナーの顔。本当なら挨拶と笑顔で返すべきなのだろうが、くちゃくちゃになったあたしの寝起きマインドは目線を向ける以外の何もアウトプットしなかった。

「眠そうだね。」

そう、大学のサークル仲間に早めの忘年会を催され、大いに語り、大いに呑んだ。今ここにいるあたしは宴会の場にいたアグネスデジタルの搾りかすに過ぎない。

「んむぅ。」
「蜆の味噌汁でも作っておくから。気が向いたらおいで。」

そうして夫は扉を閉じた。

6
デジタルはまた眼を閉じる。夢の残滓を味わうため。
枕と布団に全身を委ねる。夢の続きを描くため。

――――ウマ娘ちゃん、また一緒に走りたいよ。
――――ウマ娘ちゃんに恥じないあたしである為に足の皮が避ける程努力したいよ。
――――ウマ娘ちゃんの美しさを描く為に漫画や小説を描きたいよ。
――――そんなあたしを支えてくれるトレーナーに全霊の感謝を捧げたいよ。

何が出来て、何が出来ないのか。そんなの曖昧なまま、全部できる気がしたまま、夢を見ていたいよ。
全身に不快な汗が滲んでいたのを感じ取る。そう言えば暖房をつけっぱなしだった。
シャワーを浴びなくちゃ。シャワーを浴びてしゃっきりするころには、何もかも忘れて今日が始まる。


7
――――その日の夜。ベッドで今朝の事を思う。
叶える夢と眠りの中で見る夢、それらが曖昧に混ざり合った夢の事。どっちも嘘じゃない。嘘じゃないって事は本当なんだけど、到底現実にはなりえない。

「……」

枕を抱えて夫の横に立つ。困ったときはいつでも一緒に悩んでくれたトレーナー。今でも変わらない。都合のいい時ばかり頼って。何て弱い女だ。

「怖い夢でも見たの？」
「夢が怖いの。」

そう言って彼の横にもぐりこんだ。

「夢が怖い？」

あたしは応えないまま、ただ抱き着いた。何故ってこれは問題の大きさじゃなく、たまたま今、その大きさの問題に対応出来ないあたしのメンタルの問題だから。

8
祈るように目を閉じる。

――――三女神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。
――――変えるべきものを変える勇気を、
――――そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。

走りたいという気持ちを日々の情熱に変換し、
もし走れたらという情熱を作品にアウトプットし、
現在までに選んだ道と、これから行う創作や交流を大切にできるように。

そして何よりも。
理解ある夫がいて、趣味を解する仲間に恵まれて、憧れのウマ娘ちゃん達と鎬を削った宝石のような記憶があって。

それでも尚。一日一日は輝いておらず楽でもなく、懸命に泥臭く生きねばならない事を受け入れる、
力と、勇気と、賢さとを、どうか、このオタクに。

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軽率な祝賀者達

1
「も～い～くつね～る～と～♪く～り～す～ま～す～♪」

出鱈目に歌いながらフローリングに掃除機のヘッドを滑らせるデジタル。いつの世も電動掃除機の音はとても耳障りだから、思わず自衛したくなってしまう。

「何その歌。デジたん、トイレ終わったけどチェックしてもらっていい？」
「ありがとうございますぅ♪ハイハイただいま～❤」

では掃除機をよろしくとすれ違ったのはこの家のもう一人の主……ではない。
12/21、クリスマスにまだ届かないこの日に、大掃除のためお招きした、大学のウマ娘同好会サークルの一人だ。
アグネスデジタルが指差されたトイレに入るのと同時に、その女性はスイッチが入ったままの掃除機を受け取って廊下の掃除を引き継ぐ。デジタルよりも荒っぽい前後運動だ。
この日、アグネスデジタルの夫はクリスマスライブに向けて会場の最終チェックのため外出している。
普段テレワークで家事も担う彼が家を離れなければならない日。
クリスマスまでほんの少し間のある日。年末年始も家にいられない事情があるわたしたち。

2
『ならば大掃除をするならここしかない！』

思い立ったデジタルがサークルメンバーに声をかけ、自宅の大掃除を手伝わせるに至る。

無論メンバーもただの暇人ではない。海千山千の強者オタクばかり。元競走バアグネスデジタルのお願いと言えども、『家事を手伝え』という勝手極まる要望に何も求めずご奉仕するほどピュアではない。
デジタル自身だってそうだ。

だから殺し文句を用意した・

『元競走バとそのトレーナーの愛の巣を、好きなだけ探索して構いません』


3
「掃除を手伝ってくれ」と「隈なく家探ししてよい」とでは、結果が同じくともモチベーションは天地の差。
デジタルが目論んだ通りサークルメンバーは自発的に掃除を実行してくれた。ありとあらゆる戸棚を開け、垣間見えるプライベートの品々を見て喜びに震え、それを曇らせる埃の存在を決して許さなかった。

「重曹は？」
「クエン酸の方が良くない？」
「どっちもキッチンの流し台に置いてるので好きな方を使ってください～♪」

強力な汚れに対峙したと思しきメンバーの声。デジタルは明るく答える。

「うおおおおデジたんのパンツ！」
「バカ！部長！そういうのは分かってても黙って拝むんですよ！！！」

2回から聞こえる部長と副部長の声に女性メンバーが3人ほど制裁に走り込んで行った。
苦笑するデジタル。

4
「お疲れさまでしたぁ～～♪」

掃除と言う名の家探しを終え、ウマ娘同好会一同はリビングに集結した。
テーブルの上にはチキンにピザにポテトに寿司にドリンクにと、労いの品が犇めいている。

「ほんっとにごめんなさいねぇファン心理を利用するみたいでほんと申し訳なくてぇ……。」
「分かってて利用されてるんだからいいんだよ。」

背の高い副部長がデジタルの頭を撫でる。

「そうだよデジ。こうやってご飯奢ってくれるんだし、後ろめたい事なんてなしなし！」
「夫婦生活の痕跡とか、色々見つけたしねぇ～♪」

あわわわ、と目を丸くするデジタルを尻目に、部長が挨拶を始めた。

5
「……ウマ娘同好会を始めてから。本当にウマ娘と出逢う事が出来たのは、数える程しかありません。そのお家に招いていただくなんてことは、これが初めて。
このアグネスデジタルちゃんという素晴らしい、ウマ娘ちゃんの家に入れて貰えたこと。しかもアグネスデジタルちゃん自身のお招きである事。これはとても、とても凄い事だと思うのです。」

副部長に比べてプリミティブな言葉で部長が話す。

「全身でウマ娘ニウムを浴びれて最高！乾ぱーい！！！」

副部長がすかさずその頭をどつき、それ以外のメンバーは「仕方ないなこの人は」という顔で、それぞれにドリンクに口を付けた。
埃と汗に汚れた衣服に構わず食べる食事は、何故かデジタルにはとてもおいしく思えた。メンバーもそうであってほしいと心から願う。

6
同志が去った後の愛の巣。デジタルは一人自室で酔いを噛み締める。
今日は夫は帰ってこない。冬コミの原稿もとっくに終わらせた。各種試験対策を酔った頭で行ってもしょうがない。もう眠って夢を見る以外にない。
それなのに今日は何故だか、アルコールの、「眠りを妨げる」という効能が前に出ているようで。

朦朧とした頭で色々思い出してみる。
ファン心理を利用して大掃除に駆り出した同志への罪悪感。それを打ち消すほどの彼らの喜びの声。
もしも。このアグネスデジタルよりもっと有名で強力なウマ娘がこの大学のこのサークルに所属していたなら。
あたしはそのウマ娘ちゃんが受けるべき賞賛や羨望を横取りした事になるのだろうか？

……とりとめが無くなっていくのはアルコールのせいだ。
今日はいい一日だったじゃないか。大掃除という苦しい事を、好きな皆と楽しみながら行えた。こんなことって奇蹟じゃないか。
あたしがアグネスデジタルだからこそ起こせた奇蹟じゃないか。もっと素直に喜んでええじゃないかええじゃないか備前岡山ええじゃないか。

7
アグネスデジタル超どきゅーとぬいぐるみ受注生産受付中！綿を抜けば中に入れますデジダヨー（どたどた）嘘だよけろ！！！

「おはよう」
「おはようございましゅ。」

ああ、冬の日差しに照らされた旦那超カッコいい。
いや、二日酔いだからだと思いますね。

「今失礼な事を考えなかった？」
「二日酔いのせいで貴方がかっこよく見えましたのでしゅ。」
「寝てなさい。」


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幸せでありますように

1
「ふひゅぅ～～～……幸せですぅ♪」

ウマ娘達によるクリスマスライブが終了し、ここは会場外の路地。
車止めに腰掛けるデジタルの右手の紙袋には、物販ブースで購入した品々が収まっている。

「大満足。」
「いいライブだったぁ……。」

同じ大学のウマ娘同好会の面々が彼女を囲んでいる。真冬だというのに肌は赤く火照り、皆湯気が出そうなほど汗ばんでいる。

「今年も凄い盛り上がりだったねぇ。」

その言葉にデジタルはほくそ笑んだ。学生でありながら既婚者である彼女の夫は、ウマ娘のサブトレーナー。今回のライブの裏方の一人としても参加している。
夫の働きが同志を楽しませる一助になったなら、デジタルにとっても嬉しい事だ。

2
「さて、帰るとするか。」
「ひぃ、汗が冷えて風邪ひきそうですぅ。」
「デジ、ちゃんとグラサンして。」

言われて手渡されたサングラスをかけ、マスクに手を当てる。続けて帽子を両手で押さえる。
鼻から顎まできちんと隠れている事、ウマ耳が帽子の中に納まりきっていることを確認して立ち上がる。

かの有名なアグネスデジタルがこの場にいる事が明らかになれば騒動が免れない。
他の場所ならいざ知らず今この場はウマ娘のファンばかりが集まっている危険地帯なのだから。

「あ、お土産買った連絡しときましょうか？」
「そうか、あの子の分ね。」
「あたし写メ撮りますね。」

3
一人、急用が出来たとのことでこのライブに参戦することが出来ないサークルメンバーがおり、その分のグッズを買い置いておいたのだ。
アスファルトに汗拭き用に持って来たタオルを置き、頼まれ物の缶バッジやアクセサリーを並べ、デジタルがスマホで写真を撮る。

「送信っと。」

SNSのダイレクトメッセージで写真を送る。

「おや、用事はもう終わったんですかね？」

意外にもすぐに「ありがとう」と返事が戻った。どうやら丁度手元にスマホがあるタイミングだったようだ。
デジタルはこれ幸いと応酬を開始する。
――――あの子のダンスがキレキレでした
――――いいなあ最近のライブでも動き良かったし。わたしも見たかった
――――あの曲でサプライズがありまして
――――毎年色々演出あるよねえ

4
ニタニタしながらメッセージを送り続けるデジタルの後ろに、いつの間にかサークルのメンバーが集結している。スマホの画面を覗きこむ圧を感じ、デジタルは一通のメッセージを送る。

――――通話します？
――――オッケー。

ビデオ通話機能をオン。喧噪から少し離れた路地裏に逃げ、音声はスピーカーに設定。

『やっほー。お疲れっ！』
「お疲れ様でーす。グッズ買いましたよー。」
『見た見た！ゴメンねありがとう！』
「いえいえ！困ったときはお互い様ですっ！」
「元気そうで何より。」
『ああ、副部長。お疲れ様ですー。』

デジタルのスマホを通じて、メンバー同士のやり取りが始まった。

5
ライブについての話で盛り上がる一同。
すると数分ほどして、画面の奥の方から声が聞こえた。

『誰と話してるの？』

聞き覚えの無い声を聞いてデジタルが振り返ると、サークルメンバーもお互いの顔を見まわしている。誰もこの声に心当たりがないようだ。

『あ、えっと……ゴメン切るね！』

慌てた声を最後に唐突に通話が切れた。

「……。」
「……。」

沈黙する一同。

6
「……そっかぁ。」

誰ともなく、そんな声が漏れた。
12月24日に、ウマ娘同好会所属でありながらウマ娘のクリスマスライブに来れなくなるほどの用事。それは、違う形の愛と言う訳だ。
それぞれに今後に思いを馳せる。これからそのメンバーはどのくらい同好会に参加してくれるのだろうか？あの声の主はそのメンバーの趣味を理解してくれるのだろうか？もしかしたらウマ娘以上に恋人を愛するほど色ボケてしまうのだろうか？

風が吹いた。衣服の隙間に冷たい空気が入り込む。汗が乾き皮膚が震え、迷いを消し飛ばしていく。

「兎に角帰ろう。」

副部長が声をかけると、

「あ、あたし会場に戻りますねっ！片づけ手伝ってから旦那と一緒に帰りますっ！」

そう言うデジタルの嬉しそうな顔に全員、「デジタルが一番色ボケてる」という言葉を呑み込んだ。


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説明できない熱量でも炉に焚べる事は出来る

1
僕としては健全な活動を行ったつもりなんだけど、結果10時に目覚めたとなれば、やはり昨夜のあれは不健全だったのだろうと結論せざるを得ない。
左腕には妻、アグネスデジタルがぎゅっとしがみ付いて、その強さと重みに少ししびれている。
小柄で幼い彼女の鼓動の音。呼吸の熱さ。女の子の匂いと汗の匂いとそしてあまり大きな声で言えない色々な体液の匂いが混ざって。
でも決して嫌じゃない。何だか猿だった頃に戻ったような、原始的な安らぎを感じる。ウマ娘の祖先が猿だったかは大いに疑問はあるにしても。

扉には Do Not Disturbの札をかけている。かけている筈だけど、寝起きの頭で確信するのは難しい。

まあ、仮に清掃スタッフが入って来ても、引き返すかさっさと退いてくれと告げるかの二択だ。そうなってから考えればいい。

「んむふふぅ……♪」

幸せな夢を見ているらしい。吐息に笑いが混ざっている。
いいなあ、夢を見られて。僕は先に起きてしまったし、右腕の痺れにも気づいてい仕舞ったから一先ず落ち着かなきゃいけないんだ。

2
体を横に倒しデジタルと向かい合う。右腕をデジタルの背に巻いて、その体を持ち上げる……とまでは言わずとも体制を変えさせる。
デジタルの体重は軽いが、腕一本に全体重をかけられても平気、とは言い切れない。

今日は12月15日……を開けた16日か。
僕らはクリスマスと年末に互いの仕事と趣味の一大事が発生する。その為、『夫婦のクリスマスは12月3週目、有馬記念の前週に執り行う』と決めている。
お陰で昨夜は何の憂いもなく妻を……アグネスデジタルを愛せた。その結果にはとても満足している。
いや……その『結果』が判明するのはもしかしたら何か月か後かもしれないが。
僕はその……必ずしも彼女の学生生活を守り切れるような性行為を行えては居ないので。
何なら非力で頼りないこの僕の手で、デジタルの人生をめちゃめちゃにしてやれたらとも少し、思っている。

話が反れた。カーテン越しの光が少し眩しい。デジタルの体を動かしても右手はまだ痺れが取れない。二度寝をするにはもう少し夢に身をゆだねる準備が必要だ。

3
思い切って右手に力を入れる。合わせて左手も引き戻し、両腕で抱き締める。

「ふわ……？」

とデジタルが可愛い声で目を覚ますが構わない。両腕で彼女の華奢な、しかし確かに強靭な芯のある体を抱き締める。

「にへ……♪」

デジタルも両手を僕の胴に回し、柔らかく抱き着いた。
幸せ。生憎、二度寝するには惜しいほどの。

4
今日は色々と考えていたんだ。こうして交接の残骸が互いの眠りを長引かせても、その後午後にたっぷり時間を駆けて買い物したりゲームやアミューズメントを楽しんだり。その為の貯金だってしてた。
それなのに僕らはたかがベッドの柔らかさにやられている。
それも一晩これでもかと酷使して、汚して、汗をしみこませたベッドに。
全く、幸せって奴はどうしてこう、望んだ形をしていないときほど甘美なのだろうか？

「それは～……。」

寝言。首を引いて胸の中のデジタルに目を下す。」

「降って湧いた、サプライズ、何の、柵もない、ただの幸運が、一番幸せだからですよ、うん。」

5
デジタルの指はペンで文字を書くように細かく動いていた。どうやら思い付きをメモに取る夢を見ているらしい。

降って湧いたただの興奮こそが一番の幸せ。
だとしたら、幸福とは追い求めるだけでは足りない。それにプラスして、何かの巡り合わせが無くては。想像を超える素敵な幸運、苦労が報われた分だけではすまない量の幸福。
運が無くては幸福も不幸も運命となりえない。

運がなかったか？こんなに可愛くてえっちで強くて愛し合えるウマ娘と出逢えたのに？その愛を誰にも妨害されないという幸運に恵まれたのに？

では今この瞬間は、降って湧いた幸福の残滓だ。サプライズで得た幸運、偶然。そうして手に入れた幸福を噛み締めた味だ。
幸せは、やってくる瞬間と、それを噛み締める時間と。その二つの相がある。

宝くじで例えれば、当選した事自体の喜びと、実際に得た金を使う喜びとの二段階。

6
妻はそれを直感的に知っていたのだろう。
幸福とは幸福感とイコールじゃない。
幸福とは、歓喜や快楽や幸福感を湧き立たせる燃料なのだと。
楽しさの前提条件。それは、生まれ、育ち、出会い、天変地異……様々な、自分一人ではどうにもならない巡り合わせ。それは正に人生の前提条件。
その変えられない前提条件が、『幸運にも』、素晴らしいものだったなら。それこそが幸せだ。
だから幸せでないのなら、あなたは別の場所に。別の時間に。別の誰かに幸福を見つけなくては。
幸せを探すとは、快楽や幸福感を得られるような場所や時間や人脈を見つける事で、それは偶発要素が余りにも大きく、それでも今が不幸せならやらざるを得なくて。不幸に藻掻くとはつまりそういう……。

「うるさいぃ……。」
「っごめん。」

独り言をつぶやいていたらしい。僕らしくない。

「さっきの幸せとは何かって話ぃ……書面にまとめてメールでくださいぃ……すぅ、すぅ……。」

7
朧げが記憶を何とか反芻して留めつつ、身を起こす。暖かい眠気が去っていく。
しょうがないなあ、妻が望むんだもの。次の作品の肥やしにでもするんだろう。
ノートパソコンを開き、起動する間にボールペンとメモ帳に朧げな記憶を書き留めていく。
――――幸せとは前提条件、幸福感、快楽、快感を感じる為の巡り合わせ
――――降って湧いた幸運の喜び、得た幸運を使う喜び
――――不幸とは前提条件、だから幸せを探すとは場所、人、時間をずらす事、探す事

これが一体何の役に立つのやら。
それでも目をやればカーテン越しの陽光に照らされて眠るアグネスデジタルがとても美しく見えたから。何だって出来る気がした。ずっとそうありたいと思った。


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Living with joy to the world

1
寒い日は公園を走るに限る。
両足首が、両膝が、両腿の付け根が、ぎしぎしと音を立てる位に。
はっ、はっ、という荒い息が他人の物のように聞こえる。

上がった心拍と血圧。
理性を溶かす夜のテンション。
現役競走バだったころの思い出が頭をめぐる。

――――大好きなウマ娘ちゃんと一緒に走りたいっ！

その気持ちがあたしを支えてくれていた。
いや、支えるどころじゃない。ある時は走る力になり、ある時は諦めない心になり、ある時は離れかけた絆を繋いでくれた。

2
ヲタクなりの歪んだ愛が。ウマ娘の本能たる「走る」という行為を通して。透明で熱い炎に変わった。
グッズもウタもダンスも同人誌も変わらず大好きだけど、走る事に向き合った時だけは、あたしは真っ当なウマ娘で居られた。
レースの途中に心震わすあれこれの妄想さえ、両の脚に力を与える燃料になった。

……もう一本、公園の2000メートルを走る。
時間にして2分前後。地下鉄が一駅進むかどうかぐらい。
一際重い心拍が、拍動ごとに全身に感じる血圧が、冬の夜に煙る汗と吐息が、あたしの夢と現に漂う。

空を見上げ、星の無い真っ黒な空に視線を吸い込まれる。
ハッピーホリデイズ。それももう、終わっていく。この虚無に飲まれるように。

3
あたしが初めてウマ娘ちゃんの素晴らしさを知った時、それは憧れで、映像で、映画で、漫画で、フィギュアで、マスコットだった。
スゴい人たちが与えてくれる娯楽。自分が走るよりずっとずっと高い価値を持つエンターテインメント。

だったはずなのに。

――――もっと近くで並んで走って姿を拝みたい。

気まぐれにそう思ってしまったから。全ての歯車が狂い、狂った歯車が噛み合った。

4
走るより大事な事を見つけてた筈だったのに。いざ走ってみたら、足裏から届く本能的反響たるや。抜かし抜かされの度に心を刺す電撃たるや。

――――他のウマ娘ちゃんに恥ずかしくないような実力を

それは嘘ではないけれど、今思えば方便だった気がする。
負けたくなかったんだ。負けるような自分でありたくなかったんだ。あわよくば、自分こそが憧れられるウマ娘になれるかもと願った気持ちも否定しない。

そして、そして。
トレーナーに出会い。グレード付きレースを走り。遂には、『馬場を選ばぬ変態』『歌劇王と怒涛帝を切り裂いた勇者』の異名を授かるに至る。

何てシンデレラストーリー。いや、シンデレラと言うよりはカカロット？中国武侠もの？それともそれとも……何だろう？

5
兎に角このアグネスデジタルは、本当は誰かと勝負して勝つだの負ける駄の考えたことはなかったのです。
そんなオタクが何かを勘違いして鉄火場に我が身を投げ込んだところ、どうやら玉鋼だったらしい。

引退して、進学して、結婚して過ごす今も。そのデビュー前のくちゃくちゃした経緯（プロセス）はまるで奇蹟みたいだと思うのです。
自分の望みもはっきりわからないままトレセン学園に飛び込めば、ひたすら一人前になるための鍛錬の日々。
走るように生きてた頃 何も見えなかった いつもいつも笑いながら ずっと泣きたかった

そんなあたしをトレーナーさんが拾ってくれて、趣味は兎も角走りについては的確に指示をくれて。ヲタクではなく真っ当なウマ娘として戦える力をくれました。あなたに逢えたことが私の夜明けだと思う。
がむしゃらに頑張るのではなく、二人三脚で合理的に走る力を伸ばす毎日。
怪我の回復が歯がゆくても、望むレースに出られない判断が口惜しくても、二人で話し合って一番大事な事を確かめあった、ねえ。

6
涙よりも悲しみよりも そばにいたいから。そう あなたとなら嵐の夜も 青空を信じられる。

負けて、負けて。勝って、勝って。負けて、負けて、まだやれるのかの声を背に聴いて。
最後に辿り着いた有馬記念。
芝2500m。
このアタシには到底走り切れない距離だった。でもあなたは笑顔で言ってくれたね。

「有馬に出よう。」「有馬で、最後にしよう。」

ゴメンね、シンボリクリスエスちゃん。今日はあたし、一競走バじゃなくて。あなたのファン代表として走りますっ！

7
波乱と批判、栄誉と称賛。ただのウマ娘オタクの身に浴びるには劇毒と言っていいほどの闇と光に身を浸し、あたしアグネスデジタルは引退しました。

色々と考えたことがあります。
ウマ娘オタクであれば誰もがあたしみたいなG1バになれるのか？否！
走ることにストイックでありさえすれば誰もがあたしみたいなG1バになれるのか？否！
トレーナーに恵まれれば誰もがあたしみたいなG1バになれるのか？否！否！否！

人生はプレゼント。返品不可の。なら配られたプレゼントで戦うしかない。

それでも確実に言える事は。あたしはトレーナーさんを愛しているということです。
練習メニュー。褒める言葉叱る言葉。実る実績枯れる実績。嬉しさも悲しさも共に味わってくれた同志。
その道程にすら答えは見つかりません。だってあたしも何度も諦めかけたし、トレーナーさんも答えが出ずに悩み続けたのは一度や二度じゃないから。

8
手札を見つめ、チェンジを繰り返し、ベットしてオープンして一喜一憂。
それを繰り返すうちに見えて来る、あたし達に配られる手札の癖。対戦相手の手札の癖。
勝てそう。勝った。勝てそう。負けた。負けそう。勝った。負けそう。負けた。その繰り返しで学んでいく、自分が一体どんな誰なのかを。
そして。

――――たったひとつだけの愛を贈ろう
――――あなたに‥‥

有馬記念では、ボリクリちゃんに愛を捧げました。全霊の走りで。ついでに客席でペンライト振って。

9
もしあたしがトレーナーになれたなら、愛をプレゼントせよと教えるつもりです。
愛にはいろんな形があるけれど、
まずは興味を持って。
次に好きになって。
更には四六時中思い続けて。
もう、そこまで心を観察したら。あとはフィジカルで追いつくだけでしょう。

デジさんたは何もプレゼントしません。でも、今この配信を見てくれているキミ。
誰でもいいから、出会い頭にメリークリスマスって言ってみて。失敗したって、勇気の実績が残るから。
大失敗はメッセージで送ってね、慰めてあげる。来年纏めお焚き上げしようね。
バイデジでした。

10
（エンディングテーマ）
Living with joy

走るように生きてた頃
何も見えなかった
いつもいつも笑いながら
ずっと泣きたかった

あなたに逢えたことが私の夜明けだと思う

ねぇ  涙よりも悲しみよりも  そばにいたいから
そう  あなたとなら嵐の夜も  青空を信じられる

欲しいものは何もないの
ここにあなたがいる

11
願うことはたったひとつ ずっと愛したい

見えない場所でそっとあなたに勇気をあげたい

ねぇ  明日よりも想い出よりも  今を信じてる
そう  あなたとなら生きる全てを  喜びに変えてゆける

たったひとつだけの愛を贈ろう あなたに‥‥

ねぇ  好きなシャツやコーヒーの味  ささやかなことが
そう  いつの間にか同じになって  ふたりは今ひとつになる

ねぇ  涙よりも悲しみよりも  そばにいたいから
そう  生まれたての愛を育てて
I'm living with joy forever, You & me‥‥


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よいお年を

1
こんデジこんデジこんデジ～♪元競走バ、パカライブ03小隊のっ、アグネスデジタルですっ！
もういくつ寝ると冬コミっつーわけで、今年の配信は本日が最後になりますっ！
本年最後の配信の題材は～♪

来年の夏コミ向け漫画のネーム描きですっ！

「はやっ！？」
「はっや」
「もう？」
「うそでしょ…」

2
えへへ、まあ実のところはですね、冬コミ向けに描こうと思っていたネタで、今年の新刊にはちょーっと間に合わなさそうだなってのがあったのでっ！
どうせ先延ばしにするならブラッシュアップしてお出ししようと思いましてですね。
今日はブレインストーミングも兼ねてネーム？ネーム未満のスケッチ？を描き散らしていこうかなっと思いまっす！

「見たい！」
「なかなかその段階で人に見せるのはないな」

なんとなくクリスエスさん。（かきかき）

「なんとなく…？」
「なんとなく、クリスエス。」

あたしの最後の有馬をふっと思い出しましてねぇ。（かきかき）
この二股に分かれたお下げ？と凛々しいお顔が特徴的です。言葉遣いや雰囲気は姫騎士と言うか傭兵と言うか、鋼のようなかっこよさがありますけれども。
決して人づきあいが嫌いとかそういうタイプでもなくて。何と言うか、シベリアンハスキー？

3
かなーり簡略化しましたがとりあえず勝負服の上半身を描いてみました。

「相変わらずはえー」
「前髪結構ややこしいんだなクリスエスちゃん」

にゅふふ、ありがとうございます。で、ですねちょっと風を吹かせて顔の横を隠している髪をどかせてみると……。
頬の丸みが見えて、少し柔らかくなります。正面から見るのと斜めから見るのとでお顔の印象が変わる人なんですよねえ。

「なるほど」
「こっちはそれほど近寄りづらくはないね」

ねー。
角度で印象が変わるのはとても魅力的ではあるのですが、反面、漫画で描くとシーンによって別人に見えちゃったりする恐れがあるってことです。
クリスエスちゃんを描くときは輪郭以上にこう、クリスエスちゃんらしい記号というか。特徴を強調するなど工夫が必要だったり。
過去の本でも色々試しているので、気になった方は読み返してみてくださいね。

4
そうねえ、次はヒシミラクルさん行ってみましょうかあ。

「ヒシミラクルとクリスエスってどんな漫画になるんだ」
「デジたんは自分を負かしたウマ娘が好きなの？」

手を動かしているうちに何か思いつくかなーって（かきかき）
髪の毛ほわほわで垂れ目がちですが、あんまりやり過ぎると似なくなっちゃうので注意が必要です。
メンコはウミウシっぽさが出るように。とりあえずお顔はこんな感じかな。（かきかき）

「上手い」
「似てる」

で、勝負服の特徴がですね、こんな風にバストのすぐ下を絞ってあるんですねぇ。
服の括れがウエストより上にあるので一番細い部分が隠されてて、そのせいで全体的にふくよかさがあります。膨らんだお袖もふわふわ感を演出しています。

5
制服だと……（かきかき）こんな感じでお胸とウエストがそれぞれに強調されています。
並べると結構癖のある勝負服だってわかりますよね。

「なるほど？」
「真っ当にえっちな体だ」
「ていうかトレセン学園の制服ってそもそもかなり体型が出るえっちな服だよね」

真っ当にえっちな体って何ですか？わかりますけど。

さてクリスエスさんと並べまして。
会話劇が面白そうかなと思ってたのです。この二人が共通の話題で話すってだけでなんか面白そうだなって思って。
シチュエーションが決まれば描き進められるか、と言ったところでタイムオーバーしたのでした。

6
シチュエーションのアイディアは、折角なのでウマシュマロで募集しましょうか。採用できるかはお約束できませんが、ある程度まとまったら配信でご紹介しましょう。
みなさんおもしろいアイディアをお待ちしていますっ！

と言う訳で本日は此処まで！
また来年お会いしましょう！来年の初配信は1月2日予定です、元日はお休みを貰っていますぅ…ごめんなさい。
その代わりと言っては何ですが、パカライブの色々な面々が元日は企画を用意しているそうなのでそちらをお楽しみに。

それではこの後23時からはミホノブルボンさんで「ミホノブルボンのエレクトロブーム振り返りスペシャル」が配信されますっ！
デジたんの一押しは、自分が触った機械が壊れる原理を探ろうとした回ですね。
調査のために用意されたオシロスコープがいきなり沈黙してどうにもならなくなった奴。
そうなるだろうなって！思いましたよねっ！
それではバイデジ～♪


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ジャンプ！！

1
「お疲れさまでしたぁ～～～！どぉお～～～！」

仰向けの僕の上にボディプレスを仕掛ける妻――――アグネスデジタル――――。
ドスーン、という重みをベッドが受け止めると、彼女の背中にそっと腕を添える。

「っふぅっ……。
……女性の体重をどうこう言いたくはないけどさ、」
「分かってますう……。」

デジタルも僕の体に腕を回して胸板にぐりぐりと顔を押し付ける。

2
お互いに年越しのイベントを味わった/催した身。
僕だって疲れているんだけどなあ、という言葉を呑み込みながら、夫はデジタルの背にポンポンと添える。
深呼吸すれば彼女の香しい汗とフェロモンが香り、疲れも幾分か軽くなる。

「売り上げはどうだった？」
「完売ですっ、ありがたくぅ……。」
「よかったよかった。」

ポンポンとまた背をたたく。

引退して暫く経つのにしょうがない子だな、と言う思いと、
ずっとこんな風に幼くあって欲しいな、という思いと。
元メイントレーナーである僕の心には二つの心がよぎる。

3
僕だってさっきまで、ウマ娘達による年末ライブの裏方をやっていたのだ、正常な判断が出来る状態には無い。
何もかも全部片付いて、やっと家に帰ってベッドに身を投げたら間もなく妻が甘えに来た。
嫌ではないが、多少雑になるのは許してほしいというのが人情だ。

退屈を訴える気力もなく、それぞれに眠りを選択する。

――――
遠く鐘の音が聴こえた。除夜の鐘だと思う。夢だか現実だかはよくわからない。目を閉じたまま夢うつつを彷徨っていると、体の上から親しみのある重さが消えていることに気づいた。
デジタルは起き出したのか。
眠気が少し覚めると、なんだかおいしそうな匂いがしている。起き出して寝室を抜け匂いの元を辿るとデどてらを着たジタルがリビングでそばを食べていた。

「あ……起きました？」
「起きました。」
「食べます？」
「食べます。」

4
時刻は23時50分を過ぎたところ。
妻は手早く麺を茹でると、刻み葱と揚げ玉のシンプルなかけそばを出してくれた。

「ありがとう。」
「年越しにはギリギリ間に合いましたねっ。」

ゴーン……と遠く、また鐘が鳴る。あれは夢ではなかったんだな。

二人して蕎麦をすすり、もうすぐ食べ終わるかと言うところで時計を見たデジタルが慌てだした。

「あなたあなたっ！早くこっちこっち！！」

手を引くデジタルに促されるまま椅子を降りる。リビングの少し広い所に二人で立つと、

「せーのっ！ジャンプッ！！」

5
なるほど、新年の瞬間地球にいなかったぞ、と言うあれか、と着地してから気が付いた。

「お付き合いいただきありがとうございました。あけましておめでとうございます。」
「今年もよろしくお願いいたします。」

二人で頭を下げ合って、またお蕎麦を食べる。
少し温くなったつゆは却って体を優しく温めてくれる感じがして、残さず飲み干してしまった。

器を食洗器に移すと二人してまた寝室へ。二人してまたぐったりと重なり合う。しかし今度は疲労からではなく、心地よい満足感を味わいながら。

胸の上に乗るデジタルの肌の感触と髪の香りがとてもいとおしい。彼女も同じ気持ちであって欲しいと思う。
来年もこのように幸福でありたい。彼女も、同じ気持ちであって欲しいと思う。

除夜の鐘を聞き終える前に、僕らは揃って夢の世界へ溶け込んでしまった。


--
わたしたちは今日が元旦だと決めましたのでっ！ 2

1
「んむぅ～……。」

頭痛に目覚めると、慣れない布団の感覚。彼は自分が妻・アグネスデジタルの実家に宿泊していたことをぼんやりと思い出した。
遅めの新年のあいさつに対し、よく来てくれた！と上機嫌の義父は豪快なれども気安い方で、語り合いながらつい深酒をしてしまった。

「参ったな……。」

鞄から衣服とヘアワックスを取り出し身だしなみを整えて、既に話し声が聞こえるリビングへと歩いていく。

「おはようございます。遅くなってすみません。」
「おう、おはよう。すまん、飲ませ過ぎたみたいだな。」
「アタシの旦那様壊さないでよね、パパ。」
「あらあらお辛いならもう少し寝ていらしてもよかったのに。」

2
デジタル一家の出迎えを受け、朝食の席に着く。
それぞれの前にトーストと目玉焼きとベーコン、そして真ん中に大皿のサラダ。

今は1月第二週目。既に正月の料理を食べる時節は過ぎており、デジタル家のいつもの朝食が供される。

「「「「いただきます。」」」」

────
同人作家アグネスデジタルと、サブトレーナー業を続けている夫はそれぞれ12月31日に大規模なイベントに参加する事情がある。
その為元日はとても身動きがとれる状態ではなく、それぞれの両親に『新年のご挨拶は遅めに窺わせてもらう』とお願いしている。
無茶な願いに両家の人は嫌な顔一つせず、毎年あいさつに訪れる彼らを歓待してくれる。
昨夜もそうした心づくしのもてなしを受け、少しばかり羽目を外してしまい……今に至る。


3
「では、向こうのご両親にもよろしくな。」

車の窓越しにデジタルの父が声をかける。

「はいっ！……あなた、運転大丈夫ですか？」
「うん、気持ち悪いだけで意識ははっきりしてる。大丈夫。では、義父さん義母さん、ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。」

デジタルの父母が並んで手を振るのを横目で見ながら、夫はアクセルをそっと踏み込んだ。

────
「おう、お帰り。デジタルちゃんも久しぶり。」
「はるばるよく来たねえ、上がって上がって。」
「デジタルおねーちゃーん！」
「デジタルおねーちゃんだ！！」

4
トレーナー実家にて。玄関を開けるなり、夫の両親や従兄弟たちが集まって来た。

「お世話になりますぅ♪ はいっ！ちびっこたちにはお年玉ですよー♪」
「やったー！」
「こんなパッツンパッツンのぽち袋初めて見た！？」

「デジタル、あんまり甘やかさないで。」
「あはははは、お年玉あげて喜ばれるの、やってみたかったんですよねえ。」
「……幾ら包んだ？」
「うーん……。来年はちょっと、加減します。」

5
夕食の席、普段は使っていない畳の間を二つ繋いで親戚一同が集まっていた。

「良く集めたな父さん。」
「みんなデジタルちゃん目当てだよ。」
「だろうね。」

目を向けると、奥様方や親戚の子供に囲まれているデジタルが見えた。それぞれ自分のお膳を寄せて近づき、食べて話してと器用にコミュニケーションを取っている。

「勿体ない嫁さんだ。お前の方は最近どうだ？仕事が詰まったりはしてないのか？」
「ちょっと忙しすぎるぐらいかな。順調ではある。」
「そうか。若いうちの苦労は買ってでもしろっていうけども、嫁さん泣かしてまでって訳には行かないしなあ。」
「そうだね。体調は本当大切にしないと。デジタルだけじゃなく、僕は仕事で他人のお子さんも預かってる身だし。」
「サブトレーナーだったな。父さんには苦労は分からんけど、無理はするなよ。」

6
「父さんこそ体調は問題ないんだろうね？」
「この歳だともう、元気溌剌とはいかんなあ。まあ今後万一があっても大丈夫なように保険とか色々準備してるから。」
「縁起でもないな。」
「お前も父さんと同じぐらいの歳になればわかるさ。」

夫が渋い顔でちびりと酒を口にする。と、デジタルがこちらに手招きした。

「アナタぁ～！こっち来て助けて！夫婦生活の話聞きたいんだってぇ！」
「断りなさい。」

────

翌日、二日酔いの妻を後部座席に押し込んでトレーナーは実家を後にする。デジタルの宅を訪ねた時とは逆だ。

7
「頭痛いよぉ～～。」
「母さんはそんなにお酒強くないはずなんだけどな。」
「一人一人はお酒強くない人でも、5人も6人も集まるとウマ娘1人を潰せてしまうのれふ……。」
「そのようだね……。来年は気を付けるように言っておこうか。」
「いいえ……。」

苦悶しながらデジタルは拒否する。

「誰も、誰も悪い人はいなかった、みんなこのアグネスデジタルというウマ娘ちゃんを愛してくれていたらけなんれふぅ……。
愛には、愛を、愛で、あいたたた……。愛おしい痛み……。」

これもプロ根性と言うのだろうか。確かに競走バには芸能人としての側面はあるけれど。

8
「プライベートなんだし、嫌な事は嫌って言っていいんだぞ？」
「あなたのご親戚だからと丁寧に接したつもりだったのですが、アタシの親戚でもあるのですよね……。」

うむむむ、とデジタルが唸る。

「甘えてもいいんですよね。」
「そうそう。人生の先輩でもあるんだし、キミは昨日のように可愛がられるタチなんだから。」
「うーん……。」

デジタルは後部座席でごそごそと寝返りを打つ。

「……親戚の男の子も、照れながらまた来てねっていってくれましたしね……。」
「……お年玉目当てだろ。」

そうであってくれ。



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どうか推しの未来に光がありますように。

1.
デビュー前の新バであるため、名前は控えさせていただく。
彼女は走っていた。トレセン学園の練習用芝コース、2000m。第三コーナーに入る前の直線。その背後から規則正しい軽い足音が、一定の距離を保ったままついて来ている。

（フォームはまだ少し粗削りですがそれを補って余りある力強い太ももとふくらはぎ絞り込めばもっともっと速くなれますよね腕の振り背から腰への筋肉の繋がりが連動してああなんて若々しいのでしょう髪の毛もハリツヤあってキラキラしてるぅでももうちょっと保湿力のあるコンディショナーの方が向いているかもですああ今うなじ見えたうへへこれだからコーナーを曲がる姿はたまりませんもっともっと近くで拝みたいところですがデジたんのスタミナではここからのスパートはまだ危ない何よりこれ以上近くで凝視するとキモがられるかもしれません最後の直線でスパートにかこつけて近づくことにしましょう趣味？いや手口と言っていい！懸命に走る若く美しいウマ娘ちゃんのお顔と香りと吐息を是非とも是非ともそのお近くで味わい隊！従ってここでガス欠は許されません堪えろ堪えなさいアグネスデジタルじゅるりらうふふふ待っててくださいねぇ）

2.
時は少し遡る。

「むぎゃああ～～～……。」

夫がアグネスデジタルの自室のドアを開けると、彼女は机の上に突っ伏して液状化していた。
頭の下に敷かれているのはノートと、「ウマ娘トレーナー試験対策 問題集」という分厚い書物。

「大丈夫……ではなさそうだね。」
「ウマ娘ちゃんと未来を共に歩く為ならこの位！……と言いたいところですが……。」

夫から差し出されたマグカップを受け取り、ゆっくりと一口、いや、半口啜る。ジャスミンの甘く鮮烈な香りが口から鼻へと気持ちよく通り抜けていく。
ぷはぁ、とデジタルは幾分落ち着きの有る息を吐いた。

「アナタ、よくこんなの突破できましたね。」
「まあ、楽じゃなかったとは言っておくよ。」

3.
ウマ娘のトレーナーに求められる資質は幅広い。
トレーニングを行うために必要な知識だけでなく、過去どのような経緯があってそのようなトレーニング方法が確立されたのか。
或いはトレーニングだけでなく競走バとして登録するための手続き、その手続き上必ず守らなければならない手順、果てはウイニングライブの準備手順やダンスの基本的構成まで。
競走バが使命を全うする為のありとあらゆる知識を求められる。
幅広い、ということは当然その中にはデジタルの頭に入りにくい分野の知識もある訳で、それをウマ娘愛と根性で無理やり詰め込もうとすると……このようにオーバーヒートを起こす。

「気分転換でもする？」
「むにゃぁ？」
「担当してるウマ娘のメイントレーナーがさ、僕と直接会って話聞きたいって言ってて。だから一緒にトレセン学園に行ってそのウマ娘に会ってみない？」
「い゛き゛た゛い゛！！！！！」

夫は家事をする都合もあり普段はテレワークでサブトレーナー業務を行っている。
デジタルは現在キャンパスライフを満喫しており、夫もそれを応援したいので極力家を出る用事は断っているが、今回ばかりは例外を作った方がよさそうに思えた。

4.
そんな訳で迎えた併せウマである。
併せウマと言いつつ何故デジタルが後ろから追っているかと言うと、『並んで走ると冷静さが保てなさそうだから』とのこと。夫もメイントレーナーも半分呆れつつ、『まあデジタルならしょうがないか』とその要求を呑んだ。
新バちゃんも『大先輩と並んだら自分も緊張してしまうので丁度いいです』と気を使ってくれた。

そしてその新バにも、浅はかながら思惑があった。
『ブランクもあるし、遅れてスタートしてくれるならデジタル先輩に勝てるチャンスもあるんじゃないか？』と。

もうこれは併せウマでも何でもなく、それぞれのウマ娘の趣味の領域。でもそれで新バが競い合う感覚を少しでも味わえるならと、再び両トレーナーは半ば呆れつつ、スタートの合図を出した。

5.
5秒遅れでスタートしたアグネスデジタルは、第三コーナーに至っても尚その距離を正確に保っている。
――――狙われている！
併せウマの名目とは言え勝つつもりのハイペースで先を走っているのに、全く引き離せない。疑う余地はない。ラストスパートで捕まえるつもりだ。
新バの脳裏に過去のレースの映像が浮かぶ。
マイルチャンピオンシップ最後で見せた、空を飛んだかのような異次元の末脚。秋の天皇賞で怒涛と歌劇王を差し切った、鬼神の如き剛脚。

そして訪れる最終コーナー。背後から聞こえる軽い足音はやや外ラチ沿いに逸れてそのペースを増し始めた。
最早併せウマだからとかブランクがあるからなどと言ってはいられない。後ろから追ってくるのはただの引退バではない。
G1六冠を獲得した正真正銘の怪物。ターフであろうとダートであろうと。地方であろうと中央であろうと海外であろうと。2000mという間合いの内であれば如何なる難敵も切り裂き得る稀代の名刀・アグネスデジタルなのだ。
このまま走っていたらただ抜かれて負ける。
――――そんなのは、絶対にイヤだ！！
歯を食いしばり脚に力を込める。眼球の奥で、魂がスパークするのが見えた気がした。

6.
「しゅ、しゅ、しゅごいガッツでひ、でひた、うひひ、レヒたん、とてもいいものをみさせれ、もらいま、ヒューッ、ヒューッ。」
「黙っていろ。」

仰向けに横たわるデジタルの額に、夫が濡れタオルを載せる。

「デジタル先輩も、っっげほっ、げほっ、すご、すごかっ、ぐ、ぐふっ、正直こわ、怖かったですぅ、うぇええええ……。」
「はいはいリラックスリラックス。」

同じく仰向けでダウンしている新バの口に水筒のストローを突っ込む。

「……すみません、うちのデジタルが無茶をやらせてしまって……。」
「とんでもない、此方から頼んだことですし。全く併せウマだって言うのにこの子ったら。」
「それを言われると僕らはもう頭を下げるしか……。こいつこそ全然併せる気が無くて……。」

7.
結果は、新バの逃げ切り勝利。
ブランクの有ったデジタルは2000mを全力で走り切るスタミナが無いことを自覚しておらず、残り150m地点で大きく失速した。
一方でその150m地点における二人の距離差はかなり際どいもので、全盛期のデジタルであっても差し切れたかどうかは、夫も判断しかねた。
（もし時代が合えば、デジタルのG1六冠は彼女に阻まれていたかもしれない。）
後生畏るべし。

「いいウマ娘ですね。」
「……ありがとうございます。あなたに自慢出来るよう、頑張ります。」
「出来ますよ、きっと。」

トレーナー同士が交わす言葉をデジタルは、（ああ……トレトレもまたてぇてぇですねえ……）と思いながら見つめていた。その蕩けた顔に夫は濡れタオルをもう一枚圧しつけた。

「むがーっ！？！？」

